2023年12月期有価証券報告書より
  • 社員数
    598名(単体) 915名(連結)
  • 平均年齢
    40.8歳(単体)
  • 平均勤続年数
    15.4年(単体)
  • 平均年収
    6,652,000円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2023年12月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

建設関連製品事業

817

(265)

自動車関連製品事業

10

(1)

その他の事業

88

(18)

合計

915

(284)

(注)1 従業員数は就業人員であります。

2 従業員数の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。

3 従業員数が前連結会計年度末と比べて211名減少しておりますが、その主な理由は、自動車関連製品事業においてウォーター・グレムリン・ホールディングス, Inc.、ウォーター・グレムリン・カンパニー及びウォーター・グレムリン・アクイラ・カンパニーS.p.A.を連結の範囲より除外したことによるものであります。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2023年12月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

598

(64)

40.8

15.4

6,652

(注)1 従業員数は就業人員であります。

2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3 従業員数の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。

 

2023年12月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

建設関連製品事業

585

(61)

自動車関連製品事業

(-)

その他の事業

13

(3)

合計

598

(64)

(注)1 従業員数は就業人員であります。

2 従業員数の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。

 

(3)労働組合の状況

当社グループにおいては、JAMに属している労働組合があります。

なお、当社グループにおいて労使関係は良好であります。

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

当事業年度

会社名

管理職に占める女性労働者の割合(%)(注1)

男性労働者の育児休業取得率

(%)(注2)

労働者の男女の賃金の差異(注1)

全労働者(%)

うち正規雇用労働者(%)

うち非正規雇用労働者(%)

岡部株式会社

4.7

33.3

71.4

74.2

61.6

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組み】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ共通

当社グループは、「安全・安心の提供を通じて社会に貢献する」という経営理念のもと、「人とのつながりと価値を創造するグローバルメーカー」を目指し、持続可能な社会の実現に貢献することをサステナビリティ基本方針として定めております。

サステナビリティ基本方針のもと、各種関連方針により、マテリアリティ(重要課題)への取組みを持続的に行い、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

① ガバナンス

当社では、サステナビリティに知見のある社外取締役を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会は、当社グループにおけるサステナビリティ経営の実施状況の管理・監督を目的として設置しており、取締役会の諮問機関として、当社グループの中長期経営戦略の基盤となるサステナビリティ経営に関する次の事項について審議しております。

[サステナビリティ委員会審議事項]

a.サステナビリティ基本方針及びコミットメントが、中長期経営戦略及び成長シナリオに組み込まれており、持続的な成長に貢献しうるかの確認及びその実施状況の審議

b.サステナビリティに係るマテリアリティが、外部環境認識や中長期経営戦略に整合、連動しているかの審議

c.SDGs及びESGに関する定量的な目標設定及びその水準が、中長期経営戦略と整合しており、持続的な成長に貢献しうるかの確認及びその実施状況の審議

d.サステビリティを脅かすリスク認識の妥当性及びリスクマネジメントの状況の審議

サステナビリティ委員会は、定期的に取締役会に活動内容を報告しており、取締役会で適切に監督される体制を整えております。

また、代表取締役社長執行役員を委員長とし、経営層が中心となり構成されるリスクマネジメント委員会を設置しており、気候関連のリスクを含め、当社グループのリスクマネジメントの全体方針及び計画の策定、リスクマネジメントの推進を実施しております。リスクマネジメント委員会では、気候関連リスクを含めた事業リスクを定性的に評価した上で、定量的な評価も織り込み、リスクを評価しております。その評価結果をもとに重要リスクを選定し、半期ごとに状況報告を実施すると共に、全社的な視点から必要な戦略の決定、施策の指示等を実施しております。リスクのマテリアリティに関する事項は、サステナビリティ委員会と連携して対処しております。

リスクマネジメント委員会は、定期的に取締役会に活動内容を報告しており、取締役会で適切に監督される体制を整えております。

取締役会は、事業戦略の策定・経営判断に際して、気候変動に関する問題を重要な要素の一つとして考慮し、総合的に審議・決定しております。取締役会は毎月1回以上開催され、取締役の業務執行を監督しております。取締役会には、サステナビリティ分野に精通した取締役2名を選任しております。2名の内1名は、気候関連問題をはじめとした、当社グループの企業価値を高めるサステナビリティ戦略の策定、中長期的な企業価値向上の観点から当社グループの事業戦略や計画に対して、客観的な立場から助言や監督が行える社外取締役としております。

