2023年9月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

会計事務所事業 地方公共団体事業 印刷事業
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
会計事務所事業 48,757 65.5 11,139 77.8 22.8
地方公共団体事業 20,357 27.4 3,059 21.4 15.0
印刷事業 5,272 7.1 127 0.9 2.4

事業内容

3【事業の内容】

 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社と子会社5社及び関連会社1社により構成されており、会計事務所事業(情報処理サービス、ソフトウエア及びコンサルティング・サービス、オフィス機器の販売、サプライ用品の販売)、地方公共団体事業(情報処理サービス、ソフトウエア及びコンサルティング・サービス、オフィス機器の販売)及び印刷事業を営んでおります。

 各事業における当グループ各社の位置付け等は、次のとおりであります。

 なお、次の3部門は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント情報の区分と同一であります。

(1) 会計事務所事業

主要なサービス・商品

当社及び関係会社の位置づけ

1.情報処理サービス

①TKC統合情報センターによるコンピューター・サービス

②TKCインターネット・サービスセンター(TISC)によるコンピューター・サービス

 

2.ソフトウエア及びコンサルティング・サービス

①情報サービスの利用に伴うシステム機器に搭載するソフトウエアの開発提供

(サービス及び販売)

1.当社は、会計事務所またはその関与先企業に対し、情報処理サービス、ソフトウエア及びコンサルティング・サービス、オフィス機器及びコンピュータ会計用事務用品の販売等を行っております。

2.子会社TKCカスタマーサポートサービス㈱は、会計事務所またはその関与先企業及び中堅・大企業に対し、ヘルプデスクサービスを行っております。

(製造及び制作)

1.子会社㈱TLPは、情報処理サービスを行うために使用するTKCコンピュータ会計用連続帳表等の印刷及びTKCコンピュータ会計システムを利用するための事務用品を製造しています。

2.子会社㈱スカイコムは、ソフトウエアの開発と販売を行っております。

3.子会社㈱TKC出版は、TKC会員会計事務所及びその関与先企業に価値ある経営情報を提供するために経営、税務・会計等の書籍の出版及び月刊誌等の制作を行っております。

4.関連会社アイ・モバイル㈱はホームページサービス開発・保守を行っております。

 

②専門スタッフによるシステム・コンサルティング・サービス等

 

3.オフィス機器の販売

情報サービス利用に伴うシステム機器の販売

 

4.サプライ用品の販売

コンピュータ会計用事務用品の販売等

(その他)

 子会社TKC保安サービス㈱は、当社が所有するビルの警備・営繕等の管理業務を行っております。

 

(2) 地方公共団体事業

主要なサービス・商品

当社及び関係会社の位置づけ

1.情報処理サービス

①TKCインターネット・サービスセンター(TISC)によるコンピューター・サービス

 

(サービス及び販売)

1.当社は、地方公共団体(市区町村等)に対し、情報処理サービス、ソフトウエア及びコンサルティング・サービス、オフィス機器の販売等を行っております。

2.子会社TKCカスタマーサポートサービス㈱は、地方公共団体(市区町村等)に対し、ヘルプデスクサービスを行っております。

 

(製造)

1.子会社㈱TLPは、情報処理サービスを行うために使用するTKCコンピュータ用連続帳表等の印刷を行っております。

2.子会社㈱スカイコムは、ソフトウエアの開発と販売を行っております。

2.ソフトウエア及びコンサルティング・サービス

①情報サービスの利用に伴うシステム機器に搭載するソフトウエアの開発提供

②専門スタッフによるシステム・コンサルティング・サービス等

 

3.オフィス機器の販売

情報サービス利用に伴うシステム機器の販売

 

 

(3) 印刷事業

主要な製品

当社及び関係会社の位置づけ

コンピュータ用連続伝票、一般事務用伝票、データ・プリント・サービス、パンフレット等

(製造及び販売)

子会社㈱TLPは、コンピュータ用連続伝票及び一般事務用伝票等の製造・販売及びDPS(データ・プリント・サービス)を行っております。

 

事業の系統図は次のとおりです。

 

 

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)当社グループの当連結会計年度の経営成績の分析

 ① 全社業績

当連結会計年度(令和4年10月1日~令和5年9月30日(以下、当期))におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行され、政府による支援と経済・社会活動の正常化により緩やかな回復基調で推移しました。一方、世界的な金融引き締めや原材料価格の上昇、ゼロゼロ融資の返済に伴う中小企業の資金繰り悪化など、依然として先行きの不透明感も漂っています。

当社グループは、このような社会環境の変化や政府の取り組みに迅速に対応したシステムの開発やサービスの提供を継続し、顧客ならびに地域・社会に貢献すべく事業を展開してまいりました。

会計事務所事業部門では、顧客である税理士および公認会計士(以下、TKC会員)が、中小企業の伴走型の支援者として、関与先企業の会計・税務や資金繰り支援に取り組めるよう支援しています。また、クラウド型の会計システムの提供と導入支援を通じて、後述のとおり、中小企業の「黒字決算と適正申告」を支援しています。

地方公共団体事業部門では、地方税共通納税システムの対象税目拡大(地方税統一QRコードを活用した地方税の納付)に伴い顧客市区町村が円滑に対応するための支援を展開しました。

これらの活動の結果、当期における株式会社TKCとその連結子会社等6社を含む連結グループの経営成績は、売上高が71,915百万円(前期比6.0%増)、営業利益は14,338百万円(同7.4%増)、経常利益は14,772百万円(同8.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は10,826百万円(同16.2%増)となりました。

当期における事業部門別の売上高の推移は以下のとおりです。

 

 ② 会計事務所事業部門の営業活動と経営成績

1)会計事務所事業部門の営業活動

会計事務所事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第1項:会計事務所の職域防衛と運命打開のため受託する計算センターの経営)に基づき、TKC会員1万1,400名(令和5年9月末日現在)が組織するTKC全国会との密接な連携の下で「黒字決算と適正申告」の実現にむけて事業を展開しています。

