2023年11月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

リスク項目

リスク内容

リスク対策

(1)原材料の調達、原油価格及び原料価格の変動

原材料メーカーや生産委託先の事故、品質不良、倒産等により供給の遅延・中断や、コロナ禍からの本格的な経済回復、国内外のインフレ進行、米中貿易摩擦、ウクライナ情勢の長期化等の影響により、当社及び子会社の生産活動に支障をきたす可能性があります。また、原油価格及びナフサ価格が大幅に変動した場合には、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。

原材料の調達先を複数確保するなどして安定的な原材料の調達に努めております。また、製品価格への連動や、原価低減等の施策により、影響の低減を図っております。

(2)事故・災害・パンデミックによる生産への影響

大規模な自然災害や火災事故、化学物質の社外流出事故、パンデミック(感染症の世界的な大流行)等が発生した場合には、生産活動の停止等により当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。

製造設備の定期点検や従業員の教育・訓練等の実施のほか、BCP(事業継続計画)を策定し、BCP発動時の演習を定期的に行いリスクの低減を図っております。感染症に対して、感染症対応マニュアルを策定し、感染防止策を徹底して、事業活動を行っております。

(3)法的規制

国内外の法令・規制(化学物質関連、毒劇法、労安法、消防法等)に従って事業活動を行っておりますが、今後、より厳格な規制が導入されたり、法令の大幅な変更や解釈が厳しくなったりすることにより、事業活動が制限される可能性があります。また、法令等に抵触しコンプライアンス違反が発生した場合には、社会的な信用が低下し、損害賠償責任や罰金が科され、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。

国内外の法令等の運用や改訂動向に関する情報を調査、抽出するとともに、業務プロセスの検証や見直し、社内規程の整備、関係者への教育等の施策を展開し、法令遵守を行っております。

(4)海外での事業活動

海外での事業活動には、政治・経済情勢の悪化、治安の悪化、予期しない法律・規則の変更、戦争・テロ・感染症等のリスクが潜在しております。これらの事象が顕在化し、事業活動に支障が生じた場合には、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。

現地における優秀な人材の確保と育成を進め、いち早く正確な情報を入手し、的確に対応することによりリスクの最小化を図るとともに、海外拠点における内部統制の整備を進めてまいります。

(5)特定分野への依存

事業ポートフォリオにおいて構成比率が高くなっている電子材料事業は、技術革新が早く、顧客ニーズが複雑・多岐にわたるため、技術変化や需要変動への対応が遅れた場合には、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。

新製品開発及び市場を見据えた製品展開を行い、設備や人員配置の最適化を進めております。また、脱炭素社会で必要とされる高機能材料の創出にも取り組んでおります。

(6)経済動向による需要変動

当社及び子会社の製品は、幅広い分野で使用されており、各業界の需要変動に大きな影響を受けます。市況の変動、安価な製品の流入、代替製品の出現等により、製品の低価格化が進んだ場合には、収益性の低下につながり、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。

需要動向等の影響を受け難い収益構造を目指し、製品の新陳代謝を進めるとともに、高機能で高付加価値の製品群の増加に努めております。

(7)資産の減損損失

当社及び子会社の機械及び装置、建物等は投資計画どおりに収益が得られず、投資額の回収が見込めない場合は、減損損失を計上する可能性があります。また、製品市況が著しく下落した場合には、棚卸資産の評価減により、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。

当社及び子会社では、継続して業績と減損の兆候について把握を行っており、投資に対する回収が困難となる前に対策を講じております。棚卸資産については、需要動向、在庫状況を確認し、棚卸資産の適正在庫管理に努めております。

 

 

リスク項目

リスク内容

リスク対策

(8)買収、資本提携

企業買収、事業買収、資本提携等にあたり、当初期待していたシナジーやその他のメリットを獲得できなかった場合や、想定していない新たな問題が生じ又は発見された場合には、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。

企業買収、事業買収、資本提携等を行う際には、対象企業や事業等の投資先について詳細な調査を行い、慎重にリスクを検討するとともに、投資案件については、業績と当初計画との乖離を確認し、必要に応じて対策を講じております。

(9)情報セキュリティ

不正アクセス、コンピューターウイルスの感染等により、当社及び子会社の業務システムの停止、情報の漏洩、情報システムの障害等が発生した場合には、事業活動の停止や社会的信用の低下等により、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。

