2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3 【事業等のリスク】

当行、当行の連結子会社5社及び持分法適用非連結子会社9社(以下、本項目においては「当行グループ」という。)において、事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下のようなものがあります。当行グループは、これらのリスクを認識したうえで、リスクの抑制を図るとともに、万が一顕在化した場合には迅速かつ適切に対処してまいります。

なお、本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)特に重要なリスク

当行グループは、本店ほか支店が立地する地域のお客さまからお預けいただいた預金を貸出金や有価証券で運用していることから、貸出金における信用リスク及び有価証券運用における金利変動や株価変動等の市場リスクを特に重要なリスクと位置付けております。

①信用リスク

当行グループは、貸出金等の資産内容について自己査定を実施し、これに基づき貸倒引当金を繰り入れるとともに、不良債権の状況を開示しております。しかしながら、わが国の経済情勢、特に当行グループが主たる営業基盤としている四国地区内の経済情勢の変動が貸出先の業況等に悪影響を及ぼし、債務者区分の下方遷移や、担保価値の下落、その他予期せざる事由の発生により、不良債権及び与信費用が増加する可能性があります。

特に、新型コロナウイルス感染症については、感染症法での扱いが「5類」へと変更になりましたが、実体経済への影響は今後も一定程度継続すると想定し、特定業種向け貸出金等の信用リスクに影響を与えるとの仮定を置いております。翌年度(2025年3月期)の業績見通しは、これらの仮定を踏まえて作成しておりますが、仮定の不確実性は高く、新型コロナウイルス感染症の感染状況やその経済環境への影響が変化した場合には、予想を超える損失を被る可能性があります。

②市場リスク

当行グループは、余資運用や政策投資等の観点から、各種債券や市場性のある株式等を保有しています。保有債券については、市場金利の変動等によって債券ポートフォリオの価値が下落し、損失を被る可能性があります。また、保有株式等については、株価の変動によって価格が下落すれば、減損または評価損が発生する可能性があります。

当行グループでは、市場リスク管理において、株価や市場金利をリスクファクターとしたVaR(Value at Risk)計測、BPV(Basis Point Value)による金利感応度計測に加えて、ストレステストを定期的に行うことによりリスク量の定量的な把握を行っております。

③気候変動に関するリスク

当行グループは、地球規模の気候変動に関する問題について、水害等自然災害の発生により取引先の担保物件が毀損した場合や気候変動対策の規制により取引先の事業が影響を受ける場合、当行の信用や業績にも影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(2)その他重要なリスク

①金利リスク

当行グループは、市場関連リスクの中の1つのファクターとして金利リスクを管理しております。しかしながら、貸出取引や有価証券投資等の資金運用と預金等による資金調達との金額・期間等のミスマッチが存在している状況において、当行グループの予期せぬ金利変動が生じた場合、当行グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

②資金調達・流動性に関するリスク

当行グループは、資金調達や資金運用の状況について客観的な基準で把握し、流動性管理に万全を期しておりますが、当行グループの業績や財務状況が悪化した場合、あるいは市場環境が大きく変化した場合に、必要な資金の確保が困難になり、通常より著しく高い金利による資金調達を余儀なくされる可能性があります。

③自己資本比率に係るリスク

当行は、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(平成18年金融庁告示第19号)に定められた国内基準である自己資本比率4%以上を維持する必要があり、要求される水準を下回った場合、監督当局から業務の全部または一部の停止等の命令を受けることとなります。当行では適正かつ十分な水準の自己資本比率を維持することに努めておりますが、本項に示した事業等に係る各種リスクが顕在化することにより自己資本比率が低下する可能性があります。

④繰延税金資産に係るリスク

繰延税金資産は、現時点におけるわが国の会計基準に基づき、一定の条件の下で、将来における税金負担額の軽減効果として貸借対照表に計上することが認められております。当行グループは、現時点において想定される金融経済環境等の様々な予測・仮定を前提に将来の課税所得を合理的に見積り計上しておりますが、実際の課税所得が想定と異なること等により、繰延税金資産が減額された場合には、当行グループの業務運営、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑤格付に係るリスク

当行は、格付機関から格付を取得しております。格付の水準は、当行から格付機関に提供する情報のほか、格付機関が独自に収集した情報に基づいて付与されているため常に格付機関による見直しがなされる可能性があり、また、日本の金融システム全体に対する評価等の影響も受けます。仮に格付が引き下げられた場合には、資金調達コストの上昇や必要な資金を市場から確保できず資金繰りが困難になる可能性があります。

⑥退職給付債務等の変動に係るリスク

当行グループの退職給付費用や債務は、年金資産の期待運用利回りや将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の前提条件に基づいて算出しておりますが、実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件に変更があった場合には追加損失が発生する可能性があります。また、制度内容の変更により未認識の過去勤務費用が発生する可能性があります。

⑦規制変更のリスク

当行グループは、現時点の規制(法律、規則、政策、実務慣行等)に従って業務を遂行しております。将来、これらの規制の新設、変更、廃止並びにそれらによって発生する事態が、当行グループの業務運営、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧事務リスク