TKC全国会は、令和4年より向こう3年間の運動方針と目標を以下のとおり掲げています。

「未来に挑戦するTKC会計人──巡回監査を断行し、企業の黒字決算と適正申告を支援しよう!」

a)優良な電子帳簿を圧倒的に拡大する  -「TKC方式の自計化」の推進

b)租税正義の守護者となる       -「TKC方式の書面添付」の推進

c)黒字化を支援し、優良企業を育成する -「巡回監査」と「経営助言」の推進

当社は、TKC全国会の運動とその目標達成を支援するために、TKC方式の自計化推進を軸とした営業活動を展開しています。

[「黒字決算」と「適正申告」の実現に向けた活動]

a.優良企業の育成に向けた取り組み

 TKCグループでは、中小企業が目指すべき指標として以下の6つの条件を定めました。

 ・TKC方式の自計化による月次決算の実施

 ・税理士法第33条の2第1項に基づく書面添付の実践

 ・中小会計要領への準拠

 ・限界利益額の2期連続増加

 ・自己資本比率が30%以上

 ・税引前当期純利益がプラス

 25万社超の決算書データを収録した令和5年版「TKC経営指標(BAST)」では、この条件を充足した企業を「BAST優良企業」と定義しています。TKC会員は、BAST優良企業の増加に向けて月次巡回監査の実施と月次決算体制の構築支援に取り組んでいます。当社はこうした活動を支援するとともに、「TKC会員は地域の優良企業を育成する伴走者である」ことを社会に広くアピールしています。

b.365日変動損益計算書の活用促進

 TKCの自計化システム(FXシリーズ)には、月次決算を支援する機能や経営者の意思決定を支援する「365日変動損益計算書」を搭載しています。「365日変動損益計算書」は制度会計上の損益計算書と異なり、変動費と固定費に区分して業績を確認できるため、「FXシリーズ」を利用している企業経営者は、限界利益(売上高-変動費)を意識して経営に取り組めるようになります。当社では、この「365日変動損益計算書」を経営者にとって手放せないツールにしていただくための啓蒙活動を展開しています。

 なお、経営者自身が「365日変動損益計算書」を活用し、月次決算の実施により会社を成長させた事例を紹介するドキュメンタリー番組(ドキュメント「戦略経営者」/BS11)をテレビ放映し、積極的に広報活動を展開しています。

 

c.TKC方式の自計化の推進(「FXシリーズ」の推進)

 コロナ禍において実行された実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済開始や、物価、燃料費の高騰などにより、いま中小企業は厳しい経営環境に置かれています。そのため当社は「FXシリーズ」に搭載している「経営戦略レベル」の機能(365日変動損益計算書、予算登録、部門別管理、資金繰り実績表、当期決算の先行き管理)の活用を支援しました。また、経営者がこれらの機能を有効に活用するには、適時・正確な会計取引の入力と月次決算体制の構築が必要となります。そのため、インターネットバンキングから取引明細を受信して仕訳に変換する「銀行信販データ受信機能」や、「戦略給与情報システム(PX2)」との給与仕訳の連携機能など「日常業務レベル」の活用も支援しています。

 こうした活動の結果、令和5年9月末日現在でFXシリーズの利用企業数は約31万社を超えました。当社は「FXシリーズ」の導入を通じて中小企業の月次決算体制を構築し「黒字決算と適正申告」の実現を支援してまいります。

d.改正電子帳簿保存法への完全対応支援

 令和4年1月1日から施行された改正電子帳簿保存法により、国税関係帳簿の電磁的記録である電子帳簿は、①過去の仕訳データの加除訂正履歴(トレーサビリティ)を残している「優良な電子帳簿」(改正電子帳簿保存法施行規則第2条および第5条の要件を満たす電子帳簿)と、②帳簿の加除訂正履歴を残さない会計ソフトで作成した「その他の電子帳簿」(改正電子帳簿保存法施行規則第2条の要件だけを満たす電子帳簿)に区別されることになりました。これは「帳簿の証拠力」の消滅にもつながる法改正であり、帳簿を改ざんできる会計ソフトの利用を国が認めたことになります。当社はこの問題に対処するため「優良な電子帳簿」を作成する「FXシリーズ」の利用促進を全国的に展開しています。また、改正電子帳簿保存法により電子取引データの電子保存の義務化への対応も求められています。引き続き全ての事業者が電子取引に対応できるよう「FXシリーズ」の証憑保存機能の活用も支援してまいります。

e.消費税インボイス制度への完全対応支援

 TKCシステムは、消費税インボイス制度に対応した請求書の発行はもちろん、以下の「3つのポイント」にあるとおり改正消費税法に完全準拠した会計処理を遂行できます。

「3つのポイント」

・仕入先が適格請求書発行事業者かどうかを、取引先名から自動判定

 (13桁の登録番号を入力する必要はありません)

・経過措置・特例の適用の可否を自動チェックし、修正すべき仕訳を一覧表示

 (経過措置の適用となる仕訳や、誤って経過措置を適用した仕訳を確認できます)

・会計帳簿から消費税申告書まで一気通貫

 (平成30年改正令附則22①一および23①一の原則的な取り扱いに完全対応)

 これらのポイントを伝えるため、令和5年4月よりTKC会員事務所向けに「インボイス制度直前対策研修会」を開催しました。全国200会場にて5,000事務所超、1万7,000名を超える参加があり、TKC財務会計システムの消費税インボイス制度対応について理解を深める機会となりました。さらに令和5年6月には、TKCシステムのインボイス制度への対応を完了し、関与先企業の制度対応が混乱無く進むよう支援しています。

 なお、令和4年8月19日に当社は日本におけるPeppol(ペポル)の管理局であるデジタル庁、およびペポルの管理団体である「Open Peppol」(本部:ベルギー)から、国内初のペポルサービスプロバイダーに認定されました。TKCの自計化システムは、ペポルに準拠したデジタルインボイスの発行と受取を標準的に行えるよう機能強化しています。

f.「TKCモニタリング情報サービス」の推進

 「TKCモニタリング情報サービス」は、TKC会員事務所が毎月の巡回監査と月次決算を実施した上で作成した月次試算表、年度決算書、税務申告書などを、関与先企業の経営者からの依頼に基づいて金融機関に開示するための無償のクラウドサービスです。

