事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
-
セグメント別売上構成
-
セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
-
セグメント別利益率
最新年度
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
国内自動車関連事業 | 63,915 | 44.8 | 6,994 | 80.7 | 10.9 |
ヒューマンリソース事業 | 23,416 | 16.4 | 810 | 9.3 | 3.5 |
一般貨物事業 | 6,511 | 4.6 | 790 | 9.1 | 12.1 |
海外関連事業 | 48,938 | 34.3 | 76 | 0.9 | 0.2 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社グループは、2024年6月30日現在、当社及び子会社20社と共同支配企業3社で構成されております。
当連結会計年度より、株式会社ソウイングを子会社化しております。
また、当社グループの報告セグメントは、国内自動車関連事業、ヒューマンリソース事業、一般貨物事業、海外関連事業と分類しております。
当社グループは、当社の普通株式に対する公開買付けにより2014年6月19日付けにて親会社タンチョンインターナショナルリミテッドグループの一角を形成しております。同社グループは、シンガポール、香港、中国、タイ等のアジア地域において主に自動車の製造・流通・販売を中心に、産業機械、不動産、金融などの領域で事業展開を行っており、香港証券取引所に上場しております。
当社グループの事業にかかる位置付けは以下のとおりであります。
《事業系統図》
以上述べた事項を事業系統図によって示すと以下のとおりであります。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
① 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、能登半島地震の影響による下押しが一部見られるものの、緩やかに持ち直し、ないし回復しております。
国内の自動車市場におきまして、新車販売台数合計は前連結会計年度(以下、前年同期という)比で97.6%(日本自動車工業会統計データ)と減少いたしました。2023年の年末より相次いで発生した、一部完成車メーカーでの不正問題による出荷停止の影響を受けております。中古車登録・販売台数は、上半期までの新車販売の回復に加え、円安によって中古車輸出が旺盛となったことにより、前年同期比で102.3%と増加いたしました。
売上収益・営業利益共に、国内自動車関連事業を中心に増収・増益となりました。
これらの結果、当社グループの業績は、売上収益1,407億51百万円(前年同期比105.9%)、営業利益62億22百万円(前年同期比122.6%)となりました。また、税引前利益は62億27百万円(前年同期比122.6%)となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は41億50百万円(前年同期比120.7%)となりました。
*1 日本自動車工業会統計より算出 *2 日本自動車輸入組合統計より算出
*3 日本自動車販売協会連合会統計より算出 *4 全国軽自動車協会連合会統計より算出
*5 日本自動車販売協会連合会統計の輸出抹消登録台数より試算
*6 資源エネルギー庁統計より算出(当社が輸送に使用する燃料は主に軽油)
報告セグメント別の成績
《国内自動車関連事業》
売上収益は、主幹事業である車両輸送事業において、上半期における中古車業界の混乱に加え、下半期では一部新車メーカーの不正問題による出荷停止の影響を受けながらも、中古車登録・販売台数の回復に伴って中古車輸送の受託台数が増加したことから、国内自動車関連事業全体でも増収となりました。
コロナ禍が明けたことに伴って乗務員の有効求人倍率が増加している環境下で消費者物価指数や最低賃金の上昇を受けて、採用費及び労務費単価を引き上げていることに加えて、EV化を見据えた輸送機材の投資に伴って車両費が増加しました。一方で、2024年1月に車両輸送事業において料金改定を行ったことに加え、整備事業における納車前整備点検の台数が増加したこと、また建機回送事業において能登半島地震に伴ってレンタル建機会社からの回送依頼が増加し、加えて株式会社ソウイングを2023年11月に連結子会社化したことにより同社の利益が純増となったことから、セグメント利益は増益となりました。
これらの結果、国内自動車関連事業全体の売上収益は637億75百万円(前年同期比109.6%)、セグメント利益は69億94百万円(前年同期比138.2%)となりました。
車両輸送事業におきましては、2024年6月期までの中期経営計画で掲げている「デジタル化」「グリーン化」「ニューノーマル」への対応を引き続き進めております。
「デジタル化」におきましては、輸送デジタル化推進室を立ち上げ、計画的な配車を実現するシステムの構築を推進しております。また新たに、お客様からお預かりした自動車の状態を、乗務員がタブレット端末を用いて記録するデジタル化のプロジェクトを立ち上げ、推進しております。
