2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。なお、以下に記載する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断した主要なものであり、将来を含めた当社の事業等のリスクはこれらに限定されるものではありません。

当社グループ(当社並びに連結子会社及び持分法適用会社、以下同様)の業績は、様々なリスク要因により甚大な影響を被る可能性があります。具体的には、当社代表取締役社長をはじめとする取締役並びに各部門の部門長で構成される「リスク管理委員会」を毎年度開催し、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上のための目標達成を阻害しうる特に重要なリスクを選定し、万一に備え発生防止あるいはその影響を最小限にとどめる体制を整備しております。

重要なリスク抽出後、重点対応が必要なリスクを選定、それに対する必要な施策を実行します。以後、リスク管理統括部門は、必要に応じ経営会議または取締役会に対し管理状況の進捗を報告し、リスクの網羅的な把握とその評価・分析及び対策について協議するとともに、リスク統制または顕在化の防止に努めております。また、内部監査室はリスク管理統括部門に対する定期的な内部監査を通じ、独立した立場でリスク管理が効果的に実践されていることを検証し、リスク管理向上のために必要な助言等を行っております。

以下、グループ経営上の重要なリスクとなる可能性がある要因のうち、特に当社グループが優先的に対策に取り組んでいる事項を記載いたします。

 

(1)原料、燃料等の調達について

当社グループは、天然資源である珪藻土・パーライトを原料とし、燃料その他各種原材料を用いて製品を製造しております。

これに対し、珪藻土・パーライト資源の枯渇あるいは原油価格の急激な高騰等により、良質かつ適正価格での原料や重油・LNG等の燃料を調達できず、当社グループの予測を大幅に超えて製造コストが上昇した場合等、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

当該リスクの顕在化につきましては、原料の短期的枯渇リスクは低いものの、燃料等については地政学リスクや為替変動等、価格高騰の可能性は常にあると認識しております。

当該リスクへの対応として、原料につきましては、国内をはじめ世界各地からの安定的かつ良質な原料調達を可能とするため、長期的な計画に基づいた取り組みを進めております。燃料につきましては、木質バイオマス資源を用いた熱エネルギー利用に関する技術開発プロジェクトで培ったノウハウを活用し、化石燃料に過度に依存しない生産体制の構築を目指す等、リスクの低減に努めております。

 

 

(2)特定製品への依存について

当社グループの業績は、濾過助剤分野の売上高が全体の60%以上を占めております。

これに対し濾過技術の革新等により、当社グループ製品の優位性が低下した場合等、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

当該リスクの顕在化につきましては、濾過技術向上による固液分離能力のさらなる高速化、清澄化、低コスト化、もしくはそれらに伴う濾過機の構造変更・メンテナンス能力の向上等、相応にあると認識しております。

当該リスクへの対応につきましては、濾過工程における濾過助剤使用時のコスト面や環境面等総合的な優位性を高めるとともに、濾過周辺商材のみならずそれ以外の分野の市場拡大を推進することでリスクの低減に努めております。

 

(3)天候の影響について

当社グループは、ビール事業、清涼飲料事業やプール事業等、夏季に需要が高まるお客様との取引があります。

これに対し、冷夏や台風等の自然災害、その他当社グループが予期し得ない事象が発生した結果、消費行動に大きな変化が生じ、お客様の生産活動が大幅に制約された場合等、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

当該リスクの顕在化につきましては、異常気象の常態化や自然災害の激甚化傾向等、その可能性は常にあると認識しております。

当該リスクへの対応につきましては、提供する商品・サービスの拡充を通じ事業分野の拡大を推進することでリスクの低減に努めております。

 

(4)製品の安全性について

当社グループでは、国及び国際機関の基準に則した安全・安心な製品を安定的に提供することを重要視しISO9001はもとよりハラール認証を取得する等、品質管理の徹底のため原材料・製品の検査体制の強化に取り組んでおります。

これに対し、当社の製造工程における品質上の欠陥、異物混入、設備または部品調達トラブル、物流トラブル、その他当社グループが予期し得ない風評被害等の重大な問題が発生した結果、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

