リスク
3【事業等のリスク】
以下において、当社グループの事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資判断上重要と考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。なお、当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対処に努める方針でありますが、当社グループの株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 事業について
① 事業環境について
当社グループは、自らが土地を買って、建物建設を望むテナントを誘致し、定期借地権により長期に賃貸し、当該テナントから賃貸収入を確保したうえで、その土地を不動産金融商品として地主リート等に売却するというJINUSHIビジネスをメインに事業展開を行っております。
当社グループが展開する事業は、景気あるいは不動産市況の変動、金利の上下動等の諸情勢の変化によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合について
当社グループは、従来、一定の人口集積があり、住宅地として価値の高い地方都市や大都市近郊の物件を取扱い対象としておりましたが、加えて、現在では東京圏・大都市近隣の物件の取得にも注力しております。
当該東京圏・大都市近隣は特に大手デベロッパー等との厳しい競合が考えられ、当社グループが優良な物件を取得できなくなった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、不動産を取得する際には、その土地の立地条件・周辺環境・地盤・土壌汚染・価格等について調査・検討を行い、その結果に基づいて適正な条件で不動産を取得しております。しかしながら、適正な条件により不動産を取得できなかった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 資産の取得及び売却について
当社グループは不動産投資事業において、不動産保有リスクの低減を図るために、誘致するテナントとの間で定期借地権設定予約契約の締結を行い、地主リートや、事業会社、不動産ファンド等の売却先とは購入意向を確認した上で不動産を取得することを原則としております。
また、安定的な売却先を確保し、また当社の今後の成長を見据えて、2016年11月10日付で、当社と地主リート及び当社の100%子会社である地主AMの3社間で「スポンサーサポート契約」を締結しております。
そのほか安定的な売却先を確保するために、2014年11月17日付で、KDX不動産投資法人(旧ケネディクス商業リート投資法人)およびその資産運用会社であるケネディクス不動産投資顧問株式会社との間で、サポート契約(その後の変更も含む)を締結しております。
加えて、当社及び地主AMは、2019年11月18日付で三井住友ファイナンス&リース株式会社の100%子会社であるSMFLみらいパートナーズ株式会社と、2019年12月10日付でみずほリース株式会社の100%子会社であるエムエル・エステート株式会社とそれぞれ、販売用不動産(信託受益権を含む)の包括的な売買取引に係る枠を設定する旨の基本協定書を締結しております。さらに、2022年11月14日に売買枠設定期間、並びに優先交渉権の行使期間を延長する変更覚書をそれぞれ締結しております。
しかしながら、テナントの出店方針に合致した土地の確保ができない場合、又は上記スポンサーサポート契約、基本協定書の内容に変更が生じ、不動産の売却先が確保できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 災害等のリスクについて
JINUSHIビジネスは経年劣化の無い土地のみを主に取扱い、定期借地契約により、変動のない長期安定収益が見込めるため、自然災害と収益ボラティリティに強い特徴があります。
しかしながら、当社グループが保有する不動産が地震、津波、テロ、暴動等の不測の事故・自然災害により滅失、劣化又は毀損した場合、賃貸料収入の激減等の事態が発生する可能性があります。このため、当社グループは、かかるリスクを可能な限り回避するため、保険加入を行っておりますが、保険事故に該当しない事由により不動産が滅失、劣化又は毀損した場合や、保険事故に該当する事由により不動産が滅失、劣化又は毀損したときでも保険金によって損失を補填できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 土壌汚染及び地中埋設物の対策について
当社グループが不動産を取得する際には、土壌汚染及び地中埋設物による当社グループの費用負担や建築スケジュールへの影響を回避するために、原則売主負担による土壌汚染及び地中埋設物の調査及び除去をしております。土壌汚染及び地中埋設物が確認された場合は、当該不動産の取得中止又は専門業者による土壌汚染及び地中埋設物の除去等を売主の負担で実施した後に取得しておりますが、上記の調査によっても土壌汚染及び地中埋設物の状況について事前にすべてを認識及び除去できないことがあります。そのため、取得した不動産に事前の調査においても認識されていなかった土壌汚染及び地中埋設物が発見された場合、当初の事業スケジュールの変更や追加費用等が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 海外事業について
イ.海外における事業
当社グループは、米国で事業を行っております。当該各国の経済、政情や政府による規制等に起因した予期せぬ事象が発生した場合には、当社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。
ロ.為替レートの変動
当社グループは、各地域における現地の財務諸表等を、連結財務諸表作成のために円換算しております。換算時の為替レートが変動した場合には、もとの現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値に影響を与える可能性があります。
