2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 14,554 100.0 2,391 100.0 16.4

事業内容

 

3 【事業の内容】

当社は、金融商品取引業を営んでおり、有価証券の売買、売買の取次ぎ、引受・売出し・募集及び売出しの取扱い等において幅広いサービスを提供しております。

事業系統図は、次のとおりであります。

 


 

業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当事業年度のわが国経済は、堅調に推移しました。国内総生産(GDP)は7~9月期に名目・実質ともマイナス成長となりましたが、10~12月期には回復し、2023年1~12月における実質GDPは558兆9,210億円と過去最高を更新しました。また、全国消費者物価指数(生鮮食品・エネルギーを除く総合)は上昇率が徐々に鈍化し、消費動向調査は「2人以上の世帯」、「単身世帯」とも態度指数が改善基調となりました。法人企業景気予測調査の国内の景況判断BSIは、大企業・中堅企業の2024年1~3月の「現状判断」、4~6月及び7~9月の「見通し」の全てにおいて「上昇」が「下降」を上回るなど、企業の経営環境も良好な見通しとなりました。米国経済においては、実質GDPが10~12月期まで6四半期連続でプラス成長となり、2024年3月の製造業PMIは2022年10月以来となる「50」を回復するなど、米国景気の強さが目立つ状況となりました。一方、欧州経済は実質GDPの伸び率が2022年10~12月期から2023年10~12月期まで5四半期連続で前期比マイナス0.1%からプラス0.1%の範囲内となり、停滞しました。

  当事業年度の国内株式市場は、東京証券取引所による低PBR(株価純資産倍率)企業に対する改善要請や、長期の割安株投資で知られる米著名投資家が日本株への追加投資を検討したこと、円安傾向などが追い風となり、6月中旬まで上昇基調となりました。その後、日銀が7月下旬の金融政策決定会合で長短金利操作の運用柔軟化を決めたことや、中国景気の先行き懸念、米長期金利の上昇、原油高などが重荷となり、ボックス圏で推移しました。2024年に入り、生成AIへの期待を背景とした米ハイテク株高や、円安、新NISA(少額投資非課税制度)がスタートしたことなどを受けて大幅に上昇しました。日経平均株価は2月22日に1989年12月29日の高値を上回り史上最高値を更新すると、3月4日には初の40,000円台乗せとなりました。3月19日に日銀がマイナス金利政策の解除を決めた後も当面は緩和的な金融環境が続く見通しとなったことから、再度、上昇する動きとなりました。こうした状況を受けて、当事業年度末の日経平均株価は2023年3月末と比べ44.0%高い40,369円44銭で終了しました。

 このような状況の中、当事業年度の業績は、営業収益が145億54百万円(前期比 130.0%)と増加し、営業収益より金融費用51百万円(同 91.7%)を控除した純営業収益は、145億2百万円(同 130.2%)と増加しました。また、販売費・一般管理費は121億11百万円(同 106.2%)となり、その結果、営業利益は23億91百万円(前事業年度実績 営業損失2億68百万円)、経常利益は28億3百万円(前期比 1,505.8%)となりました。特別利益が6億35百万円(前事業年度実績 8億45百万円)、特別損失が6百万円(同 1億99百万円)、税金費用が10億96百万円(前期比 1,868.6%)となったことから、当期純利益は23億36百万円(同 301.9%)と増加しました。

 

 主な概況は以下のとおりであります。

 

イ 受入手数料

当事業年度の「受入手数料」の合計は、127億75百万円(前期比 133.3%)となりました。

 

a 委託手数料

「委託手数料」は、57億4百万円(同 149.1%)となりました。これは、主に株券委託売買金額が1兆868億円(同 148.1%)と増加したことにより、株式の委託手数料が56億79百万円(同 150.1%)となったことによるものです。なお、受益証券の委託手数料は25百万円(同 59.4%)となりました。

 

b 引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料

「引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料」は、31百万円(同 127.9%)となりました。

