2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)自動車運送業に係る補助金

自動車運送業においては、不採算路線であっても補助金制度を活用しながら社会的要請の高い路線運行を守っております。将来、補助金制度の廃止や一部削減が行われた場合、路線廃止等による事業規模の縮小、それによる地域社会の信用低下及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)原油相場の動向

バスの動力源として、原油に大きく依存しており、その価格の動向は業績に影響を及ぼします。今後、EVバスへの移行がなされたとしても、電力価格は原油相場に依拠するところが多く、変わらず業績へ影響を及ぼすと考えます。購入単価が1円変動した場合、営業利益に与える影響は年間約20百万円と試算しております。

 

(3)自動車運送業に係る重大事故

自動車運送業の特性上、重大事故の可能性は常にあります。死亡・重大事故が発生すれば、賠償費用はもとより、行政処分により新たな事業計画が抑制される可能性があり、また社会的信用の失墜により、当社グループの運送業以外の事業へも影響を及ぼす可能性があり、規模によっては経営基盤を揺るがす可能性もあります。

運輸安全マネジメント制度の導入により、「輸送の安全の確保」が義務付けとなっておりますが、当社グループとしましても「安全は全てに優先する」という基本理念の下、①3悪(飲酒運転・無免許運転・無車検運行)の撲滅、②死亡事故・重大事故ゼロ、③横断歩道上の事故ゼロ、④自転車との事故ゼロ、⑤交通事故件数の減少の5項目を目標に掲げ、トップから現場まで一丸となった安全管理体制(安全風土、安全文化)の構築に努めております。また、車両欠陥事故を絶対に起こさないよう、グループ内整備で法令に基づく点検・整備を徹底しており、加えて自社独自の追加整備など整備管理に細心の注意を払っております。

 

(4)労働力の確保

当社グループが求める人材・労働力の確保、育成が計画通りに進捗しない場合は、事業計画の停滞が発生し、ひいては当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、乗務員確保のための柔軟な働き方の創設やバス運転体験会・体験ツアーの実施のほか、イメージアップポスターのバスラッピング、採用サイト・SNS・駅前ビジョンへの動画配信による採用活動をしております。また、大学等教育機関との連携や、階層別研修等により社内の人材育成に努めております。

 

(5)主要取引

不動産業における主要賃貸物件や、自動車運送業における特定契約輸送等、特定の取引先との取引の消滅により業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、レジャーサービス業等においては一部フランチャイズ契約によっておりますので、提供される商品やサービスに重大な欠陥等が生じた場合や、本部の経営方針の転換や業績が悪化した場合には、当社グループの経営成績及び事業戦略等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、不動産業や自動車運送業においては、特定の取引先と友好な関係を築きつつ、事業拡大を進め取引先を増やし、リスクを分散させることに努めてまいります。また、レジャーサービス業においては、提供される商品やサービス等についてはフランチャイザーと十分に協議を進めながら重大な欠陥が生じないよう注意を払っております。

 

(6)伝染病等

新型コロナウイルス感染症の拡大では、緊急事態宣言が発出され、休校や休業など外出自粛要請がなされました。この様な対処法が確立していない、もしくは感染力が強い伝染病が流行した場合、人の移動が収益へと繋がる自動車運送業、旅行貸切業、レジャーサービス業等においては収益性の低下を招き、業績及び資金繰りに悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、このような事態においても公共交通事業者としての責務を果たすため、利用者の動向を見極めながら柔軟なダイヤ編成を行うとともに、固定費のさらなる削減、不採算事業の整理等の効率化に努めております。

 

(7)自然災害、異常気象

台風や地震等の自然災害が発生した場合、保有資産の毀損や道路環境の変化による迂回運行など自動車運送業等の費用が増大し、業績に影響を及ぼします。また、冷夏暖冬、長雨、大雪などでは、旅行貸切業、レジャーサービス業等の収益性の低下を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、事業継続計画や災害対応マニュアルを策定し、有事の際には車両等資産の保全・バス運行復旧に向けた行動計画等マニュアルに則り、いち早い復旧に努め被害を最小限に抑える努力をしてまいります。

 

(8)法令順守・不正行為

当社グループが展開する主要な事業は、道路運送法に基づく一般乗合旅客自動車運送業及び一般貸切旅客自動車運送業で国土交通大臣の許可を得て営業を行っております。また、その他の各事業も様々な法令・規則等による規制を受けており、これらの規制に違反した場合、又は規制に重大な変更があった場合、当社グループの事業活動が制限されるほか、法令・規制等を遵守する費用が発生する等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、ガバナンス強化、各種法令及び社会的規範を順守するため、コンプライアンス委員会を設置しグループ全社の不正防止と法令順守、企業倫理の醸成に努めております。コンプライアンス委員会では内部監査を実施し、コンプライアンス活動の調査・ヒアリングを行っております。また、社内及び社外に「内部公益通報に関する規定」に基づく通報相談窓口を設置し、法令違反等の未然防止とコンプライアンス体制の充実を図っております。

 

(9)保有資産の減損

保有資産においては「棚卸資産の評価に関する会計基準」、「固定資産の減損に係る会計基準」等を適用しており、資産の回収可能額が帳簿価額を下回った場合等、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、収益性の低下等により投資額の回収が見込めないことにより減損処理が必要となる場合には、減損損失を計上するとともに、追加損失の計上が無いように収支改善策に取り組んでおります。

 

(10)退職給付債務

従業員の退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産、退職給付信託の期待運用収益率に基づいて予測計算されております。運用実績や金利変動、想定外の従業員の変動により実際の結果が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用に影響を与えます。今後の資産運用環境や金利動向次第では、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)個人情報の漏洩

自動車運送業、レジャーサービス業及び旅行貸切業等では、大量の顧客情報を保有しておりますが、個人情報の流出等が発生した場合、顧客離れや企業イメージの失墜、更には多額の損害賠償請求による財務的リスクを負うなど、その後の事業展開、経営成績に多大な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、内部からの情報漏洩に対しUSBメモリ等の記憶媒体システムの使用を制限し、さらにパソコン上の操作履歴も記録する等対策をとっております。また、外部からの不正アクセスに対してはファイヤーウォール等の防御対策をとっております。

 

(12)食品の安全性

当社グループは、お客様に安全・安心な食品を提供するため、衛生管理や品質管理を徹底し、トレーサビリティの強化にも注力しております。しかしながら、そうした取り組みの範囲を超えた事象が発生した場合、関連商品の消費の縮小や安全性確保のための費用により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

配当政策

3【配当政策】

 当社は、経営環境の変化や将来の事業展開等に対応しうる財務基盤の堅持と株主価値向上のための投資を行うとともに、安定的な配当を維持・拡大することを配当還元方針としております。

 また、内部留保資金につきましては、当社の投資方針に則り、不動産での収益物件取得といった開発事業での投資と、成長分野やDX戦略への投資といった戦略的な投資、及び車両更新や既存物件の設備更新といった安全・維持に関する投資に重点を置き、グループ全体の成長のために活用してまいります。

剰余金の配当は中間と期末の年2回行うこととしており、その決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。中間配当は、取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として実施することができる旨を定款に定めております。

 上記方針により、当事業年度は1株当たり40円(中間配当17.5円、期末配当22.5円)の配当を実施することと決定しました。この結果、当事業年度の配当性向は16.18%となりました。

 

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下の通りであります。

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たり配当額(円)

2023年11月8日

105

17.5

取締役会決議

2024年6月27日

135

22.5

定時株主総会決議