2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。また、サステナビリティに関するリスクにつきましては、「2[サステナビリティに関する考え方及び取組]」をご参照ください。

 

(1) 業績変動リスク

当社グループの主要販売商品である切削工具は、自動車業界が主要なユーザーであり、当社グループの業績は同業界の設備投資動向及び生産動向に強く影響を受けております。

従って、今後の同業界の業況変化による商品需要の大幅な変動が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、当社グループでは、国内では、耐摩・光製品のセグメントへ展開を進めることで特定の業界(自動車業界)への依存度を低減させてまいります。海外では特定の地域(主に日本と中国)への依存度を低減するため、進出国・拠点を増やすことでリスクを分散してまいります。なお、ウクライナをめぐる国際情勢の不安が拡大した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。

 

(2) 金利変動リスク

当社グループの有利子負債には、変動金利条件となっているものがあります。当社グループでは、金利変動リスクを回避する目的で、当社が必要と判断した場合、有利子負債の短期から長期への転換や金利スワップ取引の利用をいたします。今後想定以上に金利が上昇した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(3) 取引先与信のリスク

当社グループは、与信管理の徹底を図り、不良債権発生の未然防止に努めておりますが、今後の景気動向等によっては想定を超える取引先の信用状態の悪化等が生じる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、当社グループでは、取引先ごとに与信額を設定するほか、1年ごとに信用調査会社のデータをもとに与信の一括見直しを行っております。また回収遅延資料を毎月作成し、不良債権を適宜モニタリングしております。

 

(4) 商品在庫に関するリスク

当社グループは、特に切削工具については多品種の在庫を有しており、お客様への即時納品体制を確立しています。今後、市況の変化によっては過剰在庫となり商品評価損が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、当社グループでは、継続発注は販売実績データに基づく適正発注量決定システムでの運用等を行い、新規発注は販売計画に基づく発注量を決定しリスクを低減しております。

 

(5) 災害・事故によるリスク

地震等の自然災害や人災・事故などにより、当社グループ及び取引先の営業拠点や従業員が被害を受ける可能性があります。これに伴う売上高の減少、物流機能の麻痺、営業拠点の修復又は代替のための費用発生等が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、当社グループではあらゆる災害・事故によるリスクに備え、大阪、名古屋、北関東の3つの物流拠点を確立し、流通への影響を低減しております。また、「Cominix On-Line」による非対面販売の実施に加え、2020年10月から連結子会社さくさく株式会社においてeコマース事業の本格的に参入いたしました。またグループ内の取り組みといたしましては、グローバルな相互補完体制を構築する事業継続計画(BCP)の策定、在宅勤務の推進に支障が生じる業務プロセスの見直について継続的に整備を取り組んでおります。

 

 

(6) 仕入先に係る代理店契約の解消・終了に関するリスク

当社は住友電気工業株式会社と特約販売契約を締結しております。当社は同社と1954年8月に特約販売契約を締結し、同社が製造する切削工具等を中心に事業を展開してまいりました。当該契約書には対象となる製品、販売地域、支払方法及び解除事由等が記載されております。

現在、当社と同社とは良好な関係にあるものと認識しておりますが、当社と同社との関係に変化が生じた場合、あるいは同社の特約販売戦略や特約販売店各社に対する諸条件もしくは当社に対する戦略が変更された場合等には、上記特約販売契約の内容等に変更の可能性があり、その場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、現時点では解除事由を含めて当該契約の継続に支障を来す要因は発生しておりませんが、当該契約の継続に支障を来す要因が発生した場合には、事業活動に影響を与える可能性があります。

 

(7) 海外事業に関するリスク

当社グループは積極的に海外での事業展開を図っておりますが、進出しております各国における市場動向、競合会社の存在、政治、経済、法律、為替などのリスクによって、今後の事業戦略や当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、海外取引の拡大に伴い、税率、関税などの監督当局による新たな規制などにより損失や費用負担が増大する恐れがあり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、当社グループでは、海外展開を図る場合には、事前の徹底した情報収集をもとに事業計画を立案し意思決定するとともに、経営環境等の変化により事業計画の見直しの必要性が発生した場合には、撤退も含めて早急に対応を検討する体制を構築しリスクを低減しております。

 

(8) 為替変動によるリスク

当社は外貨建てによる輸出入取引を行っておりますので、大幅な為替変動が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、当社グループは海外に現地法人を有しており、外貨建ての財務諸表を作成しておりますので、連結財務諸表の作成にあたっては、これらを日本円に換算する際の為替レート変動に伴う換算リスクがあります。