なお、当社は、取締役に対する業績連動報酬制度において、「総CO2換算排出量」を業績評価指標の一つに採用しております。詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等(4)役員の報酬等」をご参照ください。

 

 

 

 

② 戦略

当社グループは、「okabe コーポレートビジョン 2040」の実現に向け、向こう3年間を新たな収益基盤の確立に向けた“Transformation”期間として位置づけ、その具体化のため、新たに中期経営計画「OX-2026(okabe Transformation 2026)」を策定いたしました。詳細につきましては、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

「okabe コーポレートビジョン 2040」実現に向けて、マテリアリティ(重要課題)を特定しております。特定にあたっては、「人々そして社会の安全・安心」の実現が当社の使命であることを再認識し、全体の活動テーマとして掲げ、取組みを推進しております。

 

[マテリアリティ(重要課題)]

分類

活動テーマ

マテリアリティ

貢献するSDGs

社会

安全・安心で持続可能な

社会づくり

①地震、豪雨等の災害の甚大化

 

 

 

 

 

②建設事業の環境変化

③人口減、高齢化社会

④人とのつながり・人的資本経営

環境

地球環境への配慮と

資源の保全

⑤気候変動、地球温暖化

 

 

 

⑥環境保全、脱炭素、資源循環の実現

⑦海洋資源の維持

ガバナンス

経営の健全性・

透明性の向上

⑧ガバナンスの強化

 

 

③ リスク管理

上記のマテリアリティ(重要課題)の特定にあたっては、各ガイドライン等を参考に社会課題を抽出し、社会の影響度と事業における重要度の二次元で課題を整理した上で、サステナビリティ委員会で審議し、取締役会での承認を経てマテリアリティとして設定しております。特定したマテリアリティには定量目標を定め、サステナビリティ委員会で進捗状況をモニタリングしております。

全社的な視点でのリスクマネジメントにつきましては、リスクマネジメント委員会を設置し、半期ごとに状況報告を実施すると共に、全社的な視点から必要な戦略の決定、施策の指示等を実施しております。

経営目標の達成や企業の継続性に大きな影響を与えるリスクを的確に認識し、適切な対応を図るために、リスクマネジメント体制を整備しております。リスク評価では、「影響度」及び「発生頻度」から気候関連リスクを含めた事業リスクを定性的に評価した上で、定量的な評価も織り込み、リスクの重要度を評価し、管理しております。特に、新たな戦略や取組みに伴い発生するリスクなどの内部要因によるリスクのほか、大規模自然災害や気候変動などの外部要因によるリスクを、重要リスクと位置づけ、リスク低減に向けた取組みを進めております。

サステナビリティに関するリスクについては、サステナビリティ委員会及びリスクマネジメント委員会の連携により、リスクの特定及びモニタリングを行い、取締役会に適宜報告しております。詳細につきましては、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」をご参照ください。

 

④ 指標と目標

各マテリアリティに対するKPIや実績、目標は以下のとおりであります。詳細につきましては、財務・非財務データ集として当社ウェブサイトのサステナビリティページ(https://www.okabe.co.jp/sustainability/)に掲載しております。

マテリアリティ

主なKPI

単位

2023年度実績

2026年度目標

①地震、豪雨等の災害の甚大化

②建設事業の環境変化

③人口減、高齢化社会

耐震・免振等に貢献する製品

(構造機材製品)の売上高

百万円

11,555

12,400

法面補強等に貢献する製品

(土木製品)の売上高

百万円

3,390

3,600

新製品発売数

9

年間10

④人とのつながり・人的資本経営

共同研究する大学(学識者)の数

契約関係 5

協力関係 6

10

女性管理職比率

4.7

10.0

育児休暇取得従業員比率

41.7

100.0

障がいのある従業員数

11

16

IT関連保有資格数

95

600

社会・地域貢献活動への投資額

百万円

26

26

⑤気候変動、地球温暖化

⑥環境保全、脱炭素、資源循環の実現

⑦海洋資源の維持

CO2排出量(Scope1+2)合計

t-CO2e

8,180

前年比

△9.5%以上

CO2排出量(Scope3)合計

t-CO2e

362,899

前年比

△4.0%以上

CO2吸収固定に貢献する海藻種苗の出荷数

185

2,000

総廃棄物リサイクル量

トン

2,749

3,396

(前年比+5%)

