2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業は、全て不動産に関連する事業であることから、不動産市況、住宅関連税制、住宅ローン金利水準等による購買者の需要動向、各種不動産法規の改廃、建築資材の原材料の価格動向等に影響を受けております。当社グループの事業展開においてリスク要因となる可能性が考えられる主な事項は、以下のとおりであります。当該リスクが当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす金額は不明ですが、リスクが顕在化した場合は、事業継続の観点から、純資産の範囲内で賄えることが、リスクの最大の許容量と考えております。当該リスクの顕在化する可能性は、常にあるものと認識し、それぞれ対応策を講じております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。

(1)法的規制について

 当社グループの属する不動産業界は、宅地建物取引業法、建設業法、建築基準法、建築士法、都市計画法、住宅の品質確保の促進等に関する法律、マンションの管理の適正化の推進に関する法律等の様々な法的規制を受けております。当社グループでは、上記の法令を遵守するためにコーポレート・ガバナンス及びコンプライアンス推進体制を強化するとともに、法務部門が作成した法令遵守のチェックリストを用い、関係各部署による宅地建物取引業法及び建設業法のセルフチェックを行っております。また、内部監査部門による宅地建物取引業法・建設業法コンプライアンス監査を実施しております。

 しかしながら、今後、これらの法令等の改正や新たな法令等の制定により規制強化が行われた場合には、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは事業活動を継続していくために、以下の免許、登録、許可を得ております。現在、当該免許、登録、許可が取り消しとなる事由は発生しておりませんが、今後何らかの理由によりこれらの免許、登録、許可の取り消し等があった場合、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

会社名又は

事務所名称

許認可等の名称

許認可登録番号

有効期間

許認可等の取消事由

フジ住宅㈱

宅地建物取引業者免許

国土交通大臣
(13)第2430号

2023年10月18日 ~

2028年10月17日

宅地建物取引業法
第5条、第66条等

フジ住宅㈱

特定建設業許可

(建築工事業、内装仕上工事業、土木工事業)

国土交通大臣
(特-4)第26825号

2022年10月3日 ~

2027年10月2日

建設業法
第29条

フジ住宅㈱

一級建築士事務所

一級建築士事務所登録

大阪府知事
(チ)第12796号

2023年11月5日 ~

2028年11月4日

建築士法
第26条

フジ住宅㈱

一級建築士事務所
第二事務所

一級建築士事務所登録

大阪府知事
(ハ)第24188号

2023年3月8日 ~

2028年3月7日

建築士法
第26条

フジ・アメニティ

サービス㈱

宅地建物取引業者免許

大阪府知事
(4)第51575号

2020年7月7日 ~

2025年7月6日

宅地建物取引業法
第5条、第66条等

フジ・アメニティ

サービス㈱

マンションの管理の適正化の推進に関する法律に基づくマンション管理業者登録

国土交通大臣
(4)第062816号

2020年7月30日 ~

2025年7月29日

マンションの管理の適正化の推進に関する

法律第83条

フジ・アメニティ

サービス㈱

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律に基づく賃貸住宅管理業者登録

国土交通大臣

(01)第000532号

2021年8月14日 ~

2026年8月13日

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する

法律第23条

雄健建設㈱

特定建設業許可

(土木工事業、建築工事業、大工工事業、左官工事業、とび・土工工事業、石工事業、屋根工事業、電気工事業、管工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、鋼構造物工事業、鉄筋工事業、舗装工事業、しゅんせつ工事業、板金工事業、ガラス工事業、塗装工事業、防水工事業、内装仕上工事業、熱絶縁工事業、建具工事業、水道施設工事業、解体工事業)

大阪府知事

(特-6)第51771号

2024年4月1日 ~

2029年4月1日

建設業法
第29条

雄健建設㈱

一般建設業許可

(電気通信工事業)

大阪府知事

(般-6)第51771号

2024年4月1日 ~

2029年4月1日

建設業法

第29条

 

 

(2)棚卸不動産の評価について

 当社グループは不動産販売業という性質上、棚卸不動産の評価が損益に直接的な影響を与えるため、この評価を誤ると財務諸表に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、事業用地の仕入れに際して、営業面、資金面、リスク等について、事前に関係各部署が十分に協議し、その結果を踏まえて仕入れを行っております。しかし、土地を取得し開発及び宅地造成を行い、建物を建築し販売を完了するまでの工事期間が長期にわたるため、その間の不動産市況の悪化等により、販売を開始したものの当初計画どおりに契約獲得が進まず、販売可能価額の再設定が必要になる場合があります。また、開発計画時において予期し得なかった事象の発生に伴う工事の長期化や遅延、変更、中断等が生じた場合にはコストが増加し、結果として当初想定の利益が見込めなくなります。

