リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅したものではありません。
また、本書提出日現在において、以下に記載したリスクが顕在化する可能性についてはいずれも低いと判断しておりますが、リスクが顕在化する可能性が発生した場合には、早期に財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへの影響にかかる分析を行ったうえで、必要な対応を図ってまいります。
(1)少子化への対応について
当社グループの事業においてはベビー・子供向けの商品の販売が主な売上を占めております。我が国においては少子化傾向が続いておりますが、常に新商品を企画・生産・販売する強みを生かすことによるマーケットシェアの確保や子供服の企画販売から子供写真館といったモノからコトヘ事業領域を拡大することにより安定した成長を続けております。
しかしながら、今後、少子化が急速に進行し、市場全体が著しく縮小した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(2)環境に関するリスク
当社グループの属するアパレル業界は、CO₂排出、水質汚染や衣料品の大量廃棄などの地球環境に与える負荷が問題となっており、当社グループは、洋服の廃棄ロスの低減やリユース・リサイクル活動に取り組んでおります。
今後、環境規制等が強化された場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(3)流行や景気の変動が経営成績に与える影響について
当社グループは、流行の変化が早く、商品のライフサイクルが短いかつ競合他社が多いファッション衣料業界に属しております。当社グループは、0歳から13歳のベビー・トドラー、ジュニア向けにマルチブランドのファッションを提供しており、お子さまの成長とともに長期にわたって当社グループの商品をご愛用される優良顧客を創出することが、当社グループのビジネスの基本でありかつ目標でもあります。
しかしながら、消費者の嗜好に合致した商品を提供できない場合や、景気の変動による個人消費の低迷の影響を受けて販売不振となった場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(4)ハザードリスク
当社グループが取扱う商品は、気象状況により来店客数の減少や季節に応じた店頭商品の販売に影響するため、購入客数など日々の販売状況を管理しております。
しかしながら、地球温暖化による暖冬や冷夏などの異常気象や地震・台風などの予測できない天災により、客足が伸びず、さらには臨時閉店や営業時間の短縮等があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)原産国の為替・カントリーリスク
当社グループが販売する商品の大半は、中国を生産国とし、主に繊維専門商社等から円建てで仕入れております。中国製の商品の仕入れにあたっては、現地における自然災害や感染症、テロや戦争、政変や経済情勢の悪化、為替レートの変動、インフレの発生や生産コストの上昇、運輸・物流の未整備、現地従業員の雇用問題、地政学的問題等の社会情勢といったリスクが内在しております。上記リスクに対応するため、東南アジアからの商品仕入れを視野に入れた新たな生産工場の開拓や為替変動リスクヘッジを含めた直接貿易による原価の低減化に向けた人材育成に取り組んでおります。
海外におけるこれらのリスクが現実化した場合には、仕入活動に支障が出る等の問題が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)業績の季節変動に伴うリスク
当社グループの事業は、ベビー・子供服の企画販売事業を営んでおります。ベビー・子供服業界では、一般に季節変化に応じて単価の低い春夏物需要にあたる3月~8月にかけて、他の月に比べて売上が低くなる傾向があり、単価の高い秋冬物需要にあたる9月~2月にかけて、売上が高くなる傾向があります。そのため、該当期間における販売動向が当社の業績に影響を与える可能性があります。
なお、2024年2月期の通期売上高に占める四半期毎の売上高の割合、並びに、通期営業利益に占める四半期毎の営業利益の割合は以下のとおりであります。
2024年2月期 四半期別売上高・営業利益(連結) (単位:千円)
|
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
通 期 |
売上高 |
8,860,270 |
8,049,529 |
9,478,392 |
11,096,188 |
37,484,381 |
構成比(%) |
(23.6) |
(21.5) |
(25.3) |
(29.6) |
(100.0) |
営業利益又は営業損失(△) 構成比(%) |
749,469 (35.6) |
△110,166 (△5.2) |
814,772 (38.7) |
651,550 (30.9) |
2,105,625 (100.0) |
(7)在庫管理リスク
当社グループのアパレル商品は、コスト、納期、ロットなど競争力確保のため、一部見込生産で発注しているものもあり、需要予測を誤った場合には、過剰な在庫を滞留在庫として抱える可能性があります。著しく過剰在庫を抱えた場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)出店形態に係るリスクについて
