リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。以下のリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の早期対応に努める所存であります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)事業環境に起因するリスク
①社会・経済
当社グループは、日本国内において主要事業を展開しているため、我が国の社会情勢、経済状況、金利変動等により国内の景気が低迷すると、当社グループの様々な契約の新規受注などに影響を及ぼす可能性があります。また、原材料不足などに起因する部品提供の停止等により、システムやサービスを計画通り販売・提供できない可能性があります。そのため、当社グループは社会情勢や経済政策などを注視し、市場のニーズを取り込んで常に最新の警備システムやサービスの開発・販売を行うとともに、サプライチェーンの動向を踏まえた計画的な物流管理など適時適切に対応しております。
②国際的な事業活動に伴うリスク
当社グループは、16の国と地域に進出しており、現地の政治、経済、社会情勢、労使関係、商慣習・文化等の相違、外資規制等の法規制の変更、インフラの整備状況、テロや紛争の発生など、日本国内とは異なるリスクがあります。当社グループは、海外進出時には、起こり得る各種リスクの十分な検討を行い、進出後は、現地での不断の情報収集を行い、速やかに対策を講じております。なお、当社の連結財務諸表は、通貨の円換算時の為替レートの変動による影響を受けます。
③自然災害・パンデミック
気候変動の進行などによる自然災害の頻発・甚大化、大規模な地震、火災や大規模停電、広域回線障害やインフラ損壊などの大事故、ウイルス・伝染病等の集団感染(パンデミック)などの事態が発生した場合、情報システムの停止、電子データの消失の可能性、及び当社グループのサービス提供や事業遂行などに支障をきたす可能性があります。当社グループでは、災害等の発生やパンデミックなどに備え、マニュアルの整備、対策品の備蓄、機動的な対応体制、訓練の実施などの対応策を講じております。
④法規制の変更
「安全・安心」というサービスを主に提供している当社グループの事業は、警備業法をはじめとした厳格かつ詳細な法令や規制に従うことを要求されております。このような法令や規制に変更が生じた場合には、速やかに対応する必要があり、大きな負担が発生する可能性があります。法規制の変更に基づくリスクを回避するため、当社グループでは関係当局の動向を注視し、適時適切に対応してまいります。
⑤技術環境の変化
当社グループが展開している事業分野において、新しい技術の急速な発展や技術環境の大きな変化により、迅速で大規模な開発・投資が必要となる可能性があります。当社グループは、専門組織を中心に研究・開発を推進するとともに、他社とも連携し、最先端技術などを広く活用して、常に最適なサービスやシステムの創出に努めております。
⑥労働市場の逼迫
少子化の進行などに伴い、当社グループが展開している各事業に必要な人材を確保できない場合、事業運営に支障をきたす可能性があります。当社グループは、グループ横断的な採用活動や適正な人員配置の実施をはじめ、研修・教育体系を整備し人材育成を行うなど、必要な人材の確保・維持に努めています。また、従業員エンゲージメントの向上や、より少ない労働力でも事業運営を推進できるよう先端技術を活用した業務の効率化や生産性の向上に努めております。
⑦競争激化
当社グループの各事業分野への他社の新規参入や、競合会社の低価格戦略や新サービス展開などにより、当社グループの競争環境が激化するリスクがあります。これらの環境においても、サービス品質の向上、商品価値の拡大を進めるとともに、適切なコスト管理を通じて適正な収益の確保に努めます。なお、当社グループの主要事業であるセキュリティサービス事業への新規参入は、設備等の初期投資額が膨大であることや、即応体制の整備やノウハウの取得が困難であることなどから、参入障壁は高いものと考えております。
⑧年金債務
当社グループの年金資産の時価が下落し、年金資産の運用利回りが期待運用収益率を下回った場合や、予定給付債務を計算する基礎となる保険数理上の前提・仮定に変更があった場合には、数理計算上の差異が発生する可能性があります。厚生年金基金の代行部分を国に返上したことや、退職給付制度を確定拠出型年金制度およびキャッシュバランス制度(在籍期間中の年収に応じて毎年累積した額に10年国債応募者利回りの3年平均の利息を付与する制度)に移行したことにより、将来の数理計算上の差異発生リスクを低減しております。
(2)事業活動に起因するリスク
①契約先・取引先にかかる信用リスク
当社グループは、営業活動や投融資活動などにおいて、主に国内の取引先に対し発生する信用リスクにさらされています。当社グループは、取引先の経営状況を把握するなど、リスクの早期発見・対応に努めております。
また、警備契約やリース契約などにおいて契約先が不測の事態に陥った場合、当社の初期投資等が損失になる可能性がありますが、特定の大口契約を有していないため、リスクは分散されております。
②情報漏洩