 

c 募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料

主に投資信託の販売手数料で構成される「募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料」は、29億69百万円(同 129.1%)となりました。これは、米国の持続的な成長企業の株式に投資をする投資信託や、インドの取引所に上場している中型株式等に投資する投資信託、米国の強固なビジネスモデルにより業績の向上が期待される企業に選別投資を行う投資信託の販売が好調だったことによるものです。また、「その他の受入手数料」は、投資信託の代行手数料やファンドラップ手数料の増加等により40億70百万円(同 118.5%)となりました。

 

ロ トレーディング損益

当事業年度の「トレーディング損益」は、株券等が13億13百万円(前期比 118.9%)、債券・為替等が1億56百万円(同 57.2%)となり、合計で14億70百万円(同 106.6%)となりました。

 

ハ 金融収支

当事業年度の「金融収益」は、受取利息の増加等により2億82百万円(前期比 139.2%)、「金融費用」は信用取引費用の増加等により51百万円(同 91.7%)で差引収支は2億30百万円(同 157.4%)の利益となりました。

 

ニ 販売費・一般管理費

当事業年度の「販売費・一般管理費」は、「不動産関係費」が減少する一方、営業収益の増加により賞与などの「人件費」が増加したことから、121億11百万円(前期比 106.2%)となりました。

 

ホ 特別損益

当事業年度の「特別利益」は、「投資有価証券売却益」が6億28百万円(前事業年度実績 8億45百万円)、「金融商品取引責任準備金戻入」が6百万円(同 -百万円)となりました。「特別損失」は「減損損失」が6百万円(同 -百万円)となり、差引6億29百万円の利益(同 6億46百万円の利益)となりました。

 

② 財政状態の状況

イ 流動資産

当事業年度の「流動資産」は、前事業年度に比べ60億22百万円増加し、544億46百万円となりました。これは、「有価証券」が20億10百万円、「短期差入保証金」が3億22百万円、「未収還付法人税等」が2億50百万円、「未収入金」が1億92百万円減少する一方、「現金・預金」が60億52百万円、「預託金」が25億9万円、「未収収益」が1億15百万円、「信用取引資産」が1億15百万円増加したことなどによるものです。

 

ロ 固定資産

当事業年度の「固定資産」は、前事業年度に比べ64億46百万円増加し、195億86百万円となりました。これは、「有形固定資産」が2億3百万円、「無形固定資産」が69百万円減少する一方、「投資有価証券」が67億8百万円、「長期差入保証金」が12百万円増加したことなどによるものです。

 

ハ 流動負債

当事業年度の「流動負債」は、前事業年度に比べ71億50百万円増加し、258億61百万円となりました。これは、「預り金」が59億4百万円、「未払法人税等」が12億16百万円増加したことなどによるものです。

 

ニ 固定負債及び特別法上の準備金

当事業年度の「固定負債」及び「特別法上の準備金」は、前事業年度に比べ15億15百万円増加し、53億44百万円となりました。これは、「退職給付引当金」が1億99百万円減少する一方、「繰延税金負債」が13億99百万円、「従業員株式給付引当金」が2億88百万円、「その他の固定負債」が56百万円増加したことなどによるものです。

 

ホ 純資産

当事業年度の「純資産」は、前事業年度に比べ38億3百万円増加し、428億27百万円となりました。これは、「剰余金の配当」で19億53百万円減少する一方、「その他有価証券評価差額金」で34億20百万円、「当期純利益」で23億36百万円増加したことによるものです。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度における「現金及び現金同等物の期末残高」は、前事業年度に比べ60億52百万円増加し、280億11百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における「営業活動によるキャッシュ・フロー」は69億20百万円の増加となりました。これは、「顧客分別金信託の増減額」で25億円減少する一方、「預り金及び受入保証金の増減額」で60億15百万円、「税引前当期純利益」で34億32百万円増加したことなどが要因であります。なおこれは、前事業年度の「営業活動によるキャッシュ・フロー」42百万円の減少と比較すると69億62百万円の増加となっております。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における「投資活動によるキャッシュ・フロー」は10億41百万円の増加となりました。これは、「投資有価証券の取得による支出」で20億32百万円、「有形固定資産の取得による支出」で79百万円減少する一方、「有価証券の償還による収入」で20億円、「投資有価証券の売却による収入」で8億56百万円、「敷金の回収による収入」で3億39百万円増加したことなどが要因であります。なおこれは、前事業年度の「投資活動によるキャッシュ・フロー」3億46百万円の減少と比較すると13億88百万円の増加となっております。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における「財務活動によるキャッシュ・フロー」は19億55百万円の減少となりました。これは、「配当金の支払額」で19億47百万円減少したことなどが要因であります。なおこれは、前事業年度の「財務活動によるキャッシュ・フロー」5億96百万円の減少と比較すると13億58百万円の減少となっております。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

