リスク
3 【事業等のリスク】
当社の事業その他に関するリスクとして投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する情報は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末日(2024年3月31日)現在における当社の判断、目標、一定の前提または仮定に基づく予測等であり、多くの要因によって実現しない可能性があり、また、予測等に基づき策定した中期経営計画を修正する可能性や達成できない可能性もあります。
(1) 当社グループにおけるリスクマネジメントの基本方針・体制
当社においては、「リスク」を「あらかじめ予測し若しくは予測していない事態の発生により損失を被る可能性」及び「事業活動から得られるリターンが予想から外れる可能性」と定義し、以下3点をリスクマネジメントの目的としております。
① 「業績安定」
② 「体質強化」
③ 「信用維持」
当社は、営業活動を投資と商取引に大別の上、それぞれに固有のリスクファクター及び双方に共通するリスクファクターを特定し、その発生する蓋然性及び発生した時の影響を分析・評価しております。
(2) 事業投資に係るリスク
① 全般
当連結会計年度末現在、当社は633社の連結子会社及び251社の持分法適用会社を有しています。当社では連結子会社及び持分法適用会社への投資に関しては、技術革新等を含む事業環境の変化や、主要顧客の喪失、原料価格の上昇等により、計画した利益が獲得できず、投下資金の回収不能や撤退時における追加の資金負担といったリスクが考えられます。当社ではこれらリスクを管理するため、新規投資実行時及び実行後のモニタリングに大別して様々な制度を導入しています。
(a) 新規投資実行時
取り組みの初期段階から「投資テーマ」を明確にし、デューデリジェンスによって重点的に検証しています。加えて、当該事業リスクに応じた割引率を適用することにより、投資対象の「適正な価格」を算定するとともに、2021年には、過去の大型投資案件の計画未達・損失発生等の要因を網羅的に分析し、新たに投資規範を設定、新規投資検討の際には常にこの規範に照らして議論するなど、定性・定量の両面から評価を実施しています。また、投資案件の意思決定に際しては、案件の規模や重要性に応じて、検討・実行の各段階において、各事業部門の投融資委員会乃至全社投融資委員会を開催し、個別案件の戦略上の位置付け、案件選定の背景・理由、並びに投資後のバリューアップ施策の前提とその確からしさなど、投資の成否を左右する諸条件について早い段階から課題の特定、議論の深掘りを行うとともに、その対応策も踏まえた案件実行可否につき審議しています。
(b) 投資実行後
投資後の支援にあたっては、投資の意思決定時点において課題を明確にし、投資後もスムーズに課題解決に取り組める体制を整えています。特に重要な案件については、統合支援機能として「100日プラン(注)実行支援制度」があるほか、全社投融資委員会のもとで業績改善策の立案や実行をフォローする「重点フォローアップ制度」を設けています。更には、投資ポートフォリオの質の向上を目的としたモニタリング制度「フルポテンシャルプラン」を2018年度に導入しました。資本コスト(WACC)を上回るリターン(ROIC)を達成しているかどうかを測る、ROIC/WACCなど複数の定量指標に基づくスコアリングによって、投資先を「健全先」、「健全化ロードマップ策定先」、「撤退候補先」の三つに分類、「健全化ロードマップ策定先」、「撤退候補先」を対象として、四半期ごとに業績やロードマップの進捗状況乃至撤退の取り組み状況をモニタリングしています。また、ロードマップの実現確度が十分ではないと判断される場合は、ロードマップの見直し、それでも健全化が困難と判断される場合は、撤退方針先に変更するなど、明確な時間軸に基づく投資ポートフォリオのバリューアップ施策を通じ、高い収益性と強い下方耐性を有する事業ポートフォリオの構築に取り組んでいます。
また、ガバナンスの高度化を目的とし、投資先の事業に則したKAI、KPI設定を通じた経営の可視化、最適なマネジメントチームの組成、及び事業価値向上を促進するマネジメントの報酬設計等を通じ、事業会社における業務品質の向上を図っています。
さらに、価値向上実現へのコミットメントを高めるべく、投資パフォーマンスに連動した報酬制度を導入しました。
(注) 投資実行直後の早い段階で、投資先のマネジメントと目標とすべき経営指標や財務指標を含めた事業価値最大化を図る中期計画の策定に向けた経営インフラ構築・整備活動。
② 鉱物資源、ガス開発・生産事業に係るリスク
