2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主なリスクは、以下のとおりであります。

また、当社グループは、これらのリスクに対する管理体制を「第4 提出会社の状況」の「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおり整備しております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 薬局の経営並びに医薬品、化粧品、日用雑貨等の販売事業に関するリスク

① 当社グループにおいては、4種類の店舗形態を運営しております。形態といたしましては、ドラッグストア形態、調剤薬局形態、複合形態である調剤併設ドラッグストア形態及びディスカウントストア形態の4種類です。
 グループ全店舗中187店舗で展開する調剤業務は、医薬分業が進展するに従い処方箋の応需枚数が一層増加することが予想されます。調剤薬の瑕疵・調剤ミス等により将来訴訟や行政処分を受ける可能性があり、その場合、当社グループの社会的信用が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、調剤部によるグループ全体の調剤業務に関する技術や医薬品の知識の向上に取り組み、調剤過誤を防止すべく万全の管理体制のもと、細心の注意を払い調剤業務を行うとともに、調剤ミスリスク防止や効率化のために、監査チェックカメラを設置しております。更に調剤ロボット導入投資を検討しており、リスク軽減に努めております。また、リスク管理のため、全店で「薬局賠償責任保険」に加入しております。

 

② 調剤業務の売上に係る調剤報酬及び医療用医薬品の価格(薬価)は、法令により定められております。今後これらの調剤報酬や薬価の改定によっては、業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、日々進化するデジタルやAI・IoTを活用した更なる高度なシステム構築や業務の省力化・効率化投資による生産性向上により、「ローコストオペレーション」の持続的運営を図り、コスト低減、利益率の維持・向上の推進に注力し、リスクの軽減を図っております。

 

③ 当社グループは、取扱い商品の大半を卸業者及び一部を製造メーカーより仕入れておりますが、仕入れ値が変動する可能性があり、売上高及び売上総利益へ影響を及ぼす可能性があります。

  当社グループは、市況変動に対応すべく、また、顧客ニーズ対応・掘り起こしに向けて、プライベートブランド商品(高付加価値商品と機能性のある低価格商品)の新製品開発強化によるリスク軽減を図っております。

 

④ 当社グループの本社及び各店舗、物流センター所在地において、大地震はじめ自然災害や予期せぬ事故・犯罪等の発生或いは新型ウイルス・細菌感染症が大流行した場合、各拠点における人的被害・物理的損害やサプライチェーン寸断等が発生し営業活動が阻害され、業績に影響を及ぼす可能性があります。

   当社グループは、被害リスクの最小化と被災地域への貢献に資すべく、「災害対策マニュアル」に基づく研修と訓練を、本部・全店舗にて、毎年定期的に実施し対応しております。

 

 

(2) 財政状態及び経営成績に関するリスク

  (出店に関連するリスクについて)

① ドラッグストア業界では、同業他社の積極的な出店による競合に加え、他業種との競合もあり、来店客数の減少、売上単価の低下などにより当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
 また、同業他社及び他業種の積極的な出店による物件の取り合いにより賃料等が高騰する場合があります。このような状況のなか当社グループの新規出店の選定に関し、当社グループの厳格な出店基準に合致する物件がなければ出店予定数を変更することもあるため、業績見通しに影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、M&A・店舗開発戦略の強化並びにマーチャンダイジング精度アップと販売促進企画充実化での利益率向上による出店基準の緩和に努め、併せて、優秀な新卒や専門性・即戦力ある中途採用などの人材確保で多様性を高めるとともに、研修の更なる充実による育成で人員資質の強化を図り、リスク軽減に対処しております。

 

② 店舗賃貸借契約にて、賃貸人に対し、敷金・保証金・建設協力金等を預託・貸付することがありますが、賃貸人の倒産等により、当該預託・貸付資金の回収が困難になる可能性があります。

当社グループは、可能な限りのリスク回避に向けて、担保権設定等や賃貸人の財務状況等情報収集に努めております。

 

  (M&Aや業務提携に関するリスクについて)

当社グループは、株式、出資金の取得や業務提携等を通じて事業の拡大を図っております。また、これらの投資に伴いのれんを計上している場合もあります。当該事業が当初の目論見通りの収益を上げられない場合、のれんの減損を含め、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

株式、出資金の取得や業務提携等を実施する際には、第三者機関にも評価を依頼し、十分な事前調査を行うとともに、精緻な事業計画を立て、その意思決定を行っております。また、実施後の事業進捗については、定期的にモニタリングを行い、当該リスクの低減に努めております。

 

 

(3) 法的規制に関するリスク

① 法的規制について

  当社グループは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、「医薬品医療機器等法」という。)で定義する医薬品等の販売をするにあたり、その内容により各都道府県の許可・登録・指定・免許及び届出を必要としております。また、酒類・食品等の販売についても、それぞれの関係法令に基づき所轄官公庁の認可・登録等を必要としております。従って、これら法令の改正等により店舗の営業等に影響を及ぼす可能性があります。

② 医薬品販売の規制緩和について
 「薬事法の一部を改正する法律(公布日 2013年12月13日、施行日 2014年6月12日)により一般用医薬品のネット販売が事実上解禁となりました。現状では、第1類医薬品を販売する際には、薬剤師が医薬品に関する情報提供が義務付けられていますが、今後より一層の規制緩和が進み、他業種との競争が激化した場合には、当社グループの事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

