リスク
3【事業等のリスク】
当社グループの事業を取り巻くさまざまなリスクに的確に対応するため、各担当部署または各委員会において、規則・ガイドラインの制定、研修の実施、マニュアルの作成等を行い、組織横断的リスク状況の監視及び全社的対応は総務部が行い、リスク対応に向けた体制の構築を行っております。新たに生じたリスクについては、取締役会においてすみやかに対応責任者となる取締役を定めております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性のあると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、本項において将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業界景気変動リスク
当社グループは、プロセス機器事業(半導体製造装置・液晶製造装置)及び表面処理用機器事業を主体に事業展開しております。この業界につきましては、循環的な市況変動が大きい市場であります。特に半導体製造装置・液晶製造装置は、需要動向に大きな影響を受け、技術革新が速くユーザーニーズが複雑・多様にわたるため、市況及びそれに連動した価格変動があった場合や極端な競合状況に陥った場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
半導体の需要については、短期的には、需要と供給のバランスにより半導体の市場規模は一時的に縮小することもありますが、中長期的には、電気自動車向けや家電製品、電気器具に安定した電源を供給するインバータ等のパワー半導体の需要拡大に伴い、市場規模は拡大するものと考えられます。外部環境の変化については、定期的にユーザー情報を取得しております。また、必要に応じ外部調査機関を通じ市場動向を把握し、迅速に対応できるように努めております。
(2) 研究開発リスク
当社グループは、技術革新の激しい半導体・液晶業界において競争力を維持するため、ユーザーニーズを的確に捉えた製品の研究開発に努めております。しかし、技術革新やユーザーニーズの変化を予測することは容易ではなく、研究開発において経営資源を投入したにもかかわらず、予期せぬ理由で十分な成果が得られない場合があり、その結果、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
研究開発については、充分な検討を行って計画しておりますが、需要や開発時期など当初の計画との乖離が生じた場合、開発の見直しを行っております。
(3) 為替変動リスク
当社グループは、今後もマーケット拡大が期待されるアジア、北米地域における事業拡大を図っており、アジア地域に生産・販売拠点を、北米地域に販売拠点を有しております。為替変動の影響を回避するために、主に円建て取引を行っています。予想を超えた為替相場の変動により、海外ユーザーの設備予算に影響が生じ、結果的に受注価格等に大幅な変動が生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(4) 調達リスク
当社グループは、材料は材料メーカーや商社等から、また、半製品は外注先から調達しておりますが、その特殊性から、仕入先・外注先や品目の切替えが容易に出来ないものも含まれております。
日頃から複数の調達先を確保すること等により安定的な調達に努めておりますが、市場変動等何らかの事由により材料や半製品の供給が不足し、調達コストの上昇や納期遅延等の支障が生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(5) 知的財産リスク
当社グループは、事業活動を展開する上で多数の知的財産権を保有しているとともにライセンスを供与しております。また、必要または有効と認められる場合には、第三者の知的財産権を使用するために相手方からライセンスを取得します。それらの権利保護、維持または取得が予定通り行われなかった場合には、知的財産を巡る紛争・訴訟において当社グループが当事者となる可能性があります。その結果、費用負担等が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社は、知的財産権管理の担当部署により、特許等の維持管理を行うために、事業部と連携して調査や知的財産権の侵害の防止に努めております。
(6) 品質リスク
当社グループの製品は先端分野で使用されるため、新規開発技術も多く存在し、予期せぬ欠陥や不具合の発生により、多額の費用負担発生、損害賠償請求、顧客の信用喪失による売上減少等を招いた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループは、品質管理体制の構築により製品・サービスの品質向上や教育訓練に努めております。また、製造物賠償については保険に加入しております。
(7) 自然災害・事故リスク
当社グループは、国内外に生産拠点を置いていますが、主要工場は岡山県井原市に集中しております。地震等の自然災害や火災・爆発等の不慮の事故が発生した場合には、生産活動の停止に伴う出荷の遅延、さらには修復・生産工場等の代替に伴う費用負担が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社は、事業の中断を最小限に抑えるため、事業継続計画を策定しております。
(8) 情報漏洩リスク
当社グループは、事業活動に関連してさまざまな機密情報や個人情報を保有しております。社内規程の整備や管理強化によって、情報漏洩の防止に努めておりますが、不正なアクセスやサイバー攻撃等の予期せぬ事態によって情報漏洩が発生した場合、多額の費用負担や企業イメージの悪化により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
社内情報など、重要な情報の取り扱いについては、内部情報管理規程や個人情報管理規程を制定し適切に情報の管理をしております。また、定期的に総務部電算システム課により最新のセキュリティや機密情報の取扱教育が行われ、各個人の情報取扱いが強化される体制になっております。
(9)法的リスク
当社グループは、事業活動を展開する世界各国において、事業・投資の許認可、輸出入制限での政府規制の適用を受けております。これらの規制に重大な変更があり、その内容を把握していなかった場合、また、これらの法規制を遵守できない場合、社会的信用の低下、損害賠償の発生による費用負担等により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
