リスク
3【事業等のリスク】
以下において、当社及び当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を与える可能性があると考えられる主な事項及び当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項を記載しております。
このため、当社グループが認識しているリスクのすべてを網羅しているものではありません。当社グループは、こうしたリスクを認識した上で、事態の発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
なお、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 子会社の管理体制について
当社は、当社グループの持株会社として、子会社の事業運営に関しての管理監督責任を有しており、そのため当社グループ全体のコーポレート・ガバナンス体制やリスク管理態勢、コンプライアンス態勢の継続的な強化を図り、当社グループの財務の健全性及び業務の適切性を確保しております。
しかしながら、将来何らかの理由によりこれらの体制(態勢)が機能しなくなった場合には、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
(2) 法的規制について
当社は、金融商品取引業、商品先物取引業及び資金移動業を営む株式会社マネーパートナーズ(以下「マネーパートナーズ」という。)を連結子会社に有しており、同社をはじめとして当社グループは金融商品取引法等の法的規制を受けております。
① 金融商品取引法について
当社グループは、金融商品取引業を営んでおり、金融商品取引法第29条に基づく登録を受け、金融商品取引法、関連政令、府令等の諸法令に服して事業活動を行っております。金融商品取引業については、金融商品取引法第52条第1項及び第4項もしくは同法第53条第3項、同法第54条にて登録の取消となる要件が定められており、これらに該当した場合、登録が取消となる可能性があります。
当社グループは、子会社を含むグループ全体の社内体制の整備等を実施し、法令遵守の徹底を図っており、現時点では取消事由に該当する事実はありません。
しかしながら、将来何らかの理由により監督官庁から登録の取消等の行政処分を受けることになった場合、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
イ 自己資本規制比率について
金融商品取引業者には、金融商品取引法第46条の6に基づき自己資本規制比率の制度が設けられております。自己資本規制比率とは、固定化されていない自己資本の、保有する有価証券の価格の変動その他の理由により発生しうる危険の額に対応する額として内閣府令で定める額の合計に対する比率をいいます(金融商品取引法第46条の6第1項)。金融商品取引業者は、自己資本規制比率が120%を下回ることのないようにしなければならず(金融商品取引法第46条の6第2項)、金融庁長官は金融商品取引業者に対し、その自己資本規制比率が120%を下回るときには業務方法の変更を命ずること、また、100%を下回るときには3ヶ月以内の期間、業務の停止を命ずる事ができ、更に業務停止後3ヶ月を経過しても100%を下回り、かつ、回復の見込みがないと認められるときは、金融商品取引業者の登録を取り消すことができるとされております(金融商品取引法第53条)。
なお、マネーパートナーズの自己資本規制比率は、「4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)業務の状況 ⑥自己資本規制比率」に記載のとおりであり、上記の法令上の自己資本規制比率の必要水準を十分に上回る比率を維持しております。
しかしながら、今後上記要件に抵触した場合には、監督官庁による行政処分が行われることがあり、その場合、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
ロ 顧客預り資産の分別管理及び区分管理について
当社グループは、デリバティブ取引である外国為替証拠金取引及び外国為替証拠金取引の代用有価証券取扱サービス等を目的として有価証券関連取引を取り扱っております。金融商品取引業者は、顧客資産が適切かつ円滑に返還されるよう、これらの取引に際して顧客から預託を受けた金銭についての管理が義務付けられており、外国為替証拠金取引については金融商品取引法第43条の3第1項の規定に基づく区分管理義務が、有価証券関連取引については金融商品取引法第43条の2第2項の規定に基づく分別管理義務がそれぞれ課せられております。当社グループは、前者については取引銀行2行と、後者については信託銀行1行とそれぞれ信託契約を締結し、顧客からの預り資産について金銭信託による保全を行う等、法令が要請する管理義務を充足しております。