当社は、鉱物資源、ガス等の開発事業を各国で展開しており、以下に例示するようなリスクを負っています。これらが顕在化することにより、当社の業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があることから、当社では、マーケット情報の収集や分析に取り組み、当該事業のプロジェクトマネジメントの強化に努めています。
(a) 開発事業において、計画を超えた開発費用の増加や工期の遅延が起こること
(b) 事業参画前には専門家を起用して十分な地質調査を実施しますが、それにもかかわらず事業開始後に埋蔵量が変動すること
(c) 操業にかかわる技術的問題等に起因して、生産量が計画を下回り、あるいは生産コストが上昇すること
(d) 許認可の取得・更新の遅延、税制の変更、事業資産の接収や権利の侵害等、事業所在国の政府にかかわる事由に起因して計画が実現しないこと
(3) タイプ別リスク
① 信用リスク
当社は取引先に対し、売掛債権、前渡金、貸付金、保証その他の形で信用供与を行っており、信用リスクを負っています。また、当社は、主としてヘッジを目的とするデリバティブ取引を活用しており、当該取引にも契約相手先の信用リスクが存在します。
当社では、内部格付制度に基づく取引先等の信用力チェックや担保・保証等の取得、取引先の分散等により、かかるリスクの管理に努めており、また、上記の信用リスクが顕在化した場合に備えるため、取引先の信用力、担保価値その他一定の前提、見積り及び評価に基づいて貸倒引当金を設定していますが、予期せぬ要因等によりこれら取引先、契約相手先が、支払不能、契約不履行等に陥る場合、当社の業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
② 商品市況の変動に係るリスク
当社グループは金属・エネルギーを始めとする各種商品の売買を行っており、当該商品の価格変動リスクを負っています。
当社は、商品ごとの枠設定による管理体制の構築や、ヘッジ取引等によりリスクの軽減に努めており、主要な商品については、ポジション枠及び損失限度枠の設定、ミドル・バックオフィスの設置により職務分離を確保しています。
また、当社グループは直接・間接的に鉱物・原油及びガス資源権益を保有しており、生産物の価格変動リスクを負っています。これら事業については、ヘッジポリシーを定め、ヘッジが必要と判断される場合は、デリバティブ取引等を用いてヘッジを実施することにより業績の下振れリスクを抑制しています。
③ カントリーリスク
当社は、日本を含む60ヶ国以上において商取引及び事業活動を行っており、関係各国の政治・経済・社会情勢等の事業環境の変化に起因して生じる事業遅延・停止等が当社の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社は、案件ごとに保険を付保するなどのリスク回避策を講じるとともに、社内国格付に応じたエクスポージャーの上限目安額を設定し、国ごとのエクスポージャー管理を実施することにより事業ポートフォリオが適切な分散を保つよう管理しています。
ロシア及びウクライナ関連ビジネスにおいては、住友商事グループの役職員とその家族、取引先をはじめとする、すべてのステークホルダーの安心と安全を最優先事項として掲げています。また、取引先を含む事業パートナーやステークホルダーとの協議を踏まえ、社長を議長とする経営会議の管理の下で、住友商事の危機対応方針に即し対処しています。
④ 金利・為替の変動に係るリスク
当社は、事業資金を金融機関からの借入または社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しています。また、当社は取引先に対し、売掛債権、前渡金、貸付金、保証その他の形で信用を供与する場合があります。これらの取引により生ずる収益・費用及び資産・負債の公正価値は、金利変動の影響を受ける場合があります。
また、当社が行う外貨建投資並びに外貨建取引により生ずる収益・費用及び外貨建債権・債務の円貨換算額、並びに外貨建で作成されている海外連結対象会社の財務諸表の円貨換算額は、外国為替レートの変動の影響を受ける場合があります。
当社ではこれら金利変動、外国為替レートの変動によるリスクを回避するため、デリバティブ等を活用していますが、これらによりリスクが十分に回避できる保証はありません。
⑤ 株式市場の変動に係るリスク
当社が保有する市場性のある有価証券は、日本企業が発行する株式への投資が大きな割合を占めており、日本の株式市場が今後低迷した場合には、有価証券の公正価値の変動によって、当社の業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また、当社の企業年金では、年金資産の一部を市場性のある株式により運用しています。よって、株価の下落は年金資産を目減りさせるリスクがあります。