 当社は「TKCモニタリング情報サービス」で送付される以下の3帳表により、中小企業の決算書の信頼性が確認できることを、金融機関に訴求しています。

ⅰ)TKC会員が実践する「税理士法第33条の2に基づく添付書面」

ⅱ)会社法第432条が定める帳簿の適時性および決算書と申告書の連動性を株式会社TKCが過去3年にわたって証明する「記帳適時性証明書」

ⅲ)日本税理士会連合会、全国信用保証協会連合会が制定した「中小会計要領チェックリスト」

 こうした活動の結果、「TKCモニタリング情報サービス」は令和5年9月末日現在、485金融機関に採用されており、その利用件数は33万件を突破しました。

 「TKCモニタリング情報サービス」は、経営者保証ガイドラインで示された3つの要件(法人と個人の関係を区分・分離、財務基盤の強化、財務状況の正確な把握と適時適切な情報開示による経営の透明性の確保)を確認できるツールとして、中小企業の経営支援に取り組む金融機関や信用保証協会から高く評価されています。中小企業を伴走型で支援する金融機関とTKC会員の架け橋となることが期待されています。

g.会員導入(TKC全国会への入会促進)

 TKC全国会は、2022年から2024年までの3年間で新規に入会する会員事務所を1,000件超とする目標を掲げています。当社はその達成に向けて、TKC全国会ニューメンバーズ・サービス委員会との連携を強化した取り組みを展開しています。併せて新たにTKC全国会に入会した事務所に「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMSクラウド)」をはじめとしたTKCシステムを有効に活用いただくためのサポート体制も強化しています。

[「適時・正確な記帳に基づく信頼性の高い決算書の作成を支援する」ための活動]

a.「中小会計要領」の普及支援活動

 TKC全国会では、中小企業が準拠すべき会計基準として、平成24年2月に制定された「中小企業会計に関する基本要領」(以下、中小会計要領)を推奨しています。

 中小会計要領は、ⅰ)自社の経営状況の把握に役立つ会計ⅱ)利害関係者(金融機関等)への情報提供に資する会計ⅲ)会計と税制の調和を図った上で、会社計算規則に準拠した会計ⅳ)中小企業に過重な負担を課さない会計――の考えに沿って制定されています。

 当社は、その普及・活用に向けたTKC全国会の運動を支援するため、教材などの整備と他の中小企業支援団体との連携に継続して取り組んでいます。

b.「記帳適時性証明書」の発行

 当社では、TKC会員が当社の会計システムを利用する際に当社データセンターに自動的に保存される処理履歴データと過去の時系列データを活用し、金融機関などが客観的にTKC会員事務所の業務水準を判定する資料となる「記帳適時性証明書」を無償で発行しています。このサービスは、TKC会員が作成する決算書と税務申告書の信頼性を高め、関与先企業の円滑な資金調達に貢献することを目的として開発されたものです。これは過去データの遡及的な加除・訂正を禁止している当社の「データセンター利用方式による財務会計処理」の特長を生かしたものであり、TKC会員が毎月、関与先企業に出向いて正しい会計記帳を指導(月次巡回監査)しながら、月次決算、確定決算ならびに電子申告に至るまでの全ての業務プロセスを一気通貫で適時に完了したことを当社が第三者として証明するものです。

[大企業市場への展開]

 当社は、TKCシステムの活用により上場企業を中心とする大企業の税務・会計業務のコンプライアンス向上と合理化に貢献するとともに、これらの企業およびその関係会社をTKC会員の関与先企業とするための活動を積極的に展開しています。

a.デジタルインボイスへの対応

 当社はデジタルインボイスに対応したシステムの普及に取り組んでいます。令和5年4月に開催されたG7群馬高崎デジタル・技術大臣会合の「デジタル技術展」に、当社はデジタル庁と共にデジタルインボイス推進協議会(EIPA)の幹事法人として出展し、デジタルインボイス(ペポルインボイス)の送受信を可能とする「インボイス・マネジャー」を展示しました。

 また、令和5年8月に当社はEIPAの代表幹事法人に就任し、システムベンダーを中心とした約200の協議会加盟会社とともに、デジタルインボイスの普及活動に取り組んでいます。令和5年9月に開催された「カイシャのミライ カレッジ2023」においては、当社がデジタルインボイス推進協議会の代表幹事法人として国税庁軽減税率・インボイス制度対応室とともにデジタルインボイスの詳細について講演しました。

 なお、当社が発行する請求書(売上インボイス)は令和5年10月以降、原則ペポルインボイスに変更しました。これに先立ちTKCシステムを利用しているユーザー企業に対して、ペポルインボイスで請求書を発行する旨と具体的な利用手順などを案内し、準備を進めてきました。令和5年1月から「インボイス・マネジャー」によるペポルインボイスの送受信テストを開始しており、同年9月末にはユーザー企業約90社に請求書をペポルインボイスで送信しています。当社は、今後もデジタルインボイスの普及に積極的に取り組んでまいります。

b.大企業市場でのシェア拡大とTKC会員の関与先拡大支援

 令和4年4月1日以後に開始する事業年度から連結納税制度が見直され、新たにグループ通算制度が開始されました。当社は「グループ通算申告システム(e―TAXグループ通算)」の利用による申告業務をフルにサポートしたことにより、グループ通算制度の開始初年度において、すべてのユーザー企業で電子申告を円滑に完了したことを確認しています。それによりユーザー企業から高い評価を得ることができました。

 このような活動の結果、令和5年9月末日現在で約2万800社あるといわれる資本金1億円超の企業の約40%において「法人電子申告(ASP1000R)」「連結納税システム(eConsoliTax)」「グループ通算申告システム(e-TAXグループ通算)」をご利用いただいています。

