2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、本項における将来に関する事項は、連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 経済情勢

当社グループの主要顧客である化学・石油・ガス・海運業界及び公共下水処理等の設備投資の動向により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、経済情勢による業績への影響を最小限に抑えるため、アフターサービスやメンテナンス工事を拡大することで収益のベースロードを確保すること、また、「三菱化工機グループ2050経営ビジョン」で新たな成長分野として設定した5つの社会課題に対応する4つの戦略的事業領域での事業の確立に取り組んでおります。

(2) 価格競争

当社グループの受注は請負契約が主体であり、激化する価格競争の中で、競合先に対して価格優位性が保てない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、差別化技術の深化・創出、コスト競争力の強化等により、競合先に対し価格優位性を保てるよう努めております。

(3) 資材調達コスト

受注から引渡しまでの工期が長期に亘る工事もあり、急激な素材価格等の上昇は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、販売価格への転嫁、早期発注の実施などの対策に努めると共に、調達体制の見直し、グループ調達・共同購買の強化による資材費圧縮に取り組んでおります。

(4) 安全、品質問題

多額のコストを必要とする製品欠陥が発生する場合、また、建設工事現場において事故・災害が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、製造する製品および建設工事について安全・品質管理体制を整備し、高い品質の確保・維持に努めております。

(5) 海外取引先の選定・管理

海外企業を調達・下請先として利用することがありますが、これら海外企業の品質不良・納期遅延や倒産等により、プロジェクトの採算が悪化することがあります。海外取引先の選定・管理を誤ると、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、海外取引先に対し、事前の与信調査の実施、下請先として選定する際の評価基準を定め、安定したサプライチェーンの構築をはかっております。

(6) 人材の確保・育成

雇用環境の変化が急速に進むなかで必要とする人材の確保ができなかった場合、当社グループの事業に必要な技術を有するエンジニアの確保と育成ができない場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、優秀な人材を確保及び育成するため、積極的な新卒・中途採用者の採用、部門別・階層別の研修の継続による社内教育に努めております。

(7) 研究開発・技術提携

研究開発の結果生み出した新製品・新技術及び技術提携により導入した技術が販売目標を達成できない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、第2「事業の状況」6 研究開発活動 の記載にあります通り継続的な研究開発を行っており、販売活動へつながるよう努めております。

(8) 取引先企業の信用

顧客企業及び仕入先企業の業績不振、倒産等によって入金遅延、納期遅延等が発生する場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、事前の与信調査を実施するとともに、販売部門および調達部門が、定常的に取引先の情報収集を実施することで経営成績等に与える影響を最小限にするよう努めております。

 

(9) 為替レートの変動

外貨建取引における他の通貨に対する円高は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、外貨取扱基準等を定め、為替予約を実施する等により為替リスクの極小化に努めております。

(10) 株価下落

当社グループは取引先、金融機関等の市場性のある有価証券を保有しておりますが、株価の下落によって保有有価証券に評価損が発生し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、保有有価証券は定期的に時価及び発行体の財務状況等を把握しております。また、政策保有株式については、個別銘柄ごとに保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているかを検証しております。

(11) 退職給付債務

当社グループの退職給付費用は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率により算出しており、割引率の低下や年金資産運用利回りの悪化は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、このような数理計算上の差異の発生に伴う損益変動リスクに対応するため、年金資産の運用は、適宜、情報を取得し、安全性を考慮した投資配分に努めております。また、退職給付制度には確定給付型と確定拠出型を組み合わせた制度を導入しております。

(12) 借入金の財務制限条項

当社グループの借入金の一部については、シンジケーション方式によるコミットメントライン契約を締結しております。当該契約には、融資契約上の債務について期限の利益を喪失する財務制限条項が定められており、これに抵触した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、財務制限条項の要求基準を安定的に充足するべく業務運営に努めております。

(13) コンプライアンス違反

従業員等による業務上の不法行為や違法行為により当社グループは刑事上、民事上、行政上の責任を負うことがあります。これらの処分に加え、社会的な信用を失うことは、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、内部統制委員会を設置しており、コンプライアンスの観点から、当社グループ全体の内部統制システムの構築運営状況のモニタリング、個々の業務活動の適正性の調査を行うとともに、各部門・各子会社により実施されるチェックの有効性を確認しております。

(14) 自然災害等

地震や風水害等の災害が発生した場合に、当社グループの主要な生産拠点における生産設備、製品等が破損することがあります。また、これらの災害に起因するサプライチェーンの混乱は、当社グループの生産活動をはじめとする事業全般に影響を及ぼすことがあります。これらの災害により直接的・間接的な被害が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、感染症のまん延などにより、当社関連工場や現場での当該感染者の発生、及び資機材の納期遅延などによる既存工事または計画における工程遅延の発生、そして、感染症の終息長期化に伴う景気後退による顧客の設備投資やメンテナンス工事などの減少、延期、中止などは、業績に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、可能かつ妥当な範囲で保険を付保し、自然災害による損害軽減をはかるとともに、事業継続計画(BCP)の定期的な見直し、定期的な設備点検、従業員の衛生管理等予防措置を行っております。

(15)気候変動

世界の二酸化炭素の排出量の増加による地球温暖化は、大型台風や集中豪雨等の自然災害の激甚化・増加、平均気温の上昇による猛暑等をもたらすなど、経済社会環境へ様々な影響があります。また、これらの抑制のための社会的要求や、環境規制等に伴う製品・設備・職場環境等の低炭素、脱炭素への移行は、当社の製品の研究・開発、生産など、経営全般に亘って当社グループに影響をもたらします。これらは、当社グループのみならず、当社グループのサプライチェーンへの影響を通じて、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。

 

(16)情報セキュリティ

当社グループは、事業活動を通じて得意先情報や個人情報等の機密情報を保有しております。これらの情報について、外部からのサイバー攻撃等により機密情報が漏洩した場合、社会的信用の低下や損害賠償の発生等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、情報システム運用に関する厳格な管理体制を構築し、情報の取扱い等に関する規程類の整備・充実やeラーニング等による教育等、従業員への意識向上に取り組んでおります。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、株主各位に対する利益還元を最重要政策としており、そのため長期にわたる安定的な経営基盤と内部留保の充実をはかりつつ、成果の配分を行うことを配当政策の基本としております。

内部留保金につきましては、財務体質の強化、新製品・新技術の開発、生産設備の改善・増強など将来の事業展開に備えるための資金に充てることとしております。

当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。

これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

当事業年度の剰余金の配当につきましては、期末配当金は当期の業績、今後の事業環境及び財務体質等を勘案し、1株につき80円と決定し、昨年12月に1株につき30円で実施した中間配当を加えた年間配当は1株につき110円となり、前期に比べ30円増配となりました。

当社は、「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。

なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額
(百万円)

1株当たり配当額
(円)

2023年10月31日

取締役会決議

230

30

2024年6月27日

614

80

定時株主総会決議