⑥ 不動産等、固定資産の価値下落に係るリスク
当社は、日本及び海外において、オフィスビルや商業用施設、居住用不動産の開発、賃貸、保守・管理事業等の不動産事業を行っており、不動産市況が悪化した場合には、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
また、地価及び賃貸価格の下落が生じた場合には、当社が保有する賃貸用の土地及び建物、並びに開発用の土地及びその他の不動産の評価額について、減損処理を行う必要が生ずる可能性があります。
不動産のほか、当社が所有する他の固定資産についても減損のリスクに晒されており、当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 情報セキュリティに係るリスク
当社は、情報セキュリティの重要性を認識しており、関連規程の整備や役職員への啓発、情報セキュリティを確保するための技術的な対策等を施し、情報資産を管理することに努めています。また、テレワーク環境等、情報システム利用環境の多様化に応じた情報セキュリティの強化も図っています。さらに、当社は事業活動の多くを情報システムの機能に依存していることから、情報システム運営の上でも安全性の確保に努めています。しかしながら、サイバー攻撃が年々巧妙化する中、予期せぬ外部からのサイバー攻撃や不正アクセス、ウィルスやマルウェアの侵入、情報システムの機能不全等により、情報の漏洩・滅失・毀損、事業活動の一時的停止等、当社の事業活動が重大な悪影響を受ける可能性があります。
これらのリスクに適切に対応するため、チーフ・インフォメーション・オフィサーを委員長とするIT戦略委員会を中心に、2017年10月制定の「情報セキュリティ基本方針」に沿って、情報資産の適切な管理に努めています。また、外部からのサイバー攻撃や不正アクセス等に対してはシステム上の対策に加え、外部専門機関とも連携の上、最新情報を入手し、適切かつ迅速に対応できるように努めています。
⑧ リーガル・コンプライアンスリスク
当社は、日本及び海外において、多種多様な事業活動を手掛けているため、広範な法律及び規制に服しています。これらの法律及び規制は、事業及び投資認可、輸出入活動(国家安全保障上の規制を含む)、競争法制、汚職・腐敗行為防止、為替管理、金融商品取引、個人情報・データ保護、人権保護、環境保護、消費者保護、関税及びその他の租税等の分野にわたることに加え、国によっては追加的または将来制定され得る関係の法律及び規制に新たに服する可能性があります。また、新興国においては、法令の欠如、法令の予期し得ない変更、並びに司法機関及び行政機関等による規制実務の変更によって、法令遵守のための当社における負担がより増加する可能性があります。
これらの法律及び規制の遵守を徹底するため、当社は、コンプライアンスに関する最高責任者としてチーフ・コンプライアンス・オフィサーを置いており、チーフ・コンプライアンス・オフィサーは、コンプライアンス施策の企画、立案及びその実施につきコンプライアンス委員会から助言を受け、コンプライアンスに関する適切な施策を策定・実行しています。また、コンプライアンスの基本方針を住友商事グループ全体に明確に示すために、当社は、「住友商事グループ・コンプライアンスポリシー」を制定し、セミナー等の継続的な啓発活動を通じて、グループ全体への「コンプライアンス最優先」及び、万一、コンプライアンス上の問題が発生したときは直ちに上司あるいは関係部署に対して事態を報告し、最善の措置をとること、すなわち「即一報」の意識の浸透・徹底を図っており、コンプライアンス問題の発生防止に努めています。
しかしながら、このような取り組みをもってしても、当社または当社グループに属する役職員が、現在または将来の法律及び規制を遵守できなかった場合には、罰金等のペナルティの対象になるとともに、事業が制約され、信用の低下を被る可能性があるため、当社の事業展開、業績、財政状態及び社会的信用に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 訴訟等に関するリスク
当社は、日本及び海外において訴訟等の係争案件に関わっています。また、事業遂行上、偶発的に発生する訴訟等やそれに至らない請求等を受ける可能性があります。
訴訟等に固有の不確実性を考慮すると、現時点において、当社の関わる訴訟等の結果を予測することはできません。また、これらの訴訟等で当社が勝訴するという保証や、将来において当社の社会的信用や当社の業績及び財務状況がそれらの訴訟等による悪影響を受けないという保証はありません。
⑩ 社会・環境リスク
