リスク
3【事業等のリスク】
当社の経営成績、事業運営及び財務状態その他に関する事項のうち、投資家の投資判断に影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項として、以下のようなリスクがあげられます。これらのリスクは複合、連鎖して発生し、様々なリスクを増大させる可能性があります。
当社は、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努めてまいります。
なお、本項目に記載の事項は必ずしもすべてのリスクを網羅したものではなく、また、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1 顕在化する可能性を高く想定しているリスク
(1)外部環境によるリスク
①競争激化に伴うリスク
トレイダーズ証券が主力とするFX取引事業は、競合する事業者が多数参入しており、常に取引スプレッドの縮小及びスワップポイントの付与率向上を競っているため収益性は低下の一途を辿る一方、アフィリエイト等の広告単価は過熱を続けており、顧客獲得コストは高止まりするなど、収益環境は年々厳しさを増しております。特に、金融サービスは取引条件の競合他社との優劣が明確に出るため、取引スプレッド及びスワップポイント等が他社に対して劣後した場合、顧客預り資産が他社に流出し、取引量の減少によって収益が低下するなど悪影響が出てまいります。
このようなリスクは、取引スプレッド及びスワップポイントの付与率の比較優劣が、各社によるキャンペーン告知や各種比較サイト・アフィリエイト事業者の情報提供によって常に公表されており、それに応じて顧客は弾力的に資金を移動させるため、常態的に顕在化しうると考えられます。
具体的には、FX取引事業に関して、顧客預り資産の減少により取引量が減少し、トレーディング損益が減少する、或いは継続的に適正な利幅を確保することが困難となり、取引当たりの収益性が悪化し、トレーディング損益が減少するといった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、取引量が比較的多い顧客層へのコンタクトを強化し、独自のサービスを提供するなど付加価値を高めるカスタマーサポートに力を入れ、顧客ロイヤリティを高める施策をさらに強化して差別化を図ってまいります。また、競合が多数参入するFX取引事業に当社グループの収益の殆どを依存している状況には高いリスクがあるものと認識しており、中期的な重点戦略として、商品ラインナップの拡充による収益の安定性と持続的な収益の成長性を追求してまいります。
②規制・法令等の遵守に関するリスク
トレイダーズ証券は、証券取引事業及びFX取引事業(第一種、第二種金融商品取引業及び投資助言・代理業)を営むに当たり、内閣総理大臣の登録を受けるとともに、自主規制機関である日本証券業協会、金融先物取引業協会、第二種金融商品取引業協会、日本投資顧問業協会及び日本暗号資産取引業協会に加入しており、金融商品取引法その他の法令のほか、これら自主規制機関の規則に服しています。トレイダーズ証券が法令諸規則を遵守できていない等の要因により、業務停止による業績悪化あるいは、当社グループに対する顧客からの信用失墜を招き、当社グループ全体の業績が悪化するといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクは、社内検査や内部監査等の内部での検知や金融庁及び各自主規制機関等の外部検査での検知、並びに、顧客等からの金融庁等への通報により顕在化しうることが考えられます。
具体的には、FX取引事業に関して、業務停止、業務改善命令あるいは信用失堕による顧客預り資産の減少、口座の解約、取引量の低下、トレーディング損益の減少といった影響を想定しており、システム開発・システムコンサルティング事業に関して、信用失堕による受注減少、契約の解除といった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策としてトレイダーズ証券において、内部管理統括責任者の指揮の下、全社的な内部管理態勢の強化を図るとともに、継続的な役職員向けのコンプライアンス研修の実施や社内検査・内部監査の実施等、法令遵守・コンプライアンス意識向上の徹底に取組み、制度改正に対しても適切に対応するよう努めてまいります。
③金融商品取引事業等の規制に伴うリスク
投資家がより安全にFX取引を行う環境を整備するために、金融庁は各種の規制の見直しを行い「区分管理信託に関する規制」、「ロスカット・ルールに関する規制」及び「レバレッジ規制」等を導入し、FX取引事業者はそれらの規制を遵守し事業を行ってまいりました。FX取引に限らず金融商品取引において投資が過熱する、多数の一般投資家が損失を被る可能性が高まる等、投資家保護が必要な状況と判断される場合は、金融庁が規制を強化し市場を鎮静化する場合があります。
また、このようなリスクは、一般投資家が過度のリスクを選好し金融商品市場又は特定の商品取引が過熱した場合、並びに市場又は特定の商品取引の鎮静化のため規制される場合に顕在化しうることが考えられます。