 以上のことから、棚卸不動産については、販売可能性を考慮した最新の販売可能価額を把握するとともに、期末時点の見積追加原価及び見積販売経費を控除した正味売却価額を算出し、期末ごとに正味売却価額と簿価を比較し、簿価切り下げ要否の判断を行っております。

 なお、今後におきまして開発計画時に予期し得なかった事象の発生に伴う工事の長期化や中断、その他不動産市況の悪化等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

(3)有利子負債について

 当社グループは、「幸せはこぶ住まいづくり」、「買っていただいたお客様に幸せになっていただくこと」を事業の目的とし、売りっぱなし建てっぱなしにしないお客様に顔を向けた責任のとれる住まいづくりを経営の基本として事業を展開しており、当社グループの経営姿勢を理解してくださる多数の金融機関から好意的に融資を受けることができております。

 当社グループにおいては、原則として分譲住宅事業のプロジェクト案件ごとに、用地の取得資金と開発費用等そのプロジェクトの推進に必要な資金を、プロジェクトの期間に応じて短期借入金、長期借入金での調達を行っており、有利子負債残高の合計額は総資産に対して比較的高い水準で推移しております。また、運転資金については、原則として手持資金で賄うこととしておりますが、資金繰り弾力化のため、当座借越枠をはじめ、一部短期借入金、長期借入金及び社債発行により調達することがあります。

 近年においては、低金利の継続により、金利負担は比較的低水準で推移しておりますが、金融機関からの金利の引き上げ要請があった場合、または将来において金融引き締めの影響等で金融機関から返済を迫られ、新たな融資を受けることができなくなった場合は、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループは、金融機関との間でコミットメントライン契約を締結しており、棚卸不動産の仕入れに係る資金調達の一部に活用しております。当該契約においては、一定の担保制限条項及び財務制限条項が付されており、当該条項に抵触した場合には当該借入金の返済義務が生じる可能性があり、その場合は当社グループの財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

(4)災害等によるリスクについて

 当社グループは、社員の安全・健康を事業経営の基盤と捉え、今後想定される南海トラフ地震等に備えるため、当社グループ保有の事務所の耐震診断及び耐震補強工事の実施、大地震対応マニュアルの作成や緊急連絡・安否確認システムの構築、災害備蓄品の設置等を行っており、更にBCP(事業継続計画)研修・演習の取り組みを実施しております。また、当社グループは、棚卸不動産・事業用固定資産等の様々な不動産を保有しております。地震や火災、その他の災害に備えて、当社グループの純資産が大幅に棄損しないように、保有資産の規模・重要性等を考慮した上で、適切な火災保険・地震保険・損害保険等に加入しております。しかしながら、当社グループは、大阪府全域、兵庫県南部及び和歌山県北部を主たる営業地盤として地域密着型経営を行っているため、近畿地方を中心とした南海トラフ地震等の災害が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

(5)原材料・資材価格等の高騰について

 建築コストは用地仕入価格とともに売上原価の主要項目であり、国内外市場の動向等により原材料・資材・物流等の価格が上昇した場合は、上昇分に応じて販売価格に転嫁しております。しかしながら、想定を上回って建築コストが上昇し、販売価格へ転嫁することが難しい場合は、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

(6)契約不適合責任について

 当社グループの不動産販売事業において、新築住宅は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)及び宅地建物取引業法の規定に基づいて、構造耐力上主要部分と雨水の浸入を防止する部分については引渡し後10年間、その他の部分については引渡し後2年間の契約不適合責任を負っております。中古住宅は、宅地建物取引業の規定に基づいて、引渡し後2年間の契約不適合責任を負っております。また、請負物件については、品確法の規定に基づいて、構造耐力上主要部分と雨水の浸入を防止する部分については引渡し後10年間、その他の部分については引渡し後2年間の契約不適合責任を負っております。

 当社グループは、建設工事の工程ごとにチェックリストを用いて完了チェックを行い、品質管理に万全を期しております。しかしながら、当社グループの販売した物件や請負った物件に契約不適合があった場合には、契約不適合責任に基づく当該不適合部分の補修や損害賠償、契約の解除等により予定外の費用を負担せざるを得ないことがあり、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

(7)人財の確保・育成について

 当社グループは、長期的な安定経営を行うことを基本方針とし、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ①優秀な人財の採用及び育成並びに働き甲斐のある環境の整備」に記載のとおり、優秀な人財の採用及び育成とストレスのない働きやすい就業環境を維持することが重要課題であると認識しております。近年、少子高齢化の進行と労働人口の減少、価値観や働き方の多様化等、労働市場を取り巻く環境は大きく変化しておりますが、今後も継続的に優秀な人財を採用し、社員が働きやすく長く活躍できるような環境を維持して参ります。しかしながら、当社グループの求める人財を十分に確保・育成することができなかった場合は、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、宅地建物取引業法、建設業法、建築士法等の法律上要求される宅地建物取引士、一級建築士等の国家資格をはじめとする各種資格や技能を有する人財の確保が必要であるため、資格取得支援を充実させることで各種資格の取得を促進しております。しかしながら、宅地建物取引業法、建設業法及び建築士法上の法定有資格者を適正に配置できない場合には免許や許可の取り消しの可能性もあり、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