しかしながら、今後、これに抵触する事態が生じた場合、又は法令等の改正により、現在の管理方法が適合しなくなり、速やかに適合する管理方法へ移行できなかった場合には、業務停止や登録取消等の行政処分が行われることがあり、その場合、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
ハ 規制強化について
金融庁は、店頭外国為替証拠金取引業者の決済リスクが顧客やカバー取引先のみならず外国為替市場や金融システムへ影響を与える可能性があることから、金融商品取引業等に関する内閣府令等を改正し、店頭外国為替証拠金取引業者に対して2020年1月1日より金融商品取引業協会の規則に基づくストレステストの実施並びにストレステストの結果、必要に応じて経営の健全性を確保するための措置をとることを義務付けました。
当社グループとしては、現在示されているストレステストの内容を実施した場合でも、上記の経営の健全性を確保するための追加的措置を講じる必要が生じるような結果にはならないものと認識しておりますが、今後の業容の拡大や事業環境の変化もしくはストレステスト自体の内容の変更により、追加的措置をとらざるを得ない事態に至る可能性があり、この場合の追加的措置には、現在当社グループが提供している外国為替証拠金取引における証拠金倍率の引き下げも含まれ得るものと考えられます。
当社グループとしては、継続的な資本の充実やリスク管理体制の強化等を通じて上記のような事態に至らないよう努めてまいりますが、外国為替証拠金取引の証拠金倍率等に追加的制限を加えることを余儀なくされるような事態に至った場合、その制限の内容によっては当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。
② 外国為替及び外国貿易法について
当社グループが事業として提供する外国為替証拠金取引は、外国為替及び外国貿易法第55条の3第1項第4号の規定により想定元本額が1億円を超える取引について財務大臣への報告が義務付けられております。
当社グループは、翌月の20日までに毎月「資本取引に関する一括報告書」を財務大臣に提出し、法令を遵守しておりますが、上記報告を行わなかった場合には、6ヶ月以下の懲役又は20万円以下の罰金(外国為替及び外国貿易法第71条)が科せられる可能性があり、その場合、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
③ 金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律並びに消費者契約法について
金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律は、金融商品の販売等に際して顧客の保護を図るため、金融商品販売業者等の説明義務及びかかる説明義務を怠ったことにより顧客に生じた損害の賠償責任並びに金融商品販売業者が行う金融商品の販売等に係る勧誘の適正の確保のための措置について定めております。
また、消費者契約法は、消費者契約における消費者と事業者との間に存在する構造的な情報の質及び量並びに交渉力の格差(総じて情報の非対称性)に着目し、一定の条件下において、消費者が契約の効力を否定することができる旨を定めております。
当社グループでは、かかる法律への違反防止のための内部管理体制を整備しており、これまでこれらの法律に抵触した事実はありません。
しかしながら、今後、これらに抵触する事態が生じた場合、業務停止や登録取消等の行政処分が行われることがあり、その場合、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
④ 個人情報の保護に関する法律(以下、「個人情報保護法」という。)について
当社グループの個人情報保護態勢は、個人情報保護法の精神に則り、2007年6月に認定されたプライバシーマーク(JISQ15001:2017)のコンプライアンス・プログラムに基づき制定された各種規程により運用されております。マネーパートナーズは、顧客又は取引先の氏名、電話番号、銀行口座等の個人情報を取り扱っており、個人情報の管理は「個人データ管理台帳」により行われております。とりわけ顧客の個人情報を保存しているサーバは、生体認証を含む堅牢なセキュリティで保護された外部データセンターにおいて、登録者のみ入館を許可される態勢で保護されております。また、ネットワークシステムにつきましては、外部からのアクセスに対するファイアウォール、アクセス権限付与による制限、データアクセスの常時監視、メール送受信記録及び内容の保管、記録メディアの社内のPCでの使用禁止等によりセキュリティを確保しております。
また、当社グループのオフィスエリアの入退室はセキュリティカードで管理しており、来訪者が入室する場合には、専用ストラップの着用及び入室カードへの記入によりセキュリティの維持を行っております。さらに、各部署の個人情報管理者が日常業務において特に「情報セキュリティ規程」等の遵守を指導するほか、個人情報保護教育責任者により、年に1回以上個人情報保護に関する教育を全役職員に実施する等、個人情報漏洩事故等の防止に努めております。