具体的には、FX取引事業における、さらなるレバレッジ規制、金融商品及び金融デリバティブ商品において過度に投機的となっている取引の規制等により、トレイダーズ証券のトレーディング損益等の収益が減少するといった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策としてトレイダーズ証券において、顧客への継続的なリスク情報の提供や顧客の適切なリスク許容度に基づく投資判断を促すことで、顧客が過度に投機的な取引に傾斜しないよう注意喚起してまいります。また、投資対象となる商品ラインアップを拡充することで、顧客が投資リスクを分散できる態勢を整備する一方、トレイダーズ証券における収益減少のリスクを分散するよう努めてまいります。
④経済環境、市況の変化に伴うリスク
トレイダーズ証券の主力事業であるFX取引事業は、日本経済あるいは世界の経済環境の動向や、市況の影響を大きく受ける傾向があります。従って、何らかの経済ショックを発端として為替相場の急激な変動が生じ、顧客に多額の損失が生じた場合は、顧客預り資産が減少し取引量が大きく減少する等の要因により、トレイダーズ証券の収益が長期にわたり低下するといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクは、現在から数年の間に起こる経済環境の変化等により顕在化しうることが考えられます。
具体的には、FX取引事業に関して、顧客預り資産の減少が長期間にわたり、取引量が減少し、トレーディング損益の低迷が長期間続くといった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策としてトレイダーズ証券において、顧客への継続的なリスク情報の提供や相場急変動時に備えた顧客への注意喚起を行うなど、顧客の適切なリスク回避の投資判断を促し、顧客預り資産を減少させない施策を講じることで、顧客が持続的にFX取引を行える投資環境の整備に努めてまいります。
⑤地政学的リスク
当社グループでは、子会社であるトレイダーズ証券等で利用する金融商品取引システムの開発、運用保守を、主に、中国(大連市)及びベトナム(ハノイ市)に所在する海外子会社2社において行っております。海外での事業活動においては、外国政府による法令・規制による制約、不安定かつ不確実な政治情勢・社会情勢、資金移動の制約及び当社グループが有する個人情報等が政府からの要請により閲覧可能な状況等の要因により、当社グループが海外子会社を通じて行っている業務・サービス提供が停止又は停滞、さらには撤退を余儀なくされることで、当社グループの業績低下といった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクが顕在化する時期は、地政学的なリスク変動による複合的な作用も影響することから、特定することは困難ですが、近い将来に顕在化しうることが考えられます。
具体的には、FX取引事業に関してFleGrowthの海外子会社が24時間体制で行っているFXシステムの監視・保守業務の停止やシステム開発の過程で海外子会社から国内データセンターにアクセスして利用している個人情報等の利用を禁止せざるを得ないといった影響を受け、システム開発の業務の停止や停滞、さらには撤退といった影響を想定しております。
当社グループでは、こうした地政学的リスクへの対応として、事業継続計画の見直しを行うとともに、一定規模の投資を行い、高度な技術者集団を確保し、国内におけるシステム開発体制の強化・拡充を図るとともにシステム品質の向上に継続的に取り組むことで、中国・ベトナム・日本の3拠点において特定拠点に依存することのないバランスの取れたシステム開発・運用監視体制の構築を推進してまいります。
(2)当社グループの事業戦略、経営基盤に関するリスク
①新商品の開発又はシステム開発等に伴うリスク
トレイダーズ証券は、多様化する顧客ニーズへの対応を図るため、新商品(新サービス)の導入や既存商品(既存サービス)の改善、見直しを行い、FleGrowthがそれらのシステムの機能強化や新規システムの開発を行っています。しかしながら、開発した商品が顧客ニーズを満たしていない、技術の進歩が速いため商品の陳腐化が極端に早い等の要因により、トレイダーズ証券及びFleGrowthの業績悪化といった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクが顕在化する時期は、開発した商品が顧客に全く支持されず利用されない、相対的に他社商品が優れていることが明白であることが明らかになった場合であり、加速度的に技術が進歩するシステム開発事業においては、しばしば顕在化しうることが考えられます。
具体的には、システム開発・システムコンサルティング事業に関して、開発したシステムはソフトウエアとして資産計上するものがありますが、使用しなくなった場合に固定資産除却損として損失が発生し、FleGrowthの業績を悪化させるといった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策として新商品及び新システムを開発する場合には、開発コスト及び顧客ニーズを十分検証し検討したうえで、迅速な開発を進めていくよう努めてまいります。
②金融商品取引業等に関する内閣府令に基づくストレステスト実施の結果が経営の健全性に影響を与えるリスク
