人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数5,020名(単体) 79,692名(連結)
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平均年齢43.1歳(単体)
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平均勤続年数18.0年(単体)
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平均年収17,587,787円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
(2024年3月31日現在)
(注)1 上記従業員数は就業人員数であり、臨時従業員数は〔 〕に年間の平均人員数を外数で記載しております。
2 臨時従業員には、派遣契約による従業員を含めております。
3 上記「その他」には、エネルギーイノベーション・イニシアチブ(EII)の業務に従事している従業員が含ま
れております。
(2) 提出会社の状況
(2024年3月31日現在)
(注)1 上記従業員のうち、他社への出向者は1,656人、嘱託は404人であります。
また、上記従業員のほか他社からの出向者は197人、海外支店・駐在員事務所が現地で雇用している従業員
は132人、相談役・顧問は10人であります。
2 上記「その他」には、エネルギーイノベーション・イニシアチブ(EII)の業務に従事している従業員が含ま
れております。
3 平均年間給与は、賞与、時間外勤務手当及び在宅勤務手当を含んでおります。
4 嘱託を除いた従業員の平均年間給与は18,057,318円であります。
(3) 労働組合の状況
当社及び子会社において、労働組合との間に特記すべき事項はありません。
(4) 提出会社の多様性に関する指標
① 管理職に占める女性従業員の割合: 9.6% (2024年3月31日時点)
② 男性の育児休業取得率 :63.6% (2024年3月31日時点)
③ 男女間賃金差異
(注)1 管理職に占める女性従業員の割合(女性管理職比率)及び男女間賃金差異は「女性の職業生活における活
躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2 男性の育児休業取得率は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」
(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉
に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休
暇の取得割合を算出したものであります。
3 男女間賃金差異の計算対象期間:2023年4月1日~2024年3月31日
4 男女間賃金差異の計算対象項目:例月給(基本給、出向手当、別居手当、在宅勤務手当、時間外勤務
手当、管理職深夜割増手当、賞与)
5 差異理由:正規雇用・非正規雇用ともに女性管理職比率が賃金差異に影響しているものの、
同等の職務であれば、大きく賃金差異が生じることはありません。
(部長相当:95.8%、課長層:102.1%、非管理職層:87.4%)
なお、女性管理職比率の目標(2030年度までに女性管理職比率20パーセント以上)を
目指す中で、中長期的には賃金差異は縮小していくと見込んでおります。
(5) 子会社の多様性に関する指標
(注)1 事業セグメントには、子会社が所属する事業セグメントを記載しております。
2 管理職に占める女性従業員の割合(女性管理職比率)及び男女間賃金差異は「女性の職業生活における活躍の
推進に関する法律」の規定に基づき算出したものであります。
3 公表項目には、各子会社が男性の育児休業取得率を算出するにあたり準拠している以下いずれかの法令を
記載しております。
①「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」に基づき算出した、男性の育児休業の取得割合
②「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」、「育児休業、介護休
業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」第71条の4第1号に基づき算出し
