リスク
3【事業等のリスク】
当社の事業展開において、リスク要因として、重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。また、必ずしも事業等のリスクに該当しない項目についても、投資判断または当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項についても、投資家および株主への積極的な情報開示の観点から記載しております。当社は、リスクの発生可能性を認識した上で、発生を回避する他、発生した場合の迅速な対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項に記載の内容を慎重に検討した上で行う必要があると考えております。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、将来において発生する可能性のあるリスクを全て網羅するものではありません。
(特に重要な影響を及ぼす可能性がある事項)
(1)景気の変動と雇用情勢について
当社の事業は、景気動向による雇用情勢の影響を受けやすく、当社の想定を超える景気後退や経済環境の変化が発生した際は、当社の業績に影響を与えるリスクがあると考えております。当社はリスクを低減するため、国内外の経済動向を注視するとともに、取引企業の多角化を進めております。構造的な人手不足により、景気動向による雇用情勢への影響は減少傾向ではありますが、世界的な金融危機など、経済環境に大きな変化があった際は、企業の採用人数ならびに採用予算の縮小が発生し、当社の業績に影響をもたらす可能性があります。
(2)個人情報の保護について
当社は、事業の性格上、転職・就職活動を行う若手社会人・学生の氏名や住所、メールアドレスなどの個人情報の収集を必要としています。個人情報の外部漏洩はもちろん、不適切な利用や毀損などのトラブルの発生は、当社の業績及び社会的信用に重大な影響をもたらすリスクであると考えております。
当社は、個人情報の保護・適切な管理は、経営上の最重要課題であると捉え、個人情報を取り扱う際の業務フローや権限を明確にし、個人情報保護・管理・運用に関する社内規程を制定しております。また、従業員を対象にした社内研修を実施し、個人情報保護法などの法令・規制を遵守するとともに、情報セキュリティに関する対策を講じております。経済産業省の外郭団体である「一般財団法人日本情報経済社会推進協会」が付与する「プライバシーマーク」の認定を1998年より受けております。当社は就職メディアを運営する企業において「プライバシーマーク」が認定された第1号であり、厳しい審査基準を維持できるよう個人情報の保持・管理に関して全社を挙げて取り組んでおります。
当社では上記のとおり、細心の注意を払い、個人情報の保護・適切な管理を行っておりますが、何らかの理由により、個人情報等の漏洩が生じた場合には、当社の顧客・ユーザーからの信頼の失墜やブランド・イメージの著しい悪化により、当社の事業展開ならびに業績に影響をもたらす可能性があります
(3)パンデミックについて
新型コロナウイルス感染症は、感染対策の定着やワクチン接種の進展等もあり、徐々に社会経済活動も戻りつつあります。しかしながら、完全に収束する時期など予測困難であります。今後、更なる感染拡大や新たな感染症によるパンデミックが起こった場合、当該影響により、得意先の業績低迷による採用予算の縮小などにより、当社の業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
また、イベント(転職博・就職博など)は、求職者や学生、企業が一堂に会し対面での面談を行うという特性上、パンデミックにより厳しい行動制限措置が取られた場合、開催中止や、一定の制約下での開催を余儀なくされ、売上高の減少をまねくリスクがあります。そのため、「Re就活」や「あさがくナビ」などWebメディアでのサービス提供を強化するとともに、オンライン合同企業セミナーや職場体感型の採用動画などサービスの拡充を図っております。
就職・転職情報の提供は、パンデミック発生時も途絶えさせることができない重要な社会インフラであると認識し、情報提供体制の維持ならびに、情報提供チャネルの多角化への対策を講じておりますが、パンデミックが発生すると当社の業績に影響をもたらす可能性があります。
なお、当事業年度の新型コロナウイルス感染症による事業への影響については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要(1)財政状態及び経営成績の状況」をご覧ください。
(4)大規模自然災害、ネットワーク障害について
