リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)仕入に関するリスク
① 仕入物件の立地及び価格について
当社グループでは、創業以来東京23区、最寄駅から徒歩10分圏内を中心に新築マンションの用地又は建物の仕入れに努めており、新規事業推進や事業規模拡大のため、1都3県に仕入エリアを拡大しております。
しかしながら、他社との競合や地価又は建築費の上昇により計画どおりの仕入が行えない場合又は仕入を行ったとしても仕入価格に見合った価格で販売できない場合ならびに仕入契約から引渡しまでの間に、経営環境が変化し、仕入契約に基づく契約債務が当社グループにとって不利な契約内容となり、会計上の手当が必要となる場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② マンション建築事業主からの仕入リスク
一般的な新築マンションの仕入は、用地を取得し、マンションを建築しますが、当社グループではマンション建築事業主(以下「事業主」といいます。)からマンションを1棟単位で仕入れるスキームを主としております。当該スキームの場合、初期段階で手付金等の自己負担のみで、先行的な用地取得資金やその後の建築資金を負担せずに、仕入物件が確保できることになります。
しかしながら、事業主の都合等で当該物件の建築中の事故等予期せぬ事態が発生し、建築工期が遅延した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)不動産引渡時期等による業績の変動及び偏重リスク
当社グループのホールセール及びリテールセールスの売上計上基準は、顧客へ物件を引渡した(所有権の移転)時点で売上高を計上する引渡基準としております。
したがって、外注先との調整不足や近隣住民の反対運動や天災等の不測の事態により物件の竣工・引渡しが遅延した場合や法人等への複数棟の一括引渡の際には、特定の通期及び四半期に売上高及び利益が大きく偏重する可能性があり、当社グループの業績を判断する際には留意する必要があります。
(3)販売に関するリスク
① ホールセールに関するリスク
当社グループのホールセールにおいては、法人等に1部屋から1棟まで幅広い単位で販売しております。
しかしながら、経済環境や金利動向、法人等の投資方針等が著しく変化した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② リテールセールスに関するリスク
当社グループのリテールセールスにおいては、将来の年金対策や生命保険の代替商品、相続税対策として、個人投資家の方々に物件を購入いただいております。
しかしながら、経済環境の変化等により、不動産投資に対する意欲が減退した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ REIT事業に関するリスク
当社子会社の株式会社グッドコムアセット投資顧問において、新たな事業としてREIT事業を立ち上げるために、国土交通省及び金融庁の許認可を取得いたしました。
私募リートや私募ファンドの組成にあたっては、金融機関からの借入や投資家から出資を募ることとなります。
したがって、経済環境の変化等により、不動産投資に対する意欲が減退した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)賃貸に関するリスク
① 販売前の管理物件の空室時のリスク
当社グループは、物件の竣工後に法人等と賃貸借契約もしくは当社子会社の株式会社グッドコムにて入居募集を行い、顧客への引渡時点においては、入居者がいる状態で販売できるよう努めております。物件の購入を検討される際は、入居者が既にいることから、安定的に賃料収入が得られる安心感もあり、購入意欲が促進される場合があります。
したがって、不動産賃貸会社等に賃貸借契約に応じてもらえない場合や支払能力に支障が生じた場合、もしくは入居募集の効果が得られなかった場合は、販売に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 販売後の賃貸管理物件の空室時のリスク
当社グループでは、当社マンションを購入した個人投資家等との契約において、当該マンションの空室時に家賃保証をしております。また、当社子会社の株式会社グッドコムにおいては、入居者募集施策を積極的に行うとともに、社宅契約を推進することで、入居者が途絶えないようにしております。
しかしながら、施策の効果が得られずに入居率が低下した場合は、空室保証費用が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 代位弁済時の信用リスク
当社子会社の株式会社ルームバンクインシュアにおいて、不動産賃貸契約時に借主の保証人となる家賃債務保証業務を行っており、保証委託契約を締結した賃借人の家賃不払い等の債務不履行が発生した際に、賃貸人に対して代位弁済をしております。代位弁済額を抑制するため、保証委託契約前に行う審査の実施においては、自社の審査システムに基づき審査の適正の確保に努めております。
しかしながら、経営環境や雇用環境が著しく悪化した場合は、代位弁済の増加や回収率の低下に伴う実際の貸し倒れや貸倒引当金の増加等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)資金繰りに関するリスク
当社グループは、将来の業績拡大のため、東京23区のみならず1都3県の物件に対象範囲を広げ、仕入れを強化しております。仕入に当たっては、前述のとおり主に手付金のみで仕入契約を締結しており、事業主に対する不動産仕入資金の支払期限を物件引渡し後数ヵ月に設定し、未販売住戸においては、当該期限後に取得費用が発生します。そのため、当初は多額の仕入資金を負担しないことから、多くの仕入契約を締結しており、将来の業績拡大に努めております。
しかしながら、将来的に物件引渡し時期が重なり、一時的に多額の物件取得費用が必要となる場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)有利子負債の依存と金利変動のリスク