トレイダーズ証券は、金融商品取引業等に関する内閣府令に従い、金融先物取引業協会の規則に基づきストレステスト(将来懸念される異常事態時の「最大想定損失額」:Aと「固定されていない自己資本の額」:Bを比較し、BがAを上回ることが求められる。)を実施しております。自己資本が不足している又は未カバーリスク、未収金リスク及びカバー取引先破綻リスクのいずれかが増大し最大想定損失額が増加している等の要因により、トレイダーズ証券が経営の健全性を確保するための措置を講じなければならないといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクは、トレイダーズ証券の業績が悪化し、自己資本が減少した場合又は最大想定損失額が増加した場合に顕在化しうることが考えられます。
具体的には、FX取引事業に関して、自己資本が不足してきた場合、「最大想定損失額」が「固定化されていない自己資本」を上回らないように、利益を減少させても取引ポジションの調整及びカバー先の分散が必要となり、トレイダーズ証券の利益を減少させ、負の連鎖が生じるといった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策としてトレイダーズ証券において、未カバーポジションの適切な管理、カバー先の適切な分散等により最大想定損失額をコントロールするとともに、内部留保の充実に努め、自己資本を継続的に増加させるよう努めてまいります。
(3)事業活動、顧客取引に関するリスク
①オンライン取引のシステム障害に伴うリスク
トレイダーズ証券は、主要商品であるFX証拠金取引において、顧客からインターネットを通じて受注し、一連のコンピュータ処理システム及び第三者への接続を通じて取引を執行しております。当社グループでは、サーバー等の増強、基幹システムのサーバー類の外部データセンターへの移設、より高度なスキルを持つ人財育成に向けた取り組み、システムの改善等を随時行い、あわせてシステム障害時の業務フローの整備等、安全性を確保すべく、システム運用及び保守に努めております。しかしながら、サイバー攻撃による不正アクセス又はこれらのシステムに障害、誤作動が発生し機能不全に陥る等の要因により、当社システムの停止並びにセキュリティ上の問題発生により顧客からの注文を受付けることができなくなる事態及びカウンターパーティーに対するカバー取引を適時に執行できなくなる事態に陥るといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクは、日常的に顕在化しうることが考えられます。
具体的には、FX取引事業に関して、顧客からの注文が受付けられない事態が生じた場合に、顧客からの信用失墜を招くとともに損害賠償請求が発生するといった影響を想定しています。また、カウンターパーティーに対するカバー取引が適時に執行できない場合は、多額のトレーディング損失が発生するといった影響を想定しています。
当社グループといたしましては、対応策としてトレイダーズ証券においてシステム障害発生時のマニュアルを整備し、全社的に障害内容や影響度合いに応じた代替手段や即応体制を迅速に敷くこととしております。また、FleGrowthの海外子会社が24時間体制でシステムを監視しており、異常を感知したときは、すぐにトレイダーズ証券及びFleGrowthにアラートが通知され、迅速なシステム改修等の対応ができる体制を整えております。異常時において適切な対応ができる人財の育成についても、さらに強化するよう努めてまいります。
②資金繰りリスク(トレイダーズ証券)
トレイダーズ証券は、顧客及びカウンターパーティーとの間で取引の売買代金又は証拠金等の受け払い、信託銀行等への顧客資産の分別信託金の預託等、日々多額の資金移動を行っており、厳格な資金繰り管理を行っております。しかしながら、海外のカウンターパーティーとの資金決済は一営業日遅れるため、顧客資産の分別信託金の預託資金及び顧客資産の出金をトレイダーズ証券が立て替えて支払う場合があります。FX相場が大きく変動し多額の立替が必要となる等の要因により、トレイダーズ証券の資金繰りが一時的に逼迫するといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクは、過去の事例からみると年に数回程度の頻度で顕在化しうることが考えられます。
具体的には、FX取引事業に関して、想定以上のFX相場の変動が発生し、これまでに経験したことがない多額の立替金が必要となった場合に、トレイダーズ証券の資金繰りが一時的に逼迫するといった影響を想定しています。
当社グループといたしましては、対応策として緊急時における金融機関等からの借入枠増加及びコミットメントライン枠の設定に尽力するとともに、緊急時において利用可能な国内カウンターパーティー数の増加を実現するよう努めてまいります。
③市場リスク
トレイダーズ証券は、顧客とのFX証拠金取引について適宜、カウンターパーティーとカバー取引を行うことによって為替変動リスク(市場リスク)を回避しております。しかしながら、FX相場の急変等の要因により、適時にカバー取引が行えなくなり、多額の損失が発生するといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクは、日常的に顕在化しうることが考えられます。