  当社グループは、上記①・②のリスク軽減のために、法改定に迅速に対応すべく、企業理念である“一歩先を考え、半歩先に行動する”人材育成に傾注した研修を更にブラッシュアップしつつ実施し、対処しております。

 

 

③ 有資格者の確保について
 薬局及び医薬品販売業では、医薬品医療機器等法により店舗ごとに薬剤師または登録販売者を従事させることが義務付けられており、調剤業務に関しては薬剤師が行わなければなりません。従って、在籍薬剤師の人数及び在籍登録販売者の人数は新規出店の重要な制約条件となります。
 ドラッグストア業界では、同業他社などの積極的な出店などの要因もあり、薬剤師の採用競争は引き続き激しくなっております。つれて薬剤師の確保のための採用費等の上昇が続くものと思われます。一方登録販売者につきましても、他業種からの医薬品販売への参入増加が予想され、他業種等からの引き抜きなども懸念されております。このような状況において、出店に必要な薬剤師及び登録販売者が確保できなかった場合は、当社グループの出店計画に影響を与え成長を阻害される可能性があり、薬剤師及び登録販売者が確保された場合においても人件費の上昇が続いた場合、当社グループに影響を及ぼす可能性があります。

   当社グループは、男女性差なく、一人ひとりが能力を発揮し活躍できる会社を目指し、さまざまな働き方の多様化に寄り添い、就労形態や処遇形態などにおける働きやすい環境や各種制度づくりをはじめ、外部変化をも把握しつつ常に雇用管理の改善に取り組む運営体制で、人材確保に努めております。

  (なお、厚生労働大臣より、①「女性活躍推進法」に基づく『えるぼし(3ツ星)』(最高位)認証、②「次世代育成支援対策推進法」に基づく『プラチナくるみん』認証をそれぞれ取得。 加えて、「仕事と介護(看護)との両立支援企業」として『トモニン』の両立支援シンボルマークを取得しております。)

  また、従業員の各種資格取得を促進する研修体制や受験勉強時間付与制度の充実により、合格者数を増やし、資格者不足リスクの軽減を図っております。

 

④ 個人情報保護について
 当社グループは、ポイントカードシステムの運用に伴う顧客情報、調剤業務に伴う患者情報及び従業員情報等を保持しており、コンピューター管理を行っております。個人情報保護法に基づき、これらの情報管理については万全を期しておりますが、万が一情報の漏洩があった場合、当社グループは社会的信用を損なうなどの理由により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

   当社グループは、「個人情報保護法」に基づき、情報管理体制を構築し、業務監査室にてモニタリングを実施するとともに、定期的に研修を実施し、「コンプライアンス・リスク管理委員会」にて状況確認するなどにより、リスク軽減に対処しております。

 

(4) 訴訟等に関するリスク

当社グループは、これまで医薬品販売業務や調剤業務に関連した訴訟を受けたことはなく、法的危機管理に対処する体制を社内に整えておりますが、医薬品を処方、販売する事業の性格上訴訟を受ける可能性があります。訴訟の内容及び金額によっては、業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、「コンプライアンス・リスク管理委員会」を定例及び随時に開催し、体制強化を図っております。
 また、薬剤師・登録販売者に対し、「医薬品医療機器等法」の改正事項周知や薬事の更なる高度知識習得のための社内及び社外の研修を積極的に受講させる対応で、リスク軽減を図っております。 他方で、業界等の研修会への講師派遣も行っております。

 

(5) 事業体制に関するリスク

代表取締役社長 CEOをはじめとする経営陣は、各事業分野において重要な役割を果たしております。これら役員が業務執行できない事態となった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、役員・役員候補者に対し、役員向け研修プログラム(e-ラーニング)受講体制を整備し、ガバナンス、コンプライアンスも含め体系的学習を実施いたしております。従業員に対しても役職別にコンプライアンス、マネジメント等の研修体制の充実を図り経営層の育成を推進しております。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社の利益配分につきましては、将来の事業展開、経営体質の強化及び配当性向などを総合的に勘案し、安定的・継続的な配当による利益還元を基本方針としております。

内部留保につきましては、積極的な多店舗展開及び改装の設備資金等に充当し、業容の拡大と事業基盤の強化を図り、業績の向上、経営効率の向上に努め、株主の皆様のご期待に応えてまいりたいと考えております。

また、当社の「剰余金の配当」につきましては、毎年9月30日(中間期末日)及び事業年度末日を基準日として年2回実施することにしており、従来の方針に変更はございません。

これらの剰余金の配当の決定機関は期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

当期の配当額は、より株主の皆様への利益還元を図るため、上記基本方針に加え、配当性向50%を目安とする方針を追加し、当期の業績・財政状態等を総合的に勘案し、1株114円(中間普通配当金57円、期末普通配当金57円)といたしました。

当社は、「当会社は、取締役会の決議によって、毎年9月30日の最終の株主名簿に記載または記録された株主または登録株式質権者に対し、中間配当を行うことができる」旨を定款に定めております。

なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額
(百万円)

1株当たり配当額
(円)

2023年11月14日

取締役会決議

6,666

57

2024年6月21日

定時株主総会決議

6,666

57