当社グループは、世界中の異なる国・地域で、複数の分野に跨り事業を展開しており、その事業活動は、地球環境や地域社会、顧客、役職員等のステークホルダーにさまざまな影響をもたらします。そのため、当社グループの事業活動が、人々の人権や地球環境に負の影響を与えた場合には、その影響の解消・緩和や損害の賠償等による追加的費用の発生や事業の停止等によって、財政状態の悪化、信用の毀損等の影響を受ける可能性があります。
当社は、社会・環境に配慮し、社会とともに持続的に成長することを目指し、「環境方針」「人権方針」「サプライチェーンCSR行動指針」を制定して、社会・環境問題に関する考え方を明確にしています。持続可能な調達を要する主要な天然資源についても、個別の方針を制定して取り組んでいます。事業活動が与える社会・環境面への影響を適切に管理するために、新規投資の際には、各事業の社会・環境への関わりや影響、それらの管理の状況を確認し、投資実行後も、定期的なモニタリングを行うなど、社会・環境リスク管理の全社的なフレームワークを整えています。
世界的な重要課題である気候変動に関しては、事業を通じて、社会の持続可能な発展に必要な気候変動問題の解決、カーボンニュートラルな社会の実現に貢献する方針を掲げ、発電事業における再生可能エネルギーへのシフトなど、より環境負荷の低い事業ポートフォリオへの継続的なシフト等の取り組みを進めています。
また、人権の尊重に関しては、当社グループの全事業とサプライチェーンにおいて人権が尊重されるよう努めることを目標に掲げ、当社の全事業・サプライチェーンを対象にした人権デューデリジェンスの取り組みを継続しています。この取り組みを通じて人権リスクを特定した上で、その低減・防止に努めます。
⑪ 自然災害等に関するリスク
当社が事業活動を展開する国や地域において地震、津波、大雨、洪水等の自然災害、または新型インフルエンザ等の感染症が発生した場合に、当社の事業に悪影響を与える可能性があります。当社では地震災害等に備え、災害対策マニュアルや事業継続計画(BCP)の作成、社員の安否確認システムの構築、災害用物資の備蓄、防災訓練、建物・システムの耐震化及びデータのバック・アップ等の対策を講じていますが、これによって災害による被害を十分に回避できる保証はありません。
⑫ オペレーショナルリスク
当社は、事業部門、国内外の地域組織及び全世界のグループ会社を通じて、幅広い分野でビジネスを展開しており、それぞれの組織において内部統制を適切に構築する必要があります。しかしながら、当社が内部統制を適切に構築したとしても、役職員の事務処理ミスや不正行為等のオペレーショナルリスクを、完全に防止することができる保証はありません。事務処理ミスや不正行為が発生した場合、当社は財政状態の悪化、信用の毀損等の悪影響を受ける可能性があります。これらのリスクをできる限り抑えるために、内部統制に関する基本規程を定め、適正な内部統制の構築・運用・評価・改善を通じて、グループガバナンスの向上及びグループ全体の業務品質向上に取り組んでいます。
⑬ 資金の流動性に関するリスク
当社は、事業資金を金融機関からの借入または社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しています。金融市場の混乱や、金融機関が貸出を圧縮した場合、また、格付会社による当社の信用格付の大幅な引下げ等の事態が生じた場合、当社は、必要な資金を必要な時期に、希望する条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、調達コストが増加する可能性があり、当社の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
そのため、現預金、コミットメントライン等の活用により十分な流動性を確保するとともに、調達先の分散や調達手段の多様化に努めており、これにより、財務健全性の維持・向上を図ります。
⑭ 繰延税金資産に関するリスク
当社及び連結子会社は繰延税金資産の回収可能性の評価を、有税償却に関する無税化の実現可能性やその時期、当社及び連結子会社の課税所得の予想など、現状入手可能なすべての将来情報を用いて判断しています。当社及び連結子会社は、回収可能性を見込めると判断した部分について繰延税金資産を計上していますが、将来における課税所得の見積もりの変更や法定税率の変更を含む税制改正等により回収可能額が変動する可能性があります。
また、経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達等により、将来の課税所得の見込みが、現在のタックス・プランニング上の見込みよりも低下した場合、繰延税金資産の回収可能額が減少し、繰延税金資産を減額することになり、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑮ 人的資本に関するリスク