当社は「Re就活」や「あさがくナビ」等Webメディア関連のサービスを提供しています。地震、台風、洪水等の自然災害に起因する電力供給の停止や、通信障害等によりネットワークが切断された場合、Webメディアのサービス提供が一時中断される可能性があります。また、何らかの原因で一時的に負荷が過重し当社サービスの作動不能に陥る可能性があります。リスクの発生可能性や、回避困難度、リスク発生時の影響範囲等を検証し、バックアップ体制の整備や情報セキュリティ体制の強化など必要な対策を講じておりますが、大規模な自然災害や通信障害など回避困難なネットワーク障害が発生した場合、当社の業績に影響をもたらす可能性があります。
(5)成長投資・新規事業開発について
当社は、2024年10月期から2026年10月期を「投資期」と位置づけています。成長投資、新規事業開発の実施に当たっては、リスクを軽減するために必要な情報収集や様々な検証を行ってまいりますが、新規事業開発が想定したスケジュールで進まない可能性や、追加的な投資が発生する可能性、投資効果として見込んでいた収益の確保に至らない可能性があります。成長投資や新規事業開発において、当初の計画とは異なる事態が発生した場合には、当社の事業展開ならびに業績に影響をもたらすリスクがあります。
(重要なリスクについて)
(1)人口構造の変化・多様な働き方の進化について
当社は、主として20代社会人ならびに学生等、若手人材採用を中心としたサービス提供である就職情報事業を行っており、当該事業の当事業年度における売上高は97.1%を占めています。当社は採用企業から、求人広告掲載料やイベント出展料などの費用を受領するビジネスモデルのため、採用難易度の上昇をもたらす若手人材の減少は事業拡大の機会となるものの、需給のバランスが極端に不均衡になった場合、当社の事業活動や業績に影響をもたらす可能性があります。
また近年、フリーランスや副業・兼業など多様な働き方が緩やかに拡大の傾向です。正社員以外の雇用・就業形態を選択する企業・働き手が増加すると、相対的に正社員雇用の割合が減少し、当社の事業活動や業績に影響をもたらす可能性があります。
(2)業績の季節的変動について
当社の主要事業である就職情報事業、その中でも新卒採用向けの商品については、企業の新卒者の採用活動が活発に行われる時期に売上が集中するため、基本的に当社の売上高は下半期に偏重する傾向があります。将来的に採用活動の時期が変更になれば、当社の売上高の偏重時期がそれに合わせて変化する可能性があります。
2024年10月期から2026年10月期の3ヵ年で、経験者採用領域の成長を強化していく方針のため、業績の季節的変動は徐々に緩やかになることを見込んでいますが、売上高に占める経験者採用サービスの比率が拡大する過程において、売上高の偏重時期がこれまでとは異なる傾向となる可能性があります。
最近2事業年度の上半期及び下半期の売上高と構成比は以下のとおりであります。
|
第45期 自 2021年11月1日 至 2022年10月31日 |
第46期 自 2022年11月1日 至 2023年10月31日 |
||||
上半期 |
下半期 |
通期 |
上半期 |
下半期 |
通期 |
|
売上高(千円) |
2,161,897 |
4,611,525 |
6,773,423 |
3,217,390 |
5,567,377 |
8,784,768 |
構成比(%) |
31.9 |
68.1 |
100.0 |
36.6 |
63.4 |
100.0 |
売上総利益(千円) |
1,194,633 |
3,311,638 |
4,506,272 |
2,031,604 |
3,836,350 |
5,867,954 |
構成比(%) |
26.5 |
73.5 |
100.0 |
34.6 |
65.4 |
100.0 |
営業利益(千円) |
△ 128,710 |
1,750,439 |
1,621,729 |
454,845 |
1,855,641 |
2,310,487 |
構成比(%) |
△ 7.9 |
107.9 |
100.0 |
19.7 |
80.3 |
100.0 |
経常利益(千円) |
64,353 |
1,974,216 |
2,038,569 |
574,567 |
1,988,496 |
2,563,063 |
構成比(%) |
3.2 |
96.8 |
100.0 |
22.4 |
77.6 |
100.0 |
(3)法的規制等について
(1)規制強化について
被雇用者保護の観点から、求人メディアなど転職・就職情報の提供に関する規制が強化される可能性があります。法的規制が当社の事業活動に大きな影響を及ぼした事実はありませんが、関係法規の改廃や新たな法的規制の追加等に関する情報を的確に入手し、対応していくことが必要であると認識しています。