当社グループでは、不動産仕入資金を手付金等の自己負担のみとする等、金融機関からの借入を少なくし、有利子負債依存度の低減に努めておりますが、販売期間延長等による一定の借入も考慮し、資金調達手段の多様化を推進しております。
しかしながら、有利子負債は一定の水準で推移すると想定され、金利が上昇した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当連結会計年度末及び前連結会計年度末の有利子負債依存度は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
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前連結会計年度末 (2022年10月31日) |
当連結会計年度末 (2023年10月31日) |
有利子負債残高(a) |
10,072 |
40,380 |
総資産額(b) |
24,452 |
53,496 |
有利子負債依存度(a/b) |
41.2% |
75.5% |
(注)有利子負債残高は、短期及び長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む。)、リース債務(1年内返済予定のリース債務を含む。)、社債(1年内償還予定の社債を含む。)の合計であります。
(7)在庫に関するリスク
当社グループは、マンション市況を考慮し、金融機関からの借入によりマンションの販売期間を延長する場合があります。
したがって、販売期間の延長中に自然災害等の事故により、時価が取得原価を下回る等の場合は、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号 2006年7月5日)が適用され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)事業の多角化に関するリスク
① 新規事業に関するリスク
当社グループは、事業拡大や収益の多様化を図るため、新規事業に積極的に取り組む方針であります。
しかしながら、新規事業に着手したものの、想定通りに当該事業が進捗しない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② M&Aに関するリスク
当社グループは、今後の業容拡大等の施策として、既存事業の拡大や新規事業への参入を目的としたM&Aを選択肢の一つとしております。
M&Aの実施に当たっては、対象企業の財務、法務、ビジネス面等について、外部専門家の助言を含めた詳細なデューデリジェンスに加え、当社グループとのシナジー効果等を考慮した将来価値の測定について十分な検討を実施することにより、各種リスクの低減に努めております。
しかしながら、当初想定したシナジー効果や業績拡大効果が得られない場合、また、M&A対象会社の業績不振によりのれんにかかる減損損失が発生する等の場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)人材に関するリスク
当社グループの企業成長及び業容拡大のためには、人的資本の充実が必要であります。そのため、新卒採用や経験者の中途採用などによる人員拡大や研修による社員教育等を積極的に行い、人的資本の充実を図っております。
しかしながら、人員が十分に確保できない場合や退職者が著しく増加した場合のサービス提供力の低下、また、人員拡大が収益に貢献しない場合のコスト増加により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)法的規制等に関するリスク
当社グループは、宅地建物取引業法をはじめとする様々な不動産関連法令や、金融商品取引法等の法的規制を受けており、事業活動の継続にあたっては、下表に掲げる免許の保有が前提となります。
なお、当社グループは、コンプライアンス体制の強化に努めており、本書提出日現在、これらの当該許認可等が取り消しとなる事由は発生しておりません。
しかしながら、関連法令等の規制が遵守できず、今後これらの許認可が取り消された場合又はこれらの法的規制の大幅な変更があった場合には、当社グループの経営及び事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
取得・登録者名 |
取得年月・許認可等の名称及び所管官庁等 |
許認可等の内容及び有効期限 |
主な許認可等の取消事由 |
株式会社グッドコムアセット (当社)
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2021年7月9日 宅地建物取引業者免許 国土交通省 |
宅地建物取引業に関する免許 国土交通大臣 (1)第9957号 2021年7月10日から 2026年7月9日まで 以後5年ごとに更新 |
宅地建物取引業法 第5条、第66条及び第67条 |
2019年7月11日 不動産特定共同事業許可 東京都 |
不動産特定共同事業に関する許可 東京都知事 第124号 |
不動産特定共同事業法 第36条
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株式会社グッドコム (連結子会社)
株式会社グッドコム (連結子会社) |
2009年7月24日 宅地建物取引業者免許 東京都 |
宅地建物取引業に関する免許 東京都知事 (3)第90768号 2019年7月25日から 2024年7月24日まで 以後5年ごとに更新 |
宅地建物取引業法 第5条、第66条及び第67条
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2011年7月11日 マンションの管理の適正化の推進に関する法律に基づくマンション管理業者登録 国土交通省 |
マンション管理業者に関する登録 国土交通大臣 (3)第033780号 2021年7月12日から 2026年7月11日まで 以後5年ごとに更新 |
マンションの管理の適正化の推進に関する法律 第83条 |