具体的には、FX取引事業に関して、FX相場が急変し変動幅が瞬時に拡がる場合、カウンターパーティーからレートの配信が停止されカバー取引を行うことができず、トレイダーズ証券が多額の損失ポジションを保持するといった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策としてトレイダーズ証券が、国内外の複数のカウンターパーティーとカバー取引を行い、リスクを分散することで損失を最小限にとどめるよう努めてまいります。
④カバー取引先(カウンターパーティー)のリスク
トレイダーズ証券は、顧客とのFX証拠金取引について、複数の金融機関等のカウンターパーティーを相手方としてカバー取引を行い、証拠金を差入れています。しかしながら、世界景気の低迷、金融危機の発生等の要因により、カウンターパーティーが破綻し、トレイダーズ証券が差し入れた証拠金及び決済資金が回収できないといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクは、過去の事例からみると10年に1回から数回程度の頻度で顕在化しうることが考えられます。
具体的には、FX取引事業に関して、カウンターパーティーが破綻し、トレイダーズ証券が差し入れた証拠金及び決済資金が回収できなくなりトレイダーズ証券に損失が発生するといった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策としてトレイダーズ証券のリスク管理委員会(月次開催)においてカウンターパーティーの財務状況を検証し取引先としての安全性を定期的に確認するとともに、景況が急変した場合には、各カウンターパーティーの財務に問題ないかをトレイダーズ証券の役員間で即座に検討するよう努めてまいります。
⑤顧客立替金が発生するリスク及び同債権が貸倒れとなるリスク
トレイダーズ証券は、FX証拠金取引において、個人顧客については約定代金の4~100%を必要証拠金として預託を受け、顧客が建玉を維持するためには必要証拠金の一定割合を維持することを義務づけています。トレイダーズ証券はFleGrowthが開発した最新の自動ロスカットシステムを採用しており、相場が急変した場合でも顧客に必要証拠金を超える損失が生じないよう努めております。しかしながら、FX市場終了からFX市場開始時の間(一般的には週明け等)に想定を超える急激なFX相場の変動により始値が前営業日終値から大きく乖離する等の要因により、当該損失が顧客の支払許容額を超えた場合には当該損失を顧客がすぐには支払えずトレイダーズ証券の立替金となるといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクが顕在化する時期は、FX相場の動きが激しく値飛び(配信レートの大幅な乖離)が生じる時であり、FX相場を急変動させるような非常に大きな世界的な事象が発生した場合において顕在化しうることが考えられます。
具体的には、FX取引事業に関して、FX相場が急変し変動幅が瞬時に拡がる状況において、顧客の必要証拠金を超える損失が生じ、一時的にトレイダーズ証券の立替金となる場合があります。当該立替金を顧客から回収できずにトレイダーズ証券の損失となるといった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策としてトレイダーズ証券において、相場急変動の可能性が想起される場合には、顧客に事前に保有建玉の決済や証拠金の追加預託を促す等の投資リスク情報を提供して、顧客のリスク低減に取り組むとともに、顧客立替金が発生した場合には、回収に向け、迅速な対応を行うよう努めてまいります。また、FleGrowthにおいては、開発した自動ロスカットシステムの能力をさらに高めるよう努めてまいります。
⑥サステナビリティ課題への取り組みに関するリスク
企業が長期的に成長するためには、経営においてESG(環境、社会、ガバナンス)の3つの観点が必要だという考え方が世界中に広まっており、気候変動問題や人権問題などの世界的な社会問題が顕在化している中、ESG観点での配慮ができていない企業は、株主・顧客・取引先等のステークホルダーからの信頼を失い企業存続に影響を及ぼす可能性があります。
また、このようなリスクは、日常的に顕在化しうることが考えられます。
具体的には、当社のサステナビリティ課題への取り組みが不十分であるとの判断から、顧客が当社との取引を停止したり、投資家が当社への投資を控えたりすることで当社グループの経営成績及び財務状況が悪化するといった影響を想定しています。
当社グループといたしましては、社内ペーパーレスの推進、消費電力の削減、地球環境保護に資する金融商品・サービスの開発と提供の推進、若年層・学生・女性への金融リテラシー向上のために為替ディーラーの講師派遣等を実行しており、今後も環境、社会に貢献できることは何かを考え実行してまいります。また、グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指して、実効性あるコーポレート・ガバナンスのあり方を不断に追求し、構築・強化を進めていくよう努めてまいります。