当該リスクの顕在化につきましては、品質管理体制に万全を期しており、その可能性は低いと認識しております。

当該リスクへの対応につきましては、製造工程における各種品質試験や設備の定期点検の実施・重要管理項目の整理や見直し等、各工場で製造工程管理の徹底を行い厳格な体制を維持することでリスクの低減に努めております。また、適切な製品表示および情報提供等を通じ、お客様が安全・安心に製品を使用していただけるよう努めております。

 

(5)事業展開国でのカントリーリスクについて

当社グループは、中国に販売子会社及び製造拠点として合弁会社を設立し、世界数十か国に輸出しております。

これに対し、中国または輸出先国固有の政情不安、経済危機、税制改正、法規制強化、為替変動、関税報復措置、自然災害、各種感染症等のマイナス要件が発生した場合、当社グループの競争力低下や利益の圧迫、役職員の安全不安、政治的・軍事的・社会的圧力による営業困難または停止、事業撤退等により、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

当該リスクの顕在化につきましては、世界的な物価高や地政学リスクの長期化、通商問題の持続、自然災害の激甚化傾向等、相応にあると認識しております。

当該リスクへの対応につきましては、グループ内での情報収集や外部コンサルタントの活用を通じ有事の際の適切な対応に備えることでリスクの低減に努めております。

 

(6)事業投資リスクについて

当社グループは、既存事業の拡大や新たな事業展開を図るため、子会社の統廃合または合弁会社の設立、事業会社への出資等を行っております。

これに対し、市場の急激な変化による事業の陳腐化や大規模自然災害、各種感染症等の発生、その他当社グループが予期し得ない事象が発生したことにより投資先の大幅な業績不振、あるいは事業継続が不可能となる等の結果、当社グループの出資持分相応の資産価値が減少することにより、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

当該リスクの顕在化につきましては、国内並びにグローバルな事業環境の変化や金融資本市場の変動に加え、自然災害の激甚化傾向等、その可能性は常にあると認識しております。

当該リスクへの対応につきましては、外部専門機関によるデューデリジェンスや市場予測等の客観的調査をもとに、取締役会での十分な議論を経て投資判断を行うことでリスクの低減に努めております。

また、投資有価証券のうちその他有価証券(非上場株式等を除く)の額は1,839百万円であります。これに対し、時価が下落した結果、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

当該リスクへの対応につきましては、当社事業戦略や取引先との関係において、当社の事業活動または財務活動の強化に資するか否かを判断した上で保有しており、保有意義の乏しい銘柄につきましては、株価や市場動向を総合的に勘案し売却いたします。

 

(7)財務リスクについて

当社グループの当連結会計年度末における有利子負債総額(リース債務を除く)は3,213百万円であり、その支払利息は29百万円であります。

これに対し、金融資本市場の変動により、必要資金の調達不足、金利上昇に伴う支払利息が増加した結果、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

当該リスクの顕在化につきましては、国情により金融政策に差異が見られる場合がある等、常にあると認識しております。

当該リスクへの対応につきましては、有利子負債総額については、社内の債務償還年数基準を上回らないような運営を継続し投資計画をコントロールする他、引き続き資金調達方法の多様化を検討してまいります。

 

(8)法規制とソフトローのコンプライアンスについて

当社グループの事業活動は食品衛生法、製造物責任法、環境関連法規、労働関連法規等の様々な法規から規制を受けております。

これに対し、これら法規等の変更あるいは当社グループが予期し得ない法規等が導入され法令による処罰、訴訟の提起、社会的制裁を受け、法令遵守対応コストが増加し、あるいはお客様からの信頼を損ねブランド価値が毀損する等の結果、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

当該リスクの顕在化につきましては、安全・安心や環境問題に対する意識の高まり等が関連法規等に影響していることから、相応にあると認識しております。

当該リスクへの対応につきましては、役職員への企業倫理・コンプライアンス教育を定期に実践し、グループ全体の法令遵守意識の啓発に努めるとともに、持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を目標にした持続可能な開発目標(SDGs)に賛同し、事業活動を通じ社会・環境の持続的な発展に尽力する等、社会環境の変化にしっかりと対応することによって低減を図っております。なお、SDGsの主な取り組みは以下のとおりであり積極的に推進しております。

①製造ラインのプロセス改善による省エネルギー推進、木質バイオマスの活用、化石燃料使用量の削減などを通じたCO₂排出量の削減

②太陽光発電によるクリーンエネルギーの活用

③珪藻土、パーライト資源の本来特性の最大化と終掘後の新たな付加価値を産む土地活用

④採掘地の地層を活用した地域社会へ学術機会の提供

 