た、男性の育児休業等取得割合
③「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」、「育児休業、介護休
業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」第71条の4第2号に基づき算出し
た、男性の育児休業等と育児目的休暇の取得割合
また、正規雇用及び非正規雇用の*印は、対象期間において配偶者が出産した男性従業員が居ないことを
示しております。
4 非正規雇用の*印は、非正規雇用の女性従業員が居ないことを示しております。
5 男女間賃金差異について、正規雇用のうち、基幹職(総合職)における賃金差異は78.4%であり、
差異は年齢構成、資格構成などによるものであります。
6 男女間賃金差異について、非正規雇用における賃金差異は、定年嘱託従業員に含まれる管理職(相対的に
賃金が高い)がすべて男性であることが影響しております。
7 男女間賃金差異について、非正規雇用における賃金差異は、直用員(日給制・フルタイム勤務)は男性が、
パート労働者(時給制・パートタイム勤務)は女性が多く、就業時間の差が影響しております。
8 男女間賃金差異について、全労働者における賃金差異は、女性従業員における非正規雇用者の割合(57.4%)
が男性従業員における同割合(32.9%)よりも高いことが影響しております。
9 男女間賃金差異について、全労働者における賃金差異は、正規雇用が全体労働者の11%であること及び女性
管理職比率が0%であることが影響しております。
10 男女間賃金差異について、年齢幅別の賃金差異は次のとおりであります。
21~25歳:99.4%、26~30歳:97.9%、31~35歳:95.1%、36~40歳:87.3%、41~45歳:86.3%、
46~50歳:84.0%、51~55歳:84.1%、56~60歳:81.3%、61歳~:81.2%
男女間賃金差異が30代以降の年齢幅で徐々に広がっているのは、出産や育児などのライフイベントにより、
休業や短時間勤務を選択する女性社員が増え、男女の業務の経験量や質が異なってくることから成長スピ
ードに差が生じ、結果として処遇面に影響を与えているためであります。
11 男女間賃金差異について、無期転換後の契約社員のうち、週所定労働時間40時間未満の社員は、非正規雇用
として集計しております。
12 女性管理職比率について、全労働者に占める女性比率は約6.2%でありますが、女性管理職比率はそれを上
回っております。
13 男女間賃金差異について、全労働者における賃金差異は、男女それぞれの年齢構成比(以下)が影響しており
ます。
男性 ~39歳:50%、40歳~:50%
女性 ~39歳:71%、40歳~:29%
14 男女間賃金差異について、全労働者における賃金差異は、賃金が高い本社勤務のポジションの男性比率が
高いことが影響しております。
15 男女間賃金差異について、正規雇用における賃金差異は、女性106人、男性62人が無期転換後の正社員であ
ることが影響しております。また、非正規雇用における賃金差異は、女性549人、男性230人が短期パートタ
イマーであることが影響しております。
全労働者における賃金差異は、非正規雇用の男女の人数比率も影響しております。
16 男女間賃金差異について、正規雇用における賃金差異は、薬剤師職と事務職の賃金差異及び事務職の女性比
率の高さ、並びに薬剤師職・事務職双方における管理職の男性比率の高さが影響しております。
また、非正規雇用における賃金差異は、薬剤師職と事務職の賃金差異及び事務職の女性比率の高さが影響し
ております。
17 男女間賃金差異について、正規雇用における賃金差異は、短時間勤務の社員に女性が多いことが影響してお
ります。また、非正規雇用における賃金差異は、勤務時間の短いパートタイマーに女性が多いことが影響し
ております。
18 男女間賃金差異について、正規雇用における賃金差異は、賃金が高い管理職の男性比率が高いことに加え、
手当が支給される海外赴任者が、現状では、男性が多いことが影響しております。
また、非正規雇用における賃金差異は、非正規雇用の大半がフルタイム勤務であるところ、1名のみ女性の
短時間勤務者が居ることが影響しております。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は以下のとおりであります。
● サステナビリティに関する考え方
