2024年2月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

事業等のリスクについては、各規程等により事業等のリスク管理に関する体制を定めており、事業活動上の重大な事態が発生した場合には、CEO指揮下の対策本部を設置し、迅速かつ的確な対応を行うとともに、損失・被害等を最小限にとどめる体制を整えております。

また、リスクの状況把握については、毎年「リスクマップ」を洗い替えすることにより事業等のリスクを更新し、取締役会への報告を行っております。

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。当社は、これらリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、将来に関する事項は、期末日現在において当社が判断したものであり、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありません。

 

(1) 商用システムの停止及びコンピュータウイルス感染・サイバー攻撃について

当社の事業については、インターネット情報サイトを構成するコンピュータシステムと利用者各位がアクセスする端末とを結ぶ通信ネットワークに依存しております。地震や津波、風水害等の大規模広域災害、火災等の地域災害、コンピュータウイルスによる感染、電力供給の停止、通信障害、その他現段階では予測不可能な原因等によりコンピュータシステムが稼働停止した場合、当社の事業活動に支障をきたす可能性があります。また、一時的な過負荷による当社のシステムまたはISPサービスの作動不能、外部からの不正な手段によるサーバへの侵入等の犯罪、従業員の誤操作による意図しない障害、通信ネットワークの障害等の可能性があります。

当社は係る事態を未然に防ぐために、システムのバックアップ体制の整備及びセキュリティ対策を継続的に進めており、致命的な事態の発生を予防し、発生時の事業運営への影響を軽減させるよう対処しております。しかしながら、これらの障害が発生した場合には、当社の信頼が失墜することに起因した取引停止や当社に対する訴訟・損害賠償請求が発生し、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 情報漏えいについて

当社サイトへの通信は全て、SSL(Secure Sockets Layer)を採用しております。SSLは、サーバと顧客企業及び求職者間で通信される内容を暗号化いたしますので、全ての通信は、第三者の盗聴、改ざん、なりすましから保護されております。その他、不正アクセス防止等のセキュリティ対策を継続して進めております。しかしながら、人材サービス事業及びDX事業などにおいて、個人情報の流出等の重大なトラブルが発生した場合には、契約内容にかかわらず、法的責任を課される可能性があります。また、法的責任を問われないまでも、顧客企業及び求職者の信頼を失い、さらにはブランドイメージの悪化等により、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社は個人情報の厳格な管理を徹底すべく、2004年7月にプライバシーマークを取得し、維持しております。また、2005年10月には、情報セキュリティ規格「BS7799」及び「ISMS認証基準」の認証を取得しました。その後、2006年11月に情報セキュリティマネジメントシステム「IS027001(JIS Q 27001)」に移行し、認証維持しております。

 

(3) 関係法令違反について

(各種規制について)

当社は人材サービス事業においてインターネットを利用した求人広告サービスに取り組むとともに、DX事業においてデジタル技術を活用したサービスを行っております。現時点においてはインターネットやデジタル技術を対象とした法令等の規制は限定的でありますが、今後、法令の制定や改正により、当該領域に影響が及んだ場合、あるいは法令を遵守するための費用が増加するなどした場合、当社の事業運営及び業績に影響を与える可能性があります。

また、当社が運営する事業におきましては、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」、「職業安定法」、「労働基準法」等の様々な法的規制を受けております。当社はこれらの法律等に十分留意し事業活動を行っておりますが、万一これらに抵触する事実が生じた場合や法律の改正及び法的規制の強化等があった場合には、事業活動が制限され、新たな法的規制を遵守するための費用増加にもつながる蓋然性があり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。加えて、看護師をはじめとした有資格者を対象としたサービスを提供しているため、今後これらの資格を規定する「保健師助産師看護師法」等が改定された場合には、当社の事業運営及び業績に影響を与える可能性があります。

なお、当社は、有料職業紹介事業者として、厚生労働大臣の許可を受けております。当社が保有している許可番号は13-ユ-303788であり、有効期限は2027年1月31日となっております。当社の職業紹介事業の継続には有料職業紹介事業者の許可が必要であるため、何らかの理由により許可の取消があった場合には、当社の事業運営及び業績に影響を与える可能性があります。許可が取消となる事由は職業安定法第32条の9において定められておりますが、2024年2月28日時点において当社が認識している限りでは、これら許可取消の事由に該当する事実はありません。

(知的財産権について)

人材サービス事業におけるインターネット上での情報提供サービス及びDX事業において、同業他社が実用新案または特許等を取得した場合、その内容によっては当社事業の競争優位性の低下または当社への訴訟が発生し、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、日本国内に限らず、当社の営む業務の全部もしくは一部についての実用新案または特許等を第三者が既に取得しており、当社がそれらに抵触することによって費用等が発生するリスクや、当社が保有する知的財産権が第三者により侵害される可能性も否定できません。当社は、その具体的事例を現時点では認識しておりませんが、これらが発生した場合、当社の事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) マーケットの縮小について

