2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)事業及び事業環境に関するリスク

① 人材の確保・育成

当社の事業におきましては、個々の人材の知識や能力に依存する要素が大きく、優秀な人材の継続した確保と育成が必要となります。人材確保につきましては、優れた専門性を有した多様性に富む人材の採用に努めるとともに、働き方の多様化に対応した雇用形態や、リモートワークを中心とした柔軟な勤務形態など、労働環境の整備を推進しております。また人材育成については、各種資格の取得を支援する制度を設けているほか、内発的動機を引き出す教育プログラムや人材マネジメントの拡充を図って行く方針です。しかしながら、このような取組みにもかかわらず、優秀な人材の確保及び育成が想定通りに進まなかった場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因となり、中長期的な成長が低下する可能性があります。

 

② 景気変動

当社の取引は、顧客企業のDX予算やマーケティング予算の影響を強く受けます。地政学リスクの高まりによる資源価格の高騰や物価上昇による個人消費への影響等、景気の変動によって顧客企業の予算が縮小した場合には、受注が減少し、売上高が減少する可能性があります。また、当社の事業領域に対する企業の投資意欲が後退した場合には、新たな顧客企業の獲得が想定どおりに進まない可能性があり、当社の事業展開、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

③ 競合激化

当社の事業領域におきましては、専業の競合企業が複数あるほか、コンサルティング領域の企業や広告代理店、システムインテグレーター、個人事業主等も参入しており、厳しい競合環境にあります。また、当社の事業は特許等で保護されているものではないため、当社が保有する技術及びノウハウ等が陳腐化し、市場競争力が低下する可能性があります。当社は、優秀な人材の確保・育成や、競争優位性の維持・向上に向けたサービスの拡充、またさらなる成長基盤の開発に努めていく方針ですが、これらの取組みが想定どおりの成果をあげられない場合や、費用が想定以上に増加した場合には、当社の事業展開、業績及び財政状態に大きな影響を与える可能性があります。

 

④ 受注案件の採算性

当社は、プロジェクト案件の採算性等を十分検討して受注活動を行っておりますが、仕様変更への対応等により、当初の見積り以上の作業工数が必要となる場合があり、想定以上の費用負担によりプロジェクトが不採算化するリスクがあります。また、受注競争の激化や受注拡大に伴う人員不足等に起因した外注費の増加、見積り精度の低下等が生じた場合には、事業全体の採算性の悪化につながり、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社ではプロジェクト単位、顧客単位の採算性を可視化し、受注時及びシステム要件定義時のレビュー等の強化をはかり、受注案件の採算性を適正に確保することに努めております。

 

⑤ 新規サービス

当社は、事業規模の拡大と新たな収益基盤の構築に向けて、新規サービスの開発に対する取組みを継続的に進めて行く方針です。人材の確保やプロダクトの開発等に関する追加投資が発生し、損益が悪化する可能性があるほか、新規サービスが安定して収益を生み出すまでには一定の期間と投資を要する場合も予想され、全体の利益率が低下する可能性があります。当社では、新規サービスの開始や投資に当たっては、投資回収方針等を吟味した上で計画を策定しておりますが、将来の環境変化等により、新規サービスが当初の計画どおりに進捗せず、投資に見合う十分な回収を行うことができなかった場合は、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 技術革新

当社は、インターネット関連技術に基づいて事業を展開しておりますが、当該領域の技術革新や顧客ニーズの変化は非常に早く、極めて激しい技術開発競争が行われており、新しいサービスが相次いで市場に展開されています。当社は多様性に富む優秀な人材の確保に努め、新技術の知見やノウハウの獲得に注力しておりますが、当社が予期しない革新的な技術が開発され、当社の対応が遅れた場合は、当社が提供するサービスの競争力が低下し、当社の事業展開や業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ M&A

当社は、パートナー企業との業務提携や資本提携等を通じて事業の拡大を図っていく方針であり、当社と提携先の持つ技術やノウハウ等を融合することにより、事業シナジーを発揮することを目指しております。M&Aを行う場合には、対象企業の財務内容、契約関係等について詳細なデューデリジェンスを行い、リスクを回避するように努めておりますが、時間的な制約等から十分なデューデリジェンスが実施できない可能性のほか、買収後において偶発債務の発生等のリスクがあります。また、新サービスを目的とした提携においてはその性質上、当該新サービスによる当社の事業及び業績への影響を確実に予測することは困難であり、当初見込んだ効果が発揮されない場合や、これらの提携等が何らかの理由で解消された場合は、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ NTTデータとの資本・業務提携