(4)オペレーショナルリスク、その他のリスク
①オペレーショナルリスク
当社グループは、事務処理の過程において、オペレーショナルエラー等の要因により、顧客又は取引先からの損害賠償請求、監督官庁からの行政処分等を受けるといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクは、新たな事務処理方法の適用、法令諸規則の変更、従業員の退職等の機会に顕在化しうることが考えられます。
具体的には、当社グループの役職員が正確な事務処理が出来ない、あるいは内部統制が有効に機能しない等の事情によって、十分かつ適切なサービスが提供できなくなるといった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策として事務処理能力が低下することのないよう、優秀な従業員の採用、適切な人員を確保するとともに、外部研修への参加の奨励、社内セミナー等の開催などにより従業員の能力向上に努めてまいります。
②開発したシステムの品質上の重大事故や不具合等による瑕疵等のリスク
FleGrowthは、金融商品取引システムの開発及び開発したシステムの運用・保守を外部金融機関等に提供しております。しかしながら、提供するシステムに品質上の重大事故や不具合等の要因により、提供先から賠償請求を受けるといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクは、日常的に顕在化しうることが考えられます。
具体的には、システム開発・システムコンサルティング事業に関して、納品したシステムの品質上の重大事故により、システムが停止したことで発生する損失をFleGrowthが賠償するといった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策としてシステムを開発・納品にするにあたり、システム開発時の、要件定義や設計・開発の各段階の管理を適切に行い、システム開発時の十分な提供先の受け入れテスト(UAT)を実施し、システムの品質を提供先がFleGrowthとともに確認することで不具合が発生しないよう努めてまいります。
③情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、ランサムウエア(身代金要求型ウイルス)を使ったサイバーテロによりシステムが停止し事業継続ができない可能性及びサイバー攻撃による不正アクセス、コンピュータウイルスの感染、従業員もしくは委託先の不正な情報の持ち出しで、個人情報や機密情報が漏洩する等の要因により、顧客や取引先からの損害賠償請求や監督官庁による行政処分を受けるといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクが顕在化する時期は、特定することはできませんが、常にその危機にさらされており、日常的に顕在化しうることが考えられます。
具体的には、ランサムウエア攻撃により、FX取引事業にかかる端末やサーバーの暗号化でFX取引システムが長期間停止し事業が継続できない事態の発生、サイバーテロによる多額の身代金の支払、情報漏洩にかかる損害賠償額の支払いや対応コスト等の発生、あるいは社会的信用低下に伴うトレイダーズ証券の顧客預り資産の減少、取引量の減少などによる収益悪化といった影響を想定しています。
当社グループといたしましては、システム会社であるFleGrowthを中心に情報セキュリティ管理体制の整備や、各種システムのセキュリティ強化を実施しサイバーテロ、サイバー攻撃やコンピュータウイルス感染の予防に努めるとともに、役職員を対象とした標的型攻撃メールへの徹底した注意喚起を行うなど、情報管理において、適切な技術対策や社内管理体制の整備、役職員への教育等の対策を講じております。テレワークに関しては、よりセキュリティに配慮した勤務環境を提供する必要があり、暗号化通信による安全なネットワーク環境の提供と、会社指定デバイス以外からの社内環境への接続を制限しております。また、役職員に対する法令遵守意識の徹底のための研修の実施及び内部管理体制の整備等により、役職員による不正の探知及び未然防止に努めております。委託先に関しては、外部委託先管理規程を整備し、定期的に委託先業者の適正性を把握、確認することとしており、当社グループの経営に重要な影響を与えるリスクを早期に把握して、対応することができるよう努めてまいります。
④データ管理の不備によるリスク
当社グループは、トレイダーズ証券が営む金融商品取引事業における顧客データをはじめとし、当社グループの事業にかかわる様々なデータを電子媒体、紙媒体等に記録し保存しています。また、FleGrowthでは金融商品取引事業等に関わるシステムの開発やシステム監視・運用をグループ内外の企業へ提供しております。それらのデータが適切に管理されず重要なデータや個人情報・機密情報の漏洩及び消失、又は攻撃者へヒントを与える行為等の要因により、顧客や取引先からの損害賠償請求や監督官庁による行政処分を受けるといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクが顕在化する時期は、特定することはできませんが、データのバックアップ不備、データの保存媒体の不具合・故障等によるデータの消失、データを管理する委託先での管理不備等により第三者のデータ閲覧が可能となっているなど、常に危機にさらされており、日常的に顕在化しうることが考えられます。