当社の主力事業である人材サービス事業は、求人広告を出稿する企業の採用計画に左右され、景気動向や雇用情勢、求人市場等の経済環境、感染症の拡大・流行等により事業環境が著しく変動した場合、当社の事業運営及び業績は大きな影響を受ける可能性があります。

なお、DX事業については、在宅勤務の普及などにより働き方が変化している中で、業務自動化ニーズの拡大が継続しておりますが、景気動向等によって事業環境が著しく変動した場合、当該事業運営及び業績に大きな影響を受ける可能性があります。

 

(5) 業界再編について

人材サービス事業において、インターネットを利用した「アルバイト・パートの求人情報」、「派遣社員の求人情報」、「正社員の求人情報」、「専門職領域の求人情報」及び「看護師紹介事業」を提供する競合他社は多数存在しております。

当社では、他社に先駆けたサービスの導入や新機能を継続的に提供することなどにより、ユーザー囲いこみのための施策を積極的に行っておりますが、既存事業者内でのさらなる競争激化や、新たな参入事業者との競争において当社が適時かつ効果的・効率的に対応ができない場合、当社の事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

DX事業におきましても、求人情報サービスで培った幅広い顧客及び直販の営業人員という独自の強みを活かし、DXサービスを展開しておりますが、今後、同様の強みあるいは当社にはない強みを持つ競合他社が登場し、これら事業者との競争において当社が適時かつ効果的・効率的に対応できない場合、当社の事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 災害等について

当社は、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:TCFD)提言への賛同を表明し、TCFDが提言する情報開示フレームワークに沿った開示を行っております。

当社が事業活動を展開する地域において、地震、津波、台風水害、火災等の災害、地球温暖化等の気候変動の進行による影響を受ける場合、当社の事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性がありますが、これらの事象に備え、災害時従業員行動ガイドラインの策定、建物・システム等の耐震対策やデータのバックアップシステム、従業員の安否確認システムの導入、防災訓練、災害用物資の備蓄等の対策を講じております。

 

(7) 人材サービス事業への依存について

2024年2月期の当社売上高537億82百万円に占める人材サービス事業の売上高比率は88.9%(478億1百万円)であり、依存度が高い状況にあります。そのため、求人広告市場における他の媒体との競合激化などにより、当該事業の売上高の変動が当社の事業運営及び業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。そのため当社は、事業ポートフォリオの分散によって安定的な収益基盤を確立するべく、求人広告メディアを主軸とする事業ドメインを拡大し、景気変動を受けにくい求人広告を通じた人材採用の支援に加え、2019年4月よりAI・RPAを活用したサービスの開発及び提供を行う新事業としてDX事業を開始しております。

なお、2024年2月期のDX事業の売上高は59億81百万円(2023年2月期売上高47億78百万円)と順調に伸長しておりますが、これらの事業が当初の計画どおりに進捗しない場合には、人材サービス事業への依存が続く可能性があります。

 

(8) 感染症の流行について

感染症の発生及び流行拡大については、当社のリスク管理施策で抑制できるものではありませんが、当社従業員の感染の疑いや体調不良時における対応方針の周知徹底、テレワークの実施等により、従業員の安全確保に努めます。

また、顧客とのコミュニケーションにおいても、感染症の発生防止に配慮した営業活動の実施により、事業活動を継続いたします。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要な課題のひとつとして位置づけております。配当は、将来における企業成長のための投資および経営環境の変化に対応するために必要な内部留保を行いつつ、中間・期末の年2回に分けて実施しております。また、配当額の検討にあたっては、前期配当額を下限とし、配当性向50%を目安としております。

上記の利益還元方針に基づき、中間配当につきましては、1株当たり40円の普通配当を行いました。また、期末配当につきましては、1株当たり48円の普通配当を行いました。これにより、年間配当金は、1株当たり88円となりました。

なお、当社では、会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことができる旨を定款に定めております。

 

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2023年10月11日

取締役会決議

(注)1

2,296,437

40

2024年4月12日

取締役会決議

(注)2

2,737,657

48

 

(注) 1.2023年10月11日取締役会決議による配当金の総額には、株式付与ESOP信託口が所有する当社株式2,123,465株に対する配当金84,938千円及び役員報酬BIP信託口が所有する当社株式73,817株に対する配当金2,952千円を含めております。

2.2024年4月12日取締役会決議による配当金の総額には、株式付与ESOP信託口が所有する当社株式2,100,905株に対する配当金100,843千円及び役員報酬BIP信託口が所有する当社株式73,817株に対する配当金3,543千円を含めております。