2023年9月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

  当社グループの事業展開上のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避およびリスクの軽減に努める所存でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項および本項以外の記載事項を、慎重に検討した上でおこなわれる必要があると考えております。そして、以下の記載は、当社が認識するリスクを、横断的に見て、発生頻度と想定損害額を考慮し重要度の高いと想定される項目順に列挙しております。

 なお、本項記載における将来に関する事項は、2023年9月30日現在において、当社グループにおいて想定される範囲内で記載したものであり、全てのリスク要因が網羅されているわけではありません。

 

1.事業全般に関するリスクについて

(1) システムの安全性について

  当社グループが運営する「アクセストレード」「ストアフロントアフィリエイト」「ママスタ」「4MEEE」「塾シル」およびその他の運営メディアやアプリは、インターネットを通じて提供されているものであり、システムの安定稼動が、業務の遂行上、必要不可欠なものとなっております。そのため、常時ネットワークを監視し、日常的に保守管理をおこなっております。また、継続的な設備投資により、システム障害を未然に防ぐ体制を整えております。

  しかしながら、意図的なアクセス数の急増によるサーバー・ネットワークに対する過負荷、ソフトウェアの不備、コンピューターウィルスの侵入、物理的な破壊行為および自然災害等当社グループの想定していない事象の発生により、当社グループの管理するシステムに障害が発生した場合、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) サービスの陳腐化について

  インターネット関連の技術や動向、ビジネスモデルは非常に変化が激しく、インターネットに関連した事業の運営者は、その変化に素早く、柔軟に対応する必要があります。当社グループにおいても、人材の教育、優秀な人材の採用等により、変化に対応し、かつ顧客ニーズに応えられるような体制の強化により、既存サービスの強化と新サービスの導入をはかるようつとめております。
  しかしながら、新しい技術やビジネスモデルの出現に適時に対応できない場合、当社サービスが陳腐化し当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります

 

(3) 法的規制に伴うリスクについて

  現時点では、当社グループのインターネット広告事業およびメディア運営事業において、事業の継続に重要な影響を及ぼす法律規制はないものと認識しておりますが、今後、インターネットの利用者および事業者を規制の対象とする法令、行政指導、その他の規則等が制定された場合、当社グループの事業および業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
  また、当社グループのネットワーク上で広告配信、広告成果のトラッキングおよび不正行為防止のために使用している技術(クッキーの使用等)が規制、制限された場合には、代替手段の開発に対する多額の投資や、代替手段への移行に際しての機会損失により、当社グループの事業および業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 特定人物への依存について

  当社の代表取締役社長である河端伸一郎は、当社グループの創業者であり、会社設立以来の最高経営責任者であります。経営方針や事業戦略の決定やその実行において重要な役割を果たしております。当社グループにおいては、特定の人物に依存しない体制を構築するべく、幹部社員の情報共有や権限の委譲によって同氏に過度に依存しない組織体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社グループの業務を遂行することが困難になった場合、当社グループの事業および業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 新型コロナウイルス感染症の影響について

  現時点では、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が第5類に引き下げられたことなどから、社会経済活動の正常化が進み、インターネット広告に対する広告主の需要は高いものがありますが、これらの状況が変わり、個人消費やサービス需要の大幅な減少や継続的な広告出稿が抑制される場合は、当社グループの事業および業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 個人情報の管理について

  当社グループは、インターネット広告事業およびメディア運営事業において、利用者の個人情報を入手しており、また、従業員や応募者の情報を含めて「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務が課せられております。
  当社グループにおいては、当該義務を遵守すべく、一般社団法人日本プライバシー認証機構が認証するTRUSTe(トラストイー)を取得するなど、個人情報の取扱いに際し細心の注意を払い、プライバシー・ポリシーの制定・遵守や内部監査によるチェック等により、個人情報保護に関し十分な体制構築がおこなわれていると考えております。
  しかしながら、不測の事態により、個人情報が外部に流出した場合には、当社グループに対する損害賠償の請求や信用力の失墜により、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) M&Aによる事業拡大および業務提携について

