2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 売上高の変動について

当社グループは飲食店の経営を事業としており、消費者の外食動機の大幅な減少を生じさせる事象、すなわち大規模な自然災害、戦争やテロによる社会的混乱、新たな伝染性の疾病、繁忙期における異常気象等の悪影響の発生等により売上高が大きく低下した場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(2) 仕入の価格変動と安定確保について

異常気象や大規模な自然災害、国際的な紛争、残留農薬や食品添加物等の安全性問題、家畜類に係る伝染病、急激な為替変動、エネルギーコストの更なる高騰、物流ドライバーの不足等による供給体制に問題が生じた場合、原材料価格、物流費の高騰や供給量の不足が見込まれます。産地の分散、配送効率の見直し等対策を講じておりますが、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 自然災害、パンデミックについて

地震や台風等の自然災害によって、店舗、工場等の施設や情報システムに損害が生じ、営業活動や仕入、物流に支障が生じた場合、お客様、従業員に人的被害があった場合、新型インフルエンザ等感染症によるパンデミックが発生した場合等には、関係会社との連携、BCP(事業継続計画)の策定等対策を講じて備えておりますが、影響を完全に防止又は軽減出来るとは限りません。売上高の減少、事業規模の縮小により当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 減損損失及び閉店損失について

当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しておりますが、当社グループの店舗において、外部環境の著しい変化等により収益性が著しく低下した場合、減損損失を計上する可能性があり、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、閉店基準に基づき不採算店舗等の閉店を実施しております。閉店に際し、固定資産除却損及び賃借物件の違約金・転貸費用等が発生する場合、また当該閉店に際し見込まれる損失に対して引当を行う場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) のれんの減損について

当社グループは、企業買収に伴い発生した相当額ののれん(令和6年3月31日現在 ㈱NIS 557百万円、㈱フーズネット 397百万円)を連結貸借対照表に計上しております。当該のれんについては将来の収益力を適切に反映しているものと判断しておりますが、事業環境の変化等により期待する成果が得られない場合、当該のれんについて減損損失を計上し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 人材の確保と育成について

当社グループの事業において円滑な運営を継続するためには、女性、外国人労働者を含めた多様な人材の確保が重要な課題であり、新卒社員の継続的な採用に加え、通年採用の実施、短時間正社員登用制度の活用など、人材の確保に注力しております。また、当社グループが持続的に成長するためには確保した人材を教育し技能の向上を図る必要があります。国内における労働人口の減少が先々見込まれる状況下、計画に沿った人材の確保が困難な場合、確保した人材の育成が遅延または不足した状況、人材の流出が激化した状況等が継続した場合、当初の計画が達成できなくなる可能性があります。また採用環境に起因し人件費が想定以上に高騰した場合は当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(7) 労務関連諸制度の改正等に伴う人件費の高騰について

当社グループでは、正社員、嘱託社員、パートタイマー等働き方の異なる多くの従業員が従事しておりますが、労働・労務関連法規の改正や社会保険制度の変更等、現行制度の改変による人件費高騰の発生可能性があります。人事制度改定による対応はもとより、中期的な会社の経営戦略の重点テーマとして「スマート化社会への対応」を掲げ、積極的にデジタル化を推進し生産性の向上に取り組んでおりますが、関連法令や労働環境に関わる変化への対応に遅延または不足が生じた場合には、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(8) 食品の安全性について

当社グループは、食品衛生法に基づく「飲食業」としての飲食店の経営を行っております。事業の最重要課題として、「SRSグループ監査室 安全衛生担当」を設置する等の社内体制を従前から整備するとともに、国の定める基準に準拠し、食材の品質管理状況や店舗の衛生管理状態を定期的に確認しておりますが、食品の安全性が問われる重大な問題が社内外において万が一発生した場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(9) 競合の動向について

当社グループの事業領域である外食業界においては競合他社に加え、コンビニエンスストアや惣菜店などの中食産業との競争は今後更に激化することが予想されます。当社グループが消費者のニーズにあった付加価値の高い商品を提供できない場合には、市場におけるシェアや商品ブランド力の低下につながり、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(10) 主力業態への依存について

当社グループでは、連結売上高の44.3%(令和6年3月31日時点)を「和食さと」業態に依存しております。単一業態に対する依存から脱却すべく「天丼・天ぷら本舗 さん天」・「にぎり長次郎」・「家族亭」・「得得」・「宮本むなし」・「かつや」といった他業態の育成に注力しておりますが、「和食さと」業態の業績如何により、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(11) 有利子負債について

当社グループは、有利子負債残高の圧縮等を含め保守的な財務方針で経営に当たっておりますが、令和6年3月31日現在で有利子負債依存度は28.8%の水準にあるため、今後金利が上昇した場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(12) 出退店について