「グリーン化」におきましては、自動車の電動化に伴って自動車の重量が増していることに対応すべく、最大積載量を増やした輸送機材を順次導入しております。また、EV化が加速している中で、EV車両輸送における付帯業務の実施を含めたインフラの構築を検討して推進しております。
「ニューノーマル」への対応におきましては、「物流の2024年問題」に対応すべく、乗務員の運転時間を維持しながら、荷扱い分業体制の推進等によって運転時間以外の間接時間削減を進めるのと同時に、乗務員の新規採用、輸送機材の効率的な運用を進めてまいります。しかしながら、慢性的な乗務員不足の環境の上に消費者物価指数の上昇が加わり、最低賃金や労務費単価が上昇し続けている中、乗務員一人当たり総労働時間を削減させながらも待遇を維持・向上させていく必要があること、及び総労働時間を削減したことによる輸送戦力の減少を補うために乗務員の新規採用や輸送機材の導入を進めていく必要があることを重要な経営課題と認識しております。
《ヒューマンリソース事業》
送迎事業は、新規契約の獲得及びMaaS(Mobility as a Service)事業の増車に伴い増収となりました。人材サービス事業は、ドライバーの派遣人員数が増加したことから増収になり、空港関連人材事業は航空機発着回数の回復したこと及び外国人採用を進めたことによって派遣人員数が増加したことから増収になりました。セグメント利益は、各事業の増収に伴い増益になりました。
これらの結果、ヒューマンリソース事業全体の売上収益は216億38百万円(前年同期比104.9%)、セグメント利益は8億10百万円(前年同期比108.0%)となりました。
《一般貨物事業》
港湾荷役事業は、バイオマス発電所向けの燃料荷役について、新たな発電所向けの荷役を獲得したことから増収になりましたが、運輸・倉庫事業は、不採算顧客から撤退したことによって減収となり、一般貨物事業全体でも僅かに減収となりました。セグメント利益は、港湾荷役事業において増収に伴い増益となりましたが、2024年1月11日に当社川崎複合物流センターにおいて発生した火災に対する損失を計上した結果、一般貨物事業全体で減益となりました。
これらの結果、一般貨物事業全体の売上収益は63億98百万円(前年同期比99.5%)、セグメント利益は7億90百万円(前年同期比66.6%)となりました。
《海外関連事業》
中古車輸出事業は、上半期においては円安を背景に日本からの新車輸出が旺盛になったことに伴い自動車運搬専用船の船枠が限られ、マレーシア向けの中古車輸出台数を制限せざるを得ない状況でありましたが、下半期においては、十分な船枠を確保することができたため増収となりました。また、中国における車両輸送事業は、新規顧客を獲得したことで増収となりました。一方、CKD事業は、下半期において梱包台数が減少したことから減収となりました。
セグメント利益につきまして、中古車輸出事業と中国における車両輸送事業は増収に伴い増益となりました。一方、CKD事業は、CKD部品の向け先である顧客がASEAN事業における方針を転換したことに伴い減損テストを実施した結果、主に足利パーツロジスティクスセンター(倉庫)の使用権資産の減損損失を計上することになったことから、海外関連事業全体で減益となりました。
これらの結果、海外関連事業全体の売上収益は489億38百万円(前年同期比102.7%)、セグメント利益は76百万円(前年同期比15.6%)となりました。
なお、上記セグメント別損益に含まれていない全社費用(当社の管理部門に係る費用)等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に記載のとおり「調整額」の項目として計上しており、24億50百万円となります。
② 財政状態
当連結会計年度末における資産合計は前連結会計年度末に比べ141億74百万円(25.1%)増加し、707億33百万円となりました。
当連結会計年度末における負債合計は前連結会計年度末に比べ101億37百万円(44.6%)増加し、328億60百万円となりました。
当連結会計年度末における資本合計は前連結会計年度末に比べ40億37百万円(11.9%)増加し、378億73百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ58億41百万円増加し、113億16百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、112億33百万円(前連結会計年度は87億78百万円の収入)となりました。
主な資金増加要因は、当期利益42億4百万円、非資金支出である減価償却費及び償却費51億35百万円であり、主な資金減少要因は、営業債権の増加19億51百万円、法人所得税の支払額20億95百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、46億63百万円(前連結会計年度は21億67百万円の支出)となりました。
支出の主な内訳は、有形固定資産及び投資不動産取得による支出22億47百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出16億55百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、8億24百万円(前連結会計年度は62億90百万円の支出)となりました。