  アフィリエイトサービスやウェブメディアを軸にした新たな事業モデルの創造等において、当社グループの事業とシナジーを生み出す可能性が高い案件については、M&Aや業務提携を検討して進めております。しかしながら、このようなプロジェクトは当初の予定通り進捗できる保証はなく、当社グループのコントロールの及ばない外的要因や環境の変化等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(8) 優秀な人材の確保、育成について

  当社グループの運営するインターネット広告事業およびメディア運営事業においては、中長期的な成長のため、付加価値の高いサービスの創出、提供をおこなう、優秀な人材の確保、育成が重要となります。

  当社グループはテレワークとオフィスワークのハイブリッドワークを可能とする就業規則の改定や、オフィス環境の整備など、従業員の働きやすい環境の整備等に取り組んでまいりましたが、当社グループを取り巻く経営環境や採用環境の変化により、当社が求める人材を十分に確保できず、また人材育成が思うように進まない場合、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

2.インターネット広告事業について

(1) 代理店への依存について

 アフィリエイトサービスにおける代理店経由の売上は、55.2%であります。今後も、代理店との良好な関係を続けてまいりますが、代理店の事情や施策の変更、または当社グループのアフィリエイトサービスが陳腐化し、同業他社に対する当社の競争力が低下すること等により、代理店との取引が大きく減少するような場合は、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 参加審査・監視体制について

 アフィリエイトサービスにおいては、広告主(以下、「マーチャント」といいます。)が自らのサービスに適した掲載媒体(以下、「パートナーサイト」といいます。)と提携して広告を掲載する形式が取られるため、パートナーサイトの品質維持も非常に重要となります。当社グループのアフィリエイトサービスにおいては、マーチャントが提携時にパートナーサイトを事前に確認するほか、パートナーサイトによるアフィリエイトサービス登録時において、公序良俗に反しないか、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」「不当景品類及び不当表示防止法」「健康増進法」「医療法」等の法律もしくは関連するガイドラインに抵触するおそれがないか等の登録審査をおこない、また登録後においても、パートナー規約の遵守状況やサイト運営状況を定期的にモニタリングすることにより、パートナーサイトの品質維持につとめております。しかしながら、パートナーサイトにおいてパートナー規約に違反する行為等がなされた結果、マーチャントからのクレーム等により、アフィリエイトサービスの信用が失墜した場合、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 競合について

  アフィリエイトサービスは、新規参入も含め、今後より競争が激化する可能性がありますが、当社グループにおいては、2001年3月から事業運営している経験とノウハウの蓄積に加え、マーチャントやパートナーに対する成果報酬の設定単価等のコンサルティングをおこなうことにより、マーチャントおよびパートナーとの関係強化をはかっております。
  また、システムの改善に関する両者の要望についても、自社内にシステム開発部門を保有していることから早期に対応をはかる等、競争力の維持向上に努めております。しかしながら、競合他社に対する優位性が確立できる保証はなく、競合の結果、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
 

 

(4) 特許権等知的財産権について

  当社グループの主力事業であるアフィリエイトサービスに関する技術やビジネスモデルについて、現時点において、当社グループでは特許権を取得しておりません。なお、アフィリエイトを応用した一部の機能について特許を取得している企業はありますが、当社グループのシステムとは異なるものと考えております。しかしながら、特許の内容により当社グループのシステムに対する訴訟等が発生した場合は、当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 海外展開に伴うリスクについて

  当社グループは、インドネシア共和国、タイ王国、ベトナム社会主義共和国、シンガポール共和国およびマレーシアにおいて現地法人を設立し、事業運営をおこなっております。アジア諸国においては、戦争、テロといった政治リスク、為替の急激な変動や貿易不均衡といった経済リスク、文化や慣習の違いから生ずる労務問題といった社会的リスクが、予想を超える水準で発生する可能性があります。

 

(6) 為替リスクについて

  海外関係会社の財務諸表は原則として現地通貨で作成後、連結財務諸表作成のため円換算されております。したがって、決算時の為替レートにより、現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が当社グループの経営成績および財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 決済代行業者との取引について