具体的には、情報漏洩にかかる損害賠償額の支払いやデータ復旧にかかる対応コスト等の発生、あるいは社会的信用低下に伴うトレイダーズ証券の顧客や預り資産の減少、取引量の減少などによる収益悪化や、FleGrowthへの損害賠償請求や社会的信用低下に伴う売上減少といった影響を想定しています。
当社グループといたしましては、対応策として個人情報・機密情報を含む重要データを国内で安全に管理するためトレイダーズ証券及びFleGrowthに専門部署を設けシステム管理体制の整備を強化するとともに、委託先に関しては、外部委託先管理規程を整備し、定期的に委託先業者の適正性を把握、確認することとしており、当社グループの経営に重要な影響を与えるリスクを早期に把握して、対応することができるよう努めてまいります。
2 顕在化する可能性を低く想定しているリスク
(1)外部環境によるリスク
災害の発生によるリスク
当社グループは、地震、津波、風水害等の大規模自然災害あるいは事務所の火災等が発生し、当社グループの従業員や保有資産への被災、業務に必要な人員が確保できない事態、通信障害の発生、及び電力供給不足等の要因により、当社グループの業務運営の継続性の困難や業績の低下といった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクは、過去の事例からみると10年に1回から数回程度の頻度で顕在化しうることが考えられます。
具体的には、FX取引事業に関して、業務の継続が困難となり収益が長期にわたり無くなるといった影響、システム開発・システムコンサルティング事業に関して、FXシステム等の保守・運用の業務停止、システム開発の停止による納品遅延といった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策としてトレイダーズ証券において、緊急事態を想定し具体的なBCP(事業継続計画)を策定し、緊急時の代替事務所を遠隔地に確保しております。また、定期的に社内でBCP訓練を実施し、緊急事態を想定したシミュレーションにより、必要な課題を洗い出し、適切な準備を行うことを考えております。また、システム開発・システムコンサルティング事業における対応策として、テレワーク制度導入によるFXシステム等の保守・運用体制の多様化、システム開発の拠点分散化(国内外の全事務所を活用)によるリスクの軽減を図っており、宮城県仙台市にシステム開発・運用のニアショア拠点として事務所を設立し、具体的なリスク分散の計画を策定し実現するよう努めてまいります。
(2)当社グループの事業戦略、経営基盤に関するリスク
自己資本規制比率が低下するリスク
トレイダーズ証券は、第一種金融商品取引業者として、金融商品取引法等の法令により、財務状態の健全性を維持するために、自己資本規制比率(固定化されていない自己資本をリスク相当額(市場リスク、取引先リスク及び基礎的リスク等)で除した比率)の適正水準の維持(120%以上)が求められていますが、業績の低迷等の要因により、自己資本が減少し金融当局から早期是正措置の発動等による業務改善命令、業務停止命令あるいは金融商品取引業登録の取消等の行政処分を受けるといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクは、トレイダーズ証券の業績が悪化し、自己資本が大きく減少した場合又はリスク相当額が増加した場合に顕在化しうることが考えられます。2024年3月31日現在のトレイダーズ証券の自己資本規制比率は、609.5%となっております。
具体的には、FX取引事業に関して、業績の低迷等の要因により自己資本が減少し金融当局から早期是正措置の発動等による業務改善命令を受けた場合、信用失堕により当社グループの業績が大きく低迷するといった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策としてトレイダーズ証券において、適切なリスク管理を行うとともに、顧客預り資産及び取引量を増加させることで、トレーディング損益の増加を図り、自己資本を継続的に増加させるよう努めてまいります。
(3)事業活動、顧客取引に関するリスク
発注先の信用リスク
FleGrowthは、システム開発及びシステム運用・保守に関して、発注先と事前に契約を締結し、その対価を前受金及び納品時又はサービス提供時に受け取っていますが、発注者が信用不安に陥ったり、破綻したりする等の要因により、FleGrowthが売掛金の回収不能や、システム開発途中での中止により損失が発生するといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクは、日常的に顕在化しうることが考えられます。
具体的には、システム開発・システムコンサルティング事業に関して、システム開発及びシステム運用・保守のサービスを提供した後に、売掛金の回収不能が発生しFleGrowthに損失が発生するといった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策としてFleGrowthが、発注先と契約を締結する前に、発注先の財務状況や信用力を十分検証し、判断するよう努めてまいります。