これらに対応するため、当社グループでは、外貨建の仕入に対する為替リスクについては、通常の為替変動であれば粗利益を調整し、異常な為替変動があれば、販売価格の改定を行うことでリスクを移転しております。

 

(9) 退職給付債務に関するリスク

当社では確定給付型の退職金制度を採用し、一部を確定給付企業年金制度で運用しておりますので、退職給付債務を計算する前提条件の変更などが、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、当社は確定拠出型企業年金制度を導入し、前述のリスクの低減を図っております

 

(10) システム障害の発生によるリスク

当社では販売チャネルとしてオンライン発注システム「Cominix On-Line」の構築と、eコマース事業として切削工具専門通販サイト「さくさくEC」を立ち上げており、システムの安定稼動の維持に努め不測の事態に備えた対策も講じておりますが、自然災害や事故、サイバー攻撃等によるコンピューターシステムの停止や通信ネットワークの切断、不備による誤動作、不正使用、不正アクセス、コンピューターウイルス等に起因して当社グループの業務に支障が生じた場合には、大きな信用失墜と機会損失に繋がり、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

これらに対応するため、当社グループでは、サーバーのセカンダリ確保を行い、システムのデータバックアップの徹底を図っております。また外部からの攻撃に対しては、ファイアウォール装置の導入するなどリスクを低減しております。

 

(11) レアメタル原材料(タングステン)不足や価格上昇によるリスク

当社グループの主要商品である超硬切削工具に使用されている原材料(タングステン)は、切削工具製造メーカーがその調達のほとんどを中国からの輸入に依存しているため、中国の政治・経済情勢等の変化、法律の改正、紛争、自然災害、伝染病の流行等の不測の事態により原材料(タングステン)が調達できなくなった場合や、その原材料の著しい価格上昇が発生した場合には、当社の販売活動に影響が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

(12)  特定の業界に依存していることに起因するリスク

当社グループの耐摩工具事業は、国内製缶業界向け製缶工具の割合が高い状況となっております。

今後とも製缶工具の販売で培った技術力やノウハウを活かし、同業界向け製缶工具の安定的な取引の確保に努めてまいりますが、同業界における技術革新や市場動向等によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

これらに対応するため、当社グループでは、国内製缶工具の販売で培った技術力やノウハウを活かし、海外の製缶業界への販売及び国内の製缶業界以外への販売を進めてまいります。

 

なお、上記に記載の事業等のリスクにおけるセグメントごとの影響度については次のとおりであります。

リスク名

切削工具
事業

耐摩工具
事業

海外事業

光製品
事業

eコマース事業

その他
事業

全社
(共通)

(1)業績変動リスク

 

(2)金利変動リスク

 

 

 

 

 

 

(3)取引先信用リスク

(4)商品在庫に関するリスク

 

(5)災害・事故によるリスク

(6)仕入先に係る代理店契約の解消・終了に関するリスク

 

 

 

 

 

 

(7)海外事業に関するリスク

 

 

 

 

 

(8)為替変動によるリスク

 

 

(9)退職給付債務に関するリスク

 

 

 

 

 

 

(10)システム障害の発生によるリスク

(11)レアメタル原材料(タングステン)不足や価格上昇によるリスク

 

 

 

(12)特定の業界に依存していることに起因するリスク

 

 

 

 

 

 

     (注) 影響度につきましては次の通りの区分で示しております。

◎・・・大

○・・・中

△・・・小

 

 

配当政策

3 【配当政策】

当社は、経営体質強化と将来の事業展開に備えて、成長資金としての内部留保に適正に配分し、株主の皆様への利益還元を行うことで、資本効率を高め、持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。

配当につきましては、連結配当性向30%を目処として、将来の持続的成長に必要な内部留保の充実を図りながら、持続的かつ業績に応じた利益還元を行っていく方針としております。内部留保資金につきましては、長期的な展望に立った事業所開設資金ならびに新規取扱い商品の購入資金に投入し、さらなる企業競争力の強化に取り組んでまいります。

配当の回数については、年2回の配当を行うことを基本方針としており、その決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。なお、毎年9月30日を基準日として、会社法第454条第5項に規定する中間配当を、取締役会の決議により行うことができる旨を定款に定めております。

当事業年度の剰余金の配当につきましては、安定的な利益還元の方針に基づき、以下のとおり1株につき33.00円(うち中間配当金15.00円)とさせて頂きました。

 

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2023年10月31日

取締役会決議

103

15.00

2024年6月21日

定時株主総会決議

123

18.00