2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあり、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月28日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経済環境に関するリスク

① 為替相場の変動に関するリスク

<発生可能性:高、発生可能性のある時期:1年以内、影響度:中>

 当社グループは日本・中国・東南アジア・欧米に事業展開しており、円・米ドル・ユーロ・人民元・タイバーツ等の為替相場の変動は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 為替変動リスクについては、当該リスクを軽減するため、必要に応じ、為替予約や外貨建金銭債権債務のバランス調整を実行する体制をとっております。

② 金利の上昇に関するリスク

<発生可能性:高、発生可能性のある時期:1年以内、影響度:中>

 当社グループは生産能力増強、生産効率化及び品質向上等を目的とした設備投資等のための資金調達について、借入金等の有利子負債を調達手段の一つとしております。金利の上昇は資金調達コストの上昇につながり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは金融情勢の変化に機動的に対応しつつ、調達手段の多様化等を図ることで資金コストの低減及び調達の安定性を高めております。また金利変動リスクを回避することを目的として金利スワップを実施しております。

 

(2) 事業環境に関するリスク

① 車載市場に関するリスク

<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大>

 当社グループは車載市場を主力としており、その業績は自動車業界の動向の影響を受けます。世界的な景気後退による自動車需要の縮小や自動車生産に必要な素材、半導体等の各種部品の供給不足による生産台数の減少等が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 次世代空モビリティ、航空・宇宙、半導体関連、産業機器・ロボティックス、通信、医療、電力・インフラといった新事業領域の確立により、収益基盤の強化を図ってまいります。

② 原材料等の調達に関するリスク

<発生可能性:中、発生可能性のある時期:1年以内、影響度:中>

 世界的な原油価格や素材価格の変動は、当社グループが供給を受ける材料価格に影響を与える可能性があります。また、材料供給元のサプライヤーにおいて生産不足、もしくは不慮の事故等により材料供給の不足が発生した場合には、当社グループの生産遅延・生産停止を招き、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 原材料価格の上昇については販売先への交渉により適正に販売価格へ転嫁するよう努めております。また材料供給元のサプライヤーとは基本取引契約を締結して安定的な取引を行うとともに、複数の供給先から調達することで材料供給の安定化を図っております。

③ 海外事業展開に関するリスク

<発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大>

 当社グループは国内外に事業展開しておりますが、海外市場への事業展開については、以下に挙げるようなリスクが内在しております。

a 政治、経済の混乱及び紛争

b 電力停止などの社会インフラの機能不全

c 予期しない法令又は規制の変更

 これらのリスクが顕在化した場合には、安定的な製品供給ができなくなるなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 事業展開先に係る政治・経済や社会情勢、法律や規制の動向について、海外子会社と連携し、情報収集に努めており、状況に応じた対応を行ってまいります。

④ 製品の陳腐化に関するリスク

<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中>

 当社グループの属するプリント配線板業界は、非常に厳しい競争環境下にあるため、市場や顧客ニーズの変化を捉えられない場合には、競争力が低下し、シェアを失うこととなり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは市場競争力の維持、強化を図るために、継続的な研究開発活動による新製品・新技術の開発を行っております。当社グループの研究開発活動については、将来の市場、製品及び技術動向の予測に基づいてテーマ選定を行い、取り組んでおります。

⑤ 知的財産権に関するリスク

<発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中>

 当社グループにとって知的財産は重要な経営資源の一つであると認識しております。しかし、当社グループの知的財産権が第三者により無効とされること、特定地域での十分な保護が得られないことや知的財産権の対象が模倣されることによって、本来得るべき利益を失う可能性があります。また、一方で当社グループが第三者の知的財産権を侵害しているとされ、それにより訴訟を提起された場合には、訴訟に関する費用や損害賠償が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは知的財産の管理に関し、特許等管理規程を設け、専門部署により適切な管理を行い、知的財産の保全に努めております。

⑥ 人材確保に関するリスク

<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大>

 当社グループの継続的な成長には優秀な人材を確保し、育成することが重要であると認識しております。しかしながら、人材採用環境の著しい悪化や人材流出が増加した場合は、人材確保が予定通りに進まず、当社グループの将来の成長に影響を及ぼす可能性があります。

 人材の流出を防ぐため、当社グループは公正な評価、成果に応じた給与体系を維持し、やりがいのある人事制度を導入しております。また、福利厚生、介護・育児のための時短、フレックスタイム制、在宅勤務など、働きやすい環境も整備しております。

 人材育成については、役職階層別・部門別教育のほか、コンプライアンスやハラスメント教育、国際化教育、自己啓発支援等、体系的に実施しております。また、多能工人材の育成として、製造部門に従事する従業員が複数の製造工程・技能を習得するための教育・実習カリキュラムを実施しております。多能工化を推進することで、技能向上による人材の底上げと組織力の強化を図ってまいります。

 

(3) その他のリスク

① 情報セキュリティに関するリスク

<発生可能性:高、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大>

 当社グループは事業活動において入手した、個人情報、営業情報、技術情報等の機密情報を保有しております。IT機器紛失やサイバー攻撃等による不正アクセスやデータの改ざん、破壊、漏洩等があった場合には、重要な業務の停止、当社グループの社会的信用の低下や損害賠償責任の発生により、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 情報資産の強固な保護と適切な共有・活用のため、「情報セキュリティ方針」「情報セキュリティ管理規程」を制定し、個人情報については「個人情報保護方針」「個人情報保護管理規程」「特定個人情報取扱規程」を制定し、これら方針・規程類を遵守しております。

 万が一のIT機器紛失やサイバー攻撃による情報漏洩に備え、端末へのウイルス対策ソフト導入やパソコンのハードディスク暗号化、USBメモリなど外部記憶装置の原則禁止など、システム的な対策を講じております。

 

 また、従業員に対し、サイバー攻撃の手口や不審メールの見分け方、感染が疑われる場合の対応を定期的に発信し、セキュリティ意識向上を図っております。

② 地震等自然災害・大規模な感染症拡大に関するリスク

<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大>

 地震等の自然災害の発生により、当社グループの事業拠点が損害を受ける可能性があります。当社グループは日本、中国及びタイに生産工場を有しており、大規模な地震等の自然災害が発生した場合、工場施設の損害、操業の停止、復旧費用などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また世界的な感染症の拡大による各国の経済活動が制限されることなどにより、当社グループの事業活動の停止、世界規模のサプライチェーン停滞などが、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社内に専任組織であるBCP危機管理室を設け、地震事象、火災事象、サイバー攻撃、サプライチェーンの停止等に対する各種BCP(事業継続計画)を策定しております。また、各拠点によるBCP演習を定期的に実施継続しております。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主の皆様に対する利益還元を重要政策の一つとして認識しており、経営体質の強化と将来の事業展開のために必要な内部留保を確保しつつ、業績や財務状況等を勘案した上で、連結配当性向30%程度を目安に安定的な配当を継続して実施することを基本方針としております。

 このような方針に基づき2024年3月期につきましては、当期の業績や今後の事業環境を総合的に勘案した結果、期末配当を前期末に比べ10円50銭増配し、1株当たり19円00銭とすることに決定いたしました。

 なお、当社の剰余金の配当は、財務状況を勘案し、期末配当として年1回の剰余金の配当を行っております。また、当社は中間配当を行うことができる旨を定款に定めており、配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。

(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たり配当額(円)

2024年6月26日

定時株主総会決議

1,353

19.00