使用済みPコンのリサイクル数量

万個

97

300

⑧ガバナンスの強化

社外取締役比率

41.7

1/3以上

女性取締役比率

8.3

16.7

監査等委員会の社外取締役比率

75.0

過半数以上

※ 2023年のScope1+2、Scope3排出量は速報値となります。確定排出量は、「OKABE INTEGRATED REPORT(統合報告書)2024」にて開示予定です。

 

(2)気候変動への対応(TCFD提言に基づく情報開示)

当社グループは、「これまでも、そしてこれからも 建設を支える耐震建材メーカーとして培った「創造力」×「つなぐ力」×「人の力」で世界中の人々の生活に安全・安心を提供するグローバル・ソリューションプロバイダー」という「okabe コーポレートビジョン 2040」のもと、「気候変動、地球温暖化」及び「環境保全、脱炭素、資源循環の実現」をマテリアリティの一つとして特定しております。将来的には、GHG排出量の削減に加え、建設現場ゼロエミッションへの貢献、海洋事業におけるCO2吸収量の増加など、環境負荷低減への取組みを積極的に進め、カーボンニュートラル企業を目指してまいります。

当社グループは、2021年12月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明し、2022年度より同提言に沿った情報を開示しております。詳細につきましては、当社ウェブサイトをご参照ください。

 

①ガバナンス

「(1)サステナビリティ共通 ①ガバナンス」をご参照ください。

 

②戦略

イ リスク・機会の特定

当社グループの事業に影響を及ぼす気候関連リスク・機会の特定にあたり、事業における移行リスク/機会、物理的リスク/機会を抽出し、それらの財務への影響を大~軽微の3段階で評価しました。影響度が中以上となったリスク及び機会は以下のとおりです。

 

リスク/

機会

領域

要因

事業影響

財務への影響度

移行

リスク

規制

炭素価格導入、GHG排出規制強化

炭素価格上昇による原材料価格・上流コスト上昇分の転嫁によるコスト増加

自社ビル、工場などの操業における炭素価格上昇によるコスト増加

規制

省エネ法規制の強化

再エネ調達コストの増加

設備更新・投資などの対応コストの増加

市場

化石資源の価格の変化

エネルギー価格・原材料価格上昇による鋼材価格の上昇

物流コストの変化

燃料価格上昇による輸送・保管コストの増加

中~大

輸送サービスの脱炭素化に伴う価格上昇による物流コストの増加

技術

代替品の出現

新たな低炭素製品が出現し自社製品の需要が減少

移行・

機会

市場

ZEB建築・ネットゼロカーボン建築需要の高まり

事業機会の拡大・省力化工法/製品・木造関連製品の販売機会の拡大

規制

GHG排出規制の強化

脱炭素・低炭素製品の需要の増加

炭素価格導入

海洋関連製品の販売機会の拡大

物理的

リスク

慢性

気温上昇

生産工程における作業効率低下及び対策コストの増加

中~大

急性

極端気象の増加

自社拠点の被災による操業停止、設備の修復コストの増加による収益減少

サプライチェーンの分断

物理的・

機会

慢性

国土強靭化政策の強化

災害激甚化に備えた設備・インフラの強靭化需要増加/土木工事(法面補強)の需要増加

気温上昇

省力化に寄与する工法/製品の販売機会の拡大

急性

降雨パターンの変化

土木工事(法面補強)の需要拡大

極端気象の増加

土砂災害の防止に使用される製品等の販売の増加

災害危険エリアからの移転

海抜の低い地域からの移転需要の発生

(注)影響度 大;1億円以上,中;1,000万円以上1億円未満,軽微(小);1,000万円未満

 

 

ロ シナリオ分析のテーマ設定

抽出・整理した気候関連リスク及び機会について、事業への影響度、事業戦略との関連性、ステークホルダーの関心度等を勘案し、当社グループとして重要度が高いと評価した次のテーマについてシナリオ分析を実施しました。

 

リスク/機会

分析テーマ

移行リスク

自社に係る炭素価格の変化による影響

物理的リスク

気候変動に伴う気象災害の増加が事業拠点に与える影響について、優先的に調査すべき拠点のスクリーニング

機会

気候変動に伴う災害対策工事の増加が事業拠点に与える影響

 

