リスク
3【事業等のリスク】
以下におきまして、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、当社グループといたしましては必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項につきましても、投資判断の上で、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項につきましては、情報開示の観点から記載しております。当社グループは、これらリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項以外の記載内容も合わせて慎重に検討した上で行う必要があります。
なお、以下の記載につきましては、本有価証券報告書提出日現在における判断によるものであり、当社グループの事業等及び当社株式への投資に係るリスクを全て網羅するものではありません。また、将来に関する事項につきましては、本有価証券報告書提出日現在で当社グループが判断したものであります。
(1) 法的規制について
当社グループの事業におきまして関連する主な法的規制は以下のとおりであります。今後既存の法的規制が改廃されたり、関連する法令が新たに制定されたりした場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
<主な法的規制>
宅地建物取引業法、建物の区分所有等に関する法律、住宅の品質確保の促進等に関する法律、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律、個人情報の保護に関する法律、国土利用計画法、都市計画法、建築基準法、建築業法、建築士法、土地基本法、地方公共団体の条例、借地借家法、マンションの管理の適正化の推進に関する法律、建築物における衛生的環境の確保に関する法律、消防法、貸金業法、金融商品取引法、金融商品の販売等に関する法律、資産の流動化に関する法律、不動産特定共同事業法、犯罪による収益の移転防止に関する法律、不当景品類及び不当表示防止法、不動産の表示に関する公正競争規約、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律
(2) 免許、登録
当社グループが得ている許可、登録は以下のとおりであります。
(当社)
・宅地建物取引業者免許
宅地建物取引業法第3条に基づき、宅地建物取引業者の免許(免許番号 神奈川県知事(3)第27989号 有効期間:2021年9月6日から2026年9月5日まで)を受けて、不動産の売買や賃貸又はこれらの媒介等を行っております。
・マンション管理業者登録
マンションの管理の適正化の推進に関する法律第46条第1項に基づき、マンション管理業者の登録(登録番号 国土交通大臣(4)第033175号 有効期間:2022年10月23日から2027年10月22日まで)をして、マンション管理業を営んでおります。
・賃貸住宅管理業者登録
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第3条第1項に基づき、賃貸住宅管理業者の登録(登録番号 国土交通大臣(01)第002743号 有効期間:2021年11月23日から2026年11月22日まで)をして、賃貸住宅管理業を営んでおります。
(株式会社グリフィン・パートナーズ)
・宅地建物取引業者免許
宅地建物取引業法第3条に基づき、宅地建物取引業者の免許(免許番号 神奈川県知事(3)第27056号 有効期間:2024年3月17日から2029年3月16日まで)を受けて、不動産の売買や賃貸又はこれらの媒介等を行っております。
・金融商品取引業者登録
金融商品取引法第29条に基づき、第2種金融商品取引業者及び投資助言・代理業の登録(登録番号 関東財務局長(金商)第1540号)をしております。
当社グループは主要な事業活動を行うにあたり、上記の免許、登録を必要とし、これらの規制を受けております。現時点におきまして、当社グループには、上記免許、登録の取消事由・更新欠格事由に該当する事実は存在いたしませんが、将来、これらの免許、登録の取消・更新欠格による失効等があった場合には、当社グループの主要な事業活動に支障をきたし、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(3) 住宅瑕疵担保責任について
住宅の品質確保の促進等に関する法律では、新築住宅の供給事業者に対して構造上の主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分について10年間の瑕疵担保責任を負うこと等を定めております。当社グループでは、自社開発物件におきましては、建築設計の段階から一貫して携わり、供給物件の品質管理に万全を期すとともに、他社開発物件の仕入・販売におきましては、仕入先の開発実績及び物件の選定に十分留意し、瑕疵のない物件を供給するよう務めております。さらに、同法対象の新築販売物件につきましては、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律において規定される住宅瑕疵担保責任保険を付保することにより、万一不測の事態が起こった場合でも、当該責任を当社グループの業績に影響なく履行できるよう対策を施しております。また、販売後のクレームに対しましても、法令上の責任に基づき、真摯な対応に努めております。
さらに、構造計算書偽造事件を教訓として、当社では、供給するマンションの構造計算の適正性につきまして細心の注意を払っております。例えば、建築確認の際には過去においてチェックミスが報告されていない実績のある住宅性能評価機関による住宅性能評価書の取得を義務づけております。当社グループでは、このように瑕疵のない物件を供給すべく、常に品質管理体制向上に努めております。
しかしながら、当社の供給物件に何らかの原因で瑕疵が発生した場合、クレーム件数と補償工事の増加等を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 土地の仕入れについて
