2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    644名(連結)
  • 平均年齢
  • 平均勤続年数
  • 平均年収

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

砂糖その他食品事業

539

(65)

健康産業事業

63

(77)

倉庫事業

42

(-)

合計

644

(142)

(注)1.従業員数は就業人員です。

2.従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員です。

 

(2)提出会社の状況

  当社は2023年1月1日付で持株会社体制に移行し、業務を委託しているため、当事業年度末時点において従業員はいません。

 

(3)労働組合の状況

 当連結会社従業員のうち、42名が日新製糖労働組合に所属しています。

 なお、労使関係について特記すべき事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

  当社は2023年1月1日付で持株会社体制に移行し、業務を委託しているため、当事業年度末時点において従業員がおらず、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)および「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しています。

 

② 連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)

男性労働者の育児休業取得率(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)

全労働者

うち

正規雇用

労働者

うち有期

労働者

全労働者

うち

正規雇用

労働者

うち有期

労働者

日新製糖㈱

6.1

50.0

50.0

78.9

79.3

67.7

伊藤忠製糖㈱

8.1

60.0

60.0

69.9

70.3

ツキオカフィルム製薬㈱

5.0

㈱日新ウエルネス

17.8

59.6

76.7

111.1

(注)1.管理職に占める女性労働者の割合は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2.男性労働者の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出(育児休業をした男性労働者数/配偶者が出産した男性労働者数)したものです。

3.労働者の男女の賃金の差異は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出(女性の平均年間賃金/男性の平均年間賃金)したものです。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティ経営の推進に関する考え方及び取組は、次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(マテリアリティ)

(1)マテリアリティの特定および考え方

 当社グループは、様々なステークホルダーの各種課題を“Well-being”に注目して整理し、社会環境、事業環境の変化を捉えたうえで、パーパス・事業戦略等を踏まえ、5つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。

 

        <検討プロセス ステークホルダーおよび自社の視点からの優先度検討>

 

(2)特定したマテリアリティの詳細

 特定したマテリアリティと設定したKGI(重要目標達成指標)、および対応するSDGsは以下のとおりです。

 

 これらの分野における取り組みを通じて、当社グループは持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指します。

 

(気候変動関連)

 気候変動問題に対してはマテリアリティの一つである「自然との共生」の中で取り組み、金融安定理事会の気候関連財務情報開示タスクフォース(以下「TCFD」という。)の提言に沿った適切な情報開示を行っています。

 今後も継続的にシナリオ分析を行い、気候変動が当社グループの事業に与えるリスクおよび機会を考察し、その結果を用いて、グループ全体で地球環境への負荷を低減した事業活動を行います。

 

(1)ガバナンス

 当社では、「サステナビリティ推進委員会」を適宜開催し、気候変動を含めた環境全体の取組を全社的に検討・推進します。

 サステナビリティ推進委員会では、気候変動に係る当社のリスクおよび収益機会が事業活動や収益等に与える影響について考察を行い、そのために必要なデータの収集と分析を全社横断的に行います。

また、気候変動を含む環境問題の基本方針や重要事項を策定し、それらを実践するための体制構築・整備、具体的な施策の審議・決定をするとともに、各種施策の進捗については定期的なモニタリングを行い、必要に応じて取締 役会に報告します。

 サステナビリティ推進委員会にて審議・検討した結果、当社経営に重大な影響を与えると判断された事項については、適宜取締役会にその内容を上程し、取締役会にて対応を審議・決議します。

 社内体制図については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ②コーポレート・ガバナンスの体制の概要および当該体制を採用する理由 a.コーポレート・ガバナンスの体制の概要 コーポレート・ガバナンスの体制の概要図(2024年6月26日現在)」に記載しています。

 

(2)戦略

シナリオ分析

 シナリオ分析については、精製糖事業を中心に4℃シナリオ、1.5℃シナリオ(一部2℃シナリオも併用)の2つのシナリオで、サステナビリティ全体像でも指標としている2030年時点を想定し、考察しました。

 