このように当社グループは、個人情報の適正な保護のため、全役職員への教育、啓蒙活動及び管理体制の整備に努めておりますが、不正アクセスや内部管理体制の瑕疵等により個人情報が漏洩した場合には、監督官庁からの処分や損害賠償請求を受けると同時に社会的な信用を失う恐れがあり、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
⑤ 犯罪による収益の移転防止に関する法律(以下、「犯罪収益移転防止法」という。)について
犯罪収益移転防止法は、金融機関に対し本人確認を義務づけ、顧客の取引時確認及び記録の保存、顧客管理体制の整備を促すことにより、テロ資金や犯罪収益の追跡のための情報確保とテロ資金供与及びマネー・ロンダリング等の利用防止を目的としております。
当社グループは、同法の定めに基づき取引時確認を実施するとともに、確認記録及び取引記録を保存しております。
しかしながら、当社グループの業務方法が同法に適合しないという事態が発生した場合には、監督官庁による行政処分や刑事罰等を受けることがあり、その場合、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
⑥ 商品先物取引法について
当社グループは、商品先物取引業を営んでおり、商品先物取引法第190条第1項に基づく許可を受け、商品先物取引法、関連政令、省令等の諸法令に服して事業活動を行っております。商品先物取引業については、商品先物取引法第235条第3項もしくは同法第236条第1項にて許可の取消となる要件が定められており、これらに該当した場合、許可が取消となる可能性があります。
当社グループは、子会社を含むグループ全体の社内体制の整備等を実施し、法令遵守の徹底を図っており、現時点では取消事由に該当する事実はありません。また、現時点においては、商品先物取引業に係る業務は当社グループの経営成績及び財政状態等に対して重要性を生じるに至っておりません。
しかしながら、今後上記要件に抵触した場合には、監督官庁による行政処分が行われることがあり、その場合、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
⑦ 暴力団排除条例について
2011年10月1日に東京都暴力団排除条例が施行されたほか、各自治体において同様の条例が施行されております。これらの条例には、事業者が事業に関して締結する契約が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる疑いがあると認められる場合等に、契約の相手方が暴力団関係者でないかを確認するよう努めること、事業者がその行う事業に係る契約を書面により締結する場合においては特約条項を書面に定めるよう努めることが規定されております。努力義務とされている当該規定について、当社グループでは契約に当たって外国為替証拠金取引に係る一般顧客も含めて、契約の相手方についての審査の実施、暴力団等ではないことの誓約書の提出あるいは契約書面における特約条項の整備等を行っております。
しかしながら、審査体制の不備等により意図せず暴力団等との取引が行われた場合に、重要な契約の解除や補償問題等が発生することがあり、その場合、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
(3) 業績等について
① 外国為替証拠金取引における競争激化について
当社グループは、顧客との相対取引による外国為替証拠金取引を行っておりますが、その一方で、東京金融取引所の「くりっく365」等、取引所取引による外国為替証拠金取引について、株式取引等と同様の取引所取引という安心感、認知度が評価され、取引所取引による外国為替証拠金取引が今後シェアを拡大する可能性があります。当社グループは、提示レートの変更を継続的に瞬時に行う等、結果としてより有利なレートの得られる機会がある相対取引での優位性を堅持し、相対取引市場の拡大に努めてまいりたいと考えております。
しかしながら、今後取引所取引が極端にシェアを拡大することとなった場合、当社グループの相対取引による外国為替証拠金取引の相対的なシェアは低下し、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
また、外国為替証拠金取引業界の健全化や「貯蓄から投資へ」の流れの中で、一般投資家の外貨への直接投資に対する関心の高まりや外国為替証拠金取引市場の拡大により、ビジネスチャンスを求めて銀行、証券会社、外資系企業、IT系企業等の多様な業種から市場参入が続いております。当社グループは、これらの競争環境において、外国為替証拠金取引システムの強化、約定拒否やスリッページ(顧客の注文レートと実際の約定レートの差異)の排除をはじめとする商品性の差別化等により顧客基盤の拡大に努めてまいりたいと考えております。
