リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)外部経営環境に関わるリスク
①感染症の流行等
当社グループの事業エリアにおいて、感染症の大規模流行や、それに伴う移動制限、ライフスタイルの大幅な変化等が生じた場合、当社施設を利用されるお客さまの減少や、鉄道の列車運行等の事業運営に支障をきたすことにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
②自然災害・気候変動等
当社グループは、大阪府、京都府、滋賀県を中心とする事業エリアに鉄道施設をはじめとして賃貸ビルや店舗等の営業施設を多数所有しております。当該事業エリアに大きな被害をもたらす地震等の自然災害が発生した場合や、所有する施設がテロの対象となった場合を想定し、必要とされる安全対策や事業継続・早期復旧のための対策として、事業継続計画(BCP)を策定しております。しかし、全てのリスクを回避することは困難であり、回避できなかった場合には経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、脱炭素社会への動きが加速する中、低炭素化に向けた規制や政策の見直しがあった場合には、炭素税導入による税負担並びに再生可能エネルギー投資や電力需要の増大に伴う電力コストの上昇により、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループは気候変動への対応を重要な課題として認識し取組みを推進するとともに、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に賛同し、気候関連のガバナンス強化や戦略策定など同提言に基づく情報開示等を行っております。詳細は、当社ホームページ(https://www.keihan-holdings.co.jp/ir/library/tcfd/)をご参照ください。
③原油等の資源価格の高騰
原油等の資源価格の上昇は、当社グループの鉄道事業やバス事業、レジャー事業などに大きな影響を及ぼします。また、不動産業におけるマンション建築工事費やホテル事業、飲食店業におけるエネルギーコストの上昇は、資源価格が想定以上の水準にまで高騰した場合には、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
④競合
鉄道事業及びバス事業におきましては、当社グループの営業エリアに他社が参入してきた場合、また、流通業及びホテル事業におきましては、当社グループの店舗周辺に他社が新規進出することなどにより競争が激化した場合には、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループとしては、当社事業エリアへの居住・誘客を促進するとともに、持続可能な社会の実現に寄与するライフスタイルの提案を通して、お客さまから共感され、選ばれる京阪グループを目指し、一層努力してまいります。
⑤少子高齢化
当社グループは、大阪府、京都府、滋賀県を事業エリアのベースとし、地域に密着した企業群でありますので、少子高齢化の進展により当該事業エリアの人口が大幅に減少した場合、鉄道旅客数の減少などにより経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。これらに対応するべく、当社事業エリアへの居住・誘客を促進するため、長期経営戦略に掲げる主軸戦略を推進しております。
⑥人材確保・育成
当社グループでは、持続的な企業価値向上に向けて、新たな価値を創造し続けるため、多様な人財一人ひとりが持つ能力・パフォーマンスを最大限引き出すとともに、挑戦と変革を生む風土改革を推進することで、従業員が「BIOSTYLEなマインド」でいきいきと活躍する環境整備に努めておりますが、採用難や離職率の増加、あるいは人件費高騰により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑦不動産市況の悪化
国内外の要因により景気や金利、地価、税制が変動し、それに合わせて不動産市況が悪化する場合には、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑧海外事業展開
当社グループが海外の会社への出資等をする際には、カントリーリスク及び為替リスクを勘案したうえで投資判断を行っておりますが、当該国の政治・経済・社会情勢に起因した代金回収や事業遂行の遅延・不能等、想定を上回る事態が発生し、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(2)財政状態
①有利子負債
当社グループにおける当連結会計年度末時点の連結有利子負債(借入金、社債の合計額)は338,325百万円となっており、今後市場金利の変動や当社格付の変更があった場合、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
②退職給付債務
当社グループ従業員の退職給付費用及び債務は、主に割引率、長期期待運用収益率等の数理計算によって算出されておりますが、経済情勢の変化等によりこれらの前提条件が変更された場合や、年金資産の運用状況の悪化などがあった場合は、数理計算上の差異としてそれ以降の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