法令や規制については、事案発生時に外部専門家に相談できる体制にしております。
(10)海外での事業活動リスク
当社グループは、アジア地域において生産および販売活動、北米地域において販売活動を行っております。しかし、海外の事業活動には、通常、政治状況の急変、予期しない法律や規制の変更、産業基盤の脆弱性、人材の確保困難、テロ・戦争、自然災害等のリスクが存在します。こうしたリスクが顕在化した場合、海外での事業活動に支障が生じ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、海外のグループ会社と情報交換を行い、リスクの早期把握に努めております。
(11)検収売上時期の変動に関する影響
当社グループの主力事業である半導体製造装置、表面処理用機器に関しては、受注生産によっており、納品から顧客による動作・品質の確認が終了(検収)し売上計上するまでの期間は、案件によっては1年を超えるものがある等、比較的長期間に亘ります。このため、顧客の事情等、何らかの理由で受注、納品から顧客の検収までの期間が当初予定よりも長くなる場合があります。とりわけ、大型案件の場合には当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
契約に基づき顧客と営業が情報共有して、工程に遅延が発生しないよう注視する体制にしております。
(12) 仕様変更に伴う追加コストのリスク
当社グループの主力事業である半導体製造装置、表面処理用機器に関しては、受注生産によっており、新規開発要素が多く含まれるため、当初の見積以上に作業工数が発生する場合や取引先との条件・仕様変更に伴う追加コスト等を取引先に請求できない場合には当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
上記の内容にならないように、営業は技術者を同行させるなどして、早期に仕様の確定をさせる体制にしております。
(13) 減損損失のリスク
当社グループの固定資産の時価が著しく低下した場合や収益性が悪化した場合には、固定資産減損会計の適用により固定資産について減損損失が発生し、当社グループの財政状態及び業績に重大な影響を与える可能性があります。
当社では、事業計画や予実管理を通して、業績の推移のモニタリングを行っており、早期に減損の兆候の把握に努めております。
(14) 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産に対して、将来の課税所得の予測等に照らし、定期的に回収可能性の評価を行っております。しかし、経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達等により課税所得の見積りの変更が必要となった場合や、税率の変動を伴う税制の変更等があった場合には、繰延税金資産が減額され、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
(15) 企業買収リスク
当社グループは、事業戦略の一環として、新規事業領域への進出・ビジネス基盤の獲得・既存事業の競争力強化等を目的として入念なデューデリジェンスを行ったうえでの企業買収を行う可能性があります。しかし、買収後に当初期待した成果を上げられない、あるいは事業環境等の変化により想定したシナジー効果が得られなかった場合等には、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
(16) 配当政策のリスク
当社グループは、今後の業績・財務状況を勘案しつつ配当による株主への利益還元に努める方針としております。今後につきましても会社業績の動向に応じて株主への利益還元に取り組む方針でありますが、当社の事業が計画通りに進展しない場合や、業績が悪化した場合には配当を行わない、或いは公表している配当の予定額を減ずる可能性があります。
(17) 人材の採用及び育成のリスク
当社グループは、事業の拡大のために優秀な人材の採用・育成が重要であると認識しております。しかし、日本国内では、少子高齢化により労働人口が減少すると見込まれています。特に当社のある岡山県などの地方では高齢化が急速に進んでおり、事業拡大に応じた人材の確保又は社内での育成ができなかった場合、計画通りに当社の事業拡大ができなくなり、財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
このような状況の中、総務部内の総務人事課が募集地域を拡大して、性別や国籍に関係なく多様な人材を採用できるような体制にしております。
また、当社では今後15年ほどの間に、60歳以上になる社員が毎年平均で10数名おり、若手社員の教育と同時に、シニア層の持つ技術や経験を活用及び伝承していく体制の整備が急務だと認識し、人財開発プロジェクトにて社内研修や人事制度の充実を図っていきます。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営上の重要課題のひとつと認識し、今後の事業展開と経営体質の強化に必要な内部留保を確保しつつ、安定配当の維持を基本として経営環境や収益の状況などを総合的に勘案して利益還元を行うことを基本としております。
当社は、期末配当金として年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、その期末配当金の決定機関は株主総会であります。
内部留保資金につきましては、研究開発や財務体質の強化に充当しながら、業績、今後の事業計画、配当性向などを総合的に勘案し、安定的な配当を継続実施することを基本として、配当性向20%の実現を目指してまいります。
当事業年度の期末配当につきましては、当初の計画数値に対し売上高は未達であったものの、利益面は計画数値を達成することができたため、直近の配当予想(1株当たり21円)から3円増配し、1株当たり24円の配当とさせていただきました。
なお、当社は、取締役会の決議により中間配当を実施することができる旨を定款に定めております。
当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (千円) |
1株当たり配当額 (円) |
2024年3月27日 |
356,036 |
24 |
定時株主総会決議 |