情報セキュリティポリシーを定め、適切なシステム管理体制の構築、セキュリティ対策を実施するほか、継続した社員教育を随時実施し情報管理の徹底に努めております。

(10)訴訟

事業を行う中で、取引先や第三者との間で紛争が発生した場合、訴訟やその他法的手続きの対象となるリスクがあります。重要な訴訟等が提起された場合には、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。

法令を遵守するとともに、紛争の発生や訴訟等のリスクを未然に防ぐように努めております。また、弁護士事務所等と連携し、訴訟等に対応する体制を整えています。

(11)研究開発投資

技術的な優位性確保のため、継続して一定水準の研究開発投資を行っておりますが、期待した成果が得られなかった場合には、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。

特殊アクリル酸エステルに対する先進的且つ独自の技術を活かした製品を適時に提供するため、市場の要望に迅速に対応する体制を整えています。

(12)人材の確保

少子化に伴う労働者人口の減少等、必要な人材を確保できない場合や、優秀な人材の獲得・維持が計画通り進捗せず人材が不足した場合には、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。

人材の採用方法について適宜見直しを行い、必要な人材の確保に努めております。また、社員教育や研修による能力開発に加え、ワークライフバランスや健康意識の向上に取り組み、働きやすい職場づくりに努めております。

(13)製品の品質

当社及び子会社が製造した製品に予期できない重大な品質問題が発生した場合には、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。

品質マネジメントシステムを基に、品質保証体制の強化に努めております。また、製造物賠償責任保険を付保しておりますが、製品の品質向上に繋がる製品開発を継続して進めることで顧客満足度の向上及び信頼を得ることにより、リスク低減に取り組んでおります。

(14)知的財産

保有する技術・ノウハウの流出や、他社の知的財産権を侵害しているとされる可能性等、知的財産権について問題が発生した場合には、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。

保有する技術・ノウハウを厳格に管理するとともに、当社及び子会社が他社の知的財産権に抵触していないか十分に調査を行い、他社の権利を侵害することがないように事業展開をしております。

(15)環境・気候変動

環境汚染による損害及び社会的信用の低下に伴う損害が発生した場合や廃棄物が増加した場合の処理費用の増加により、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。また、気候変動や脱炭素社会への移行に伴う新たな法的、社会的責任が発生した場合には、法令遵守等のための対策費用の増加等により、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。

関連法令・規則を遵守するとともに、管理基準を設け環境汚染・有害物質を管理し、廃棄物の削減に取り組んでおります。
TCFD提言への対応を表明し、2050年度までに温室効果ガス(GHG)排出量ゼロを目標に掲げ、気候変動や脱炭素社会等の課題への取り組み(省エネ活動、再生可能エネルギーの活用等)を行い、サステナブル経営を推進しております。

(16)人権問題

当社及び子会社の役員・従業員及びサプライチェーン上等で差別・ハラスメント・強制労働・児童労働等の人権問題が発生した場合、当社及び子会社の業績に影響を与える可能性があります。

「ビジネスと人権に関する国連指導原則」に基づいて「大阪有機化学工業グループ 人権基本方針」を制定するとともに、当社及び子会社の役員・従業員へ適切な教育を実施します。また、人権デュー・デリジェンスの人権尊重の取り組みを行い、リスク低減に努めております。

 

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、中長期的な企業価値の向上を目指し、財務体質の健全性、資本効率及び株主還元の最適なバランスを図ってまいります。

株主還元につきましては、配当性向30%を目安としておりましたが、2024年11月期以降は、新中期経営計画 P&D 2030の目標に沿い、配当性向40%を目安として健全な財務内容を維持しつつ、安定的かつ継続的な配当に努めるとともに、機動的な自己株式の取得を含めた株主還元の充実に努めてまいります。

当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。

内部留保は将来につながる新製品、新技術へ向けての研究開発投資や生産能力増強、合理化や高付加価値化へ向けての設備投資等の原資として、今後の業績向上と株主の利益を確保するためには不可欠と考えております。

このような方針のもと、2023年11月期の配当につきましては、1株当たり年間56円(中間28円、期末28円)とさせていただきました。また、2024年11月期の配当につきましては、業績予想に鑑み1株当たり年間58円(中間29円、期末29円)を予定しております。

内部留保資金の使途は財務体質の強化と業績の向上を図り、経営体質の更なる充実と、今後の事業展開に役立てていく所存であります。

なお、当社は中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。

(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

2023年7月6日

取締役会

595,491

28.00

2024年2月28日

定時株主総会

595,488

28.00