2023年5月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 当社グループは、事業活動に関わるあらゆるリスクを的確に把握し、リスクの発生頻度や経営への影響を低減していくため、リスクマネジメントを担当する役員を選任しております。担当役員を委員長、構成員を主に管理部門の部長職以上のメンバーとする「リスク管理委員会」を設置し、リスクマネジメント体制を整備しております。当社グループの経営成績及び財務状況等(株価等を含む)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における判断によるものです。

 

(特に重要なリスク)

  ① 新規投資とM&Aについて

 当社グループは、事業拡大を進めるため、新規投資を推進しております。新規投資には、従来の「BOOKOFF」、大型複合店「BOOKOFF SUPER BAZAAR」、アパレル等のリユース商材を複合させた「BOOKOFF PLUS」等既存フォーマットの店舗出店による投資、既存店舗のリニューアルや大規模修繕による投資、新規事業への投資等があります。

 また当社グループはM&Aについて適宜検討を行っております。M&Aには、従来「BOOKOFF」に加盟していたFC加盟店の譲受や従来当社グループには含まれていない別業種企業の譲受等があります。

 新規投資やM&Aの展開状況において、十分な将来キャッシュ・フローを生み出さない資産が判明した場合、減損損失を計上することになります。減損損失が多額の場合、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

 

〔対応策〕

・新規投資における投資回収計画の経営層による精査

・投資回収実績の定期的なモニタリング

・出店検討時の収支シミュレーションの精緻化による収益化確度の向上

・地域特性、商材分析等多角的視点による出店対策

・店舗開発部門による継続的な物件情報収集

・消費・顧客動向を踏まえた店舗パッケージの開発

 

  ② 「人財」の確保・育成について

 当社グループは将来にわたり継続して企業価値を高めていくため、人財の確保と、人財育成方針による人事、オペレーション、計数管理に至る全てに対しバランスの取れた人財育成を目指してまいりましたが、一つの店舗に複数の商材を取り扱う大型複合店が増えている中で、一商材の知識・スキルに長けた人財の重要性も高まっており、幅広い厚みのある人財の採用と育成が必要とされてきています。日本では少子高齢化による労働力人口減少への対応が社会課題となっております。小売業界においては人手不足や人件費の上昇、育成の難易度など厳しい雇用環境が続き、相応しい人財の確保が困難となる場合や、人財の社外流出が生じた場合、人財不足による長時間労働等、労働環境の悪化に伴う従業員の健康悪化が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

〔対応策〕

・従業員教育に重点を置いた研修制度の拡充

・パート・アルバイトスタッフからの積極的な社員登用

・地域外の転勤を伴わない地域限定社員など社員の働き方に則した勤務制度の導入

 

  ③ IT投資について

 当社グループは、会員サービスを核として、店舗運営及び書籍・CD・DVD・ゲーム等を販売するECサイト「BOOKOFF Online」の運営の他、外部サイトの活用を行っておりますが、当社グループのサービスの競争優位性を維持向上していくとともに更なる事業拡大のためには、IT投資を継続的に行う必要があり、これらの投資が適切に行われない場合には、サービスの競争優位性やブランドイメージの低下につながる可能性や、サービス改善への費用の増加に伴い、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、事業計画に係る大型開発案件において開発の遅延・中断が発生した場合や、ネットワーク、情報システム、又は事業運営においてサービスの継続が長期にわたり困難となる等取引機会の喪失や信用の毀損が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

 

〔対応策〕

・IT投資について継続的に収益効果を検証し、経営陣への報告実施

・システム開発について社内人員による開発(内製)と、外部業者に発注する開発(外注)とのバランスに注視して、突発的な案件、一過性案件に対しても人員不足による業務への影響回避

 

(重要なリスク)

  ① 中古品の仕入について

 当社グループにおける仕入は、顧客からの買取がその大半を占めております。一次流通市場の動向、既存の競合他社の動向、新規の競合他社の参入、フリマアプリに代表されるCtoCサービス等が商品の仕入に影響を及ぼす可能性があり、今後も中古品を質量ともに安定的に確保できるというわけではありません。中古品の仕入状況によっては商品不足による販売機会の喪失などが生じ、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