(9)大規模自然災害、感染症等について

当社グループは、国内及び中国、シンガポールに事業拠点を有しておりますが、近年、世界各地で大規模な地震、津波、台風、洪水等の災害、各種感染症等、発生頻度の上昇や被害の甚大化が懸念されます。このような災害等が発生した場合、製造設備等の損壊、電気・ガス・水道等公共サービス遮断による製造停止、在庫製品破損あるいは物流機能全般の停止等により、原料や各種資材の調達及び製品出荷停止、交通機関麻痺による役職員の通勤不能、システム障害による重要情報の損失、事業活動停止等が想定されますが、これら被害復旧に長期間を要する場合、あるいは多額の改修コストを要する場合等、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

当該リスクの顕在化につきましては、災害の激甚化傾向に加え、感染症の動向等その可能性は常にあると認識しております。

当該リスクへの対応につきましては、各拠点において事業継続計画(BCP)を策定しております。製造拠点においては、設備保護のための災害対策や労災事故防止のための器具の設置等を推進し、災害発生の場合でも復旧期間を最短化させるべく環境整備を進めております。非製造拠点では、状況に応じて在宅勤務を選択できるようIT環境の充実に努めております。さらに、役職員及びその家族に対し安否確認システムを導入し訓練を実施することで災害対応への意識向上を図る等、大規模災害による被害の最小化を図ることでリスクの低減に努めております。

 

 

(10)情報セキュリティについて

当社グループは、IT機器を活用し多種多様な情報を管理しております。

これに対し、ソフトウェアや機器の欠陥、通信インフラの故障、停電、サイバー攻撃等により、当社グループの基幹システムもしくはインターネットシステム全般が甚大な被害を受け正常に稼働しなくなった結果、事業活動の混乱、機密情報の喪失、個人情報の漏洩等による事業の中断、損害賠償請求やセキュリティ対策コストの増加等により、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

当該リスクの顕在化につきましては、サイバー攻撃が世界中で多発していること等から常にあると認識しております。

当該リスクへの対応につきましては、社内ネットワーク上で異常が検知された場合は、直ちに管理者に通知がなされる仕組みの導入、各種データの定期的なバックアップの実行、役職員が使用する各種端末へのセキュリティソフトの導入、セキュリティに関する社員教育等適切に対策することによってリスクの低減に努めております。

 

(11)物流問題について

当社グループは、物流業者のトラックや鉄道等で製品出荷をしておりますが、近年の運送事業に対する環境規制やドライバーの時間外労働上限規制等、物流業界を取り巻く経営環境は大きく変容しております。これに伴いトラック手配困難の頻発や運賃の大幅高騰等が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

当該リスクの顕在化につきましては、ドライバーの時間外労働時間が制限されることで一人当たりの走行距離が短くなることによる長距離輸送請負困難等、その可能性は相応にあると認識しております。

当該リスクへの対応につきましては、当社製品のパレット輸送出荷への転換を図ることで出荷時及び荷下ろし時のドライバーの作業負担の軽減及び労働時間の削減を目指すとともに、お客様に対しては近隣工場の製品のご使用を推奨することで輸送距離短縮にご協力いただいたり、必要に応じ相応の運賃負担をお願いする等によりリスクの低減に努めております。

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、安定した配当を継続的に行うことを基本方針としております。さらに、長期的視点による事業の維持拡大
をめざし、適時、効果的な設備投資及び研究開発を実践していくため内部留保の確保に努めております。また、当社は、年1回の剰余金の配当を行うこととしており、その決定機関は株主総会であります。

当事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき1株につき8円の配当の実施を決定いたしました。

内部留保金につきましては、生産体制の整備及び財務体質の強化に充当する予定であり、長期安定的な経営基盤の確立のため、資金の有効活用を図ってまいります。
 当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額(円)

1株当たり配当額(円)

2024年6月27日

87,935,160

8

定時株主総会決議

 

なお、当社は、株主の皆様への利益還元の機会を充実させるため、2024年度より中間配当制度を導入することといたしました。2024年6月27日開催の第97期定時株主総会決議において、会社法第454条第5項の規定に基づき、取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当を実施できる旨を定款に定めております。