当社グループでは、マンション用地等の取得にあたり、売買契約前に綿密な事前調査を行っておりますが、契約後、稀に土壌汚染等の隠れた瑕疵が発見されることがあります。その場合、当社グループに追加費用が発生することがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 外注先の影響について
当社グループでは、マンションの建設につきましては、建設会社に一括発注し、主に民間(旧四会)連合会協定工事請負契約約款に基づく工事請負契約を締結しております。また、建築工事の進捗状況につきましては当社が定期的な監理を行っており、建設会社より当社に対して状況報告がなされる体制を構築しております。
工事請負契約の締結にあたりましては、外注先の財務状況、施工能力・実績、経営の安定性等を総合的に勘案の上決定しておりますが、外注先に信用不安等が発生し、工期遅延が生じた場合、当社の販売計画にも遅延が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、施工完了後、外注先に倒産等の事態が発生した場合には、本来外注先が負うべき瑕疵の補修責任等が履行されず、当社に想定外の費用負担が発生することによって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) マンション建設に対する近隣住民の反対運動について
当社グループはマンション・戸建住宅建設にあたり、建設地が属する自治体の条例等に従い、事前に周辺住民に説明会を実施する等の近隣への対策を講じております。マンションの立地につきましては、住宅密集地を避け、駅に近い商業地域を中心としてきたため、現在までのところ、近隣住民との摩擦は軽微なものに留まっております。
しかしながら、今後、建設中の騒音、電波障害、日照問題、景観変化等を理由に近隣住民に反対運動等が発生する可能性は否定できず、その解決に時間を要したり、計画の変更が必要となった場合、工期遅延や追加費用が発生することによって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 資金調達について
当社グループは不動産販売事業を遂行するにあたり、用地や土地建物の取得資金及び建設費用等を金融機関からの融資を主体として資金調達しております。当社は取引金融機関と良好な関係を構築する一方で、新たな金融機関との取引開始、社債の発行等、資金調達の円滑化と多様化に努めております。
しかしながら、何らかの事情により、当社の希望する金額及び条件で金融機関からの融資を受けることができない場合、販売物件を計画どおりに確保できず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 金利の上昇について
当社グループの有利子負債残高は、戸建工事代金及び収益マンション購入資金に充当するため、高い水準で推移しております。今後、不動産販売物件の仕入に伴い、さらに有利子負債が増加していくことも考えられます。市場金利が予想を超えて上昇し、有利子負債の金利負担が増加した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(連結) |
2021年12月期 |
2022年12月期 |
2023年12月期 |
有利子負債残高(千円)(A) |
500,293 |
558,585 |
430,861 |
総資産額(千円)(B) |
3,062,350 |
3,129,724 |
3,615,656 |
有利子負債依存度(%)(A/B) |
16.3 |
17.8 |
11.9 |
(9) 事業エリアの集中について
当社グループが従来販売していた投資用マンション「グリフィンシリーズ」は、次表のとおり、横浜市内の横浜みなとみらい21地区周辺のエリア(西区・中区・神奈川区)、JR新横浜駅周辺(港北区)、川崎市(幸区、中原区)に集中しており、今後も企業イメージの形成を勘案し、当該エリアを中心とした事業展開を図る方針であります。このことから特に横浜市、川崎市を中心とした神奈川県内の経済環境、雇用環境、賃貸需要、地価の動向等の影響を受ける可能性があります。
また、近年、首都圏ではワンルームマンションに対する規制を目的とした条例を制定する自治体が見られ、横浜市では「横浜市ワンルームマンション形式集合建築物に関する指導基準及び同施行細目」等の指導要綱等による規制が制定されており、管理員室の設置、住戸の最低専有面積、駐車・駐輪施設の設置の義務付け等が定められております。また、2006年4月に「横浜都心機能誘導地区建築条例」が施行され、特別用途地区として都市計画で定める横浜都心機能誘導地区(業務・商業専用地区及び商住共存地区に区分)内の建築物の建築及び敷地に関する制限が定められております。現在、自治体の条例による規制が、当社の事業展開に与える影響は軽微でありますが、将来的に規制が変更もしくは強化された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
エリア |
棟数 |
構成比(%) |
戸数 |
構成比(%) |
|||
|
|
|
横浜市西区・中区・神奈川区 |
73 |
70.2 |
3,354 |
70.9 |
横浜市港北区 |
7 |
6.7 |
404 |
8.5 |
|||
横浜市内その他 |
4 |
3.8 |
139 |
2.9 |
|||
|
|
|
横浜市内 計 |
84 |
80.8 |
3,897 |
82.4 |
|
川崎市幸区 |
4 |
3.8 |
233 |
4.9 |
||
川崎市中原区 |
9 |
8.7 |
345 |
7.3 |
|||
|
川崎市内その他 |
3 |
2.9 |
116 |
2.5 |
||
川崎市内 計 |
16 |
15.4 |
694 |
14.7 |
|||
|
|
|
神奈川県下 計 |
100 |
96.2 |
4,591 |
97.0 |
|
|
|
東京都内 計 |
4 |
3.8 |
140 |
3.0 |
|
|
|
総 計 |
104 |
100.0 |
4,731 |
100.0 |
(注)2023年12月31日現在の竣工棟数・戸数について記載しております。
(10) 投資用マンション販売事業について