当社グループ事業に想定されるリスク

分類

種類

項目

想定されるリスク

影響度

時期

4℃

1.5℃

移行リスク

政策・法規制

カーボンプライシングの導入

・炭素税をはじめとする気候変動問題対策による操業コストの増加

中期

温室効果ガス(GHG)排出規制の強化

・施設や設備等のGHG排出削減対応コストの増加

再エネ/省エネ政策の強化

・再生可能エネルギー価格の上昇や省エネ設備什器への更新コストの発生

技術

低炭素技術の進展

・原材料(サトウキビ)がバイオエタノールに多く使用されることによる、原材料調達コストの変化

市場

エシカル消費への変化

・サステナビリティ認証等、環境に配慮した商品を展開しない場合、環境負荷未対応商品の売上減や、他社製品への顧客流出が発生

評判

顧客および投資家からの評価

・自社の気候変動への取り組みが不十分である場合、レピュテーションリスクが発生

物理リスク

急性

異常気象の激甚化
(台風、洪水、高潮、土砂等)

・サプライチェーンの寸断による一時的な操業停止

短期

・川沿い・海沿いに立地する工場が被災した場合、該当拠点の操業停止および復旧コストが発生

慢性

干ばつの発生や降雨量の変化

・主要原材料(サトウキビ・てん菜)の生育不良や収量の低下

中期

時間軸

評価

短期:0~3年 中期:4~10年(2030年)

長期:11年~

事業活動に与える影響を「大」「中」「小」で評価。

 

4℃シナリオ

 現状を上回る気候変動対策はとられず、産業革命時期比で2100年時点3.2~5.4℃上昇するとされているシナリオ。カーボンプライシングの導入はなく、再生可能エネルギーへの転換などは現状から特段大きく進展しないため、平均気温が上昇し、異常気象の激甚化などが顕著になる。

参考シナリオ:IEA Stated Policies Scenario

 

1.5℃シナリオ

 現状、各国が発表している以上の気候変動に対する厳しい対策がとられ、カーボンニュートラル実現を目指した積極的な取組が進むとされているシナリオ。気候変動対策としての法規制は現行より非常に強まり、再生可能エネルギーへの転換が進むとされる。

参考シナリオ:IEA Net Zero Emissions by 2050(一部、Sustainable Development Scenarioも併用)

 

リスク軽減および事業機会とするための取組

リスク項目

対応の方向性

リスク軽減および事業機会とするための取組

カーボンプライシングの導入

脱炭素化の推進

・日新製糖㈱千葉工場における太陽光設備設置および運用

・日新製糖㈱今福工場にて運河と「はしけ」を使った原料輸送

・社用車のエコカー「ハイブリッド車」100%導入

・日新製糖㈱および伊藤忠製糖㈱の物流部門でリードタイムの見直しや共同配送によるトラック台数の削減を行い、物流を効率化

・日新製糖㈱と伊藤忠製糖㈱にて照明のLED化を実施

・グループ会社の新光糖業㈱にて、バガス(サトウキビの搾りかす)を活用した電力で工場設備を稼働

・伊藤忠製糖㈱構内にて使用の作業車両のEV化、一部設備の冷媒ノンフロン化を実施

GHG排出規制の強化

再エネ/省エネ政策の強化

エシカル消費への変化

エシカル嗜好に対応する商品の使用と開発

・包材の薄肉化による廃棄物の削減

・一部製品の包材の印刷インキに水性・植物油・バイオマス系インキを使用し、石油原料使用量を削減

・一部製品の紙ロールにFSC認証紙を使用

・一部製品の完全紙化大袋に切り替え(実施検討中)

顧客および投資家からの評価

環境情報の適切な開示

・TCFDのフレームワークに沿った情報開示

・気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative)への参加

異常気象の激甚化

防災・減災対策の強化

・当社グループ各拠点にて、地震・台風・水害といったあらゆる自然災害を想定し対策を実施

原材料調達の安定化

およびコスト変化

分散型調達の強化

・オーストラリアやタイ、国内産など様々な産地の原料糖を使用して砂糖を製造。原料や資材の調達が滞ることがないよう調達先の複数化・分散化

 