 また、当社グループの取り扱うリユース商品は、「古物営業法」に定められた「古物」に該当するため、同法による規制を受けております。顧客から買い取った商品が盗品又は遺失物であると判明した場合は、民法の規定により、2年以内であればこれを無償で被害者等に回復することとされております。当社グループでは、古物買取時の相手方確認や、帳簿等への記載及びその保管など、古物営業法に基づく取引記録の確認・保管措置を適切に実施しており適法に対応できる体制を敷いておりますが、当社グループが買い取った商品が盗品、遺失物であった場合は、被害者への無償返還や買取額相当の損失が発生するだけでなく、取扱商品全体に対する信頼が低下し、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

 

〔対応策〕

・仕入増加に向けた継続的なプロモーション強化及びTVCM、ウェブCMの実施

・地域別、商材別の買取金額アップキャンペーンの実施及びアプリ会員向け通知や買取金額アップクーポンの配布

・店舗網の維持・拡大による買取顧客との接点の最大化

・富裕層向け買取サービスの展開による対象顧客層の拡大

 

  ② パート・アルバイトスタッフの人件費について

 現在、当社グループでは、少数の社員と学生や主婦を中心としたパート・アルバイトスタッフで店舗を運営しており、多くの短時間労働者を雇用しております。今後、最低時給上昇によるパート・アルバイト人件費の増加や、厚生年金適用基準の拡大により、当社グループが負担する保険料及び労務管理費用が増加することで、当社グループの店舗運営や経営成績が影響を受ける可能性があります。

 

〔対応策〕

・労働生産性向上による人件費の効率化

・継続的なパート・アルバイト教育実施による能力向上

・IT機器などを活用したオートメーション化による省人化

 

  ③ 情報セキュリティについて

 当社グループは、店舗運営等の事業を展開する上で、個人情報や営業秘密等の機密情報を取扱っています。これらの情報の流出による企業経営や信用への影響を十分に認識し、当社グループの保有するこれら機密情報等の管理を徹底するために、適切な管理体制の構築や強化を行っておりますが、万が一機密情報の流出や消失が発生した場合は、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い、法的罰則等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

〔対応策〕

・コンピューターウイルスや不正侵入防御策の運用

・バックアップシステムの運用

・専門業者によるECサイト、アプリの定期的なセキュリティ検査

・社員へのセキュリティ教育の実施

 

  ④ コンプライアンスについて

 当社グループは、国内外の法令遵守と社会規範の尊重を目的に、内部監査体制の整備を進め、コンプライアンス管理委員会を常設機関として設置するなど、グループ全体の意識向上を通じたコンプライアンスの徹底をはかっております。しかしながら、コンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの営業活動停止、社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

〔対応策〕

・コンプライアンス管理委員会からの定期的な情報発信と従業員教育の実施

 

  ⑤ 災害について

 当社グループは、日本全国、米国、マレーシアに店舗の展開をしているほか、「BOOKOFF Online」の倉庫拠点を神奈川県に構えております。大規模な自然災害等により店舗、倉庫及び商品に被害を受けた場合、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。また感染症の拡大が発生した場合、店舗の休業や営業時間短縮による来店客数の減少が発生することで当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。他に大幅な気候変動が生じた場合、例えば暖冬による冬物アパレル、スキー用品の販売不振、冷夏によるスポーツ・アウトドア用品の販売不振等、特定の商材の販売に影響を受ける可能性があります。

 

〔対応策〕

・災害発生時の対策本部設置による事業継続体制の確立

・気候変動の影響を受けにくい商材と併せた販売構成の確立

・社員の安否確認システムの導入

・災害対策マニュアルの整備、必要物資の備蓄

・災害対策訓練の実施

 

  ⑥ 取引先に関するリスクについて

 当社グループでは、すべて事業の運営にあたり地代家賃、水道光熱費、支払手数料、荷造運送費、備品消耗品など多くの取引先と取引を行っております。

 今後、円安による原油価格上昇に伴う電気代や運送費の増加や、備品消耗品の原材料高騰等により、当社グループが負担する経費が増加することで、当社グループの店舗運営や経営成績が影響を受ける可能性があります。