当社は、NTTデータと資本・業務提携契約を締結しており、2024年3月31日現在、同社の議決権所有割合は48.5%でありますが、実質的な支配力基準により、当社は同社の連結子会社となっております。当社は自ら経営責任を負い、独立した経営を行うとともに、重要事項等については同社に報告を行っております。現状、同報告は当社の意思を妨げたり、拘束したりするものではなく、同社においても同様の認識であることを確認しておりますが、同社は当社の株主総会における取締役の任免等を通じて当社の経営判断に影響を及ぼし得る立場にあるほか、議決権の行使にあたり、同社の利益は当社の他の株主の利益と一致しない可能性があります。また今後、同社の経営方針や事業戦略が変更された場合、あるいは同社の当社株式の保有比率に大きな変更があった場合等においては、当社の事業運営、業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 特定顧客への依存

当社の事業は、インターネット関連投資を行う企業等を主たる顧客としており、顧客の経営方針、戦略等から特定顧客との取引が急激に拡大し、結果として特定顧客への依存度が相対的に高くなる場合があります。当社は、バランスの取れた受注活動を行い、特定顧客への依存度が過度に高くならないように努めておりますが、人材リソースの問題等からこのような依存度が高い状況が発生した場合、主要顧客の戦略の変化や業務上のトラブル、その他何らかの要因等により主要顧客との取引が急激に減少した場合は、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2)コンプライアンスに関するリスク

① 顧客情報、個人情報の漏洩

当社が取り扱う機密情報及び個人情報について、漏洩、改竄又は不正使用が生じた場合には、適切な対応を行うための費用や損害賠償請求、また信用の失墜や顧客企業との取引停止等によって、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社は、これらの情報管理を事業運営上の重要事項と認識しており、必要なシステム面でのセキュリティ対策や社員教育を継続的に強化して行く方針です。なお、当社は、社団法人情報サービス産業協会よりプライバシーマークの認定(認定番号第11820395)を受けております。

 

(3)財政状態に関するリスク

① 業績の季節偏重

当社の業績は、多くの顧客の事業年度末となる3月に納品・検収が集中することから第4四半期会計期間に偏重する傾向があり(3月単月売上高541百万円:通期売上高の15%)、当事業年度におきましては、売上高の29%、営業利益の124%、経常利益の124%を第4四半期会計期間に計上しております。当社は、当該季節的要因を踏まえた受注活動やプロジェクト運営に努めておりますが、顧客企業のスケジュールの変更や人材リソースの不足等により、予定通りに 納品・検収が行われなかった場合には、当社の財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)その他

① 災害等に係るリスク

地震、火災等の自然災害や、戦争、テロ、感染症の流行(パンデミック)等が発生し、当社において人的被害または物的被害が生じた場合には、当社の業務の遂行が困難となり、当社の業績及び財政状態に深刻な影響を及ぼす可能性があります。当社では危機管理規程を定め、平時より危機管理対策委員会を中心に災害等への備えを行い、インシデントが発生した場合には、非常事態宣言を発令し、危機管理対策委員会を中心に対応を行うとともに、インシデントの種類や内容に応じて事業継続計画(BCP)を発令し、当社の事業継続を確保する体制を執っております。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、継続的な企業価値の向上と安定的な利益還元を重要課題と認識しております。配当政策につきましては、経営体質の強化や収益の拡大に向けた事業投資や人材開発等に必要な内部留保を確保しつつ、当期純利益に対する配当性向20%程度を目安として配当額を決定することを基本方針といたします。また、定量基準は外部環境の変化や財政状態、事業展開等を総合的に勘案し、適宜見直してまいります。

 当社は、取締役会の決議により期末配当として年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。また、当社は、会社法第454条第5項に基づき「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。

 当事業年度の配当につきましては、上記の基本方針に基づき、1株当たり6.00円の配当を実施することを決定しました。

 内部留保資金につきましては、将来にわたる事業展開に備え、投資や開発等の資金需要に有効に活用していく所存であります。

 

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

2024年5月16日

41,993

6.00

定時取締役会決議