(3)リスク管理

 当社グループでは、企業経営を取り巻く様々なリスクに対応するため、リスク管理の基本方針および管理体制を「リスク管理規程」において定めています。

 また、全社横断的なリスク管理のため、執行役員社長をリスク管理の最高責任者とし、リスク管理担当執行役員を委員長とする「リスク管理委員会」を設置し、個々のリスクについての管理担当部を定め、同規程に則ったリスク管理体制を確立しています。

 同管理体制においては、顕在化あるいは潜在しているリスクを各事業所から抽出・特定し、経営に与える影響度等を基準に評価、分類のうえ、リスクレベルに応じた対応を行い、リスクの発生を未然に防止し、万一発生した場合でも、経営への被害を最小限に食い止めるよう措置を講じています。

 当社グループ事業活動で想定されるリスクの中でも特に気候変動関連リスクについて、当社グループでは原料であるサトウキビなどの自然資本を活用して、精製糖の製造・販売を行っているため、気候変動による原料調達の変化等、気候変動関連リスクは重要な問題であると認識しており、また、砂糖製造のサプライチェーンの中で「製造」と「物流」は環境負荷が高くなっているため、当社グループの事業活動が地球環境に与える影響があることを把握し、その影響を軽減することはサステナビリティの推進・向上に繋がると考えています。

 気候変動関連リスクについては、当社グループリスク管理体制の下、経営に与える影響度やシナリオ分析等により評価、分類し、サステナビリティ推進委員会、コンプライアンス委員会、リスク管理委員会が有機的に連動し、経営上重要なリスクについては、取締役会で審議・決議します。

 

(4)指標及び目標

 温室効果ガス(GHG)排出量

 当社グループでは、気候変動が経営に及ぼすリスクと機会等の影響を測定・管理するための指標として、温室効果ガス(GHG)排出量のうち、日新製糖㈱ではCO2排出量を指標とし、「2024年度までに対2019年度比5%低減」という目標を設定しています。

 今後、伊藤忠製糖㈱も含めた当社グループ全体でGHG排出量削減目標を策定するとともに、バリューチェーンにおけるGHG排出量の継続的な削減を目指していきます。

 

※本社・千葉地区(新東日本製糖㈱は除く)・今福工場を対象に算定。また、上記数値は、経営統合前の当社(旧商号:日新製糖㈱)における算定数値。

 

削減目標(日新製糖):2024年度時点CO2排出量を15,357t-CO2に

     (2024年度までに対2019年度比5%低減)

 

(参考)

※伊藤忠製糖㈱・第一糖業㈱を対象に算定

 

(人的資本関係)

(1)戦略

 当社グループでは、人的資本経営について、「多様性」の確保と「エンゲージメント」の向上を中心に据え、会社と従業員が強く結びつくことが新たな価値創出に繋がるものと考え、そのストーリーを示します。

 当社グループの持続的な成長のためには、Sugar軸における生産性向上がもたらす安定した事業基盤、ならびにFood&Wellness軸における新素材の開発および新規事業の創出が必要と考えています。Sugar軸・Food&Wellness軸の両軸において、マーケットイン型の製品・サービスの提供を展開していくうえで、変化のスピードが増し多様化する社会ニーズへ柔軟に対応するために、従来の知見に囚われない多様な価値観や考えを持つ人材が、オープンな職場環境下で、年齢・性別等を問わず自由闊達に様々なアイディア、意見を交わせることが必要不可欠です。すなわち、組織を構成する人材の「多様性」の確保と風通しの良い組織風土の醸成が、組織力や競争力の強化の源泉であり、多様な人材に「選ばれる企業」であり続けることが、当社グループの持続的成長にとって極めて重要と認識しています。

 上記観点から、当社は、こうした多様性や組織風土を評価する指標として、管理職に占める女性労働者の比率、男性の育児休業取得率、男女間の賃金差異の他に、新規学卒採用者やキャリア採用者の定着率(離職率)およびエンゲージメントスコアをモニタリングしながら、人事制度の改革や運用見直しに努めていきます。