ハ シナリオ分析結果

a.移行リスク: 自社に係る炭素価格の変化による影響

分析内容

炭素価格の変化による将来的な操業コストへの影響を予測するため、当社グループのGHG排出量(Scope1、Scope2)の将来の変化について2℃未満のシナリオを含む複数シナリオで予測し、シナリオ別に想定される炭素価格が導入された場合の財務影響を分析しました。

本社及び連結子会社を集計対象としております。(2021年10月に連結子会社化された米国OCM Manufacturing LLCを除く)

分析の

前提条件

分析にあたり2030年、2050年における当社グループの活動量(GHG排出量、再生可能エネルギー調達量)は事業計画をもとに設定しました。GHG排出量1トン当たりに対して、先進国において2030年では18,340円、2050年では32,750円、ネットゼロ宣言(CO2などの温室効果ガスの排出量を将来的にゼロとする宣言)をしている新興市場・途上国において2030年では11,790円、2050年では26,200円の炭素価格が課されると仮定し、その影響を試算しました。また、当社グループの事業戦略の強靭性を評価するため、GHG排出量・使用エネルギーの削減に取り組まなかった場合に対して、再生可能エネルギーの調達による削減に取り組むことでどれだけ財務影響を抑えることが可能かについても検証しました。

なお、炭素価格や電力の排出係数はIEAによるWorld Energy Outlook 2022(Net Zero Emissions by 2050 Scenario、Stated Policies Scenario)を参考にしました。

分析において参照した外部情報:

※IEA:International Energy Agency

WEO: World Energy Outlook

NZE: Net Zero Emissions by 2050 Scenario

STEPS: Stated Policies Scenario

分析結果

炭素価格が導入された場合の、操業コストへの財務影響を試算しました。

2030年時点では、当社グループのGHG排出量が削減されなかった場合、2.6℃シナリオに比べて、1.5℃シナリオの方が財務的な影響額が約1,200万円低いことがわかりました。また、再生可能エネルギーの活用等を通したGHG排出量の削減に取り組むことによって、約1,200万円抑えることができるため、その影響の程度は限定的となると考えられます。

2050年時点では、当社グループのGHG排出量が削減されなかった場合、2.6℃シナリオに比べて、1.5℃シナリオの方が財務的な影響額が約3,300万円大きいことがわかりました。

 

※1.5℃シナリオにおいては、2050年時点で当社事業拠点の地域で調達する電力の排出係数が0(以下)になると想定し、再生可能エネルギー導入によるGHG排出量削減効果は得られないと想定している。

対応戦略

当社グループは、GHG排出量に関する目標を「2030年までにGHG排出量(Scope1、2マーケットベース排出量)を指標とし、2022年比で50%削減する」と定め、再生可能エネルギーの導入促進等の排出削減策を積極的に進めております。1.5℃シナリオにおいて、再生可能エネルギーの導入に係るコストは導入によって削減されるGHG排出量に係る炭素価格よりも小さくなると想定しており、2030年において計画通り再生可能エネルギーが導入された場合は、導入しなかった場合に比べて財務的影響が小さくなると考えられます。

 

b.物理的リスク:気候変動に伴う気象災害の増加が事業拠点に与える影響について、優先的に調査すべき拠点のスクリーニング

分析内容

気候変動に伴う気象災害の増加が当社グループの事業に与える影響を予測するため、当社グループの国内外10拠点(国内:7拠点、海外:3拠点)について、影響の可能性を評価し、物理的リスクの影響について優先的に調査すべき拠点のスクリーニングを行いました。

分析の

前提条件

分析では、公開資料や外部専門家からの提供資料等に基づき、RCP2.6(又はSSP1-2.6)及びRCP8.5(又はSSP5-8.5)の気候変動シナリオ下における、河川氾濫、高潮による浸水ハザード、及び渇水ハザード、熱波ハザードについて、現在から21世紀半ばまでのグレードの変化を評価しました。

分析結果

国内拠点では、洪水リスクについては、リスクに留意すべき(グレードB以上)と評価された拠点が現在で4拠点あり、うち1拠点がハザード大(グレードA)と評価され、21世紀半ばまでの気候変動による変化は見られませんでした。高潮リスク・渇水リスクについては、リスクに留意すべき(グレードB以上)と評価された拠点はありませんでした。熱波リスクについては、SSP5-8.5下の21世紀半ばにおいて1拠点がグレードBと評価され、他の拠点についてもSSP5-8.5下でリスク増加の傾向が見られました。