しかしながら、競争の激化に伴い、当社グループの外国為替証拠金取引のシェアの低下や新たに顧客を獲得するために必要な1口座当たりの費用が増加することも考えられます。そうした場合、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
② 収益構造について
当社グループは、顧客の利便性、顧客満足度の向上を目指し、2006年7月17日にインターネットにおける外国為替証拠金取引における取引手数料の完全無料化及び建玉必要証拠金の半額化により、顧客の外国為替証拠金取引における取引コストを低減させ、顧客の投資効率を上げてまいりました。この結果、顧客口座数、顧客預り証拠金とも急増し、当社グループの顧客基盤が大きく拡大したことで、当社グループの収益構造は、従来の手数料収益に依存した構造から売買収益が中心となる構造へ大きく転換いたしました。このため、現在の当社グループの営業収益は、顧客による外国為替証拠金取引及びそれに伴うカバー取引等によって得られる売買収益が中心となっております。
しかしながら、計画どおりに収益のベースとなる顧客基盤が拡大しない等の要因により、外国為替証拠金取引高等が伸び悩んだ場合には、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
さらに、当社グループが提供する外国為替証拠金取引は、取引の担保として差し入れる証拠金に対してレバレッジの掛かった金融デリバティブ商品であり、為替相場の変動により、当社グループの顧客の損益や取引高に多大な影響を与える可能性があります。
このように、相場変動が当社グループの顧客に不利に働き、損失が拡大することにより、投資意欲に減退が生じた場合には、外国為替証拠金取引高は減少し、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
③ 証券業への参入について
当社グループは、2008年3月24日付で、金融商品取引法第31条に基づき、金融商品取引業の業務種別変更の登録を受けました。旧証券取引法に規定されていた「証券業」のうち有価証券取引等の売買等を行う業務であり、日本証券業協会への加入等所定の手続きを経て、有価証券の取扱い業務を開始いたしました。
これにより、外国為替証拠金取引において現金以外に有価証券を担保とした取引サービスも可能となり、顧客基盤の拡大に寄与しております。当社グループは、顧客利便性の一層の拡大を図るため、上記の取引サービスに加え、2010年7月には有価証券の新規買付の取扱いを開始するなど証券業務を順次拡大するため更なるシステムの強化、改善を進めております。証券業において求められる社内体制や業務方法等の不備により、監督官庁から処分を受ける可能性があり、その場合、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
④ 暗号資産関連店頭デリバティブ取引(暗号資産CFD)の提供の開始について
当社グループは、2021年12月6日付で、暗号資産CFDの提供を開始いたしました。暗号資産CFDは、暗号資産(現物)を取り扱わないため、顧客の資産がサイバー攻撃等によるハッキング・盗難・その他の理由により不正に流出するリスクはありません。リスク及びリスクが顕在化した場合における影響等は、金融商品取引法における第一種金融商品取引業の登録取消リスク、システム開発及びシステム障害に係るリスク、カウンターパーティに係るリスク等、当社グループの主力サービスであるインターネットを通じた店頭デリバティブ取引の外国為替証拠金取引と共通するものとなります。
(4) 人員体制について
当社グループは、2005年6月10日に設立されて以来、各部門の組織体制の構築や必要とされる人員体制の整備に全力をあげてまいりました。今後は、社内教育、研修制度の充実を図ることにより、従業員の定着化や組織体制の強化に努めてまいります。
しかしながら、従業員の定着化や優秀な人材の確保が計画どおり進まなかった場合には、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
(5) 今後の事業方針
当社グループでは、外国為替証拠金取引を巡る競合他社との競争が一層厳しくなる環境を十分に認識し、今後の事業方針として、外国為替証拠金取引オンライン取引システムにおける競争優位性を確保すること及び次の成長に向けて新たな収益基盤の拡充を図ることを目標に、積極的なブランディング政策の展開とブランドロイヤリティの確立、顧客セグメントの明確化による顧客基盤の拡充、新商品、新サービスによる収益源の多様化、そしてコンプライアンス態勢、内部管理体制の強化による信頼性の確保を経営の重要課題として事業展開しております。
今後もこの方針に沿った施策に取り組む方針でありますが、これらの施策が必ずしも期待どおりに達成されなかった場合や、顧客のニーズや市場環境に適合できず、方針の転換を余儀なくされた場合には、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