当社グループは、適切な出店用地が計画どおり確保できない場合や、出店地周辺の道路や開発状況の想定外の変化や、競合店の出店等で立地環境が大幅に変化し、退店を余儀なくされる場合、また建築資材の高騰、建築業者の人員不足により当初の計画が達成できなくなり経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(13) 店舗の賃借物件への依存について

当社グループは、事務所や大部分の土地建物を貸借しております。賃貸借期間は賃貸人との合意により更新可能でありますが、賃貸人側の事情により賃貸借契約を解約される場合や、賃貸借契約の期限前解約により、計画外の退店を行う可能性があります。

また賃貸人に対して契約に基づき保証金を令和6年3月31日現在で3,947百万円差入れております。保証金を確実に回収するため賃貸人の状況には十分留意しておりますが、賃貸人の倒産等の事由により、回収が困難となった場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(14) フランチャイジーとの取引について

当社グループでは、フランチャイズあるいはサブ・フランチャイズ(ライセンス)契約及び商品売買契約を締結しておりますが、これらに基づき各社に対し取引上の与信リスクが生じております。日常的な取引を通じて与信管理には十分留意しておりますが、当該会社に何らかの事由が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(15) 情報システムへの依存について

当社グループは、店舗運営、食材の仕入れ、配送等の業務を、情報システムに依存しております。様々な障害に対して迅速に対応するための体制を構築し、リスク低減を図っておりますが、通信障害、プログラムの不具合等やコンピューターウィルス、外部からのサイバー攻撃等により、当社グループの情報システムに様々な障害が生じた場合には、店舗の効率的な運営やお客様へのサービス提供が阻害され、重要なデータの喪失や対応費用が発生する等、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(16) 個人情報の管理について

当社グループは、営業を目的とした大量の顧客情報や、特定個人情報を取り扱っております。収集した個人情報(特定個人情報を含みます。)はその取扱いに関するルールを定め、厳重な管理取扱いをグループ内に周知しており、いわゆるマイナンバーにつきましては外部専門業者に委託するなど個人情報の管理に関しては万全を期しておりますが、何らかの理由で個人情報が漏洩した場合には、損害賠償の発生や社会的信用の低下等により、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(17) 風評について

当社グループは、コンプライアンス意識の徹底と定着に継続的に取り組んでおりますが、当社グループに対する悪質な風評が、マスコミ報道やインターネット上の書き込みなどにより発生・流布した場合は、それが正確な事実に基づくものであるか否かにかかわらず、当社グループの社会的信用が毀損し、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

またインターネット上において、当社グループ及びその関係者に関連し不適切な書き込みや画像等の公開によって風評被害が発生した場合、その内容の真偽にかかわらず、当社グループの事業、業績、ブランドイメージ及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18) 海外事業リスク

海外での事業を展開する上で、当社グループが事業を行っている国の法令、制度、政治・経済・社会情勢、文化、商慣習、為替等をはじめとした様々な潜在的リスクが存在し、それらのリスクに対処できないことなどにより事業の展開等が計画どおりに進まない場合、出資の減損処理(投資有価証券の減損処理等)を行う必要が生じる等、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(19) ESG対応に関するリスク

当社は、フィロソフィー・経営理念を具現化するべく、根幹規定として企業倫理憲章を据え、コーポレート・ガバナンス体制および内部統制システムを整備・構築し、これらを土台として基本的・義務的責任を完遂します。また、サステナビリティの推進が当社の持続的な成長の大前提であるという考え方のもと、サステナビリティに関するグループ横断的な統制と重要事項の審議及び決定を目的に、サステナビリティ委員会を取締役会による監督体制下に設置しています。また気候変動や自然災害等、様々なリスクについては、コンプライアンス委員会にて管理し、特に重要なリスクが発生した場合については個別に委員会を設置し、取締役会の管理の下、グループ横断的な管理体制を構築します。当社は、ESG経営、CSR活動に努めていきますが、その活動内容や告知が十分でない場合、株価下落等や、エシカル消費の取り込み遅れによる売上の低迷により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

配当政策

3【配当政策】

当社の利益配分の基本的な考え方は、業績に応じて一定の配当性向を保つという考え方を採らず、極力安定的な配当を維持することを基本方針としております。また、内部留保金につきましては、新店投資、既存店改装投資等に充当させていただき、企業体質の強化に努めてまいります。

上記方針のもとに、収益力強化のための業務改革を行い、財務体質の強化に努めてまいりました。今後の事業展開や内部留保等を総合的に勘案した結果、当期の配当につきましては、1株当たり7円50銭の期末配当を実施することといたしました。また次期の配当につきましても、1株当たり7円50銭の期末配当を予定しております。

当社は中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、これらの剰余金の配当の決定機関は取締役会であります。

当社は「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる」旨及び「会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことができる」旨を定款に定めております。

なお、当事業年度に係る剰余金の配当は、下記の通りであります。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

令和6年5月21日

取締役会

311,023

7.50