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2021年9月2日 賃貸住宅管理業者登録 国土交通省 |
賃貸住宅管理業者に関する登録 国土交通大臣 (01)第000911号 2021年9月3日から 2026年9月2日まで 以後5年ごとに更新 |
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律 第23条及び第24条 |
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臺灣家得可睦股份有限公司 (連結子会社) |
中華民国104年6月1日 (2015年6月1日) 不動産經紀業 臺北市政府地政局 |
不動産經紀業に関する許可
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不動産經紀業管理条例 第6条
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株式会社グッドコムアセット投資顧問 (連結子会社) |
2022年7月1日 宅地建物取引業者免許 東京都 |
宅地建物取引業に関する免許 東京都知事 (1)第108025号 2022年7月2日から 2027年7月1日まで 以後5年ごとに更新 |
宅地建物取引業法 第5条、第66条及び第67条 |
2023年3月27日 取引一任代理等認可 国土交通省 |
取引一任代理等認可 国土交通大臣認可 第150号 |
宅地建物取引業法 第50条の2、第67条の2 |
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2023年5月8日 金融商品取引業登録 関東財務局 |
金融商品取引業に関する登録 関東財務局長(金商) 第3382号 |
金融商品取引法 第52条 |
(11)訴訟のリスク
当社グループは、投資を目的とした新築マンションを販売しており、入居率の悪化や家賃相場の低下による賃貸収入の下落、金融機関の貸出金利の上昇による借入金返済負担の増加等、収支の悪化につながる様々な投資リスクが存在します。当社グループは、顧客に対し、これらの投資リスクについて十分説明を行い、理解していただいた上で売買契約を締結することにより、訴訟リスクの軽減を図っております。また、経営におけるコンプライアンスの重要性についても強く認識しており、役員及び従業員に対するコンプライアンス教育を徹底する等、コンプライアンス経営を推進することで、訴訟リスクの軽減に努めております。
しかしながら、顧客からのクレームや訴訟等が発生した場合、その結果によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)瑕疵担保責任に関するリスク
当社グループは、販売物件について瑕疵担保責任を負っており、瑕疵に備え住宅瑕疵担保責任保険に加入しております。
しかしながら、建設会社等の破綻により保険で賄いきれない補修工事費用等が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)個人情報の漏えいリスク
当社グループは、多くの顧客(潜在顧客を含む。)や入居者の個人情報を保有しております。個人情報の管理については、関連する社内規程を制定し、社内入退室管理やPC等の持ち出し・持ち込みの管理等を徹底の上、社内情報管理システムのセキュリティー強化に取り組むとともに、役員及び従業員に対する個人情報保護に関する教育・研修を実施すること等により、個人情報の保護に関する法律に準拠したプライバシーマークを取得し、情報管理の徹底に努めております。
しかしながら、昨今、サイバー攻撃は高度化かつ巧妙化していること等から、これらの対策にもかかわらず、当該情報が外部に漏えいした場合は、当社グループの社会的信用が低下し、当社グループの経営及び事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
(14)経済状況等の変動リスク
当社グループの主要事業は、景気動向、経済情勢、金利動向、販売価格動向、住宅税制等の各種税制及び建設業者の不正等の様々な外的要因の影響を受けることとなります。
したがって、これら外的要因によって、販売価格の変動や個人消費の低迷、顧客購買意欲の低下が顕著化した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15)災害等発生のリスク
当社グループは、地震等の自然災害や未知なる感染症のパンデミックが発生した場合に備え、安否確認システムを導入する等、安全面を考慮し、事業を継続できるよう、リスク管理体制の構築を進めております。
しかしながら、大規模な自然災害やパンデミックが発生した場合は、不動産投資マインドの低下による販売機会の損失、契約手続きの遅延、空室の長期化による空室保証費用の増加、開発物件の被災に伴う補修等による工事費上昇や完成遅延等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、経営基盤の強化を図るとともに、将来の事業展開に備えた内部留保を確保しつつ、配当につきましては、経営成績と財務能力を総合的に勘案し決定いたしますが、配当性向30%を基準に毎期配当していくことを基本方針としております。
なお、内部留保資金につきましては、経営基盤の強化及び事業拡大を目的とした中長期的な事業原資として利用していく予定であります。
また、株主に対する利益還元の重要性を踏まえた上で、基本方針を継続し、業績向上に伴って株主への利益配当の内容を充実していくことを利益配当政策の基本といたします。
当社は、中間配当を行うことができる旨を定款に定めており、配当に関しては年1回の期末配当ならびに業績に応じて中間配当を行うことを基本方針としております。これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は、以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2024年1月30日 |
1,007 |
35.00 |
定時株主総会決議 |