支出の主な内訳は、リース負債の返済による支出29億81百万円、配当金の支払額8億47百万円であり、収入の主な内訳は、短期借入金の純増34億円であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
なお、当社グループの取り扱う主要な商品は車両輸送を中心としたサービスであるため、生産及び受注の状況は記載を省略しております。
(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
a.経営成績等
1) 財政状態
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ69億61百万円(26.7%)増加し、329億94百万円となりました。
これは主に、現金及び現金同等物が58億41百万円増加したこと等によります。
非流動資産は、前連結会計年度末に比べ72億12百万円(23.6%)増加し、377億39百万円となりました。
これは主に、有形固定資産が41億2百万円増加、のれん及び無形資産が19億50百万円増加したこと等によります。
これらの結果資産合計は、前連結会計年度末に比べ141億74百万円(25.1%)増加し、707億33百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ59億44百万円(32.7%)増加し、241億45百万円となりました。
これは主に、社債及び借入金が35億円増加、その他の流動負債が13億3百万円増加したこと等によります。
非流動負債は、前連結会計年度末に比べ41億92百万円(92.7%)増加し、87億14百万円となりました。
これは主に、リース負債が37億12百万円増加したこと等によります。
これらの結果負債合計は、前連結会計年度末に比べ101億37百万円(44.6%)増加し、328億60百万円となりました。
(資本)
資本は、前連結会計年度末に比べ40億37百万円(11.9%)増加し、378億73百万円となりました。
これは主に、利益剰余金が当期利益の計上等により36億79百万円増加したことなどによります。
2) 経営成績
(売上収益)
売上収益は前連結会計年度に比べて78億90百万円増加し、1,407億51百万円となりました。
国内自動車関連事業において、車両輸送事業は、上半期における中古車業界の混乱に加え、下半期では一部新車メーカーの不正問題による出荷停止の影響を受けながらも、中古車登録・販売台数の回復に伴って中古車輸送の受託台数が増加したことから増収となりました。また、2024年1月に車両輸送事業において料金改定を行ったことに加え、整備事業における納車前整備点検の台数が増加したこと、建機回送事業において能登半島地震に伴ってレンタル建機会社からの回送依頼が増加したことに加えて、株式会社ソウイングを2023年11月に連結子会社化したことなどにより、国内自動車関連事業全体で56億6百万円の増収となりました。
ヒューマンリソース事業において、送迎事業は、新規契約の獲得及びMaaS(Mobility as a Service)事業の増車に伴い増収となりました。人材サービス事業は、ドライバーの派遣人員数が増加したことから増収になり、空港関連人材事業は航空機発着回数の回復したこと及び外国人採用を進めたことによって派遣人員数が増加したことから増収になりました。ヒューマンリソース事業全体で10億17百万円の増収となりました。
一般貨物事業において、港湾荷役事業は、バイオマス発電所向けの燃料荷役について、新たな発電所向けの荷役を獲得したことから増収になりましたが、運輸・倉庫事業は、不採算顧客から撤退したことによって減収となり、一般貨物事業全体でも僅かに減収となりました。一般貨物事業全体で30百万円の減収となりました。
海外関連事業につきましては、中古車輸出事業は、上半期においては円安を背景に日本からの新車輸出が旺盛になったことに伴い自動車運搬専用船の船枠が限られ、マレーシア向けの中古車輸出台数を制限せざるを得ない状況でありましたが、下半期においては、十分な船枠を確保することができたため増収となりました。また、中国における車両輸送事業は、新規顧客を獲得したことで増収となりました。一方、CKD事業は、下半期において梱包台数が減少したことから減収となりました。海外関連事業全体で12億97百万円の増収となりました。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は、国内自動車関連事業においては、コロナ禍が明けたことに伴って乗務員の有効求人倍率が増加している環境下で消費者物価指数や最低賃金の上昇を受けて、採用費及び労務費単価を引き上げていることに加えて、EV化を見据えた輸送機材の投資に伴って車両費が増加しました。一方で、2024年1月に車両輸送事業において料金改定を行ったことに加え、整備事業における納車前整備点検の台数が増加したことから収益性が向上し、また建機回送事業において能登半島地震に伴ってレンタル建機会社からの回送依頼が増加したことに加えて、株式会社ソウイングを2023年11月に連結子会社化したことにより利益が純増となったことなどから、売上原価率は減少しました。全体として売上原価率は88.6%から87.4%へ減少いたしました。これらの結果、売上総利益は前連結会計年度に比べて24億67百万円増加し176億68百万円となりました。