当社グループでは、「Enriching lives and the world」をコーポレートメッセージとして掲げ、持続可能な社会の実現と豊かな暮らしづくりをめざし、世界各国で事業を展開しております。このメッセージの背景には、「自利利他公私一如」という住友グループの事業精神を伝える言葉があり、「住友の事業は、住友自身を利するとともに、国家を利し、かつ社会を利するほどの事業でなければならない」という想いが込められているものです。この考えは、当社グループのサステナビリティ経営の源泉であり、社会課題をめぐる長期的な事業環境変化を見通して戦略的に経営資源を配分し、当社の強みを活かしながら社会が真に必要とする価値を創造し続けること、それこそが持続可能な社会と住友商事の持続的な成長を実現するとの信念で、サステナビリティ経営を進めております。
● サステナビリティに関する取組
サステナビリティ経営の全体像、及び、気候変動、人権尊重、人的資本のそれぞれの項目に分けて、当社の取組を以下に記載します。なお、各項目それぞれにおいて、①ガバナンス、②戦略、③リスク管理、④指標と目標の4段構成で当社の取組を説明します。
(1) サステナビリティ経営の全体像
① ガバナンス
(a) サステナビリティ経営の監督
取締役会は、当社グループの幅広い事業活動において、サステナビリティ関連の多様な機会とリスクを踏まえて、重要な経営事項を決定するとともに、経営会議及び執行役員が行う意思決定及び業務執行を監督しております。
重要な経営事項の意思決定については、取締役会が、経営会議やその諮問機関である全社投融資委員会、サステナビリティ推進委員会、全社経営戦略推進サポート委員会等での検討を経て取締役会に付議された、サステナビリティ関連方針の策定・改訂、サステナビリティ推進に係る重要な取組、重要な個別案件の実施の是非等についての審議・決定を行っております。
また、取締役会は、各事業分野の戦略とその進捗状況、並びに事業ポートフォリオ全体のリスクの状況について定期的に報告を受けております。具体的には、重要社会課題(2024年度以降はマテリアリティ)に基づく中長期目標の進捗状況のレビューやサステナビリティ関連方針の遵守状況に関するレビューなどの全社的な施策・テーマに関する報告を年に複数回受けており、取締役会として業務執行側の取組状況を監督しております。
なお、取締役を含む当社役員がサステナビリティ経営へのコミットメントをより強く意識できるよう、非財務指標「気候変動問題対応」、「女性活躍推進」、「従業員エンゲージメント」の評価結果を役員の報酬に反映しております。詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4) 役員の報酬等」を参照ください。
(b) サステナビリティ経営の業務執行
当社グループのサステナビリティ関連の重要な経営事項の意思決定及び業務執行は、経営会議及び執行役員が行っております。経営会議はサステナビリティ関連の多様なリスク及び機会を評価・管理し、効果的な意思決定を行うため、サステナビリティ推進委員会等に諮問した上で、総合的な意思決定を行っております。
また、サステナビリティ関連の取組やリスクと機会への対応については、サステナビリティを推進する施策の企画や社内浸透を担当する専門組織であるサステナビリティ推進部と、当社の経営計画全体や重要施策の企画を行う経営企画部等の関連コーポレート組織、各営業グループ、海外地域組織のサステナビリティ推進担当者が連携し、グループ内の調査機関や各営業組織、海外拠点等からもたらされる情報等を基に、全社的企画や施策の立案や推進を行っております。
加えて、ESGに関する社外有識者で構成される「サステナビリティ・アドバイザリーボード」を設置し、当社のサステナビリティ経営全般について助言・提言を得て取り進めております。
② 戦略
当社グループは、これまで長年にわたって確立してきた事業基盤の上に、各SBU、各事業会社がステークホルダーと向き合いサステナビリティへの取組を継続することで、さまざまな事業機会の獲得及び当社グループの持続的な成長・発展につながると考えて、事業活動を行っております。
一方で、各SBU、各事業会社がサステナビリティの重要性を認識した事業活動を怠れば、ステークホルダーからの信頼を喪失し、長期的には顧客喪失や事業運営に必要な人材確保に影響が生じる等により、企業価値を棄損するリスクもあります。