(4)オペレーショナルリスク、その他のリスク
①役職員の不正行為によるリスク
当社グループは、役職員の不正行為もしくは予測し得ない不正行為等の要因により、当社グループのブランドイメージに著しい損傷をきたすといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクが顕在化する時期は、特定することはできませんが、予期せずに顕在化しうることが考えられます。
具体的には、不正行為の発生により信用失墜が生じ、当社グループの風評リスクが高まり、円滑な事業の遂行が困難となる、課徴金・過怠金等の納付命令を受ける、その他の行政処分を受けるといった影響を想定しております。
当社グループといたしましては、対応策として役職員に対する法令遵守意識の徹底、内部管理体制の整備、また、内部通報制度導入により、社内担当部署もしくは外部の弁護士に通じるホットラインの設置等を通じ、役職員による不正の探知及び未然防止に努めてまいります。
②外部業者への業務委託に伴うリスク
当社グループは、当社及び子会社におけるFX取引事業並びにシステム開発・システムコンサルティング事業において、業務の一部を当社グループ外の業者に委託しております。このため、当該外部委託業者のサービスレベルの低下、不正行為等の要因により、当社グループは、事業運営に深刻な支障をきたすといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクが顕在化する時期は、特定することはできませんが、予期せずに顕在化しうることが考えられます。
具体的には、外部委託業者の不正行為による個人情報や重要情報の漏洩や改ざん、外部委託業者の経営環境や事業環境悪化による当社委託業務の成果物の品質低下や納品遅延といった影響を考えております。
当社グループといたしましては、対応策として外部委託先管理規程を整備し、定期的に委託先業者の適正性を把握、確認することとしており、当社グループの経営に重要な影響を与えるリスクを早期に把握して、対応できるよう努めてまいります。
③犯罪による収益の移転防止に関するリスク
トレイダーズ証券は、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」の定めに基づき本人特定事項の確認を実施するとともに、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置を講じております。しかしながら、トレイダーズ証券の業務方法が同法に準じていない等の要因により、金融監督官庁による行政処分等を受けるといった影響を被る可能性があります。
また、このようなリスクは、口座開設の際には常に存在していることが考えられます。
具体的には、犯罪組織がトレイダーズ証券の口座を利用し取引を行ったことが判明した場合、業務改善命令等の処分を受け、信用失堕による顧客預り資産の減少、取引量の低下による収益の悪化といった影響を想定しています。
当社グループといたしましては、対応策としてトレイダーズ証券において、同法に関する社内セミナーを実施するなど従業員の意識を高め、同法の定めに基づき本人特定事項の確認を徹底し、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置を講じ、犯罪による収益の移転防止に努めてまいります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、グループ目標達成に向けて将来の事業展開を総合的に勘案し、経営基盤強化のために必要な内部留保にも留意しながら、連結純資産配当率(DOE)4%を目安に年2回の安定的な配当を継続して行うことを基本方針としております。
当期の配当につきましては、前期を上回る利益の確保を達成することができましたので合計配当を1株当たり7円増配し、24円00銭とさせていただきます。
会社法第454条第5項の規定により、取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
当社の剰余金の配当は、これまで年1回、期末配当のみ実施してまいりましたが、株主の皆様への利益還元の機会を充実させるため、中間配当と期末配当の年2回実施する方針に変更し、2024年3月期より中間配当を実施することといたしました。なお、2025年3月期の中間配当につきましては、1株当たり12円を計画しております。2025年3月期の期末配当につきましては、現在のところ未定となっております。
当社は、配当の成長率と透明性、そして安定化に注力し、株主の皆様からのご支援に応えてまいりたいと考えております。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2023年10月17日 |
227 |
8.00 |
取締役会決議 |
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2024年6月26日 |
446 |
16.00 |
定時株主総会決議 |