  当社は金融商品取引業を営んでいるため、「生産、受注及び販売の状況」については、「(1)経営成績等の状況の概要①~③」に含めて記載しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 当事業年度の経営成績の分析

当事業年度は「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(1)目標とする経営指標及び(4)優先的に対処すべき課題」に記載のとおり、数値目標の達成及び施策に取り組んでまいりました。

 

数値目標に対する当事業年度の実績は以下のとおりです。

ROEについては、堅調な国内外市況を背景に、主に株式委託手数料や投資信託の募集手数料が増加したことから、5.0%の目標に対し、5.7%の実績となりました。

販管費カバー率については、賞与などの人件費の増加により販売費・一般管理費が増加した一方、投資信託とファンドラップの残高増加に伴い、投資信託の代行手数料が22億33百万円(前期比 117.0%)、ファンドラップ手数料は17億98百万円(同 121.6%)となったことから、33%以上(2024年度)の目標に対し、33.3%の実績となりました。

 

当社は、第六次中期経営計画の施策の下、お客さまのライフプランに応じた最適な金融サービスの提供とそのための人材育成・体制整備及び投資信託・ファンドラップを軸としたストック収入の拡大による安定収益基盤の構築に取り組んでまいります。

 

② 経営成績に重要な影響を与える要因の分析

当社は対面及びインターネットの二つのチャネルを展開しており、対面ではフロー収益として、株式委託手数料、投資信託の販売手数料、外国株式等のトレーディング収益、またストック収益として、投資信託の代行手数料、ファンドラップ手数料を主な収益源としております。株式委託手数料及び外国株式のトレーディング収益は、日本及び米国の株式市況に大きく影響を受けます。また、外国株式は為替の影響も受け、円安(円高)になると円ベースの価格が上昇(下落)いたします。投資信託は運用する資産や手法により様々な要因で基準価額が上下しますが、基準価額が上昇すると販売が伸びる傾向があるとともに、預り残高が増加することで代行手数料も増加いたします。また、ファンドラップは値動きの異なる複数のファンドを効果的に組み合わせた国際分散投資を行い、ポートフォリオ全体のリスク低減と安定したリターンの追及を図っていますが、為替の影響を受けやすく、円安(円高)になると時価評価額が上昇(下落)する傾向があります。そのため、時価評価額に応じて算出するファンドラップ手数料は増減しますが、お客さまの国際分散投資ニーズの高まりを受け、残高は順調に伸びております。なお、インターネット取引については、開設口座数が少数であるため、収益全体に占める割合は少額であります。

費用面では、販売費・一般管理費は固定的な費用が大部分を占めておりますが、「人件費」に含まれる賞与は経営成績によって増減いたします。 

 

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当事業年度末の現金・預金残高は280億11百万円となっており、日常の運転資金としては十分な額を有しております。また、当社は日本銀行に当座預金を開設する金融機関として、万一の場合でも資金決済が滞ることのないよう、非常時に備えた資金を有しておくことが必要であると考えております。さらに、非常時に備え「資金流動性危機対応マニュアル」を策定している他、定期的に資金流動性のストレスチェックテストを実施し、経営会議に報告しております。

現在、信用取引借入金及び有価証券貸借取引受入金を除く借入金は27億50百万円あり、自己資金で返済することは可能ですが、安定的な資金調達を図るため銀行等との関係を重視し、借入を継続しております。また、現在借入実績のない銀行等に対しても借入枠を確保するよう努めております。

当社が保有する現預金については、事業運営、成長投資及び株主還元等を使途として、当社の財務の安全性及び企業価値の向上の観点から適切に配分してまいります。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。