①顧客からのクレームや訴訟提起等について
当社グループが販売したマンションは、主にマンション経営による資産運用を目的として購入されており、金融商品や他の投資運用手段と競合した商品との位置付けにあると考えております。当社は商品販売に際し、空室の発生、家賃相場の下落、金利上昇による返済負担の増加等、マンション経営に関するリスクについて、顧客の十分な理解が得られる説明を行うよう努めております。また、販売後も集金の代行、建物の維持管理、入居者の募集及び賃貸仲介等、アフターサービスの充実に努めております。しかしながら、今後、何らかの事情により、顧客からクレームや訴訟提起等があった場合、事実の存否にかかわらず、当社グループの信用に影響を与え、業績に影響を及ぼす可能性があります。
②販売物件の入居率低下について
当社グループが販売した投資用マンションの賃貸入居率が低下した場合、賃料収入を見込む新規購入者の購買意欲が低下する可能性があります。当社グループでは、賃貸需要が高いと考えられる地域へ物件を建設し、当社グループ及び近隣の不動産業者による新規入居者の獲得に努め、良好な住環境を整備し、入居者の固定化に尽力しております。
しかしながら、既存物件の周囲で住環境が悪化する等、不測の事態により入居率が低下した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)人材の確保について
当社グループの退職者は、2021年12月期に27名、2022年12月期に18名、2023年12月期に10名発生しております。
当社グループは、優秀な人材の確保と育成を重要な経営上の課題と捉え、入社した従業員に対しましては、当社グループ内での研修カリキュラムを整備し、OJTの実施により早期の職務技能習得を目指しております。また、個人ごとの業績評価につきましては、社内各部門に適した評価制度を定め、上長の人事考課を実施することで、優秀な人材の定着に努めております。特に、不動産販売、売買仲介及び賃貸仲介を担当する営業部門に所属する従業員につきましては、業務の成果が当社グループの業績に直結することから、その他の部門とは別の報酬体系を定め、成果に応じたインセンティブを付与しております。
しかしながら、こうした施策にもかかわらず、従業員の定着度が高まらない場合や、雇用の需給関係から当社が求める人材が十分に確保できない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)個人情報の取扱について
当社グループでは、既存顧客・見込み顧客の個人情報を保有しております。個人情報保護法に鑑み、当社グループでは、グループ全体の役職員共通のプライバシーポリシーの制定等、同法を遵守する体制の構築を進めております。システム上においては、個人情報ファイル保管の厳重化・ITシステム監視ソフトの導入・アクセス権の制限などにより、個人情報の漏洩防止に備えております。
しかしながら、不測の事態により、個人情報が外部に漏洩するような事態となった場合、損害賠償等による費用が発生する可能性がある他、当社グループの信用低下を招く場合があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)株式価値の希薄化に関わるリスクについて
2020年12月7日付で当社取締役等に対し第5回新株予約権170,000株を発行し、2023年12月31日現在の当該新株予約権の未行使の株式数145,000株となります。また、2023年7月31日付で当社取締役等に対し第6回新株予約権300,000株を発行し、2023年12月31日現在の当該新株予約権の未行使の株式数は300,000株となります。これにより当社の潜在株式数は445,000株となり、これに係る議決権数は4,450個となるため、当社の総議決権数237,233個(2023年12月31日現在)に占める割合は1.9%に相当いたします。当該新株予約権の行使により、当該割合において当社株式に希薄化が生じる可能性があります。
(14)海外の不動産管理事業について
当社グループは、中国においてサービスアパートメントの運営及び管理を行っている会社を連結子会社化することにより、海外の不動産管理事業に進出しております。中国の経済状況の変化等の要因により、サービスアパートメントの管理収入などが減少し、採算が悪化した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)海外の不動産賃貸事業について
当社グループは、中国においてワンルームマンションの賃貸事業を行っている会社を連結子会社化することにより、海外の不動産賃貸事業に進出しております。中国の経済状況の変化等の要因により、稼働率が低迷するなどした場合、当該事業の採算が悪化し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社グループは、株主に対する利益還元を経営の重要施策として位置づけるとともに、企業体質を強化し安定的な成長を可能とすることが最終的に株主への貢献につながることから、内部留保の充実についても重要な経営課題であると考えております。
剰余金の配当につきましては、中間配当と期末配当の年2回行うことを基本方針としており、これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当につきましては株主総会、中間配当につきましては取締役会であります。なお、当社は「取締役会の決議により、毎年6月30日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。
当社グループは、株主に対する利益還元を経営の重要施策として位置付け、業績、資金需要見通し等を総合的に判断しながらも安定的な配当水準を維持することを基本方針とし、当期純利益に対する配当金の比率(配当性向)35%程度を基準としております。
2023年12月期の期末配当金につきましては、収益基盤のさらなる強化が重要であると判断し、誠に遺憾ながら無配とさせていただきます。2024年12月期の配当につきましても、収益基盤の強化が先決であるとの考えから、中間配当金、期末配当金ともに無配を予定しております。