  子会社の株式会社ストアフロントの運営する継続課金型サービスおよびサブスクリプションプラットフォームサービスは、売上金の回収につき、決済代行会社を介しておこなっております。当社グループと決済代行会社との取引関係においては、今後も継続的かつ安定的な取引を推進するよう努めてまいりますが、販売商品・サービスもしくは販売方法等を原因として取引停止等になった場合、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

3.メディア運営事業について

(1) サイト内の書き込みについて

 メディアサイトの「ママスタ」においては、サイト閲覧者が育児情報等を自由に書き込みおよび閲覧することができる掲示板を提供しております。この掲示板には、育児等に対する有益な内容が書き込まれております。当社グループでは、利用規約の承諾を前提に「ママスタ」をご利用いただいており、誹謗中傷等の記載を認識した場合は、社内の運用ルールや「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」に基づく措置に従って、すみやかに該当箇所を削除するよう努力しております。また、犯罪予告や脅迫等の記載を発見した場合は、警察当局と連携し、対応をおこなっております。

 しかしながら、サイト利用者による誹謗中傷等の内容が記載された書き込みを発見できなかった場合や発見が遅れた場合は、マーチャントの当社グループに対する信用力が低下し、マーチャント数が減少すること等により、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 著作権や肖像権等の侵害について

 メディアサイトの「4MEEE」「ヨガジャーナルオンライン」等においては、画像、映像等を利用したコンテンツが存在しており、これらのコンテンツは、第三者の著作権や著作者人格権もしくは肖像権等を侵害しないよう細心の注意を払って制作され、掲載されております。しかしながら、当社グループの提供するコンテンツが意図せず第三者の著作権等や肖像権等を侵害し、権利者から、使用差し止め・使用料の請求等につき訴訟等が発生した場合は、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 広告の掲載について

 メディアサイトの「ママスタ」「4MEEE」「saita」「ヨガジャーナルオンライン」等はアドネットワーク、純広告およびタイアップ広告等で収益を得ており、広告主の広告掲載内容が「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」「不当景品類及び不当表示防止法」等の法律やガイドラインに違反しないようシステムによるチェックや目視による精査をおこなっておりますが、過失等の要因により掲載した広告に瑕疵があった場合は、当社グループメディアサイトの信頼性を毀損し、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 広告プラットフォーマーの動向について

 メディアサイトの「ママスタ」「4MEEE」「saita」「ヨガジャーナルオンライン」等はアドネットワーク広告等で収益を得ておりますが、広告プラットフォーマーのポリシーに基づく広告表示の影響により広告単価が下落し、当連結会計年度におけるアドネットワーク広告収益は大きく減少しております。当社グループでは、広告表示方法の改善や他のプラットフォーマーを利用した広告掲載等により収益の維持・強化に努めておりますが、今後もプラットフォーマーのポリシーや技術的な仕様の変更等により、メディアサイトの広告掲載に何らかの制約が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

配当政策

3【配当政策】

当社の剰余金の配当等決定に関する方針は、将来の投資のための内部留保の充実と、財務基盤の確立および株主への利益還元を総合的に勘案し、企業価値、株主価値の最大化を目指しながら、業績に応じた機動的な配当を通じて株主に直接還元していくことを都度検討し実施してまいります。

内部留保については、財務体質の強化のほか、事業成長のためのマーケティング、事業開発、人材育成および品質向上等に投資し、持続的な成長に向けてグループ事業基盤の強化に努めてまいります。

当社は、会社法第459条第1項各号に定める剰余金の配当等については、当社は、法令に別段の定めがある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議をもって行う旨を定款に定めております。

第24期の配当金額につきましては、取締役会の決議により25円とさせていただきました。

 

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たりの配当額(円)

2023年11月14日

156,920

25

取締役会決議

 

  なお、当社は、2023年11月14日に「配当方針の変更に関するお知らせ」にて公表いたしましたとおり、次のとおり配当方針を変更いたしました。

「当社の剰余金の配当等の決定に関する方針は、中長期的な企業価値の向上を目指しながら、継続的かつ安定的な株主還元を実施するために、ROE(株主資本利益率)と連動するDOE(株主資本配当率)3%以上を目安に配当を行うことを基本方針といたします。」

  第25期の配当につきましては、第25期の連結業績見通しおよび上記方針を勘案し、30円を予定しております。