(8)外部の協力業者へ委託している業務について

 当社グループは、建設工事における施工面の大部分を外部の協力業者へ委託しております。社員や取引先等の関係者を通じて協力業者を紹介していただく等、積極的な新規開拓に取り組むとともに、既存の協力業者に対しては、年に1回開催の現場協力会大会及び毎月開催される安全衛生協議会で当社グループの経営理念の共有及び安全・品質管理の徹底等を行うとともに、表彰制度や健康診断のご案内と実施、協力業者にとって有益な書籍等の情報発信を行うことによって良好な関係の維持・強化を図っております。しかしながら、当社グループの選定基準に合致する協力業者を十分に確保できなかった場合や、協力業者の経営困難や労働者不足に伴う工期の遅延や外注価格が上昇した場合等には、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

(9)個人情報の管理について

 当社グループは、事業を通して取得したお客様の個人情報を多数取り扱っております。当社グループにおいては「個人情報の保護に関する法律」に基づき、プライバシーポリシーを策定し個人情報の取り扱いに関する当社グループの姿勢・考え方を公表するとともに、社内規程の整備、管理体制の構築を行い、システム対策を含め情報セキュリティについては想定しうる対策を講じております。しかしながら、これらの対策にもかかわらず高度なサイバー攻撃による不正アクセスやコンピュータウイルスによる被害、また、パソコンの盗難や業務上の過失等、何らかの原因により、重要な情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの信用力の低下や多額の損害賠償の請求等によって、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

(10)気候変動リスクについて

 当社グループは、気候変動は事業活動に影響を与える課題と認識しており、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な会社の経営戦略 (ESGに関する取り組み)及び(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ②気候変動リスクへの対応」に記載のとおり、環境保全に配慮した事業活動及び社内活動を実施しております。TCFDへの対応については、2022年4月12日の取締役会において内部統制推進委員会の分科会としてTCFDワーキンググループ(以下、「本グループ」)を設置することを決議しました。

本グループにおいて、次の事項について協議しております。

 ① 気候変動が当社の事業活動に与える影響の把握及びTCFD提言に基づく情報開示の内容の策定

 ② サステナビリティ基本方針に基づいた取り組みの状況の確認及び取り組みの推進

 今後、大規模な気候変動の発生により、経済環境や社会環境の変化が発生した場合、不動産需要の低下、地価等の下落、個人消費の低迷等が起こる可能性があり、また、環境問題に関する法令等の強化等が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

(11)サイバーセキュリティについて

 当社グループは、事業の円滑・効率的な運用等を目的として、ITシステムの利活用を推進しております。近年のデジタル技術の著しい発展の一方で、サイバー攻撃手法の高度化・巧妙化も進んでおり、当社グループでは、電子情報セキュリティ規程等を定め、サイバーセキュリティの体制整備を行うとともに、ネットワーク及び設備の監視を始めとする各種情報セキュリティ対策に加え、役職員向けに不審メールへの対応訓練を実施しております。しかしながら、不正アクセスやサイバー攻撃を受け、重要なシステムの誤作動や停止、保有する機密情報の流出が発生した場合、社会的信用の失墜、事業活動の混乱や停滞、顧客・取引先への補償等が発生し、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

配当政策

3【配当政策】

当社の主要な事業である不動産開発・販売事業は、長期的な展望に立っての事業展開が必要であり、そのためには安定的な経営基盤の確保と財務体質の強化を図ることが重要な課題であります。企業体質の強化・充実と今後の事業展開に備えるため内部留保に努めるとともに、株主の皆様へ安定的に配当を継続することを基本方針としております。この方針を明確にするため、取締役会にて「累進的配当政策」の導入を決議し、今後も減配は行わず大幅に利益が増加した場合は特別配当により還元を行うことも視野に入れ、安定した配当の実現と持続的な企業価値の向上に努めることといたしました。

また、当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

当事業年度の配当につきましては、当期純利益が期初の予想を上回りましたので、上記基本方針のとおり、当期純利益増加相当額である配当金3円を特別配当とさせていただき、1株につき30円の配当(うち中間配当14円)とさせていただきました。この結果、当事業年度の配当性向は41.3%となりました。

内部留保資金については、企業体質の強化及び将来の事業展開の資金需要に充当し、株主各位の将来の安定的な利益確保を図る所存であります。

当社は、「毎年9月30日を基準日として、取締役会の決議によって中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。

なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

2023年10月31日

514,857

14.00

取締役会決議

2024年6月19日

588,408

16.00

定時株主総会決議