 また「TKC連結グループソリューション」の利用企業グループ数は、令和5年9月末日現在で約5,450企業グループとなりました。現在、日本の上場企業における市場シェアは43%に達しており、日本の上場企業の売上高トップ100社のうち93社(93%)が当社のシステムを利用しています。今後もさらなるシステムの普及・拡大を図ります。

[法律情報データベースの市場拡大]

a.「TKCローライブラリー」の利用拡大

 当社がリーガルリサーチのスタンダードサービスとして提供する「TKCローライブラリー」は、基本サービスの判例・法令・文献等と法律専門誌等や法律専門書籍、および関連する付加情報を収録しており、業界最大となる判例収録数(33万7,000件超)を誇る日本最大級の法律情報データベースです。当社はこれらのコンテンツをセットにした「法律事務所向け」「企業法務部門向け」パックサービスの普及活動を展開しています。さらに、令和4年11月から顧客にお勧めする収録記事等の最新情報をメールマガジンで定期配信し、直接当サービスへアクセスできる仕組みを構築しました。こうした活動の結果、資料室や図書館などを利用した紙ベースのリサーチから、オンラインリサーチへの移行が進んでおり、当パックサービスの採用数が増加しています。TKCローライブラリーは、法令・判例・文献情報、主要法律専門誌および専門書籍を閲覧できる総合的な法律関連情報を網羅した唯一のリーガルリサーチサービスとして評価され、順調に契約数を伸ばしています。

 当期においては、TKC会員事務所をはじめ大学・法科大学院、官公庁、法律事務所、特許事務所、企業法務部、海外の研究機関および大学などへの提案活動を実施した結果、令和5年9月末日現在で2万6,000超の諸機関で5万9,000IDが利用されています。

b.アカデミック市場における展開

 多くの大学・法科大学院は、オンラインによる教材やリサーチができる学習環境のDXを推進しています。当社が提供する「TKC教育研究支援システム」「TKCローライブラリー」は、いつでもどこでもオンラインで利用できること、他社をしのぐ多様なコンテンツを収録していること、さらにレポート提出、オンライン演習、テスト機能等を搭載し、授業と自学自習を支援する仕組みとなっていることなどから、2023年度の契約では、140を超える大学で採用され、教員、学生からも高く評価されています。その結果、授業および学習を支えるオンラインシステム基盤として大学の学習環境整備に貢献しています。

c.司法試験受験生の学習支援

 司法試験受験を目指す法科大学院生、修了生、予備試験合格者に対し、司法試験問題演習システムによる学習環境の提供とTKC全国統一模試の実施により、司法試験への対応を支援しています。本年の司法試験出願者4,165名に対し、TKC全国統一模試の受験者は2,598名(62.4%)となり、過去最高を更新しました。それにより6年連続で同業他社の5倍を超える受験実績となり、業界1位のスタンダード模試となっています。今後、受験者数を伸ばすためにも法務省が発表した令和8年のCBT試験移行に向けて答案入力・デジタル添削などに順次対応する準備を進めています。

2)会計事務所事業部門の経営成績の分析

会計事務所事業部門における売上高は48,749百万円(前期比4.9%増)、営業利益は11,139百万円(同1.3%減)となりました。売上高の主な内訳は以下のとおりです。

a.コンピューター・サービス売上高は、前期比3.5%増となりました。これは、中堅企業においてDX(Digital Transformation)への取り組みが加速する中で、中堅企業向け「統合型会計情報システム(FX4クラウド)」の導入が進んでいること、および会計事務所向けの「税理士事務所オフィス・マネジメント・システム(OMSクラウド)」と自宅や外出先からリモートで業務を遂行できる「OMSモバイル」の採用が進み、データセンターにおけるデータ保管量が増加したことによります。

b.ソフトウエア売上高は、前期比5.3%増となりました。これは、消費税インボイス制度や改正電子帳簿保存法に対応するために、適格請求書発行事業者のチェック機能や証憑保存機能の充実した、「FXクラウドシリーズ」を新規に利用開始する関与先企業が増加したことによります。

c.コンサルティング・サービス売上高は、前期比5.5%増となりました。これは「FX4クラウド」の販売が堅調に推移し、立ち上げ支援サービスの実施件数が増加したことによります。

d.ハードウエア売上高は、前期比2.5%増となりました。これは、中小企業庁の「サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)」において、ハードウエアの購入費用も補助の対象となったこと、および令和5年12月末で改正電子帳簿保存法の電子取引データに関する宥恕措置終了に伴い、パソコンやスキャナーの新規購入が増加したこと、さらにIT機器の販売単価が上昇したことなどによります。

e.サプライ用品売上高は、前期比0.4%減となりました。これはリモート業務やデジタル化を支援する事務機器の販売、ならびに消費税インボイス制度や改正電子帳簿保存法に関連する書籍の販売が好調だったものの、デジタル化の進展に伴い印刷関連消耗品の需要が減少したことなどによります。

f.なお、営業利益が前期と比較して減少したのは、令和5年7月以降、消費税インボイス制度や改正電子帳簿保存法への対応を支援するために、セミナー開催や各種ツール類提供を積極的に実施し、販売促進費用が増加したことなどによります。

 

 ③ 地方公共団体事業部門の営業活動と経営成績

1)地方公共団体事業部門の営業活動

地方公共団体事業部門は、会社定款に定める事業目的(第2条第2項:「地方公共団体の行政効率向上のため受託する計算センターの経営」)に基づき、行政効率の向上による住民福祉の増進を支援することを目的として、専門特化した情報サービスを展開しています。