⑦ 情報セキュリティリスクについて
当社グループは事業等において個人情報を取り扱っております。サイバー攻撃や当社グループ役職員による情報漏洩が発生した場合およびシステム障害等により、当社グループの利用するシステムが停止した場合には、当社グループの社会的信用力の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 経営成績、財政状態について
① 経営成績の変動について
当社グループの不動産投資事業は、投資案件1件当たりの取引金額が多額であること、またテナントによる店舗建築に係る許認可・工期等に相当の期間を要し、当初の売却スケジュールが変更になる等により、投資案件の売上計上時期等が変更される可能性があります。そのような場合、各期の経営成績が大きく変動するため、過年度の財政状態及び経営成績だけで今後の当社グループの業績を判断するには不十分な面があります。
なお、当社グループの主要な経営指標等の推移は次のとおりであります。
回次 |
第20期 (連結) |
第21期 (連結) |
第22期 (連結) |
第23期 (連結) |
第24期 (連結) |
|
決算年月 |
2020年3月 |
2020年12月 |
2021年12月 |
2022年12月 |
2023年12月 |
|
売上高合計(百万円) |
74,187 |
29,886 |
56,177 |
49,887 |
31,597 |
|
|
不動産投資事業 |
73,533(注)1 |
29,455 |
55,157 |
48,236 |
29,948 |
|
サブリース・賃貸借・ファンドフィー・個人投資家向け事業 |
647 |
415 |
996 |
1,457 |
1,638 |
|
企画・仲介事業 |
6 |
16 |
23 |
194 |
10 |
営業利益(百万円) |
5,244 |
2,420 |
5,475 |
6,411 |
6,154 |
|
経常利益(百万円) |
4,599 |
2,157 |
5,002 |
5,943 |
5,718 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) |
3,177 |
1,644 |
3,124 |
3,641 |
4,709 |
|
純資産額(百万円) |
23,870 |
24,841 |
27,781 |
30,960 |
31,501 |
|
総資産額(百万円) |
75,054 |
71,220 |
86,337 |
72,153 |
101,482 |
(注)1.セグメント間の取引相殺消去後の金額であります。
2.第21期より決算期を3月31日から12月31日に変更しました。また、国内子会社の決算期も3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い、決算期変更の経過期間となる第21期は、2020年4月1日から2020年12月31日までの9ヶ月間となります。当社及び国内子会社は4月1日から12月31日までの9ヶ月間、12月決算の海外子会社は1月1日から12月31日までの12ヶ月間であります。
3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第23期の期首から適用しており、第23期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標となっております。
② 引渡し等に係る業績変動について
不動産の販売における売上は、売買契約を締結した時点ではなく、不動産の引渡し時点において計上されます。そのため、何らかの理由により、引渡し時期が決算期末を越えて遅延した場合には、各期の当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 有利子負債への依存について
当社グループはJINUSHIビジネスを基本戦略に据えた事業展開に注力しており、その不動産取得資金については、大半を金融機関からの借入により調達していることから、有利子負債残高及び総資産に占める有利子負債の占める割合(有利子負債依存度)は、他業種・業界と比べて高くなっております(当社グループの有利子負債残高及び有利子負債依存度等は、下表のとおりであります)。そのため、今後、金融市場や金融政策の動向等に変動が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは資金調達にあたって、特定の金融機関に集中しないように努めておりますが、何らかの理由により資金調達が不調に終わった場合には、不動産の取得や開発等に支障が生じ違約金等が発生することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
回次 |
第20期 (連結) |
第21期 (連結) |
第22期 (連結) |
第23期 (連結) |
第24期 (連結) |
|
決算年月 |
2020年3月 |
2020年12月 |
2021年12月 |
2022年12月 |
2023年12月 |
|
有利子負債残高 |
(百万円) |
46,564 |
43,300 |
49,812 |
37,165 |
62,774 |
総資産額 |
(百万円) |
75,054 |
71,220 |
86,337 |
72,153 |
101,482 |
有利子負債依存度 |
(%) |
62.04 |
60.80 |
57.7 |
51.5 |
61.86 |
(注)有利子負債残高は、短期借入金、長期借入金(1年内返済予定額を含む。)及びリース債務の合計額であります。
④ 保有不動産に評価損等が生じる可能性について
当連結会計年度におきましても、販売用不動産の総資産に占める割合は高く、さらにJINUSHIビジネスの拡大に伴い、販売用不動産は今後も増加するものと考えております。