当社グループが事業を展開する地域・分野及びビジネスモデルは劇的に多様化しており、環境は非連続かつ相当なスピードで変化しています。ビジネスを展開するにあたって、特定分野に高度な専門性及び経験を持った人材が必要となる可能性は常にあります。当社では、社内外のTop Tierプロフェッショナル人材を確保するために、通年採用、健康経営・働き方改革の推進、「Diversity, Equity & Inclusion」すなわち多様な価値観やアイデアを受け容れ、活かす文化・意識の醸成等、より魅力的な職場環境の整備に取り組んでいます。
しかしながら、ビジネスモデルの急激な変化により特定の専門人材に対する需要が急増する、あるいは当該専門人材に対する労働市場が成熟しておらず、加えて当社の人材確保・育成の取り組みをもっても十分な対応が想定通りに進まない場合、当社の事業が悪影響を受ける可能性があります。
(4) 集中リスク
当社グループの商取引及び投資活動において、特定の国、分野、または取引先に対するエクスポージャーが集中するリスクがあります。事業環境の悪化等により当社が期待するリターンが得られない、もしくは損失を被る場合は、当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、特定の国・地域に対するリスクエクスポージャーの過度な集中を防ぐために、カントリーリスク管理制度を設けています。また、特定分野への過度な集中を避け、バランスの取れた事業ポートフォリオを構築するために、戦略会議や大型・重要案件の審議機関である投融資委員会において、事業部門やビジネスラインへ配分する投下資本額について十分なディスカッションを行っています。また、当社グループとして成約残及び債権残が高額になる取引先については定期的に状況をモニターしています。具体的な取り組みは以下のとおりです。
・当社が抱えるエクスポージャーが大きい特定の国については、前述のカントリーリスク管理制度に則りきめ細かく管理しています。
・資源・エネルギー上流案件については、定期的なプロジェクト価値のモニタリングを実施しています。
・定期的に大口債権残・成約残のある先との取引状況や当該取引先の経営状況等の情報を把握し、管理しています。
配当政策
3 【配当政策】
2023年度の株主還元方針については、DOE(株主資本配当率)3.5%~4.5%の範囲内で、連結配当性向30%を目安に、基礎的な収益力やキャッシュ・フローの状況等を勘案の上、年間の配当額を決定することとしております。その上で、当期利益実績の30%に相当する部分が上記範囲を超過した場合には、当該超過部分に対する配当あるいは自己株式の取得を柔軟かつ機動的に実施することとしております。
2023年度の年間配当金は、当期の親会社の所有者に帰属する当期利益が3,864億円となりましたが、2023年度第3四半期決算発表時(2024年2月5日)に公表しました配当予想のとおり、1株当たり125円と致しました。当期の中間配当金は62.5円でしたので、期末配当金は62.5円となります。
2024年度に開始する「中期経営計画2026」以降の株主還元方針については、「SHIFT 2023」を通じた基礎的な収益力の向上、継続的な財務基盤の強化、持続的成長のための投資資金の確保などを総合的に勘案し、以下の通り見直しました。
・総還元性向を40%以上として、配当及び柔軟かつ機動的な自己株式取得を実施する
・累進配当(※)により、配当の更なる安定性向上及び利益成長に応じた増配を目指す
本方針に基づき、2024年度の年間配当金は前期比5円増配となる1株当たり130円とする予定です。
また、2024年5月2日に、500億円を上限とする自己株式の取得(2024年5月7日~7月19日)を決定しました。これにより取得する全株式を、2024年8月28日に消却する予定です。
今後も、持続的な利益成長及び更なる収益基盤の強化に努めることで、株主還元の充実を図り、株主価値の向上を目指してまいります。
※1株当たり年間配当金の前期実績に対して、配当維持または増配を行うもの
当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本方針としております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。
なお、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当をすることができる旨を定款に定めております。
(注) 当期の中間配当に関する取締役会決議日 2023年 11月23日 配当総額 76,366,524,816円
当期の期末配当に関する株主総会決議日 2024年 6月21日 配当総額 76,371,208,169円