2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクは、以下のとおりであります。これらは投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社グループはこれらのリスクの発生要因を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めております。

なお、文中において将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであり、全てのリスク要因を網羅したものではありません。また、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。

(1) 市場の変動

当社グループの事業は、国内に加え世界のあらゆる金融・商品市場の動向や経済情勢の影響を大きく受けています。取引の停滞や減少は、純粋な経済的要因だけではなく、戦争、テロ、自然災害などによっても引き起こされます。取引の停滞や減少が長引くと、経営予測を超えて収益に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 自己売買業務

当社グループでは、自己売買業務を行っております。当該業務に関しては、ディーリング業務規程等と日々のモニタリングによる十分なリスク管理体制をとっております。しかしながら、急激な相場変動等によっては当初想定していないリスクが顕在化する可能性があり、そのような場合には当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 法的規制に係るリスクについて

当社グループの日産証券株式会社では金融商品取引法に定める金融商品取引業、商品先物取引法に定める商品先物取引業及びそれらに付帯又は関連する業務を営んでおり、金融商品取引法及び商品先物取引法を始めとする法令・諸規則を遵守する必要があります。

また日産証券株式会社では主要な事業活動において、以下の許認可及び登録(以下、「許認可等」という。)を受けており、現時点で許認可等が取消となるような事由は発生しておりませんが、将来何らかの理由により、許認可等の取消等があった場合には事業運営に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(登録・許可の状況)

取得年月日

2007年9月30日

2011年12月21日

許認可等の名称

金融商品取引業者登録

商品先物取引業者許可

所管官庁等

金融庁(関東財務局)

農林水産省・経済産業省

許認可の内容

関東財務局長(金商)第131号

農林水産省指令4新食第2087号

経済産業省20221128商第6号

有効期限

なし

2028年12月末(6年更新)

法令違反の要件及び

主な許認可等の取消事由

金融商品取引法第52条第1項各号に定める事項

商品先物取引法第236条第1項各号に定める事項

 

(4) システムに関して

当社グループでは、インターネット取引をはじめ、業務上さまざまなコンピュータシステムを使用しております。当社グループでは、費用対効果を考慮し、新たなシステム投資を行っております。そのため、当初の見込みに反し、投資コストに対する効果が思わしくなかった場合、あるいは不具合、その他自然災害などにより障害を起こした場合、その規模によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 個人情報漏洩に関して

当社グループは顧客の電話番号、住所、銀行口座などの個人情報をコンピュータシステムなどによって管理しております。これらの個人情報につきましては、厳重に社内管理を行っておりますが、外部からの不正アクセスや内部管理体制の不備などにより、個人情報が漏洩した場合には、当社グループはその責任を問われると同時に社会的信用を失う恐れがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 訴訟に関して

2024年3月31日現在、当社グループでは金融商品取引において6件、商品先物取引において2件の訴訟(訴額合計530,707千円)が係争中であります。そのうち、金融商品取引に係る訴訟については5件が三京証券株式会社(現JIA証券株式会社、2021年9月に全株式を譲渡)及び日本フィナンシャルセキュリティーズ株式会社(2022年1月に岡藤商事株式会社との吸収合併により消滅)にて行われたくりっく365及びくりっく株365の取引に関するものであり、商品先物取引に係る訴訟については2020年7月の総合取引所化(貴金属等の先物・オプション取引の大阪取引所への移管)以前の商品先物取引法下での取引に関わるもので、当社グループが継承していない取引を含む訴訟となっております。

これらの訴訟は顧客が当社グループ企業に委託した金融商品取引や商品先物取引の売買等において、違法行為があったなどとして損害賠償を求めるものであり、これに対して当社グループはすべての取引は法令を遵守して行われたことを主張して争っております。

いずれの訴訟も係争中のため、現時点で結果を予想するのは困難ですが、今後の訴訟の進展によっては、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を与える可能性があります。

(7) 感染症等の影響に関して

新型コロナウイルス感染症のような感染症等の拡大に対して、当社グループでは、感染防止策として、リモートワーク及び時差出勤等を行うこととし、感染防止に備えております。それにもかかわらず、当社グループの役員・従業員に感染者が出た場合、事業所の閉鎖やそれに伴う事業停止等の対応を余儀なくされ、当社グループの経営成績、財務状況等に影響を与える可能性があります。