 また搾取的な労働力による製品使用等フェアトレードに反する取引により、当社グループに対する信頼が低下し、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

 

〔対応策〕

・店舗照明のLED導入など電気料を節減する店舗運営の実施

・取引先の複数化により一社独占を回避し、値上げ等に柔軟に対応

・フェアトレードに反する取引先に対して取引停止の実施

 

  ⑦ フランチャイズ(FC)展開について

 当社グループは、「BOOKOFF」を中心としたリユース店舗をフランチャイズ方式で展開しております。当社グループはFC本部として、FC加盟店とのコミュニケーションを重視する方針であり、FC加盟店との相互繁栄を目指しております。ただし、FC加盟店が何らかの理由により退店する場合、ロイヤリティー収入が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

〔対応策〕

・FC加盟店をサポートするため全国に支社を配置

・各支社にFC加盟店への支援を行う支社長とスーパーバイザーを配置

・FC加盟店の店長、社員及びパート・アルバイトスタッフに対する研修の実施

・商品データベース等のシステム支援の実施

 

  ⑧ 海外での店舗展開について

 当社グループは、当社が設立した海外現地法人を通じて、米国にて「BOOKOFF」、マレーシアにて「Jalan Jalan Japan」を展開しております(加盟店店舗を除く)。

 海外店舗では、日本国内とは制度・文化・慣習が異なるうえ、現地での知名度は十分ではなく店舗数も少ないことから、現地法人の維持費用(管理部門コストなど)を完全に吸収し、投資回収を進める水準にまで収益が向上するには、相応の時間を要することが見込まれ、その投資回収状況によっては当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

 

〔対応策〕

・現地のニーズに合わせたユニークな価値の提供等、営業面における差別化の推進

・ネイティブ従業員の重用等、運営面におけるローカライゼーションの推進

・マレーシアにおける、機動的な事業運営を目的とした、現地に精通したパートナーとの協働体制(合弁会社等)の確立

 

  ⑨ 資金調達に関するリスク

 当社グループでは、新規出店等の設備投資資金及び運転資金の一部を主として金融機関からの借入により調達しております。

 当社グループとしては、今後も、事業拡大ならびにサービス拡充の為の投資を行っていく方針であるため、当面、一定程度の資金調達に関するリスクを内包して推移していくことが予想されます。

 このような状況の中、今後、金融情勢の変化に伴う市場金利の上昇等により、資金調達コストが増大した場合や、当社グループの信用力低下等により資金調達に制約を受けた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

〔対応策〕

・国内外子会社の借入金及びリース取引に対する当社による一元管理

・営業活動によるキャッシュ・フローの水準に見合った適正有利子負債水準の設定

 

  ⑩ 気候変動に関するリスク

 当社グループは、気候変動を起因とした気温上昇が発生した場合、光熱費等のコスト増加や、外出減少に伴うお客様の来店減少等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

〔対応策〕

・代表取締役社長を長とする「サステナビリティ戦略委員会」の設置

・TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に沿ったガバナンスの強化と戦略の策定

 

  ⑪ 取扱商材の相場変動に関するリスク

 当社グループでは、貴金属・時計・ブランドバッグ、トレーディングカード・ホビー商材等、市場価格が存在する商材の買取・販売を行っております。

 今後、取扱商材の市場価格の相場が変動した場合、販売価格増加による売上客数減少、買取価格減少による仕入客数の減少、在庫評価損の計上等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

〔対応策〕

・本部部門より、取扱商材の市場価格の現状を反映した価格等の情報発信することで、販売、買取等に柔軟に対応

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、利益配分を経営の最重要事項の1つと認識し、内部留保については、将来の企業価値向上につながる戦略的投資と財務体質の強化に対して有効に活用してまいりたいと考えております。

 また、連結純利益に対する配当性向は20~30%程度を目安に、安定した配当を継続していくことを基本方針といたします。なお、当社は、中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。

 

 当期の期末配当金は、1株当たり25円とさせていただきました。次期(2024年5月期)の配当金につきましては、

当期の期末配当金を据え置いて1株当たり25円を予定しています。

 

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たり配当額(円)

2023年8月26日

494

25

定時株主総会決議