当行グループは、預金・為替・貸出などの銀行業務に加え、リース業務、クレジットカード業務など幅広い業務を行っております。これら多様な業務の遂行に際して、役職員による不正確な事務、あるいは不正や過失等による不適切な事務が行われることにより、損失が発生する可能性があります。当行グループではこのようなリスクが内在することを認識した上で、これを防止するための事務管理規程を定めて定期的な点検を行い、本部による事務指導の強化や管理者の育成を行っておりますが、仮に重大な事務リスクが顕在化した場合には、当行グループの業務運営、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑨システムリスク

当行グループは、勘定系・決済系等のコンピュータシステムを保有しており、お客さまや各種決済機構等のシステムとネットワークで接続されています。
 当行グループでは、システムリスク管理規程を定め、日々システムの安定稼働の維持に努めるとともに定期的な保守点検も励行しております。また、システムリスクのうちサイバーセキュリティリスクについては、サイバーセキュリティリスク管理方針をはじめとする諸規程・マニュアルの整備に加え、最高情報セキュリティ責任者(CISO)及びサイバーセキュリティ管理部門(CSIRT「シーサート」(Computer Security Incident Response Team))を設置し、経営主導によるセキュリティリスク事案にかかる未然防止・事案発生時の態勢を構築し、関連する外部機関とも連携のうえ運営しております。しかしながら、万が一重大なシステム障害やサイバー攻撃による不正アクセスやコンピュータウイルス感染等が発生した場合には、当行グループの業務運営、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑩競合リスク

近年、わが国の金融制度は大幅に規制緩和されてきており、各種商品サービス等を含めた広範な分野において、他業態・他業種との競合が激しさを増しています。当行がこうした環境下において競争優位性を得られない場合、当行の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑪風評リスク

当行グループの業務は、預金者等のお客さまや市場関係者からの信用に大きく依存しております。そのため、当行グループや金融業界等に対する風説・風評が、マスコミ報道・市場関係者への情報伝播・インターネット上の掲示板への書き込み等により発生・拡散した場合には、お客さまや市場関係者が当行グループについて事実と異なる理解・認識をされ、当行グループの業務運営、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑫コンプライアンスリスク

当行グループは、業務を遂行する上で様々な法令諸規制の適用を受けており、これらの法令諸規制が遵守されるよう、役職員に対するコンプライアンスの徹底に努めていますが、これが遵守できなかった場合には、当行グループの業務運営、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑬顧客情報に係るリスク

当行グループは、多数のお客さまの情報を保有しているほか、様々な経営情報等の内部情報を有しております。これらの情報の管理については、情報管理に関するポリシーやその手続等を策定するとともに、役職員への研修等による周知徹底、システム上のセキュリティ対策等を行っております。しかしながら、これらの対策にもかかわらず、重要な情報が外部に漏洩した場合には、当行グループの信用力、業務運営、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑭災害リスク

当行グループは、愛媛県を中心に事業を展開しており、営業拠点、電算センター等の施設、お客さま及び役職員は愛媛県に集中しております。万が一、愛媛県を含む広域に災害等が発生した場合、あるいは愛媛県を中心とする局地的な災害等が発生した場合には、地域経済及び当行の施設、役職員に甚大な被害が及ぶ可能性があり、その結果、当行グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑮感染症の流行に係るリスク

新型コロナウイルス感染症や新型インフルエンザ等に当行グループ役職員が感染することにより、業務継続に支障をきたす可能性があります。加えて、感染症の影響が国内外の経済や金融市場に波及することにより、当行グループの信用リスクや市場リスク、流動性リスク等が顕在化することで、当行グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当行グループでは、今般の新型コロナウイルス感染症拡大を受け、業務継続のために、リモートワークや勤務の交代制度を導入しております。

配当政策

3 【配当政策】

当行は、銀行としての公共性と健全性に鑑み、経営体質の強化や営業基盤の拡充を図り、内部留保の充実に努めることで安定的な配当を継続的に行うことを基本方針としつつ、配当性向30%以上(単体)を目指すこととしております。当期の配当につきましては、株主の皆さまの日頃からのご支援にお応えするため、1株当たり17円00銭とさせていただきます。なお、2006年5月1日施行の会社法において配当に関する回数制限の撤廃が行われることとなりましたが、現在のところ、当行におきましては中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うこととしており、これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

当行は、取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。

また、銀行法第18条の定めにより剰余金の配当に制限を受けております。剰余金の配当をする場合には、会社法第445条第4項(資本金の額及び準備金の額)の規定にかかわらず、当該剰余金の配当により減少する剰余金の額に5分の1を乗じて得た額を資本準備金又は利益準備金として計上しております。

    第120期の剰余金の配当は次のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(円)

1株当たり配当額(円)

2023年11月24日

取締役会決議

589,219,080

15.00

2024年6月27日

株主総会決議

667,763,944

17.00