リスク
3【事業等のリスク】
当社グループでは、リスク管理を統括する三愛オブリグループサステナビリティ委員会において、リスクの洗い出しをおこない、対応すべき優先順位を決定するとともに、リスク毎に具体的な対応策および予防策を検討している。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が経営成績および財政状態に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものである。また、当社グループのすべてのリスクを網羅するものではない。
(1) 市場環境の変化について[影響度:中~大、発生可能性:高]
① リスク内容
当社グループは、石油製品の販売を主体としたビジネスを主に国内において展開している。地球温暖化等の気候変動への対応として2050年カーボンニュートラルを目指す動きが世界的に加速するなかで、エネルギー転換へ向けた企業の対応が顕在化してきている。国内の石油・LPガス市場においては、消費機器の燃費向上に加えてEV車やオール電化の普及が進むことで、同業者間にとどまらず、電気などの異業種との販売競争に直面している。
また、LPガスや灯油は気温の変動にも影響を受けるため、需要期である冬場の気温が上昇した場合、需要は減少する可能性がある。
このような事業環境のなか、石油関連事業およびガス関連事業の市場規模は中長期的には縮小し、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
② 対応策
このようなリスクに対して当社グループは、2024年度から2026年度までの中期経営計画「変貌する未来への挑戦 Challenge 2030 Second Stage」を策定し、低炭素・循環型社会に対応した事業ポートフォリオへの進化を目指すため、当社グループの事業を成長事業、変革事業および基盤事業に分け、成長可能性のある事業へのM&Aを含めた投資を進めていく。なお、2022年4月1日より社長直轄の事業開発部を発足させている。
(2) 大規模感染症について[影響度:大、発生可能性:低]
① リスク内容
世界的に感染症が流行した場合、各国間の移動に制限がかかり、航空関連事業においては、燃料取扱数量が減少し、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
石油関連事業およびガス関連事業においては、感染症の拡大等の状況次第では物流や生産活動の停滞から燃料油の需要が減少する可能性はあるが、生活必需品としての需要は底堅く推移するものと考えている。
また、従業員の感染が増加し、製造、物流、保安、営業活動などに支障をきたした場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
② 対応策
当社グループは、社会インフラの一端を担う企業の責務として、感染症の拡大等に備え、事業所ごとにBCPの見直しを実施している。また、感染症の流行が見られた場合は、感染予防のための適切な処置を講じることで、従業員の感染リスクの低減に取り組み、事業の継続に努めることとしている。
(3) 災害等について[影響度:大、発生可能性:低]
① リスク内容
当社グループは、国内において羽田空港を含む複数の航空機給油施設を所有・運営している。また東京オイルターミナルなどの石油製品出荷基地、福岡県久留米市から佐賀県佐賀市までの佐賀天然ガスパイプライン、日本各地に所在するSSやLPガス充填所など危険物取扱設備を有している。通常では予見できない事故、地震、異常気象による集中豪雨や河川氾濫、気象パターンの変化による気温上昇により、航空機への燃料供給障害、石油製品物流障害、燃料漏洩による土壌汚染、水害によるLPガスボンベの流出が発生した場合、操業回復までに相当の時間とコストを要することから、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
② 対応策
これらの危険物施設の安全管理・保安体制についてはリスクマネジメント委員会において、自然災害等に備え事業所ごとにBCPの見直しを実施するとともに、事件や事故の報告と再発防止策の検討をおこなっている。また、同委員会において、危険物施設の環境安全監査の実施および是正状況を確認している。さらに、地震の被害を最小限に抑え入出荷機能を維持するため、油槽所の強靭化工事を進めている。
(4) 投資等について[影響度:中、発生可能性:中]
① リスク内容
当社グループは、航空機給油施設、石油製品出荷基地、SSや充填所などの有形固定資産、M&Aにより取得した無形固定資産を有している。事業等のリスクが顕在化したことにより、保有する資産の価値や収益性が低下した場合には、固定資産の減損処理が必要となり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
② 対応策
投資等については回収可能性を十分に検討したうえで実行しており、定期的に投資計画との差異を検証し、必要に応じて改善策を講じている。
(5) 情報セキュリティに関するリスク[影響度:中~大、発生可能性:低]
① リスク内容
当社グループでは、羽田空港における給油システムなど事業上不可欠な基幹システムを構築・運用するとともに、営業上の機密情報を保有している。他方、外部システムを利用して販売や顧客管理を実施している部門においては、営業情報の一部を外部サーバに保管している。こうしたなかで、想定外のサイバー攻撃、コンピュータウイルスの感染、不正アクセス等によりシステムダウンや情報漏洩が発生した場合は、事業活動の継続に支障をきたし、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
② 対応策