海外拠点では、洪水リスクについては、リスクに留意すべき(グレードB以上)と評価された拠点はなく、気候変動による将来変化は見られませんでした。高潮リスクについては、全拠点が高潮による浸水ハザードは極めて低いと考えられる(グレードE)と評価され、気候変動による将来変化は見られませんでした。渇水リスクについては、2015年時点で3拠点中1拠点がリスクに留意すべき(グレードB以上)と評価されましたが、ハザード大(グレードA)と評価された拠点はありませんでした。熱波リスクについては、リスクに留意すべき(グレードB以上)と評価された拠点はありませんでしたが、全拠点に気候変動によるリスク増加の傾向が見られました。

 

[物理的リスク評価結果(対象:国内外10拠点)]

グレードB以上:リスクに留意する必要があり、より詳細なリスク評価の実施が望まれる

 

対応戦略

今回のシナリオ分析において浸水リスクに留意すべきと評価された当社グループの拠点については、リスク評価の実施を検討し、その結果に応じて浸水対策やBCPの策定を進めていきます。

 

 

c.機会: 気候変動に伴う災害対策工事の増加が事業活動に与える影響

分析内容

気候変動に伴う災害対策工事の増加が当社グループの事業活動に与える影響を予測するため、2℃のシナリオにおける土砂災害の増加の予測をもとに、将来の土砂災害防止工事の増加による製品需要の変化を分析しました。

分析の

前提条件

分析においては、まず初めに、日本全国の土砂災害リスクグレード(段階評価)※1を基に、表層崩壊※2の発生リスクが高いエリアを抽出しました。

次に、表層崩壊の主な誘因である降雨を対象に、現在気候、2℃シナリオにおける降雨指標(豪雨度※3 )の変化を分析しました。この分析には、「地球温暖化に資するアンサンブル気候予測データベース(d4PDF)※4」を用いました。これにより算出された気候変動シナリオ下での土砂災害発生頻度の地域別の予測を用いて、現在気候下での将来の土砂災害防止工事は一定と仮定したうえで、2℃シナリオにおける土砂災害防止工事の増加に伴うフリーフレーム、ロックボルトの出荷量の変化を分析しました。

※1 東京海上ディーアール㈱

  https://www.tokio-dr.jp/news/2023/20230601/pdf/pdf-20230601-01.pdf

※2 表層崩壊とは、厚さ0.5~2.0m程度の表層土が滑落する比較的規模の小さな崩壊を指します。表層崩壊に対しては、ロックボルト、フリーフレームによる緊急対策工事が有効です。

※3 林拙郎・山田孝 (2017).土砂災害を発生させた豪雨のファクターとスケールの設定法.自然災害科学J. JSNDS 36-3 307-320

※4 地球球温暖化対策に資するアンサンブル気候予測データベース

  https://www.miroc-gcm.jp/d4PDF/about.html

分析結果

●フリーフレームの出荷量の変化

2℃シナリオにおいて、2050年時点では2022年と比較してフリーフレームの出荷量が国内全体で15.4%増加することが予測されました。

●ロックボルトの出荷量の変化

2℃シナリオにおいて、2050年時点では2022年と比較してロックボルトの出荷量が国内全体で15.1%増加することが予測されました。

 

[物理的機会評価結果(2022年と比較した地域別の増加率)]

 

対応戦略

当社の災害対策工事関連製品の売上増加の機会と捉え、売上の推移を注視しながら、製品供給体制の拡充を適宜図っていきます。

 

 

 

③リスク管理

「(1)サステナビリティ共通 ①リスク管理」をご参照ください。

 

④指標と目標

GHG排出量に関する目標を、下記のとおり定めております。

・Scope1+2※1               2030年 ▲50%(2022年比)

・Scope3(カテゴリ1+4)※1   2030年 ▲25%(2022年比)

この目標は「地球の気温上昇を産業革命前と比べて1.5℃に抑える」というパリ協定が定める温室効果ガス排出削減目標と科学的に整合した目標であるとして、国際的なイニシアチブである「SBTi(Science Based Targets Initiative)」より認定を取得いたしました。