当社は、地方公共団体に対して「TKC行政クラウドサービス」を提供しています。これは「TASKクラウドサービス」「TASKアウトソーシングサービス」の2つで構成されるクラウドサービスです。「TASKクラウドサービス」は、住民基本台帳や税務情報などを管理する「基幹系関連サービス」、財務会計(公会計)や給与計算などの「内部情報系関連サービス」、行政手続きのオンライン申請などの「行政サービス・デジタル化支援サービス」で構成しており、令和5年9月末日現在で1,140団体を超える地方公共団体(都道府県、市区町村等)に採用いただいています。

a.基幹系関連サービスの開発・提供

 当社が提供する「TASKクラウドサービス」は、当社データセンターを運用拠点とした単一バージョンのパッケージシステムでありながら、複数団体による共同利用を前提に設計しています。また、サービス利用料金はサブスクリプション方式を採用しており、この利用料金の範囲内で年1回の定期バージョンアップを実施しています。「TASKアウトソーシングサービス」は、納税通知書や選挙入場券などの大量一括印刷処理を支援するサービスです。当期は新型コロナワクチン追加接種(令和5年度春、秋開始接種)に係る接種券等の印刷業務を迅速に行い、市区町村のワクチン接種事業を積極的に支援しました。こうした点が評価され、「基幹系関連サービス」は令和5年9月末日現在で約170団体に採用されています。

b.行政サービス(各種手続き)のデジタル化・オンライン化の支援

 当社は、窓口業務のデジタル化「3ない窓口(行かない・待たない・書かない)」の実現を支援する「行政サービス・デジタル化支援サービス」を提供しています。当期は「TASKクラウドスマート申請システム」「TASKクラウドかんたん窓口システム」「TASKクラウドマイナンバーカード交付予約・管理システム」の大幅な機能強化を行いました。その結果、令和5年9月末日現在、「TASKクラウドスマート申請システム」は大阪市や横浜市など政令指定都市を含む50団体以上に、「TASKクラウドかんたん窓口システム」は100団体以上に、「TASKクラウドマイナンバーカード交付予約・管理システム」は160団体以上に採用されています。

c.地方税税務手続きのデジタル化の支援

 地方税共同機構の認定委託先事業者として、同機構が運営するeLTAX(地方税ポータルシステム)審査システムなどの標準システムをクラウド方式で提供するとともに、当社独自の機能として各市区町村の税務システムとの「データ連携サービス」を開発・提供しています。

本サービスの推進にあたっては、アライアンス契約を締結した約50社のパートナー企業と共に提案活動を展開しています。その結果、「TASKクラウド地方税電子申告支援サービス」は、令和5年9月末日現在で全都道府県・市区町村の4割以上に当たる約790団体に採用されています。

 当期においては、令和5年4月から開始された地方税共通納税システムの対象税目拡大に伴うシステム導入支援作業に取り組みました。

d.地方公会計制度に完全準拠した財務会計システムの開発・提供

 当社では、総務省が策定した統一的な基準に基づく財務書類作成機能と「日々仕訳方式」に対応した「TASKクラウド公会計システム」と、その関連システムとして「TASKクラウド固定資産管理システム」「TASKクラウド連結財務書類作成システム」を提供しています。

 当期においては、財政状況の見える化による持続可能な財政運営および電子決裁や電子請求書連携などによる内部事務のDX推進を支援する機能を拡充した次世代版公会計システムを提案した結果「TASKクラウド公会計システム」は令和5年9月末日現在で320団体以上に採用されています。

 また、令和5年10月からの消費税インボイス制度の開始に伴い、会計事務所事業部門とノウハウを共有し、システムへの機能実装および市区町村等への移行支援等を実施しました。今後はお客さまのさらなる業務効率化に向けてデジタルインボイスへの対応に取り組みます。

e.次世代製品の研究・開発

 令和4年10月に「地方公共団体情報システム標準化基本方針」が閣議決定され、市区町村は、令和7年度末までに基幹業務システム(20業務)をガバメントクラウド上に構築された標準化基準を満たすアプリケーション(標準仕様準拠システム)に移行することが求められています。

 当社では、地方公共団体を取り巻く環境変化に対応するため、市区町村向けの「自治体DX推進セミナー」を開催し、地方公共団体情報システム標準化に関する最新情報の収集・発信などを通じて顧客サポートの強化に努めています。

 また、当社が協力開発事業者(アプリケーション開発事業者)として参画するガバメントクラウド先行事業において、令和4年10月31日に埼玉県美里町の基幹業務システムが稼働を開始しました。続いて川島町も12月に稼働を開始しています。これは全国初のガバメントクラウド上での稼働事例であり、当社は先行事業で得た知見を生かし、国が定めた目標期限(令和8年3月末)までに全てのお客さまの標準仕様準拠システムへの移行とガバメントクラウドでの稼働完遂を目指しています。

2)地方公共団体事業部門の経営成績の分析

地方公共団体事業部門における売上高は20,357百万円(前期比11.7%増)、営業利益は3,059百万円(同59.2%増)となりました。売上高の主な内訳は以下のとおりです。

a.コンピューター・サービス売上高は、前期比7.2%増となりました。これは、前期までに受託した新たな顧客のシステム本稼働に伴いデータセンター利用料が増加したこと、新型コロナワクチン追加接種(令和5年度春、秋開始接種)に係る接種券等の印刷業務を継続して受託したことなどによります。

b.ソフトウエア売上高は、前期比5.8%増となりました。これは、地方税共通納税システムの対象税目拡大や、前期までに受託した新たな顧客のシステム本稼働に伴うソフトウエア利用料の増加などによります。なお、当社のソフトウエアの利用料は、団体規模に応じた定額のサブスクリプション方式の料金を採用していることから、顧客数の拡大に伴って順調に推移しています。

c.コンサルティング・サービス売上高は、前期比146.0%増となりました。これは、住民基本台帳法の一部改正により開始した「転出・転入手続きのワンストップ化」や地方税共通納税システムの対象税目拡大(地方税統一QRコードを活用した地方税の納付)、新たに受託したデジタル・ガバメント関連サービス等のシステム導入支援などによります。

d.ハードウエア売上高は、前期比5.4%増となりました。これは総務省が主導する自治体情報セキュリティ対策への対応に伴い、市町村におけるネットワーク機器の導入が集中したことによります。

e.なお、営業利益が前期と比較して増加したのは、現在開発中の標準仕様準拠システムなどを資産計上したことなどによります。

 