当社グループは、不動産投資事業において、過去の実績や経験等を活かし、在庫リスクの削減に努めておりますが、不動産取得から販売まで長期間を要し、その間に土地価格等が変動した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当連結会計年度末日において、業績に重要な影響を与えるような減損が生じる可能性は低いものと判断しておりますが、今後の経済情勢の悪化等により、減損処理が必要となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 法令等について
① 法的規制について
当社グループの事業は、「宅地建物取引業法」「大規模小売店舗立地法」「都市計画法」「国土利用計画法」等の多岐にわたる法的規制を受けております。当社グループはこれらの法令等を遵守して事業活動を行っておりますが、将来において法令等の改正が行われた場合又は新たな法的規制が設けられた場合には、当初の事業計画、スケジュールの変更や追加費用等が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 法令遵守について
当社グループは、「会社法」、「金融商品取引法」、「個人情報保護法」、「労働基準法」等の多岐にわたる法令等のもとで事業活動を行っており、法令遵守のための体制を整備し、これらの法令等を遵守しております。しかしながら、将来何らかの法令違反により、当社グループの社会的信用力の低下や当社グループの許認可及び登録の取消し等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 組織について
① 特定の人物への依存について
当社の代表取締役社長である西羅弘文は、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。当社グループでは、適切な権限委譲や合議制による意思決定等を行うことによって、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社グループの経営に関与することが困難になった場合には、当社グループの今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
② 人材確保について
当社グループの主力事業である不動産投資事業においては、その事業活動において複雑な権利調整や近隣対策等の高度な知識や経験が要求される場合があります。当社グループは組織的に蓄積したノウハウをもって既存従業員各人の能力を向上させるとともに、外部から優秀な人材を採用することで、より効率的な事業運営の実現に努める方針であります。しかしながら、これらの人材の育成・採用が予定通りに進まない場合や、在籍している人材が流出した場合には、当社グループの今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(5) その他
重要な訴訟事件等の発生及び発生の可能性
当社グループは、現時点において重要な訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、当社グループが売却した物件における瑕疵の発生、当社グループが管理する物件における管理状況に対するクレーム又はこれらに起因する訴訟、その他の請求が発生する可能性があります。これらの訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
利益配分に関する基本方針
当社は、引き続き業容拡大の過程にあると考え、財務体質強化のため、内部留保を図り、事業の効率化と事業拡大のために投資等を行い、なお一層の業容拡大を目指すことが株主の皆様に対する最大の利益還元につながるものと考えております。
配当政策につきましては、安定した配当を継続することを基本方針としております。事業環境や業績、財務状況等総合的に勘案したうえで、株主価値の向上を図るとともに、長期的かつ安定的な事業基盤の強化のために必要な内部留保の充実を図り、株主への利益還元を行います。年1回の期末配当を基本方針としており、その決定機関は株主総会であります。
なお、当社は、「毎年6月30日を基準日として、取締役会の決議をもって、中間配当金として剰余金の配当を行うことができる。」旨定款に定めておりますが、第24期は実施しておりません。
このような方針のもと、当期の期末配当金につきましては、第24期定時株主総会の決議を経て、1株当たり金55円とさせていただきました。
内部留保資金につきましては、今後の経営環境の変化に柔軟に対応すべく、さらなる将来の成長のための投資に充当してまいりたいと考えております。
第24期に係る剰余金の配当は、以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(百万円) |
1株当たり配当額(円) |
2024年3月22日 |
904 |
55 |
定時株主総会決議 |
なお、2024年2月13日付「株主還元方針の変更および株主優待制度の廃止に関するお知らせ」にて公表の通り、当社は、これまで現金配当および株主優待制度による株主還元を実施してまいりましたが、第25期以降の株主還元方針においては、株主の皆様へのより公平な利益還元という観点から、株主優待制度の廃止を決定し、株主還元を現金配当に集約する方針といたしました。併せて、当社株式の更なる流動性向上を企図し、新たに中間配当を実施いたします。
第25期以降の株主還元方針は、以下のとおりとなります。
現金配当 |
・業績動向を踏まえた現金配当を前提としながら、安定配当を継続しつつ、利益成長による増配を目指す方針です。 ・更なる企業価値向上を目指し、成長投資を可能とする内部留保の充実と、株主還元のバランスを意識します。 ・当社株式の更なる流動性向上を企図し、中間配当を実施いたします。 |
株主優待 |
・株主優待制度は廃止し、株主還元は現金配当に集約いたします。 |