(6) コンピュータシステムについて
① システム障害について
当社グループのコンピュータシステムは外国為替証拠金取引における顧客向けフロントシステム、勘定帳票系バックシステム、ディーラーの補助を主な目的とするミドルシステム及び人事、経理システム等内部管理の情報系システムから構成されておりますが、特に外国為替証拠金取引システムの安定稼働は経営の最重要課題の一つと認識しており、継続的なアプリケーション及びハードウエアの増強を実施し、顧客利便性の向上とシステムの堅牢化、安定性の確保に努めております。保守管理につきましては、当社の子会社である株式会社マネーパートナーズソリューションズに委託する一方で、社内システム要員による監視、管理体制を整えております。サーバ等コンピュータシステムは、セキュリティ上信頼性の高い外部データセンターに設置しており、バックアップシステムの整備や回線の多重化等の整備を行い、危機管理体制を整備しております。
しかしながら、これらシステムに、ハードウエア、ソフトウエアの不具合、人為的ミス、通信回線の障害、コンピュータウィルス、サイバーテロの他、災害等によって障害が発生し機能不全に陥り事業活動に支障をきたす場合には、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
また、当社グループの扱う業務は、その全て又は一部をコンピュータシステムに依存しており、アクセス数の急激な増加、取引注文の想定外の集中等によりシステム障害が生じ、顧客取引の処理を適切に行えない場合には、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
② システム開発について
当社グループでは、外国為替証拠金取引市場における競争優位性を確保していくため、独創的で差別化された取引サービスの提供とトレードシステムのインフラ整備、強化を最優先課題の一つと認識し、積極的に経営資源を投入し他社との差別化を図っております。当社グループは今後、外国為替証拠金取引システム基幹系において、1)顧客増加と約定件数増加に対するサーバ増強、2)瞬間約定処理能力向上のための基幹エンジン強化、3)CRM(注1)を含む業務処理能力アップ等のシステム開発を行ってまいります。また、フロントのアプリケーションソフトとして外国為替証拠金取引におけるアクティブ投資家層向け及びビギナー層向けフロントシステムの開発を行い、多様な顧客ニーズに対応するなかで顧客基盤の拡大、強化に結び付けていく考えでおります。加えて、収益源の多様化と新たな成長分野の開拓に向けたOTC(注2)システムの開発を行っております。
しかしながら、こうしたシステム開発が計画どおりに進まずシステム投資の額が想定を超えて多額になった場合、また、当初予想していたとおりの投資効果が得られず損失を蒙った場合には、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
(注)1.CRMは、「Customer Relationship Management」の略であり、「一人ひとりの顧客ニーズ」を中心に考えたマーケティング手法のことであります。
2.OTCは、「Over The Counter」の略であり、「店頭相対取引」又はその対象のことであります。
③ 電力不足の懸念について
当社グループでは、電力不足による電力供給制限等がなされた場合に備え、事業継続計画に基づいてデータセンターもしくは本社事務所ビルにおける自家発電による電力供給の確保等の対策の推進により、電力不足やその他災害等による停電があった場合でも、直ちにはコンピュータシステムの運用に影響を与えることのないよう体制を整備しております。
しかしながら、電力不足の深刻化等により電力供給が制限され、かつ自家発電による電力供給能力が全面的にもしくは部分的に機能しなくなるような事態が発生した場合には、当社グループのコンピュータシステムが機能不全に陥り事業活動に重大な支障が生じ、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
(7) カウンターパーティについて
当社グループが提供する外国為替証拠金取引をはじめとする店頭デリバティブ取引は、顧客と当社グループによる相対取引であります。当社グループは、これらの取引をリスクヘッジするため、カウンターパーティとも相対取引を行っております。カウンターパーティについては取引開始時の審査及び取引開始後のモニタリングを行うことでリスク回避の措置を講じるとともに、取引先リスク等を分散するために日米欧において実績のある銀行、証券会社等複数のカウンターパーティと取引を行っております。