(2)許認可事業について
当社は、有料職業紹介事業及び労働者派遣事業を展開しており、職業安定法第30条第1項及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律第5条第1項の許可を厚生労働大臣より受けております。
① 職業安定法 厚生労働大臣許可 27-ユ-020148
② 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律
厚生労働大臣許可 般27-020410
職業安定法に基づく厚生労働大臣許可の有効期限は2026年6月30日までであり、その更新についての障害は、現状においては、認識しておりません。労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律に基づく厚生労働大臣許可の有効期限は2025年7月31日であり、その更新についての障害は、現状においては、認識しておりません。
今後、これらの関係法規が改廃された場合や新たな法的規制が設けられた場合には、当社の事業が影響を受ける可能性があります。
(3)政府要請の「就職・採用活動日程に関する考え方」の変更について
「就活スケジュール」の変更は事業を行っていく上で考慮すべき事項であると考えております。一般社団法人日本経済団体連合会がこれまで示してきた「採用選考に関する指針」を2021年春入社の学生対象分から廃止することを決めたものの、何らかのルールが必要であろうという大学・企業双方の認識を受け、政府が、「就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議」において新卒採用活動のあり方を協議していくことになりました。現状では、企業・大学・学生への混乱を避けるため、2025年春入社の学生の就職活動についても、会社説明会などの解禁が3月1日、選考の開始が6月1日という現行のルールと同じ内容で経済団体・業界団体に遵守等が要請されることが決まっております。
また、当社を含む就職情報事業主要企業が加盟する「公益社団法人 全国求人情報協会」を通して、関係省庁や大学就職関係担当者等との意見交換等を通年で行っており、加盟各社は上記の指針や政府方針等を尊重した上での情報提供を行うことを遵守しております。
これまでに、法的規制や上記の申合せ等の変化が当社の事業活動に大きな影響を与えた事実はありませんが、今後、これらが大きく変化した場合には当社の業績に影響が及ぶ可能性があります。
(4)公的案件の受託について
当社では、2009年10月期より、経済産業省、中小企業庁、関東経済産業局をはじめとする公的機関や地方自治体から、被雇用者を支援する雇用対策事業や、企業を支援する採用支援事業を受託しております。これらの雇用対策事業や採用支援事業については、国の政策等に少なからず影響を受け公募案件数が増減する可能性を否定できません。それにより今後当社の業績に影響が及ぶ可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主の皆様に対する利益還元を重要な経営課題と位置づけており、併せて企業価値の最大化や、将来の事業拡大に不可欠な新規事業開発、人材育成などの成長投資に必要な内部留保とのバランスも重視しております。そのバランスの上で内部留保を確保したあとの余剰資金につきましては、キャッシュ・フローの状態を勘案の上、可能な限り株主の皆様に還元していくことを基本方針としております。この基本方針に基づき、2023年10月期の年間配当金については1株当たり51円00銭(中間配当24円00銭、期末配当27円00銭)とさせていただきます。
内部留保資金の使途につきましては、高度化する社内情報関連設備や、「あさがくナビ(朝日学情ナビ)」、「Re就活」のためのソフトウェア開発資金等に充当し、事業拡大に努めてまいる所存です。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うこととしており、これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
また「取締役会の決議により、毎年4月30日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。
なお、当事業年度における剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議 |
配当金の総額(千円) |
1株当たりの配当額(円) |
2023年6月12日 |
334,712 |
24 |
取締役会 |
||
2024年1月26日 |
376,973 |
27 |
定時株主総会 |