 

GHG排出量の実績は以下のとおりです。今後、目標の達成に向けて、再生可能エネルギーの活用等を通したGHG排出量削減への取組みを着実に進めてまいります。

指標

 

2022年実績<基準>

t-CO2e

2023年実績

t-CO2e

2030年目標

Scope1+2

WGC・WGA※2

11,030

50%削減

上記以外

8,075

8,180※4・6

合計

19,105※3

8,180※4・6

Scope3

(カテゴリ1+4)

WGC・WGA※2

21,228

25%削減

上記以外

408,655※5

362,899※4・6

合計

429,883※5

362,899※4・6

※1 Scope1:自らの燃料の燃焼や工業プロセスに伴う直接排出、Scope2:他社から供給された電気・熱・蒸気などのエネルギー使用に伴う間接排出、Scope3:Scope1・2以外の間接排出、カテゴリ1:購入した製品・サービス、カテゴリ4:輸送・配送(上流)

※2 WGCはウォーター・グレムリン・カンパニー、WGAはウォーター・グレムリン・アクイラ・カンパニーS.p.A.を指しております。

※3 2022年のScope1+2排出量は、OCM Manufacturing LLCのガス購入量の算定間違いにより、GHG排出量が3,561 t-CO2eから1,578 t-CO2eに変更となり、総排出量を20,204 t-CO2eから19,105 t-CO2eに修正しております。

※4 2023年のScope1+2、Scope3排出量は、ウォーター・グレムリン・カンパニー及びウォーター・グレムリン・アクイラ・カンパニーS.p.A.が連結対象外となったためGHG排出量を除外しております。また、新たにPT. Okabe Hardware Indonesiaが連結対象となったためGHG排出量を加算しております。

※5 2022年のScope3排出量は、購入量の算定間違いにより、排出量を修正しております。

※6 2023年のScope1+2、Scope3排出量は速報値となります。確定排出量は、「OKABE INTEGRATED REPORT(統合報告書)2024」にて開示予定です。

 

(3)人的資本

①ガバナンス

「(1)サステナビリティ共通 ①ガバナンス」をご参照ください。

 

②戦略

成長戦略を加速させ、持続的な企業価値向上を実現するためには、「人財」こそが最大の財産と捉えております。

 

[人財育成方針]

岡部グループは、国籍、性別、年齢等を問わず、社員一人ひとりがチャレンジ精神を持ち自律した人財として活躍するために、能力開発に必要とされる機会を提供し、さらなる成長機会を創造してまいります。

 

[社内環境整備方針]

岡部グループは、社員一人ひとりが互いを尊重し、多様な考え方を認め合いながら、いきいきと心身ともに健康で働ける職場環境や風土の整備に取り組んでまいります。

 

2022年度には「岡部グループ 人財方針」を定め、取組みの方針を明確にいたしました。また、「人とのつながり・人的資本経営」をマテリアリティの一つに特定しており、取組みを推進しております。

※岡部グループ人財方針は、当社ウェブサイト(https://www.okabe.co.jp/sustainability/policy/)をご参照ください。

 

[社是(人財関連)]

・人材の育成に努力し、企業の永遠の発展を期すること

・社員にとってその一生を託して、悔いることのない職場たること

 

[主な取組み]

取組み

概要

多様な人材の確保・

働きがいのある職場環境の整備

当社は、従業員一人ひとりが個々の能力を最大限に発揮し、ワクワクする組織風土の醸成を目指しております。婚姻・育児・介護等のライフステージに合わせた柔軟な働き方ができるよう、短時間勤務制度や育児・介護休業制度の充実、不妊治療のための特別休暇制度(こうのとり休暇)を導入しております。また、完全週休二日制やテレワーク制度の導入等により、長時間労働を抑制し、働きがいのある職場環境を整備し、多様な人財の確保に努めております。

ワクワク推進表彰制度

2017年の創業100周年を機に、当社のワクワク感を高めるという目的で導入した社内表彰制度「ワクワク推進表彰」があります。会社の業績、業務改善、製品品質向上、社会貢献等の社内外における優れた取組みを表彰対象にしております。特に、サステナビリティや脱炭素に貢献する取組みについて奨励しております。ワクワク感が社内伝播することも期待している制度となります。

新規事業開発提案制度 OSIP(OKABE Star Incubation Program)