(販売費及び一般管理費、その他の収益、その他の費用、営業利益)
販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べて9億65百万円増加し112億97百万円、その他の収益は前連結会計年度に比べて1億53百万円増加し4億14百万円、その他の費用は前連結会計年度に比べて5億8百万円増加し、5億62百万円となりました。これらの結果、営業利益は前連結会計年度に比べて11億47百万円増加し62億22百万円となりました。
営業利益率は5.0%の目標に対して4.4%となりました。原価低減活動を進め、営業利益率向上に努めてまいりましたが、売上商品構成の変化や人件費などの上昇、一部減損損失や引当金の計上などにより、目標を下回る利益率となりました。
(金融収益、金融費用、持分法による投資損益、税引前利益)
金融収益は前連結会計年度に比べて12百万円増加し65百万円、金融費用は前連結会計年度に比べて1百万円増加し46百万円、持分法による投資損益は前連結会計年度に比べて11百万円減少し△13百万円となりました。この結果、税引前利益は前連結会計年度に比べて11億47百万円増加し62億27百万円となりました。
(法人所得税費用、親会社の所有者に帰属する当期利益)
法人所得税費用は前連結会計年度に比べて3億96百万円増加し20億23百万円となりました。非支配持分は前連結会計年度に比べて37百万円増加し53百万円となりました。これらの結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度に比べて7億12百万円増加し41億50百万円となりました。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
2015年度から2017年度にかけて三ヶ年計画を立案して、三つの成長戦略(車両輸送事業に伴う周辺事業の拡大、人材事業・一般貨物事業の拡大、アセアン事業の推進)と二つの事業基盤の再構築(輸送体制の地域ブロック化の推進、グループシナジーの創出)を掲げて推進してまいりました。三つの成長戦略に関しては、2016年12月に高栄運輸株式会社(現 株式会社ゼロ・プラスBHS)を買収してバイク輸送事業への本格参入、2017年6月に株式会社Aリリーフを商号変更して、空港ビジネスにおける人材派遣事業への新規参入、苅田港海陸運送株式会社にてバイオマス発電の燃料荷役事業への参入決定、日本とタイにおけるCKD事業への新規参入など、種蒔きとその成果が現れてまいりました。
二つの事業基盤の再構築に関しては、まず車両輸送事業において、2015年10月に株式会社ゼロ・プラス九州を商号変更・再編したことを皮切りに輸送体制の地域ブロック化を推進して、2016年7月には株式会社ゼロ・プラス関東を商号変更・再編いたしました。また、2017年4月に株式会社ゼロ・プラス西日本を設立し、10月に株式会社ゼロ・プラス中部を商号変更・再編しました。同時に協力会社6社の事業譲受を行い、11月には株式会社HIZロジスティクスを子会社化して、12月に株式会社ゼロ・プラス東日本と商号変更・再編したことで地域ブロック化が完了いたしました。結果としてゼロ、輸送子会社7社、協力会社6社の合計14社を全国5つのブロックへ再編いたしました。グループシナジーの創出については、類似事業の集約、グループ内インフラの共有化、グループ内における株式会社ジャパン・リリーフの人材リソース利用促進、グループ一丸となった新規事業の開拓を進めてまいりました。
また、2018年度から2020年度にかけての三ヶ年計画では、自動車業界の変化、アセアンの経済成長、少子高齢化に伴う労働力不足に対応すべく、異業種の自動車業界参入や次世代モビリティを見据えた新規事業の開拓、株式会社ジャパン・リリーフにおける人材事業の拡大、タンチョングループと協業した海外事業の拡大に努めると同時に、物流拠点や輸送戦力の最適化をはじめとする地域ブロック化の効果最大化、グループシナジー創出と効率化の推進をしてまいりました。
さらに、車両輸送事業において、積年の課題となっている乗務員の不足と高齢化、輸送機材の老朽化、繁閑差解消への取り組みも進め、働き方改革として総労働時間の管理や労働諸条件の改善を図っております。
2018年度には、株式会社メルカリやKeePer技研株式会社との業務提携を実施して、異業種とのアライアンスを推進しており、また三菱自動車工業株式会社の完成車輸送を全面的に受託することが決定するなど事業領域の拡大を進めてまいりました。
2021年度から2023年度にかけての三ヶ年計画においては、企業理念の基本に立ち返り「あらゆる品質(経営品質・人的品質・業務品質・輸送品質など)の向上」を実現することで、「成長し続ける会社」「お客様の期待を裏切らない会社」「安心して働ける会社」を目指してまいりました。当期間においても2021年度には陸友物流(北京)有限公司の一部出資持分(40%)を取得し子会社化を行い、株式会社IKEDA(現 株式会社ゼロ・プラスIKEDA)と株式会社ソウイングの全株式を取得し子会社化するなど事業領域の拡大を図っております。