③保有資産の時価下落
当社グループが保有する棚卸資産、有形・無形固定資産及び投資有価証券等は今後時価が著しく下落した場合、減損損失又は評価損を計上し経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
④企業買収等
当社グループ各社は、今後の成長に向けた競争力強化のため企業買収等を行っており、また、将来行うことがあります。企業買収等の実施に当たっては、相手先企業の業績、財政状況、買収に伴うリスク等を考慮し進めるよう努めております。しかしながら、買収先企業の業績が買収時の想定を下回る場合、又は事業環境の変化や競合状況等により期待する成果が得られないと判断された場合には、企業買収等を行ったグループ各社においてのれん等の減損損失が発生し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(3)コンプライアンス
当社グループでは、コンプライアンス経営を維持・推進するために、コンプライアンスに関する教育を定期的に実施する等の啓発活動に努めておりますが、これらに反する重大な不正・不法行為が発生した場合、当社グループの社会的信用の失墜や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(4)事故・不祥事等
当社グループでは鉄道、バスなど大量の旅客を輸送する公共交通事業を営んでおり、安全管理には万全の注意を払っておりますが、大規模な事故が発生した場合には経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループではクレジットカード業を営む㈱京阪カードをはじめとして多数のお客さまの個人情報を取扱っており、情報セキュリティ強化に努め、その管理には万全を期しておりますが、システムトラブルや犯罪行為により情報流出が発生した場合には京阪ブランドの信用失墜のみならず、お客さまからの損害賠償請求等により経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このほか、当社グループでは、主として一般消費者を顧客としている流通業やレジャー・サービス業等において、関係法令の遵守状況の確認や品質・衛生管理・食品表示のチェックなどを実施し、販売する商品の品質・食品の安全性の確保、適切な食品表示に努めておりますが、これらについて信用毀損が生じた場合、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(5)法的規制
当社グループの基幹事業である鉄道事業は「鉄道事業法(昭和61年法律第92号)」の定めにより、経営しようとする路線及び鉄道事業の種別について国土交通大臣の許可を受けなければなりません(同法第3条)。なお、当該許可には期間の定めはありません。
また、収入の根幹をなす旅客運賃等の設定・変更については上限を定め、国土交通大臣の認可を受けなければなりません(同法第16条)。なお、当該上限の範囲内で旅客運賃等を設定・変更しようとするときには、あらかじめ国土交通大臣に届け出なければなりません。
許可の取り消しに関しては、同法第30条に定められており、同法、同法に基づく命令、同法に基づく処分・許可・認可に付した条件に違反した場合、正当な理由がないのに許可又は認可を受けた事項を実施しない場合、同法第6条に定める事業許可の欠格事由に該当することとなった場合などに許可の取り消しとなる可能性があります。
現時点において同法に抵触する事実等は存在しませんが、抵触し、国土交通大臣より事業の停止や許可の取り消しを受けた場合には、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このほか、鉄道事業以外の当社グループ会社が展開する各事業においても、様々な法令・規則等の規制の適用を受けており、遵守いたしますが、これら法的規制が変更された場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、経営環境が激しく変化する中においても、沿線価値の向上を図ることで公共性の高い鉄軌道事業を中心とするグループの安定した経営基盤を確保するとともに、グループが成長するための積極的な投資及び財務体質の強化に努め、かつ成果に応じた株主還元を持続的に実施するため、自己資本の水準及び業績を勘案しつつ、安定的な利益配当を継続することを利益配分に関する基本方針としております。
また、当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。
これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
当事業年度の配当については、業績及び財政状況等を勘案した結果、1株当たり年35円(うち中間配当0円)の配当を実施することといたしました。
当社は、「取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当をすることができる。」旨を定款に定めております。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2024年6月19日 |
3,752 |
35.0 |
定時株主総会決議 |