 ④ 印刷事業部門の営業活動と経営成績

1)印刷事業部門の営業活動

当社グループの印刷事業を担う株式会社TLP(以下、TLP)では、DPS事業、ビジネスフォーム印刷事業および商業美術印刷事業を基軸に事業を展開しています。

DPS事業では、当社の「TASKアウトソーシングサービス」の顧客市区町村ならびに印刷事業部門の顧客市区町村の新型コロナワクチン接種券、価格高騰緊急支援給付金関連通知業務等を受注し、それらの行政サービスを支援しました。一方、民間企業に対しては、ダイレクトメール(以下、DM)の作成および総務、経理、人事部門の主に通知関連業務の合理化を目的としたアウトソーシング(BPO)の提案を継続しています。特に、DM作成においては、DMに印字したQRコードによりDMの効果を測定するサービスなど、顧客利用価値の向上に取り組んでいます。

ビジネスフォーム印刷分野では、ペーパーレス化の進展により、ビジネス帳票・伝票類の使用量が減少傾向にあるものの、手書き伝票を用いるケースも根強くあり、これまでに培われたフォーム印刷の技術が評価され、受注に至っています。

商業美術印刷分野(カタログ、書籍等)では、顧客企業の周年行事における印刷業務、法律改正による専門書籍の改版など、顧客企業が求める時期・内容を充足しタイムリーに製品を提供するなどの支援を継続しています。また、対面によるセミナー等の開催が増加し、配付資料作成の要請も増加しています。かつ、これらの資料作成では、デザインの作成から印刷までを一貫して受注する事例も増えています。

また、TLPは、令和4年10月3日付けでFSC®森林認証(CoC認証・FSC-C182216)を取得しました。環境配慮を志向するお客さまが増えていることを背景に、FSC認証紙の取り扱いは順調に増加しています。また、クリアファイルに代わる環境配慮製品として、紙製ファイルの製造・販売を開始しています。これら環境配慮製品の開発・製造への取り組みにより、環境配慮を志向するお客さまのニーズに対応しています。

なお、TLPは、独占禁止法に基づき公正取引委員会によるTLPに対する排除措置命令の対象となった入札談合により、既に徴収済の違約金によってもなお補填されない損害が残存しているとして、日本年金機構から令和5年10月3日付けで損害賠償請求訴訟を提起され、現在係争中です。

2)印刷事業部門の経営成績の分析

 印刷事業部門における売上高は2,808百万円(前期比10.7%減)、営業利益は127百万円(同11.8%減)となりました。売上高の主な内訳は以下のとおりです。

a.データ・プリント・サービス(以下、DPS)関連商品の売上高は、前期比12.2%減となりました。これは、令和3年10月の衆議院議員選挙入場券の印刷業務および前期受注した国税庁による「確定申告のお知らせはがき」などの大口の入札案件が当期はなかったことによります。

b.ビジネスフォーム関連の売上高は、前期比8.6%増となりました。これは、前期において新規獲得した顧客企業からの伝票印刷業務の受注が増加したことによります。

c.商業美術印刷(カタログ、書籍等)関連の売上高は、前期比9.8%増となりました。これは、消費税インボイス制度を解説する書籍や顧客企業の周年記念事業における印刷業務を受注したこと、およびセミナー等の対面開催の増加により配布資料作成の受注が増加したことによります。

d.なお、営業利益が前期と比較して減少したのは、利益率が高いDPS関連商品の売上高が減少したことに加え、地方税納付書へのQRコード付加に伴い外注加工費が増加したことなどによります。

 

 ⑤ 全社に関わる重要な事項

1)ガバメントクラウド先行事業において全国初の稼働開始

 当社が協力開発事業者(アプリケーション開発事業者)として参画するガバメントクラウド先行事業において、令和4年10月31日に埼玉県美里町の基幹業務システムが稼働を開始しました。続けて川島町も同年12月に稼働を開始しています。これは全国初のガバメントクラウド上での稼働事例であり、当社は先行事業で得た知見を生かし、国が定めた目標期限(令和7年度末)までに全てのお客さまの標準仕様準拠システムへの移行とガバメントクラウドでの稼働完遂を目指します。

2)ペポルインボイス(デジタルインボイス)の送受信開始

 当社のクラウド型システム「インボイス・マネジャー」のユーザー企業90社超において、国際標準仕様である「Peppol(ペポル)」をベースにしたペポルインボイス(デジタルインボイス)の送受信実験が実施されました。今後当社は、令和5年10月のインボイス制度の運用開始に伴い、自社の請求業務にペポルインボイスを活用し、蓄積したノウハウをユーザー企業に提供することにより、請求業務のデジタル化と経理業務の省力化を支援する予定です。

3)消費税インボイス制度や改正電子帳簿保存法に対応した「FXシリーズ」の利用が31万社を突破

 令和5年6月に、「FXクラウドシリーズ」は消費税インボイス制度および改正電子帳簿保存法への対応を完了しました。会計機能に加えて販売管理機能を併せ持つ「FXクラウドシリーズ」は、サブスクリプション方式の利用料を採用しており、各種法制度改正に新たな費用を追加することなく対応することが可能です。こうした点が評価され「FXシリーズ」の利用企業数は令和5年9月に31万社を突破しました。

4)AIチャットサービスの利用開始

 Azure OpenAI Serviceの大規模言語モデルをベースにTKCが開発したAIチャットサービス「TKC AI Assistant」の社内利用を開始しました。当社では、システム開発の業務のみならず、社内事務や営業の現場などでも「TKC AI Assistant」を積極的に活用し、社員の業務効率化・生産性向上を目指しています。

5)総額5%の賃上げを実施

 当社は労働分配率(売上高から必要原価を差し引いた限界利益に対する人件費の割合)を50%に目標設定しています。それにより会社の業績に比例して1人あたりの人件費を毎年高めることができています。近年、資源高騰の影響による電力代や物価の上昇が続いていることから、令和5年4月より総額5%の賃金のベースアップを実施しました。