新規事業開発と開拓精神のある従業員育成を目的とした新規事業開発提案制度「OSIP」を実施しております。従業員は自ら考えた事業化アイデアを提案し、優れた提案には事業化までの調査・育成支援を行い、提案者自らが事業推進に参画することが可能です。

人財育成制度

新入社員研修、階層別研修、選抜型研修、製品や技術に関する専門研修、ダイバーシティ研修及びハラスメント研修など、対面研修やディスカッション形式の研修と合わせて、eラーニングを導入し、学びたいときに希望するコンテンツを学べる環境を整えております。また、各種資格取得奨励制度等を充実させております。

人権の尊重

岡部グループは、公正な競争を通じて利潤を追求すると同時に、広く社会にとって有用な存在となることを目指しております。

また、岡部グループは、「国際人権章典」及び国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」に規定された人権を尊重し、「ビジネスと人権に関する国連指導原則」に沿って事業活動を行うと共に、「岡部グループ人権方針」を定め、グループ全体で人権尊重の責任を果たしてまいります。

内部通報制度として国内外の

従業員が通報できる体制の整備

人権尊重の一環として、弁護士事務所通報窓口を設置しており、通報受信後の報告ルートとして、コンプライアンス委員会や社内業務執行役員を介さずに監査等委員会に直接報告するルートも整備し、通報案件に応じてより適切に対応できる体制としております。

風通しのよい社風・

コミュニケーション促進

2022年よりデジタルでのコミュニケーションプラットフォーム「Slack」を導入いたしました。情報共有を促進し「仕事を前に進める」ことにより、部門横断型コラボレーションの先にあるイノベーション促進・会社全体の知識基盤の構築と、岡部グループで働く全員のエンゲージメント向上につなげてまいります。

また、従業員と経営トップとの座談会の実施や、社長メッセージ・幹部会議の動画配信などを定期的に行っているほか、「さん」付け呼称の実施により、誰もが率直に意見を言い合える風通しの良い職場づくりに努めております。

従業員エンゲージメント診断・研修

2023年より組織診断アンケートに代わり、従業員エンゲージメント診断を実施しております。従業員にとって働きがいのある組織を構築し、グループ全体で組織改善に活用することを目的としております。

また、2024年からは全社向けエンゲージメント研修を実施しており、全従業員のエンゲージメントに関する理解を深め、エンゲージメントスコアの向上につなげてまいります。

健康経営の取組み

岡部グループは、従業員等の健康増進を重視し経営課題と捉え、従業員等の健康の維持・増進と会社の生産性向上を目指す、健康経営を推進しております。

社是である「社員にとってその一生を託して、悔いることのない職場たること」という想いに基づき、経営トップによる「健康経営宣言」の下、健康経営推進体制を整備し、従業員等の健康維持・増進のための各種施策を立案・実施しております。

これらの取組みの結果、2024年3月に経済産業省より「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」として認定されました。今後も、従業員一人ひとりが心身共にいきいきと働ける環境を構築してまいります。

 

③リスク管理

「(1)サステナビリティ共通 ③リスク管理」をご参照ください。

 

 

④指標と目標

各種施策

KPI

単位

2023年度実績

2026年度目標

女性活躍

女性従業員(総合職)の数

27

40

女性管理職の数

10

20

女性管理職比率

4.7

10.0

女性昇進比率

12.2

16.7

女性研究員の数

2

3

女性採用戦略の有無

なし

あり

インクルージョン

中途採用者比率

45.3

50.0

外国人従業員の数

0

5

障がいのある従業員の数

11

16

障がい者雇用比率

2.47

2.50

成長環境・

機会の提供

IT関連保有資格数

95

600

ワクワク推進表彰の推挙数

22

25

OSIPへの参加人数

26

135

総研修費用

百万円

46

55

エンゲージメント向上

従業員エンゲージメント指標

ポイント

63

73

従業員離職率

4.7

3%以下

育児休暇取得従業員比率

41.7

100.0

健康経営

従業員負傷者数

4

0

1人当たりの月平均残業時間

時間

13.5

10

1人当たりの年間取得有休日数

10.9

20

メンタルヘルス不調者数

7

0

高ストレス者数

(ストレスチェック結果)

86

0

健康経営優良法人

(大規模法人部門)の認定

健康経営優良法人の継続認定