(8) 親会社等との関係について

当社の親会社である株式会社NSHDは、2024年3月末現在、当社発行済株式総数の66.91%(40,116千株)を保有する筆頭株主であります。また、同社は当社発行済株式総数の過半数以上を保有しているため、議決権行使等により当社の経営に影響を及ぼし得る立場にあり、当社の意思決定に対して影響を与える可能性があります。なお、同社は、当社株式の所有のほか、有価証券の保有及び運用等を事業内容としております。

また、親会社の兄弟会社であるユニコムグループホールディングス株式会社は、当社株式を保有しておりませんが、ユニコムグループホールディングス株式会社の株主は株式会社NSHDと同一であるため株式会社NSHDと緊密な関係にあります。なお、同社は当社の代表取締役社長である二家英彰、当社子会社の代表取締役会長である二家勝明及びその親族の実質的な資産管理会社であり、不動産の所有・賃貸・管理等を事業内容としております。

① 親会社等との取引関係について

当社及び当社の連結子会社は、ユニコムグループホールディングス株式会社との間で旧本社ビル及び独身寮に係る賃借取引等を行っておりました。(独身寮の賃借取引等については2023年5月に契約を解消し、旧本社ビルの賃借取引等についても、2023年9月の本社の移転に際して契約を解消いたしました。)

なお、関連当事者取引に該当する親会社等との取引については、取締役会にて取引の合理性及び取引条件の妥当性を検討の上、承認を行っており、一般株主の利益に配慮した対応を行っております。

また、当事業年度の当社及び当社連結子会社と親会社等との取引内容の詳細は以下の通りとなります。なお、当社の親会社である株式会社NSHDとの取引関係はございません。

(a) 当社とユニコムグループホールディングス株式会社との取引

取引先

取引の内容

取引金額(千円)

ユニコムグループホールディングス株式会社

不動産の賃借料等

2,419

家賃免除益

2,419

水道光熱費

239

 

(注)1 不動産の賃借料等については近隣の取引価格を参考にし、同等の価格に寄っております。

2 家賃免除益は立退料相当額として、協議の上決定しております。

 

(b) 当社の連結子会社とユニコムグループホールディングス株式会社との取引

取引先

取引の内容

取引金額(千円)

ユニコムグループホールディングス株式会社

不動産の賃借料等

87,175

家賃免除益

85,775

水道光熱費

8,572

 

(注)1 不動産の賃借料等については近隣の取引価格を参考にし、同等の価格に寄っております。

2 家賃免除益は立退料相当額として、協議の上決定しております。

② 親会社等との役員の兼務関係について

当社役員7名(うち監査等委員3名)のうち、当社の代表取締役社長二家英彰が、親会社である株式会社NSHDの代表取締役を兼務しております。ユニコムグループホールディングス株式会社における兼務関係はございません。

③ 親会社からの独立性の確保について

当社の経営判断については、親会社の事前承認を必要とする事項はなく、独立社外取締役4名を含む当社経営陣が独自に検討した上で意思決定しており、経営の独立性は確保しているものと認識しております。

また、親会社の企業グループ内には当社のグループ会社と類似する事業を営む会社はなく、事業における競合関係も存在しないため、当社の事業活動に影響を与えるものはありません。

 

配当政策

3 【配当政策】

当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営の最重要課題のひとつと位置付けた上で、株主価値の最大化、資本効率の向上を意識しつつバランスの取れた配当の実施を基本方針としております。この考え方に基づき、自己株式取得を含めた連結ベースでの配当性向(総還元性向)を60%以上に定めるとともに、剰余金は期末配当の年1回もしくは中間配当を含めた年2回の配当を実施することとしております。

内部留保につきましては、長期的な展望に基づき、財務基盤の強化や成長分野への資金配分など、企業価値を高めるための投資に有効活用してまいります。

また、自己株式の取得につきましては、資本効率の向上及び経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行を図るために、適切に実施してまいる所存です。

当社は、会社法第459条の規定に基づき、取締役会の決議によって剰余金の配当を行うことができる旨を定款に定めております。

当事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき、前事業年度に比べ5円増配の1株当たり8円50銭(うち中間配当1円)の普通配当を実施することを決定いたしました。この結果、当事業年度の連結ベースでの配当性向は86.8%となりました。

 当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決 議

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2023年11月10日

取締役会決議

 59,029

  1.00

2024年5月14日

取締役会決議

 449,663

  7.50