6)TKCカスタマーサポートサービス株式会社(TCSS)がHDI「三つ星」を2年連続で獲得

 当社が100%出資するコールセンターサービス専門子会社のTCSSは、その電話応対についてHDI-Japanによる格付けベンチマーク「クオリティ格付け」の最高評価の「三つ星」を令和5年3月8日に獲得しました。これにより、TCSSは令和4年に引き続き、2年連続で最高評価を獲得しました。

 

 ⑥当社グループの当連結会計年度の財政状態の分析

1)資産の部について

 当連結会計年度末における資産合計は、116,356百万円となり、前連結会計年度末109,225百万円と比較して7,130百万円増加しました。

a.流動資産

 当連結会計年度末における流動資産は、43,173百万円となり、前連結会計年度末40,715百万円と比較して、2,458百万円増加しました。
 その主な理由は、現金及び預金が2,173百万円増加したことによります。

b.固定資産

 当連結会計年度末における固定資産は、73,182百万円となり、前連結会計年度末68,510百万円と比較して、4,672百万円増加しました。
 その主な理由は、繰延税金資産が649百万円減少したものの、投資有価証券が3,302百万円、ソフトウエア仮勘定が1,246百万円、長期預金が1,000百万円増加したことによります。

2)負債の部について

 当連結会計年度末における負債合計は、21,047百万円となり、前連結会計年度末21,899百万円と比較して851百万円減少しました。

a.流動負債

 当連結会計年度末における流動負債は、16,797百万円となり、前連結会計年度末17,679百万円と比較して、881百万円減少しました。
 その主な理由は、未払法人税等が729百万円減少したことによります。

b.固定負債

 当連結会計年度末における固定負債は、4,249百万円となり、前連結会計年度末4,219百万円と比較して、29百万円増加しました。
 その主な理由は、リース債務が90百万円減少したものの、退職給付に係る負債が150百万円増加したことによります。

3)純資産の部について

 当連結会計年度末における純資産合計は、95,308百万円となり、前連結会計年度末87,325百万円と比較して7,982百万円増加しました。
 その主な理由は、利益剰余金が6,146百万円、その他有価証券評価差額金が2,209百万円増加したことによります。

 なお、当連結会計年度末における自己資本比率は、81.9%となり、前連結会計年度末80.0%と比較して2.0ポイント増加しました。

 

 ⑦当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度末における現金および現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ2,173百万円増加し、28,793百万円になりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの概況とその主な理由は次のとおりです。

1)営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動によるキャッシュ・フローは、13,067百万円増加(前連結会計年度比16百万円収入増)しました。これは、税金等調整前当期純利益15,135百万円、減価償却費3,533百万円の計上、法人税等の支払い5,424百万円などによるものです。

2)投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動によるキャッシュ・フローは、5,861百万円減少(前連結会計年度比1,518百万円支出増)しました。これは、定期預金の預入4,300百万円の支出、定期預金の払戻3,300百万円の収入、有形固定資産の取得1,671百万円の支出および無形固定資産の取得3,119百万円の支出などによるものです。

3)財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動によるキャッシュ・フローは、5,571百万円減少(前連結会計年度比357百万円支出増)しました。これは、自己株式の取得による支出1,090百万円、令和4年9月期期末配当(1株当たり配当42円)ならびに令和5年9月期中間配当(1株当たり配当39円)4,260百万円の支出などによるものです。

 なお、当企業集団のキャッシュ・フロー指標のトレンドは、下記のとおりです。

 

 

 

令和2年9月期

令和3年9月期

令和4年9月期

令和5年9月期

自己資本比率(%)

78.9

80.7

80.0

81.9

時価ベースの自己資本比率(%)

183.2

179.2

164.6

163.1

債務償還年数(年)

0.1

0.1

0.1

0.1

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

6,492.7

27,055.7

8,627.1

11,323.4

 自己資本比率           :自己資本        ÷ 総資産 ×100

 時価ベースの自己資本比率     :株式時価総額      ÷ 総資産 ×100

 債務償還年数           :有利子負債       ÷ 営業キャッシュ・フロー

 インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー ÷ 利払い

(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

   2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

①生産実績

 特に記載すべき事項はありません。

②受注実績

 特に記載すべき事項はありません。

③販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

会計事務所事業

48,749

104.9

地方公共団体事業

20,357

111.7

印刷事業

2,808

89.3

合計

71,915

106.0

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積り及び仮定を用いている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積り等については、継続して評価し、事象の変化等により必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なる場合があります。

 当社グループの重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、使用される当社の見積り等が、当社グループの連結財務諸表に重要な影響を及ぼすと考えられるものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

 「3 事業等のリスク」をご参照ください。

③当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは、経営体質の強化を図りながら持続的に企業価値を向上するにあたり、事業活動に必要な資金は、自己資金を中心とすることを基本方針としております。この方針のもと事業活動の維持に必要な手元資金を保有し、充分な流動性を確保していると考えております。

 また、情報通信技術(ICT)が急速に進歩するとともに、社会の諸制度が大きく変化していく中で当社のお客さまのビジネスを成功に導きながら、市場環境の変化に迅速に対応し競争優位を実現するために、先行的な研究開発投資と積極的な設備投資を実施しております。

④当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、継続企業(ゴーイング・コンサーン)の前提の下に、毎事業年度の配当原資を当該期間利益に求めることを原則としています。この考え方に基づき、重要な経営指標として以下のものを設定するとともに管理しています。

1)連結数値に基づく経営指標

a.対前年度売上高比率:3%以上

b.自己資本利益率:8%以上

2)個別数値に基づく経営指標

a.自己資本比率:80%超

b.売上高経常利益率:8%以上

c.総合限界利益率:60%以上

※限界利益とは、売上高から売上高に比例して変動する費用(変動費)を控除した金額であり、製品ミックスにより変動します。総合限界利益率とは、この限界利益の額が売上高に占める割合を言います。