当社グループとしては、今後も引き続き持続可能な成長・発展につながる事業活動を推進すべく、当社グループ内のみならず、バリューチェーン上の多くの関係者と協力し、バリューチェーン全体でサステナビリティ関連のリスクと機会を特定し、対応していく必要があると認識して、以下のような取組を行っております。
(a) 重要社会課題の特定と中長期目標の設定・実践
サステナビリティ経営を実践するため、2020年に、“気候変動緩和”、“循環経済”、“人権尊重”、“地域社会・経済の発展”、“生活水準の向上”、“良質な教育”という当社グループが取組むべき「6つの重要社会課題」と、それに基づく当社グループとしての長期目標・中期目標を定めました。SBUは、それぞれの戦略に応じて長期目標・中期目標達成のために具体的なアクションプランを策定・実践しております。SBUの取組の進捗については、サステナビリティ推進委員会でのレビューを踏まえ、経営会議・取締役会に報告され、グループ全体としてのサステナビリティに関する取組が評価されております。
2024年度には、気候変動や生物多様性の喪失など社会課題の一層の深刻化や、当社グループの強みやステークホルダーからの期待も踏まえ、「マテリアリティ」と「6つの重要社会課題」の統合及び更新を行い、“安心で豊かな暮らしを実現する”、“気候変動問題を克服する”、“自然資本を保全・再生する”、“人権を尊重する”、“ガバナンスの維持・強化を図る”、“人材育成とDE&Iを推進する”を新たな「マテリアリティ」として定めました。これに即した目標設定とアクション実施、進捗レビューというPDCAサイクルを継続的に回し、社会課題解決を通じて持続的な成長を実現していきます。詳細は後述の「④ 指標及び目標」を参照ください。
(b) サステナビリティ関連の方針策定
当社グループは、国際行動規範を尊重し、持続可能な社会の実現に向けて取引先や事業パートナーとともに社会的責任を果たすべく、「気候変動問題に対する方針」、「人権方針」並びに「森林経営方針」や「林産物調達方針」等、持続可能な調達を要する主要な天然資源に関する個別の方針を策定・周知し、事業活動に取組んでおります。
③ リスク管理
当社グループの活動は広範な分野、地域に分散した事業から成り立ち、様々な社会課題と関わりを持っております。当社は、常にそれらの社会課題を考慮に入れるため、グループ全体の事業活動から生じる社会・環境への影響を適切に管理し対処するための方針を設定し、グループ内で周知・徹底を図っております。また、事業を開始する際の審査や定期的なモニタリングなどの全社的なフレームワークを整えております。具体的には、新規事業に係るデューデリジェンスの際には、事業の性格やリスクを踏まえ、環境コンサルタントによる環境評価や、法律事務所等による人権・労働問題の評価によって、事業が健全に経営されているか、環境や地域社会、従業員等のステークホルダーに深刻な影響を与えていないかを確認しております。加えて、事業実施に関する審査過程において、サステナビリティ関連のリスクに関する評価シートをSBUが作成し、サステナビリティ推進部が関連する外部情報を参照の上レビューしております。さらには全社投融資委員会において、特定・評価したサステナビリティ関連のリスクや機会を踏まえ、対象事業の価値創造及び価値棄損に関する重要な対応策の検討・確認を行っております。
既存事業に関しても、当社は各事業における社会・環境関連を含むリスクの全般的な管理状況を定期的に確認しております。具体的には、事業会社との対話を通じた定期的なモニタリングや、内部監査等のプロセスを通じ、社会・環境関連リスク管理状況を確認し、課題がある場合は、その事業の特性に応じて改善を進めます。当社グループの事業活動の影響について、地域住民やNGO等、ステークホルダーから問題の指摘を受けた場合は、実態を踏まえて、対話・協議を行い、改善に努めております。
また、個別事業に関するリスク管理に加え、当社グループ全体が抱えるサステナビリティ関連のリスクの状況を把握し、経営の戦略的判断への活用を可能にする体制を整えております。具体的には、上述の長期目標・中期目標に基づくアクションの進捗状況のモニタリングを行い取締役会まで報告するほか、中期経営計画に基づく当社グループ全体の経営状況の定期レビューにおいて、サステナビリティ関連及び他の種類のリスクの全社的な状況を整理し、今後の管理・対応方針につき経営会議や取締役会にて議論し、中期経営計画における具体的な施策の検討等に反映しております。
当社グループ全体でのサステナビリティ関連のリスク・機会の分析の中でも、気候変動についてはシナリオ分析を行っております。詳細は、「(2) 気候変動問題に関する取組 ② 気候変動問題に対する戦略」を参照ください。
