リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 不動産ソリューション事業について
① サブリース契約について
サブリース契約は不動産オーナーに対する契約の期間(10年~15年間)において入居者の有無や当社の受け取る家賃の額に関係なく賃貸借契約に定めた毎月定額の家賃を支払いする内容となっております。当社は空室発生や家賃相場下落による業績への影響を低減するために当該賃貸借契約にフリーレント期間(家賃無償期間)条項や一定期間毎の家賃改定条項を織り込む等施策を講じておりますが、こうした対応が万全とはいえません。このため空室が長期間かつ大量に発生した場合には当社グループの業績に重大な影響が発生する可能性があります。
② 募集方法及び開発について
当社は、地方から首都圏の大学等に進学する高校3年生をターゲットに、春の入居シーズンに向け独自のWebサイトに加え、全国各高校宛への媒体送付、もしくは他社媒体雑誌等の広告掲載により入居者募集を行っております。しかしながら、当該募集行為は反響型の集客営業であることから、反響数が予想を下回った場合には空室が発生し当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。また、賃貸物件の開発においては標準的な建物の建設期間に1年以上を要するため、新入学の時期にあわせて計画どおりに工事が進捗しなかった場合には、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
③ 販売用不動産について
当社は、不動産ソリューション事業において、サブリース事業と並行し、独自に学生向け賃貸住宅開発事業を行っております。建設用地としての土地の取得から学生向け賃貸住宅の建設、当該物件の売却まで通常1年半から3年程度の期間が必要となります。そのため、想定を上回る経済情勢の変化等による不動産市況の悪化により販売用不動産の評価損の計上や資金回収の長期化等が発生した場合には、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
また、販売用不動産の取得については、主に金融機関からの借入により行っており、販売用不動産の増加にあわせて借入金が増加いたします。そのため、大幅な金利上昇があった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(2) 経営成績の変動について
① 季節変動性並びに第2四半期累計の経営成績について
当社グループでは、不動産ソリューション事業の不動産マメジメント部門において、3月及び4月の入学シーズン時期にあわせた学生向け賃貸住宅入居者募集関連売上により第4四半期連結会計期間(3月から5月まで)に売上高が増加する傾向があります。また、学生生活ソリューション事業の人材ソリューション部門における連結子会社である株式会社ワークス・ジャパンにおいて、企業の新卒採用活動が主に3月から開始することにより、人材ソリューション部門の売上高が第3四半期連結会計期間(12月から2月まで)及び第4四半期連結会計期間(3月から5月まで)に集中する傾向があるため、第2四半期連結累計期間(6月から11月まで)の利益は非常に小さくなるか、もしくはマイナスとなる可能性があります。
これらの季節性や、不動産ソリューション事業の不動産デベロップメント部門において、販売用不動産の売却の時期、売却の金額によっては、通期に占める第2四半期連結累計期間(6月から11月まで)の連結経常利益等の各利益は、非常に小さくなる可能性があります。
なお、2024年5月期の四半期ごとの連結売上高、経常利益及び通期に占める割合は、以下のとおりであります。
② 販売用不動産の売却について
当社は、不動産ソリューション事業の不動産デベロップメント部門において、販売用不動産の売却を行う場合があります。これは、当社が学生向け賃貸住宅建設のための土地を取得し、当社の企画により学生向け賃貸住宅を建設し、入居者募集を行ったうえで、法人又は個人の投資家の方々へ利回り商品として売却を行い、当該物件を当社がサブリース契約にて一括借上を行うといった取引形態に伴うものであります。そのため、販売用不動産の売却が発生した場合には、売上高が増大するとともに売上総利益率、営業利益率等が大きく変動する場合があります。さらに、販売用不動産の売却時期によっては、四半期業績についても前年同期に比べ大きく変動する場合があります。また、販売用不動産の売却もしくは取得が発生した場合には、販売用不動産の在庫金額が前年同期に比べ大きく変動する場合があります。
なお、2024年5月期の四半期ごとの販売用不動産の売上高は、以下のとおりであります。
③ 新卒採用活動時期について
当社グループでは、学生生活ソリューション事業の人材ソリューション部門における連結子会社である株式会社ワークス・ジャパンにおいて、企業人事部向け「若年層人材ソリューション」コンサルティング等のサービス提供を行っております。現在企業の新卒採用活動時期は、主に広報活動は3月開始、選考活動は6月開始となっております。今後これらの時期が変更になった場合は、人材ソリューション部門の四半期業績が前年同期に比べ大きく変動する場合があります。
④ 営業キャッシュ・フローの変動について
当社は、不動産ソリューション事業の不動産デベロップメント部門において、販売用不動産の取得を行う場合には取得に要する資金のほとんどを金融機関からの借入により調達しております。この場合、販売用不動産の取得の規模・時期によっては、棚卸資産の増加により「キャッシュ・フロー計算書」の営業キャッシュ・フローがマイナスとなる場合や前年同期に比べ大きく変動する場合があります。
(3) 少子化の影響について
18歳人口は10年前に比べ約14.0万人(約11.3%)減少し、2023年度には108.9万人(総務省統計局「人口推計」による)となっております。当社といたしましては、この減少傾向は続くものと考えており、10年後の18歳人口は現在に比べ約5%程度減少するものと予想しております。
一方、大学生人口は2023年春の大学入学者数が63.2万人、大学生総数は294.5万人(文部科学省「学校基本調査」による)といずれも過去最高水準を維持しております。この要因は大学への進学を希望する受験生の割合が増加していることに加え、大学側の経営確立のための学生確保が重なったものと考えられます。