 

 そして、多様な属性・価値観をリスペクトし受容するオープンな職場環境の下、すべての従業員が、年齢・性別等を問わず自律したプロフェッショナルとして活躍できる新しい人事制度を導入・運用し、スピード感をもってリーダーの育成や中核人材の拡充を行います。なお、当社の考えるプロフェッショナル人材とは、単に特定分野の業務に精通した専門家ではなく、高度な専門的知見を有するスペシャリスト、あるいは、ジョブローテーション等によって培われた多分野にわたって豊富な知見を有するオールラウンダーが、組織における重要な役割を担い、周囲を巻き込みながら大きな成果を生み出せる者であり、こうしたプロフェッショナル人材の中から、マネジメントに優れた者を組織長として任用していく方針です。

 

 また、当社は、HR-Tech を活用して人材の「見える化」を図り、多様な属性を持つ人材、未知の領域や困難な状況でも果敢に「挑戦」できる人材、自身の考えやアイディアを論理的に発信できる人材等を計画的に採用・育成し、適切な人員配置に活かすことで、経営戦略と人材戦略を効果的に連動させることを目指します。従業員に対しては、HR-Tech を使って自身の保有スキルや強み・弱みを自己分析して、自ら強化すべきスキル・経験の特定を促し、自律したプロフェッショナル人材として育成していきます。

 人材育成において、当社では、能力開発に必要な教育研修制度や自己啓発支援制度として、職群・グレードに応じた階層別研修、公的資格の取得を支援する資格取得報奨金制度、社員が自己研鑽のために業務と直接関連のない教材等を購入した際にも利用できる自己啓発補助制度(毎年、一定限度額内で実費を補助する仕組み)、外部機関と連携した英語自己学習プログラム等を運用しています。今後も、こうした人材育成プログラムをさらに拡充し、併せて自己申告制度やOJT、ジョブローテーション等を有効に活用しながら、従業員に対して「挑戦」の場となる実践の機会を公平に提供し、成果に対して公正な評価を行うことで、従業員のモチベーションを維持・向上させていきます。

 従業員の「挑戦」については、これを積極的に評価しつつ、もし失敗した場合でもセカンドチャンスを提供し、「挑戦」をしっかりと支援するだけでなく、「挑戦」を支える縁の下の力持ちの役割(ベストスタッフ)も評価する組織風土を醸成します。そして、従業員一人ひとりが、パーパスやビジョン、バリューに共感しながら前向きに働ける職場環境で、自己実現や自己の成長を実感することにより、働きがいを得られる会社であり続けることを目指します。それが従業員の心理的安全性の確保やエンゲージメントの向上に繋がり、従業員の成長と生産性向上が会社の持続的成長をもたらす好循環を生み、ひいては多様な人材に「選ばれる会社」になると考えています。

 

 さらに、当社は、ワークライフバランスの実現に向けた各種制度の導入・運用によって、個々の従業員に合った持続可能な働き方を提供し、従業員の心身の健康に配慮した「健康経営」に関する取り組みを推進することで、多様な人材にとって働きやすく働きがいのある会社を目指し、従業員の“Well-being”の実現に取り組んでいきます。

 

 

(2)指標及び目標

 人的資本に関する指標について、目標および実績は次のとおりです。なお、当社は従業員を有していないため、当社グループの主要な事業を行う会社における指標を記載しています。

 

指標

主要会社

目標

実績

管理職に占める女性労働者の割合※1

日新製糖㈱

伊藤忠製糖㈱

2030年度までに 25%

6.1%

8.1%

育児休業取得率※1

日新製糖㈱

伊藤忠製糖㈱

100%

男性:50.0% 女性:100.0%

男性:60.0% 女性:100.0%

労働者の男女の賃金の差異※1

日新製糖㈱

伊藤忠製糖㈱

78.9%

69.9%

新卒採用者定着率※2

日新製糖㈱

伊藤忠製糖㈱

87.5%

100.0%

※1 当事業年度の実績を記載しています。

※2 入社3年後の定着率で、前事業年度の実績を記載しています。