当社グループの直営店舗における販売チャネルは、主に百貨店ならびにショッピングセンター、アウトレットモールであります。
百貨店においては、消費者の百貨店離れなど取り巻く環境は厳しく、不採算売場の閉鎖など経営の効率化を図る動きが見られます。売場の閉鎖や縮小等、集客力低下が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
ショッピングセンター、アウトレットモールにおいては、当社グループは、商業施設運営会社と定期賃貸借契約を結んでおります。競合ブランドの出店その他の理由により当社グループの店舗が販売不振に陥り、中途解約を申し入れる際には、契約条件により違約金などの支払が発生いたします。また、当社グループの店舗の売上が契約に定められた最低保証売上高に満たない場合、その差額分を商業運営施設へ支払う必要があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)人材採用に関するリスク
当社グループは、事業拡大及び既存店舗の運営維持のため、本社及び物流拠点並びに全国の直営店舗における継続した優秀な人材の確保と育成が、経営における重要課題のひとつであると考えております。
しかしながら、優秀な人材の確保が計画通りに進捗しない場合、または多くの人材が流出する等の状況が発生した場合には、商品の企画や出店計画の進捗に影響が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)知的財産権の侵害による影響について
当社グループは、独自にデザインしたキャラクター等について商標登録を行っており、国内外で知的財産権である商標権を所有しているため、外部との連携やインターネット検索等により商標権侵害の防止に取り組んでおります。
このような取り組みにも関わらず、第三者による権利侵害等により、ブランドイメージの低下やそれによる販売不振により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、国別の商標権登録(申請中を含む)は以下のとおりであります。
当社グループ所有商標権の国別一覧 2024年2月29日現在
国名 |
登録(件) |
出願中(件) |
総計(件) |
日本 |
136 |
15 |
151 |
中国 |
105 |
0 |
105 |
台湾 |
66 |
3 |
69 |
韓国 |
41 |
2 |
43 |
香港 |
29 |
3 |
32 |
シンガポール |
10 |
2 |
12 |
その他 |
12 |
13 |
25 |
総計 |
399 |
38 |
437 |
(11)システム障害におけるリスクについて
当社グループは、業務用基幹システムの運用及びメンテナンスを外部の専門事業者と連携して適切に遂行しておりますが、自然災害や事故等の不測の事態によりコンピュータシステムのダウンや通信ネットワークが遮断された場合には、業務の一部が一時的に中断し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。特にECサイトを運営する当社グループにおいては販売機会の損失とECサイトの信頼喪失を招く可能性があります。
当社グループのコンピュータシステムは、外部からの不正アクセスを回避するための適切なセキュリティ対策を講じておりますが、標的型攻撃メールや想定を超えた技術による情報システムへの不正アクセス、コンピューターウイルスの感染などにより、情報システムに障害が発生するリスクや、社内情報が外部に漏洩するリスクがあり、こうした事態が発生した場合は、事業活動に支障をきたすとともに、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)個人情報保護について
当社グループは、直営店舗及びeコマースの販売促進活動の一環として、お客様の個人情報を利用しております。個人情報をはじめとする情報管理につきましては、社内規程の整備や社内教育の徹底により、管理体制を整備しておりますが、万一、外部へ個人情報が漏洩した場合には、社会的信用問題や個人への賠償問題等が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(13)債権回収に関するリスク
当社グループは、販売先の経営状況については、与信管理規程を定め債権管理を徹底しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の再燃や販売先の信用不安等により、予期せぬ貸倒れリスクが顕在化し追加的な損失や引当の計上が必要となることがあります。この場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(14)品質に関するリスク
当社グループは、商品の品質管理において社内に専門の部署を設置し、商品の検品ルール、子ども用衣料の安全性(JISL4129)への準拠及び法令への対応を周知徹底させ、仕入先において当社グループの品質管理基準に基づく品質レベルや安全性の確保、検査等を徹底させるなど万全を期しております。
しかしながら、当社グループの商品に危険な染料や薬品などが付着しかつ検査をすり抜けてそれが販売された場合や、商品の不具合等による商品回収が発生した場合は、当社グループの社会的信用の失墜や損害賠償請求等が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)のれんの減損について