しかしながら、当該カウンターパーティがシステム障害その他の理由で機能不全に陥った場合には、顧客に対するポジションのリスクヘッジが実行できない可能性があります。また、カウンターパーティに財政状態の悪化や法的整理などの事態が発生した場合には、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
(8) 相場の急激な変動による当社グループの業績への影響について
当社グループが提供する外国為替証拠金取引において、顧客が当社グループが提示する為替レートによる取引を行った場合には、外国為替に係る自己売買ポジションが発生いたします。従いまして、当社グループの自己売買ポジションは、外国為替証拠金取引による顧客からの売買取引によりその都度発生いたしますが、当社グループではカウンターパーティとのカバー取引により、自己売買ポジションを速やかにヘッジすることに努め、自己売買ポジションの為替変動リスクを回避しております。
しかしながら、何らかの突発的な事象を材料に為替相場が短時間のうちに急激に変動した場合には、当社グループがカウンターパーティに対し、自己売買ポジションのカバー取引が行えない可能性があり、その際には当社グループ自身が為替変動リスクを負うことになります。こうした想定外の事態が発生した場合には、ポジションによっては多大な損失を蒙る可能性があり、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
また、当社グループではロスカット制度を採用しており、顧客に損失が発生した場合でも預り証拠金の範囲内に損失額が収まるように、顧客の与信リスク管理には万全を期しておりますが、為替相場の急変等により顧客に多大な損失が発生した場合には、当社グループの風評、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
(9) 株式及び株主について
① 大株主について
2024年3月31日現在の株主名簿によれば、株式会社大和証券グループ本社は当社株式を6,029,100株(議決権比率18.49%、大株主第1位)を保有しております。
同社は、グループ会社を通じて当社グループと同様に外国為替証拠金取引業務もしくは外国為替取引業務等を行っており、当社グループと現在競合しています。現状では、同社は当社株主として当社グループと友好な関係にありますが、今後の事業環境、経営戦略によっては関係に変化が生じる可能性があります。
② ストック・オプション制度について
2024年3月31日現在、行使期間中にある発行されているストック・オプションはございません。
なお、今後において当社グループの業績向上に対する意欲や士気を高めることを目的として、新株予約権の発行を行う可能性があり、追加された新株予約権の付与は1株当たりの株式価値の一層の希薄化を招く可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、企業価値の長期継続的な創出、向上が株主利益貢献の基本であるとの認識のもと、株主の皆様への継続的かつ適正な利益還元を経営上の最重要課題の一つと位置づけております。剰余金の配当につきましては、業績の向上に必要な投資のための内部留保と、株主の皆様への継続的かつ適正な利益還元のバランスを考慮しつつ、財務状況及び事業環境等を総合的に勘案した株主還元策の実施に取り組むこととし、通期の連結業績における親会社株主に帰属する当期純利益の50%を配当性向の目途として中間配当及び期末配当の年2回実施することを基本方針としております。
また、内部留保資金につきましては、財務体質の強化、今後成長が見込める事業への投資、設備投資等に活用してまいります。
自己株式の取得につきましては、今後も企業環境の変化に対応した機動的な資本政策を遂行するために、財務状況、株価の動向等を勘案しながら実施を検討してまいります。
当社における剰余金の配当の決定機関は、期末配当につきましては株主総会、中間配当につきましては取締役会であります。当事業年度の配当につきましては、上記の方針に基づき、1株当たり11.00円の配当(うち中間配当6.00円)を実施することを決定いたしました。この結果、連結配当性向は49.5%となりました。当社は、「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(百万円) |
1株当たり配当額(円) |
2023年10月31日 |
195 |
6.00 |
取締役会決議 |
||
2024年6月21日 |
162 |
5.00 |
定時株主総会決議 |
(注)1. 2023年10月31日開催の取締役会決議による配当金の総額には、この配当の基準日である2023年9月30日現在で役員向け業績連動型株式報酬制度に係る信託が所有する当社株式(自己株式)719,103株に対する配当金4百万円を含んでおります。
2. 2024年6月21日開催の定時株主総会決議による配当金の総額には、この配当の基準日である2024年3月31日現在で役員向け業績連動型株式報酬制度に係る信託が所有する当社株式(自己株式)719,103株に対する配当金3百万円を含んでおります。