当社グループは、情報セキュリティに関する基本方針を定めリスクの低減に努めるとともに、システムの更新等によりセキュリティの強化を図り、情報技術の適正な整備および運用状況を確認している。また、営業情報を外部サーバに保管する場合は、データ等の安全管理措置が適切に講じられている信頼性の高い運営会社を選定している。
(6) 製品の品質および安全性に関するリスク[影響度:中、発生可能性:低]
① リスク内容
当社グループは、防腐・防かび剤、石油系溶剤、自動車用ケミカル商品などの化学製品の製造や販売をおこなっている。
リコールや製造物責任が問われる不測の製品事故が発生した場合には、損害賠償責任を負うとともに取引上の信用失墜により、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
② 対応策
当社グループで製造する製品の品質管理には十分留意しており、「品質保証委員会」において当社で製造するすべての製品について事前に審議することで、製造物の欠陥に起因する損害賠償請求やクレーム等を未然に防止するよう努めている。
(7) 保有有価証券について[影響度:小、発生可能性:中]
① リスク内容
経済の状況や株式市場の変動により、当社グループの保有する有価証券の価格が著しく下落した場合には、保有株式の評価損が発生し、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
② 対応策
当社は、保有有価証券について定性的および経済合理性の両面から、保有効果の検証をおこなっている。
(8) 地政学的リスクについて[影響度:小、発生可能性:中]
① リスク内容
当社グループは、石油製品を石油元売会社等から仕入れ、国内において販売を行うことが主力事業であるが、わが国においては、その大部分は中東周辺地域などからの輸入に依存しており、原油価格および為替レートの動向により仕入価格が変動する。また、当社グループは化学製品の輸出入もおこなっており、調達先は主にアジア地区に依存している。
そのため、このような国や地域における政治的、経済的変動、テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱等が発生した場合、製品や原料の調達、適正価格の維持に支障をきたし、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
② 対応策
当社グループの主要商品である石油製品の高騰に備えて資金の手元流動性を確保するとともに、複数のサプライチェーンを持つことでリスクが顕在化した際の安定供給を図る。
(9) 法的規制関係について[影響度:小~中、発生可能性:低]
① リスク内容
当社グループは、消防法、製造物責任法、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律、ガス事業法、石油コンビナート等災害防止法、環境関連法令など数多くの法律や規則に規制されている。これらの規制に抵触した場合には行政処分を受けるなど事業活動の継続に支障をきたす可能性があるとともに、将来これらの法規制が大幅に改正された場合には、事業活動への制約や対応のためのコストが発生し、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
② 対応策
事業に関連する法規制について、所管する関係部所が法改正などの情報を収集し必要な対応をおこなっている。また、法令および社内ルールの順守や企業倫理の啓発に関して、「三愛オブリグループの倫理行動憲章」の周知徹底を図るとともに、「公益通報者の保護に関するガイドライン」に基づく公益通報相談窓口により、法令違反や不正行為の早期発見と是正に努めている。
(10) 個人情報に関するリスク[影響度:小、発生可能性:低]
① リスク内容
当社グループでは、SSで取り扱う車検等の個人情報ならびにLPガスおよび都市ガスの消費者データを保有している。
情報セキュリティの不備や従業員の不正等により個人情報の漏洩が発生した場合には、損害賠償責任を負うとともに社会的信用の失墜により、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
② 対応策
当社グループでは、社内規程に基づき、従業員に対するeラーニングなどの教育や個人情報の取り扱いに関する自主監査、管理台帳の更新など、個人情報の適切な取扱いと管理の徹底を図っている。
配当政策
3【配当政策】
当社は、2021年度から2023年度までの中期経営計画において、成長し続ける企業グループの実現に向けて投資効率の向上と株主還元の充実を重要な経営課題とし、2023年度において連結ROE8%以上および連結配当性向30%以上とすることを目標としている。
また、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を実施することを基本方針としている。
これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会である。
当事業年度の配当については、上記の基本方針を踏まえ、期末配当については普通配当50円とし、これに中間配当(普通配当30円)を合わせて、年間配当を1株当たり80円(普通配当)とした。
当社は、「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めている。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりである。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額(円) |
2023年11月14日 |
1,967 |
30.0 |
取締役会決議 |
||
2024年6月26日 |
3,215 |
50.0 |
定時株主総会決議 |