当社グループは無形固定資産にのれんを計上しており、総資産に占める割合が高くなっております。
2016年10月にエヌジェイホールディングス2株式会社が旧株式会社ナルミヤ・インターナショナルを吸収合併したことにより発生したのれん及び株式会社ハートフィールや株式会社LOVSTの連結子会社化に伴い発生したのれんの合計額は、2024年2月末において2,271百万円であり、当社グループの総資産の16.0%を占めております。
事業環境の変化等の事由により、減損処理に至った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)有利子負債への依存と財務制限条項について
当連結会計年度末の有利子負債の残高は2,970百万円で、総資産の21.0%にあたります。その内訳は、主にリース債務と長期借入金からなります。
当社グループは、ショッピングセンターやアウトレットモール等への出店時の内装工事費用を、原則として期間を60か月間とするリース契約で賄っており、当連結会計年度末のリース債務残高は565百万円であります。引き続き新規の出店はショッピングセンターブランドを中心に展開し業績の拡大を図ってまいりますが、それに伴いリース債務残高が増加する可能性があります。今後、当社グループの業績が悪化し、リース会社の当社に対する与信限度額が縮小された場合、契約条件の見直しによる利息費用の増加や、債務の支払い等、当社グループの財政状態及び業績に影響が出る可能性があります。
当連結会計年度末の借入金残高は2,404百万円で、そのうち2,170百万円は、株式会社三井住友銀行を主幹事とするシンジケートローン契約によるものであります。今後の金融市場等の動向により、金利が上昇局面となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当該契約には財務制限条項が課せられており、遵守できなかった場合は、貸付人の要請により、期限の利益を喪失し、直ちに借入金を返済しなければならないため、当社グループの財政状態及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。なお、契約の内容につきましては、「5 経営上の重要な契約等」に記載のとおりであります。
(17)法的規制について
当社グループの取り扱う商品・サービスの提供にあたっては、販売時や媒体掲載時の表示等について「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」「家庭用品品質表示法」「不当景品類及び不当表示防止法」「個人情報保護法」による法的な定めに従う必要があります。また、商品の仕入にあたっては「独占禁止法」「下請代金支払遅延等防止法」の規制により取引先との公正な取引を、そして、子供服については、子ども用衣料の安全性(JISL4129)への準拠による安全性の確保、検査等を要請されております。
さらに、当社グループ並びに仕入先、製造委託先、取引先及びフランチャイズ先は、主としてそれらの製造過程において、廃棄物削減、地球温暖化や大気汚染防止、有害物質の処理等に関して様々な環境規制の適用を受けております。
当社グループでは、商品・生産に関するコンプライアンスの重要性について社員教育を徹底し、また、仕入先、製造委託先を含めた内部統制の取り組みを高めて行く活動によりリスクの発生を未然に防止する対策を講じておりますが、新たな規制の施行によって多額の費用が発生する場合があり、又は、巧妙な違法行為や取引先等に起因する事由により、違反の効果的な防止が伴わない可能性もあり、これらの問題が発生した場合には、行政処分の対象となること等により当社グループの活動が制限される、消費者の購買行動に悪影響を与える、訴訟を提起され損害賠償の責任を負うこと等により、当社グループの事業、財政状態及び経営成績にも影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループに直接適用のない法令であっても、百貨店・ショッピングセンター等の販売チャネルに適用される法令や製造委託先に適用される法令の制定・改正により、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は株主への利益還元を経営の重要課題の一つとして認識しており、将来の事業展開と自己資本の状況を勘案しつつ、安定的な配当を継続していくことを基本方針としております。
上記方針は引き続き継続していきながら、当社の配当方針として、収益動向を踏まえた株主の皆様への還元及び企業体質の強化と将来の事業展開に備えるための内部留保などを総合的に判断しつつ、配当性向の目処を親会社株主に帰属する当期純利益の35%としております。また、当社は、株主に対する柔軟な利益還元を可能にするため、取締役会の決議により毎年8月31日を基準日として中間配当をすることができる旨を定款に定めておりますが、事業年度を通して下期の売上高及び利益の額が上期と比較して高くなる傾向があり、公平な配当を実施するために、当面は株主総会決議による期末配当のみを行ってまいります。
内部留保資金については、経営基盤の強化に向けた諸施策の実施のための積極的な投資等の原資として充当してまいります。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2024年5月24日 |
402 |
41 |
定時株主総会決議 |