2023年12月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

(1) ガス事故

ガスの製造・供給に関する重大な漏洩・爆発事故等が発生した場合、お客さまへの安定供給に支障を及ぼす可能性がある。さらに、お客さまの身体・財産等に被害を与えてしまった場合には、訴訟・損害賠償費用の発生や社会的信頼の喪失等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、ガス製造・受入設備の定期整備、ガス導管の経年対策など、ガス事故や供給支障の防止に取り組むとともに、保安に携わる社員に対する教育・訓練を通じた人財育成を積極的に行っている。また、防災供給センターを中心とした365日24時間の保安体制を構築し、安全の確保に努めている。

(2) 自然災害

当社グループの事業基盤は千葉県北西部に集中しているため、同地区に大規模な地震等の自然災害が発生した場合、導管等の供給設備やお客さまのガス設備に重大な被害が発生し、都市ガスの供給に支障を及ぼす可能性がある。また、その復旧対応に伴う費用が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、ガス導管の耐震化などの設備対策や、災害発生時に該当地区のガス供給を停止することによる二次災害の防止、早期復旧のための災害対応業務及び優先度の高い通常業務を発災直後から適切に実施するための基準整備などを実施している。また、大規模な地震を想定した全社的な訓練を定期的に実施しており、発災時の対応能力の強化に努めている。

(3) 競争の激化

ガス小売自由化等に伴う競争の激化による、お客さまの流出やガス販売価格の値下げ圧力などが、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、電気料金メニューの刷新やお客さまのくらしをより便利に・豊かにするくらしサポートサービスの拡充を実施、また、業務用の客さまに対しては環境性・経済性等の向上に寄与する提案を推進するなど、新規のお客さまの獲得やお客さまの流出防止に努めている。

(4) 基幹情報システムの支障

ガスの製造・供給監視、ガス料金や電気料金の計算等を行う基幹情報システムに重大な支障が発生した場合、お客さまへの安定供給や円滑なサービスの提供が損なわれ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、耐災害性に優れた堅牢な建物への設置、冗長化による耐障害性の高い通信及びシステム、機能維持のための適切な保守及び各種セキュリティ対策等により、システムの安定稼働に必要な対策を実施している。

(5) コンプライアンスに関するリスク

コンプライアンスの徹底については日頃より万全を期しているが、万一、ガス事業法その他の法令等に照らして不適切な行為や、企業倫理に反した行為等が発生した場合には、社会的信頼を喪失し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、社長を委員長とするコンプライアンス委員会を設置しコンプライアンスに関する施策を検討・実施するとともに、年2回の教育研修などを通じ、コンプライアンス意識を着実に浸透させている。

(6) 情報漏洩

公益事業者として、大勢のお客さまの個人情報等の管理には万全を期しているが、万一お客さま情報が社外に流出した場合には、社会的信頼を喪失するとともに、損害賠償費用等が発生する可能性がある。

このため、情報システム利用、情報システムセキュリティ対策及び個人情報保護に関する規程を策定し、事業活動において取り扱う情報の適正な保護・管理、漏洩防止に努めている。また、お客さま情報を取り扱う委託先全箇所に対し、情報の取り扱いに関する順守状況等の確認を定期的に実施しており、当社・委託先双方の個人情報保護に関する意識の向上を図っている。

 

(7) 気候変動とお客さまの消費行動の変容

ガス事業におけるガスの販売量は、気温・水温によって増減するため、暖冬や猛暑等の気候変動により、大きく変動する可能性がある。

また、お客さまのエネルギー消費行動の変容(節約意識の高まり等)が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、工業用などの気温・水温の影響を受けにくい需要や、ガス販売量が低下する夏場の需要を押し上げる効果のあるガス空調需要の拡大に努めるとともに、ガス機器の拡販等によるガス需要の拡大やお客さまの新規獲得に努める。

(8) 原料価格の変動と原料調達の支障

都市ガスの原料であるLNG等は、その価格が原油価格や為替相場等の変動の影響を受けており、その変動によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

また、国際情勢の変化などにより当社の原料調達先におけるLNG輸入に不測の事態が生じた場合、当社の安定的な原料調達に支障を及ぼす可能性がある。

このため、調達先の多様化を実施するとともに、原油価格や為替相場の推移などから最適な原料調達に努めている。なお、原料価格変動の影響については、原料費調整制度の適用によりガス販売価格に反映させることができるが、反映までのタイムラグにより、決算期を越えて業績に影響を及ぼす可能性がある。

(9) 卸電力取引所の取引価格の変動

電力小売事業において、電力調達先かつ供給余力を活用した電力の販売先である卸電力取引所における取引価格は、電気の需要と供給のバランス等により決定されており、需給バランスの状態によっては大きく価格変動する可能性があり、その変動によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、電力調達先や調達方法の多様化を進め、特に価格変動が大きくなるリスクが高い需要期において卸電力取引所からの調達割合を低減させるなど、安定的な電力調達に努めている。

また、卸電力市場価格動向や自社の需給状況を注視するとともに、販売方法の多様化やデリバティブ取引の活用の検討などを行い、収支変動リスクの抑制に努める。

(10)ガス消費機器・設備に関するトラブル

ガス消費機器・設備は維持管理責任を伴うお客さまの資産であるが、当社の責めによる重大なトラブルが発生し、お客さまの身体・財産等に被害を与えてしまった場合には、訴訟・損害賠償費用の発生や社会的信頼の喪失等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、法令に基づく頻度でお客さま宅を訪問し、ガス消費機器の安全に関する調査やご説明を実施し、お客さまのガス保安の強化に努めている。また、保安業務の担当者に対しては、教育・訓練のための専門施設にて、社内資格制度に基づく資格講習や定期的な保安教育を実施することで、保安人財の育成に努めている。

(11)感染症の流行

新型インフルエンザ等感染症が流行した非常時において、ガス事業の継続が困難となる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、新型インフルエンザ等感染症対策に関する業務計画及び事業継続計画を策定し、非常時においても都市ガスの供給を維持するよう対策を実施している。

(12)脱炭素化の進展

世界的に脱炭素化に向けた議論が進められ、国内においても、政府が「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言している。国のエネルギー政策変更や新たな環境政策が実施され、競争の激化や当社グループを取り巻く環境が大きく変化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

このため、カーボンニュートラルガスの供給、カーボンフリーでんきの導入や再生可能エネルギー電源の開発を進めている。また今後の社会動向を注視するとともに、その動向に合わせた対策を検討・実施していく。

配当政策

3 【配当政策】

当社は、ガス事業を中心とする公共性の高い業種であることから、配当については、安定的な経営基盤の確保に努めるとともに、安定配当の維持継続を基本方針としている。

配当の決定機関は株主総会であるが、取締役会の決議によって、中間配当をすることができる旨を定款に定めており、中間・期末の年2回配当を基本としている。

当期の配当については、以上のような基本方針のもと、1株当たり60円(うち中間配当金30円)と決定した。

 

(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりである。

決議年月日

配当金の総額
(百万円)

1株当たり配当額
(円)

2023年7月28日

取締役会決議

 326

30

2024年3月27日

定時株主総会決議

 326

 30