当社グループの主力事業エリアである首都圏における大学生数は、2023年度は119.5万人となり、10年前に比べ約2.5万人増加しており過去最高水準を維持しております。
当社グループといたしましては、当面の間、首都圏大学生数は安定して推移するものと認識しており、今後5年~10年程度の中期的なスパンでの少子化の進行による影響は少ないものと考えております。しかし、少子化がさらに進行し、当社グループの認識とは相違して対象顧客である学生等の人口が急激に減少した場合には、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
(4) 大学の統廃合、キャンパス移転について
当社グループの不動産ソリューション事業では、新規に開発する学生向け賃貸住宅については、物件の主な対象となる大学、短期大学及び専門学校の学生数、下宿生の傾向を勘案して開発を行っておりますが、大学の統廃合又はキャンパスの移転が発生した場合、地域によっては周辺物件の需要と供給のバランスが崩れる可能性があります。このような事態が発生した場合には、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
(5) 首都圏に事業が集中していることについて
当社グループの不動産ソリューション事業及び学生生活ソリューション事業は、いずれの事業も一部で地方展開を開始しているものの、首都圏、特に東京圏に事業が集中しているため、東京直下型大地震のような大規模な災害等が発生した場合には、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
(6) 外注先等に起因するトラブルによる影響について
当社グループの事業に係る外注先等において、貸切バス事故、賃貸物件における大規模火災や食事付物件における食中毒等の発生などによる外注先等を起因とするトラブルが発生した場合、当社グループは道義的責任等に対し真摯に最大限の対応を行ったとしても、対外的評価や風評被害等が当社グループの想定の範囲を超えた場合には、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
(7) 法的規制等について
当社グループは、以下の3つの法的規制等による事業を行っております。
① 不動産ソリューション事業は、宅地建物取引業法に基づく国土交通大臣の宅地建物取引業者としての許可を取得しており、不動産仲介及び売買等の事業を行っております。また、建築士法に基づく一級建築士事務所登録及び警備業法に基づく東京都公安委員会の認定を受けております。
② 学生生活ソリューション事業における課外活動ソリューション部門は、旅行業法に基づく観光庁長官の旅行業者としての許可を取得しており、旅行サービス等の販売を行っております。
③ 学生生活ソリューション事業における人材ソリューション部門は、職業安定法に基づく厚生労働大臣の有料職業紹介事業者及び一般労働者派遣事業者としての許可を取得しております。
今後、これらの法令等が改正される可能性があり、その場合、当社グループの事業が制約される可能性があります。
(8) 個人情報の保護について
当社グループは、当社グループ事業の中において、不動産ソリューション事業における入居者情報、学生生活ソリューション事業における顧客情報等を取得し、利用しております。
一方、2005年4月に全面施行された「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)は、当社グループのビジネスにも影響があると考えられ、それに対する取り組みを誤れば、企業の存続にも影響する可能性があります。
当社グループでは、徹底した情報管理を継続的に行い、高度のセキュリティ技術の活用、各種社内教育及びガイドラインを充実させ運用管理の徹底を行っております。なお、当社及び株式会社ワークス・ジャパンはプライバシーマークを取得しております。
しかし、以上のような対策を講じたとしても、個人情報の流出等の重大なトラブルが当社グループにおいて発生した場合には、当社グループへの損害賠償請求や信用の低下等により、当社グループの事業及び業績に重大な影響を与える可能性があります。
(9) 新型コロナウイルス感染症等の感染症について
新型コロナウイルス感染症等の感染症が流行した場合には、下記の可能性により当社グループの事業及び業績に重大な影響を与える可能性があります。
・不動産ソリューション事業
不動産マネジメント部門において、大学のリモート授業が長期化した場合には一時的な退去者が増加する可能性があり、また、新入生の入学時期の変更があった場合にはその変更期は入居率が低下する可能性があります。
・学生生活ソリューション事業
課外活動ソリューション部門において、学生のサークル合宿旅行・研修旅行やスポーツ大会の企画手配旅行等が行えず売上が大幅に減少する可能性があります。また、人材ソリューション部門においては、感染症等が長期化することで企業の業績が悪化し、新卒採用者が抑制される可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を経営の最重要政策の一つとして位置付けております。安定的な経営基盤の確保と自己資本利益率の向上に努めるとともに、配当につきましても安定的な配当の継続を業績に応じて行うことを基本方針としております。具体的には、連結配当性向について35%以上を継続的に実施していくことを目標としております。
当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。また、配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。
当事業年度の剰余金の配当につきましては、公表のとおり、1株当たり30円(うち中間配当金8円)としており、連結配当性向は35.6%となっております。
内部留保金につきましては、フリーキャッシュフローの増大をめざして自己資本の充実を図るとともに、企業体質の一層の強化並びに今後の新規事業等に効果的に役立てていく方針であります。
なお、当社は、中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。