そして、2024年度から2026年度の新たな三ヶ年計画においては、当社グループの企業理念である『品質』、すなわち「安全で良質な輸送・サービス」をお客様に提供するとともに、「お客様の期待以上のサービスを創造することにより、豊かな社会の発展に貢献する。」ことを掲げ、財務品質・人的品質(人的資本)・物流品質・営業品質などあらゆる品質の向上を活動の基本としております。また、祖業である車両輸送事業において確固たる業界のポジションを築くため、既存ビジネスの拡大に加え、周辺事業へのさらなる展開を実行していくとともに新規事業や新サービスを創出し、M&Aも一つの選択肢として、新しい事業領域への展開を推し進めてまいります。持続的な成長・発展を通し、企業価値を増大させ、社会、お客様、株主の皆様から継続的に信頼を得られる企業グループになることを目指してまいります。
2021年度から2023年度にかけて目標とする経営指標である売上収益1,000億円以上について、三ヶ年で達成するよう掲げてまいりましたが、2022年6月期と2023年6月期および2024年6月期に、連続して達成しております。
2024年度から2026年度の最終年度となる2027年6月期においては以下の目標を掲げております。
c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
1) 財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、今後予想される様々な経営環境の変化に対応し、持続的な成長に伴うリスクに見合った資本水準と負債・資本構成の維持を基本方針としております。安定した財務体質のもと、企業価値の向上のための成長投資と利益還元を両立してまいります。
当社グループの掲げている新たな三ヶ年計画(2024年度から2026年度)においては、財務品質・人的品質(人的資本)・物流品質・営業品質などあらゆる品質の向上を活動の基本としております。これらを実現するための投資などに、当社グループの成長、企業価値の向上に必要な資金及び経常の運転資金を効率的に確保しております。さらに、グループ会社との間ではCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しており、グループ各社における余剰資金の有効活用に努めております。
2) 財務基盤の安定
当社グループの持続的な成長を支え、景気変動の影響にも耐えうるには「財務基盤の安定維持」が前提となります。当社グループのキャッシュ創出力は堅調に推移し、財務基盤は安定しております。今後も、D/Eレシオを0.5倍程度に抑制し、自己資本比率を50%程度に保つことで、当社グループの財務安定性を確保してまいります。
3) 安定的な利益還元
当社グループは、第78期(2024年6月期)までの配当につきましては、株主の皆様に対する「安定的な利益還元」を経営方針の一つとし、基本的1株当たり当期利益が80円超の場合の配当性向を25%と設定しておりました。第79期(2025年6月期)以降の配当につきましては、株主還元の一層の充実を念頭に、配当性向を33%へ変更いたしました。親会社所有者に帰属する当期利益を「株主還元」「成長投資」「財務安定化」に三分割してバランスを取っていく方針であります。
4) 資金調達
当社グループは現在、自己資金及び金融機関の借入れ等により資金調達することとしています。運転資金について借入れによる資金調達を行う場合、CMSでのグループ内調達を優先的に考え、不足する場合や、各社の資本コストを考慮して必要な場合には、一年以内の短期借入金で各連結会社が外部金融機関より調達することとしております。
生産設備などの長期資金も、CMSでのグループ内調達を先ず考慮し、必要に応じて外部金融機関より長期借入金で調達しております。当社グループは、健全な財務状況、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力、金融機関との当座貸越契約などにより必要資金の確保と緊急時の流動性を確保してまいります。
当社グループは資金計画に基づき、投資時期の適切性を慎重に考慮するとともに、取引金融機関との当座貸越契約などにより十分な資金を確保することで、災害など不測の事態の影響を受ける期間においても適切に事業を遂行し、計画を実現できるものと考えております。
5) 資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、当社グループの中古車輸出の車両仕入資金、輸送事業に関わる車両費、外注費、販売費及び一般管理費等があります。また、当社グループの設備投資需要としましては、営業用車両投資と不動産投資に加え、販売、業務管理用の無形資産投資等があります。
6) 財務状況
当連結会計年度の財政状態は以下のとおりであります。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは客観的な指標等について、2024年6月期までの中期経営計画において、グループ1,000億円以上の売上収益と5%以上の営業利益率の達成を中長期的な目標としており、当連結会計年度における連結売上収益は1,407億51百万円であり、営業利益62億22百万円、営業利益率4.4%となりました。2025年6月期以降の中期経営計画においては、最終年度となる2027年6月期は、連結売上収益1,500億円以上、営業利益100億円以上、営業利益率6.5%を目標としており、中期経営計画1年目の2025年6月期は、連結売上収益1,350億円、営業利益81億円、営業利益率6.0%を業績予想としております。引き続き、これらの指標の達成に向けて取り組んでまいります。