当社グループは、膨大な顧客情報や機密情報を取り扱っているため、当該情報が外部に漏洩した場合は、信用失墜や損害賠償請求などが発生するリスクがあります。当社グループは、外部からのネットワーク不正侵入への対策に加え、内部からの情報漏洩防止のため、規則・マニュアルを整備し、社員教育を徹底するとともに、ソフト・ハードの両面から情報漏洩対策を日々強化するなど、システム・人材の両面から情報流出の防止に努めております。
③投資
当社グループは、株式等、価格変動リスクを有する様々な有価証券を有しております。そのため、保有する有価証券の価値が下落した場合、評価損が発生する可能性があります。当社グループは、投資効率が低く保有意義の乏しい投資にならないよう厳格に審査の上、総合的な経営判断のもと、投資・売却を決定しております。
また、M&A、他社との資本提携・業務提携などの戦略的投資においては、当初想定したシナジー効果等が得られなかった場合、のれんの減損損失等が発生する可能性があります。当社グループは、M&A等の戦略的な投資に当たっては、専門機関も活用しながら各種デュー・デリジェンスを慎重かつ重点的に実施することで、リスクを低減させております。
④オペレーショナルリスク
当社グループは、業務遂行上の事故、情報管理・労務管理・職場環境での不適切な行為、顧客への営業等に関する不適切行為、事務処理や会計処理における誤入力や入力漏れ、ヒューマンエラー、プロセス・システムなどの機能不全、委託業者・取引先業者による不適切行為などが発生するリスクがあります。当社グループでは、リスク対策委員会による会社横断的な対策の検討や、会社理念の透徹、行動規範の遵守、定期的な研修、運用・ルールの徹底、システム管理、カメラの導入などにより、不適切な行為の防止・抑止に努めております。
⑤グループガバナンス
当社グループは、セキュリティサービス事業を中心とした様々な分野において、グループ各社が主体となり事業活動を推進しております。そのため、グループ各社における経営判断・投資判断、内部における不適切な行為などによりグループ経営に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、当社の内部監査部門による監査、定期的なグループ経営会議を通じたグループ情報および運営理念の共有、内部通報制度などによりグループガバナンスを強化しております。
(3)その他
①メディカルサービス事業におけるリスク
当社グループは、メディカルサービス事業において、医療機関に対し貸付および債務保証等を実施しており、診療報酬の引き下げなど医療制度の改定等による事業環境の変化などにより影響を受ける可能性があります。メディカルサービスの事業運営においては、事業環境変化への柔軟かつ迅速な対応、医療機関の経営状況の継続的な監視および経営改善支援などを行うことにより、適正なリスクコントロールに努めております。
②保険事業におけるリスク
当社グループは、保険事業において火災保険などの損害保険を販売しており、地震・風水害などの自然災害、火災その他の大事故により影響を受ける可能性があります。
当社グループは保険引受にあたっては、「契約引受規程」に基づき引受を行い、継続的な損害率の検証を行うなど、適正なリスクコントロールに努めており、また巨大災害・集積リスクについては再保険カバーや異常危険準備金積立てにより対応しております。資金運用にあたっては、流動性の確保を重視するなど、様々なリスク・負債特性に合わせた運用を行っております。
③不動産価値変動のリスク
当社グループは、不動産賃貸事業などにおいて、不動産を有しております。不動産の価値は、マクロ経済など様々な要因により変動するリスクを有しております。当社グループは、その様々な要因やその資産の活用状況、タイミングなどを総合的に勘案し、取得・保有・売却などの意思決定を行っております。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要課題として位置付け、業容の拡大、連結業績の動向を総合的に判断して連結配当性向ならびに内部留保の水準を決定し、安定的かつ継続的に利益配分を行うことを基本方針としております。
当社の剰余金の配当は、毎年9月30日を基準日とした中間配当、および3月31日を基準日とした期末配当の年2回行うことを基本とし、配当の決定機関は中間配当については取締役会、期末配当については株主総会としております。なお、当社は、会社法第454条第5項の規定に基づき、中間配当をすることができる旨を定款に定めております。
当事業年度の剰余金の配当につきましては、この基本方針のもと、当期の業績が堅調に推移したことを踏まえ、株主の皆様の日頃からのご支援にお応えするべく、1株当たり期末配当金を95円にいたしました。これにより、1株当たり配当金は、中間配当95円と合わせて年間190円となり、前期から5円増配、連結配当性向は39.4%となりました。
内部留保金につきましては、新規契約者の増加に対応するための投資、研究開発、戦略的事業への投資、従業員への還元施策等に活用し、企業体質の強化および事業の拡大に努めてまいります。
なお、基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は以下のとおりであります。