④ 指標及び目標
特定した6つの重要社会課題(2024年度以降はマテリアリティ)に関して、課題毎に長期及び中期目標を下表のとおり設定し取組んでおります。中期目標に対する取組の進捗状況は、サステナビリティ推進委員会でのモニタリングを経て、経営会議や取締役会に報告され、そこで議論がされております。それら含む長期目標・中期目標に対する取組の2023年度末時点の進捗は2024年9月に当社HPのサステナビリティ関連ページに掲載予定です。
重要社会課題に対する長期目標・中期目標
(*1) 2020年時点:石炭50%、ガス30%、再エネ20%
(*2) 他者のエネルギー資源使用に伴う間接排出量
(*3) 個別事業で目標を設定し削減に注力
(*4) 2020年時点:1.5GW(1GW = 10億W)
(*5) サプライチェーンを含む事業活動全体に関し、人権侵害等に関する、従業員・地域住民等ステークホルダーからの訴えを受け付け、問題解決につなげる仕組み
(*6) 住友商事グループの社員参加型の社会貢献活動プログラム
2024年度に新たに策定したマテリアリティに関する長期目標・中期目標は、以下のとおりです。取組の進捗については、当社HP等で開示してまいります。
マテリアリティに対する長期目標・中期目標
(*1) 住友商事グループの社員参加型の社会貢献活動プログラム
(*2) 他者のエネルギー資源使用に伴う間接排出量
(*3) 個別事業で目標を設定し削減に注力
(*4) サプライチェーンを含む事業活動全体に関し、人権侵害等に関する従業員・地域住民等ステークホルダーからの訴えを受け付け、問題解決につなげる仕組み
(2) 気候変動問題に対する取組
当社は、パリ協定における世界的合意を重視し、同協定に掲げられた社会のカーボンニュートラル化目標の達成により積極的な役割を果たすため、「気候変動問題に対する方針」を掲げ、事業活動を行っております。
なお、昨今の気候変動対策やエネルギー安全保障といった各種外部環境の変化を受けて、当社グループの気候関連目標のうち、持分発電容量ベースの比率目標の更新を行いました。また、一般炭鉱山から生じる間接的CO2排出量を2020年代後半までにゼロとする旨、及び、天然ガスについては社会のエネルギー・トランジションに資する案件に限り取組む旨を追記しました。
気候変動問題に対する方針 (2024年5月改訂)
■ TCFD提言に基づく情報開示
当社は、気候変動がもたらすリスク及び機会を把握し、事業活動に活かすべく、2019年3月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、以降TCFDのフレームワークに基づいた開示を行ってきました。2022年度の開示内容は当社HPのサステナビリティ関連ページを参照ください。また、2023年度の取組進捗については、当社HPのサステナビリティ関連ページに掲載予定です。
① ガバナンス
(a) 監督
当社グループの気候変動関連のリスク及び機会を踏まえた重要な経営事項の決定と、業務執行の監督については、取締役会が行っております。詳細は、「(1) サステナビリティ経営の全体像 ① ガバナンス (a) サステナビリティ経営の監督」を参照ください。
気候変動関連の重要な経営事項の意思決定については、取締役会が、経営会議等での検討を経て取締役会に付議された、気候変動関連の方針の策定・改訂や重要な個別案件の実施の是非等について、審議・決定を行っております。
取締役会は、気候変動問題に対する取組として、マクロ環境の分析及びその対応状況等の報告を年に複数回受けており、業務執行側の取組状況を監督しております。
なお、当社取締役報酬に関する気候関連のパフォーマンス指標については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4) 役員の報酬等」を参照ください。
(b) 業務執行
気候関連のリスク及び機会の評価、管理、それらを踏まえた重要な経営事項の意思決定及び業務執行は、経営会議及び執行役員が行っております。詳細は、「(1) サステナビリティ経営の全体像 ① ガバナンス (b) サステナビリティ経営の業務執行」を参照ください。
② 戦略
当社は、以下のとおり、TCFD提言に沿った形でシナリオ分析を実施しております。2023年度においては、「エネルギー」「資源」「輸送」「素材」「不動産」「その他(森林)」等の当社ビジネス・モデルへの影響を分析しました。