e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度のセグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 業績」に記載のとおりであります。
f.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。
なお、連結財務諸表の作成に用いた重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)重要な会計上の見積り及び判断の利用」をご参照ください。
セグメント情報
5.セグメント情報
(1) 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、最高意思決定機関が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっている事業セグメントを基礎に決定しているものであります。
当社グループは、経営組織の形態、サービスの特性に基づき、事業セグメントを集約した上で、「国内自動車関連事業」、「ヒューマンリソース事業」、「一般貨物事業」、「海外関連事業」を報告セグメントとしております。
各報告セグメントに属する主要なサービス
(2) 報告セグメントごとの売上収益、損益、資産及びその他の項目の金額
当社グループの報告セグメントごとの売上収益、損益、資産及びその他の項目は以下のとおりであります。
各報告セグメントの会計方針は、「3.重要性がある会計方針」で記載されている当社グループの会計方針と同一であります。
セグメント間の売上収益は、市場実勢価格に基づいております。
前連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)
(注) 1.調整額は以下のとおりであります。
① セグメント利益の調整額△2,417百万円は、全社費用△2,417百万円によるものであります。全社費用は報告セグメントに帰属しない当社の管理部門に係る費用であります。
② セグメント資産の調整額225百万円には、各報告セグメントに配分していない全社資産14,309百万円、セグメント間取引消去△14,084百万円が含まれております。
③ その他の項目の調整額は、各報告セグメントに配分していない全社資産に係るものであります。
2.減価償却費及び償却費には、使用権資産に係る金額を含めております。非流動資産は金融資産、繰延税金資産等を含んでおりません。また、使用権資産に係る金額を含めております。
当連結会計年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)
(注) 1.調整額は以下のとおりであります。
① セグメント利益の調整額△2,450百万円は、全社費用△2,450百万円によるものであります。全社費用は報告セグメントに帰属しない当社の管理部門に係る費用であります。
② セグメント資産の調整額4,130百万円には、各報告セグメントに配分していない全社資産13,036百万円、セグメント間取引消去△8,906百万円が含まれております。
③ その他の項目の調整額は、各報告セグメントに配分していない全社資産に係るものであります。
2.減価償却費及び償却費、減損損失には、使用権資産に係る金額を含めております。非流動資産は金融資産、繰延税金資産等を含んでおりません。また、使用権資産に係る金額を含めております。
(3) 地域別に関する情報
① 外部顧客からの売上収益の仕向地別内訳は以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)
当連結会計年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)
② 非流動資産
本邦に所在している非流動資産の金額が連結財政状態計算書の非流動資産の金額の大半を占めるため、記載を省略しています。
(4) 主要な顧客ごとの情報
前連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)
(注) 日産自動車グループの販売実績は、日産自動車株式会社、日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社及び国内の日産自動車販売会社への売上実績と、陸友物流(北京)有限公司における、中国の東風汽車有限公司及び中国のその他日産自動車関係会社等への売上実績を合計したものであります。
当連結会計年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)
(注) 日産自動車グループの販売実績は、日産自動車株式会社、日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社及び国内の日産自動車販売会社への売上実績と、陸友物流(北京)有限公司における、中国の東風汽車有限公司及び中国のその他日産自動車関係会社等への売上実績を合計したものであります。