 このような状況のなか、当期の連結対前年度売上高比率は6.0%(前期比3.6ポイント増)、連結自己資本利益率は11.9%(前期比1.0ポイント増)となりました。

 また、個別自己資本比率は85.0%(前期比1.7ポイント増)、個別売上高経常利益率は20.8%(前期比0.1ポイント減)、個別総合限界利益率は78.7%(前期比0.2ポイント減)となりました。

 引き続き高い水準を維持するために、収益構造および資本効率の改善に取り組んで参ります。

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

1.報告セグメントの概要

  当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり経営者が経営資源配分の決定及び業績評価をするために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。

  当社グループは、事業別に「会計事務所事業」「地方公共団体事業」「印刷事業」の3つを報告セグメントとしております。

  各報告セグメントの主なサービス・商品は次の通りであります。

「会計事務所事業」 (会計事務所またはその関与先企業向け)

 情報処理サービス、ソフトウエア及びコンサルティング・サービス、オフィス機器の販売、サプライ用品の販売

「地方公共団体事業」 (地方公共団体(市区町村等)向け)

 情報処理サービス、ソフトウエア及びコンサルティング・サービス、オフィス機器の販売

「印刷事業」

 コンピュータ用連続伝票、一般事務用伝票、データ・プリント・サービス等

 

2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、その他の項目の金額の算定方法

 報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」における記載と概ね同一であります。

 報告セグメントの利益は、営業利益ベースの数値であります。

 セグメント間の内部収益及び振替高は市場実勢価格に基づいております。

 

3.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、その他の項目の金額に関する情報

  前連結会計年度 (自 令和3年10月1日 至 令和4年9月30日)

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

調整額

(注)1

連結財務諸表計上額

(注)2

 

会計事務所事業

地方公共

団体事業

印刷事業

売上高

 

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高

46,465

18,228

3,145

67,838

67,838

セグメント間の内部売上高又は振替高

5

0

2,229

2,235

△2,235

 計

46,471

18,228

5,375

70,074

△2,235

67,838

セグメント利益

11,286

1,922

144

13,353

△1

13,351

セグメント資産

30,766

10,176

5,994

46,937

62,288

109,225

その他の項目

 

 

 

 

 

 

減価償却費(注)3

1,616

1,066

369

3,052

△1

3,050

持分法適用会社への投資額

3

3

3

有形固定資産及び無形固定資産の増加額(注)3

2,816

1,504

342

4,662

4,662

(注)1.調整額は以下のとおりであります。

 (1)セグメント利益の調整額△1百万円は、セグメント間取引消去額5百万円、棚卸資産の調整額△8百万円等であります。

    (2)セグメント資産の調整額62,288百万円は、各報告セグメントに配分していない全社資産63,323百万円及びセグメント間取引消去額△1,034百万円等であります。全社資産の主なものは、親会社の余剰資金(現金及び預金)、長期投資資金(投資有価証券)であります。

    (3)減価償却費の調整額△1百万円は、未実現利益に係るものであります。

   2.セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益との調整を行っております。

   3.減価償却費並びに有形固定資産及び無形固定資産の増加額には、長期前払費用と同費用に係る償却費が含まれております。

 

  当連結会計年度 (自 令和4年10月1日 至 令和5年9月30日)

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

調整額

(注)1

連結財務諸表計上額

(注)2

 

会計事務所事業

地方公共

団体事業

印刷事業

売上高

 

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高

48,749

20,357

2,808

71,915

71,915

セグメント間の内部売上高又は振替高

7

0

2,463

2,471

△2,471

 計

48,757

20,357

5,272

74,386

△2,471

71,915

セグメント利益

11,139

3,059

127

14,326

11

14,338

セグメント資産

29,876

12,162

5,941

47,979

68,377

116,356

その他の項目

 

 

 

 

 

 

減価償却費(注)3

2,059

1,091

383

3,534

△0

3,533

持分法適用会社への投資額

59

59

59

有形固定資産及び無形固定資産の増加額(注)3

2,914

2,784

302

6,002

6,002

(注)1.調整額は以下のとおりであります。

 (1)セグメント利益の調整額11百万円は、セグメント間取引消去額6百万円、棚卸資産の調整額4百万円等であります。

    (2)セグメント資産の調整額68,377百万円は、各報告セグメントに配分していない全社資産69,439百万円及びセグメント間取引消去額△1,061百万円等であります。全社資産の主なものは、親会社の余剰資金(現金及び預金)、長期投資資金(投資有価証券)であります。

    (3)減価償却費の調整額△0百万円は、未実現利益に係るものであります。

   2.セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益との調整を行っております。

   3.減価償却費並びに有形固定資産及び無形固定資産の増加額には、長期前払費用と同費用に係る償却費が含まれております。

 

【関連情報】

前連結会計年度(自 令和3年10月1日 至 令和4年9月30日)

1.製品及びサービスごとの情報

 セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

2.地域ごとの情報

(1)売上高

  本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えているため、記載を省略しております。

(2)有形固定資産

  本邦以外に所在している有形固定資産がないため、記載を省略しております。

3.主要な顧客ごとの情報

  外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を

 省略しております。

 

当連結会計年度(自 令和4年10月1日 至 令和5年9月30日)

1.製品及びサービスごとの情報

 セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

2.地域ごとの情報

(1)売上高

  本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えているため、記載を省略しております。

(2)有形固定資産

  本邦以外に所在している有形固定資産がないため、記載を省略しております。

3.主要な顧客ごとの情報

  外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を

 省略しております。

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

前連結会計年度(自 令和3年10月1日 至 令和4年9月30日)

 該当事項はありません。

 

当連結会計年度(自 令和4年10月1日 至 令和5年9月30日)

 該当事項はありません。

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

前連結会計年度(自 令和3年10月1日 至 令和4年9月30日)

 該当事項はありません。

 

当連結会計年度(自 令和4年10月1日 至 令和5年9月30日)

 該当事項はありません。

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

前連結会計年度(自 令和3年10月1日 至 令和4年9月30日)

 該当事項はありません。

 

当連結会計年度(自 令和4年10月1日 至 令和5年9月30日)

 該当事項はありません。