事業環境が大きく変化した際に、新たなビジネス機会及び事業の耐性を客観的に評価する観点から、主にIEA及びPRI等のシナリオを用いて、主に2050年までのビジネス・モデルに対する移行リスク及び機会の影響を分析しております。リスク及び機会の影響が及び得る時間軸として、中期:2030年、長期:2050年を設定の上、分析を行っております。
なお、これらのシナリオは、世界的な気候変動緩和の長期的な動向について、複数のシナリオを想定した場合に、各セクターにおいて起こりうる事業環境変化の一例として参照したものであり、当社の経営方針や事業戦略の前提を示すものではありません。
<特定した当社グループのビジネス・モデル>
<特定した気候関連のリスク及び機会>
③ リスク管理
当社グループの活動は広範な分野、地域に分散した事業から成り立ち、様々な社会課題と関わりを持っております。当社は、常にそれらの社会課題を考慮に入れるため、グループ全体の事業活動から生じる社会・環境への影響を適切にコントロールするための方針を設定し、グループ内で周知・徹底を図っております。具体的には、当社では新規事業を検討・実施する際の審査過程において、社会・環境に関するリスクの評価や対応策の確認を行っております。特に気候変動問題については、多様な気候変動影響や社会の気候変動対応に起因する事業環境の変化によって発生し得る、事業の持続可能性が妨げられるリスク及び機会について、以下の点を確認しております。
・気候の変動あるいは自然災害・異常気象の頻発による影響
・規制の導入による影響
・技術の変化等による影響
・気候変動緩和や気候変動への適応の進展による事業の拡大や業績の改善余地
既存事業に関しても、当社は各事業における社会・環境関連を含むリスクの全般的な管理状況を定期的にモニタリングしており、個別事業に関するリスク管理に加え、当社全体が抱える社会・環境関連リスクの状況を把握し、経営の戦略的判断への活用を可能にする体制を整えております。また、気候変動問題に係るリスクへの対応については、各営業グループにおいて、関連する事業分野における規制の導入や市場変化を把握した上で事業展開を行うことに加えて、全社ポートフォリオ管理の一環として、サステナビリティ推進部が気候変動問題に対する世界的取組や各種規制の動向を踏まえた、当社グループの主要なリスクの状況を収集・分析し、定期的に経営会議、取締役会に報告しております。その上で、ポートフォリオ全体の確認を行い、許容できないリスクがあれば、関連コーポレート部署と共同でエクスポージャーの削減を含む対応を検討する体制となっております。
④ 指標及び目標
(a) 温室効果ガス排出量及びその他気候関連の指標
■ カーボンニュートラル化対象 CO2排出量
当社グループは、2019年に「気候変動問題に対する方針」を制定しており、2050年にカーボンニュートラル化することを目指しております。同方針の下、カーボンニュートラル化の対象範囲には、提出会社及び子会社のScope1・2に加え、発電事業および化石エネルギー権益事業も含めております。うち発電事業については、基準年も含めて、建設中の案件であっても完工・稼働後に見込まれる推計値も含めております。
住友商事グループカーボンニュートラル化対象CO2排出量についての速報値は以下のとおりです。なお、確定値については2024年9月に当社HPに掲載予定です。
<住友商事グループ カーボンニュートラル化対象 CO2排出量> (集計対象範囲※)
(単位:千t-CO2e)
(※) 具体的な集計対象範囲は、以下のとおりです。
<Scope1・2>
提出会社及び子会社の直接的CO2排出と、各社の使用するエネルギーの生成に伴う間接的CO2排出。
(ただし、発電事業については持分法適用関連会社の排出も対象に含む)
<Scope3>
提出会社及び子会社、持分法適用関連会社の化石エネルギー権益事業で生産されたエネルギー資源の、他者の使用に伴う間接的CO2排出。
尚、カーボンニュートラル化とは、当社グループの事業によるCO2排出と、CO2排出削減への貢献を合わせたネットCO2排出量をゼロとすることを指す。
■ 温室効果ガス排出量(GHGプロトコルに基づいた算出実績)
温室効果ガス(GHG)排出量の実績(速報値)は以下の通りです。なお、確定値については2024年9月に当社HPのサステナビリティ関連ページに掲載予定です。
GHG排出量は、GHGプロトコルを参考に策定した会社方針に基づき算定しております。
排出原単位は、環境省が公表する温室効果ガス排出量算定・報告公表制度の排出係数を使用しているほか、IEAが発行する「Emissions Factors 2023」に掲載された2021年の国別の排出係数等を使用しております。
Scope1(エネルギー起源CO2以外のGHG排出量)の集計基準については、2022年度までは温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度を踏まえ、ガス毎の排出量合計がCO2換算で3,000tを超える排出のあった事業会社を対象としておりましたが、2023年度より3,000tの基準は廃止し、軽微な排出を除き全件対象としております。
<GHG排出量(Scope1/2)> (集計対象範囲※)
(単位:千t-CO2e)
(※) 提出会社及び子会社
集計対象範囲の決定においては、2023年度よりGHGプロトコルの経営支配力基準を適用しております。これにより、2022年度は、共同支配事業について当該事業における環境データの報告期間の3月末時点における出資比率相当を算入しておりましたが、2023年度より経営支配力を持つ場合のみ、当該事業における排出総量を算入しております。2022年度実績と同じ基準にて算定した場合、2023年度のScope1は5,169千tCO2、Scope2は588千tCO2となります。
■ 内部炭素価格
2023年4月より、当社内で内部炭素価格制度(ICP)を運用し炭素排出コスト、環境価値に加えて、削減貢献量を算出しております。カーボンニュートラル社会の実現に資する新たな事業機会創出に向けた全社の施策検討や投資判断時の将来事業への影響等の確認に活用しております。
当社ICPにおいては、IEAが発行するWorld Energy Outlook 2023のNet Zero Emission Scenario(NZEシナリオ)の炭素価格の見通しを使用しております。
<当社ICPにおける炭素価格>
(単位:$/t-CO2)
(※) 2035年の炭素価格は、World Energy OutlookのNZEシナリオにおける2030年及び2040年の炭素価格の見通しの平均値を使用しております。
(b) 気候関連の目標
当社グループとして、2050年度にカーボンニュートラル化を目指す目標を設定しており、中間目標としてグループのCO2排出量の総量を、基準年の2019年度比で2035年度までに、原則として50%以上削減する目標を設定しております。当該目標は、当社グループとして、パリ協定及び関連する世界的な合意を重視し、同協定に掲げられた社会のカーボンニュートラル化目標の達成に、より積極的な役割を果たすことを目的としております。
2050年カーボンニュートラル化目標の対象範囲は、当社単体及び子会社の直接的CO2排出と各社の使用するエネルギーの生成に伴う間接的CO2排出(ただし、発電事業については持分法適用関連会社の排出も対象に含める。)及び当社単体及び子会社、持分法適用関連会社の化石エネルギー権益事業で生産されたエネルギー資源の、他者の使用に伴う間接的CO2排出となっております。
■ 気候変動関連の目標のレビュー及びモニタリング
当社グループの気候変動関連目標のレビューは、経営会議を経た上で、取締役会にて行っております。詳細は「(1) サステナビリティ経営の全体像 ① ガバナンス」の項目を参照ください。
当社グループの気候変動関連目標の進捗モニタリング指標としては、Scope1、Scope2排出量の推移のほか、2035年度目標のモニタリング指標として、火力発電事業のCO2排出量、再生可能エネルギー発電事業の発電容量、化石エネルギー権益事業のうち、一般炭鉱山から生じる間接的CO2排出量を設定しております。
(3) 人権尊重に関する開示
当社は、従来、人間尊重を経営姿勢の基本とすることを経営理念の中で掲げておりますが、改めて住友商事グループ人権方針を制定し、人権を尊重する責任を果たすことを明確に示しております。取組に当たっては、「国際人権章典」及び国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」が定める人権を尊重し、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則って活動しております。
① ガバナンス
当社グループの人権に関するガバナンスは、サステナビリティ経営全般のガバナンスに組込まれております。詳細は、「(1) サステナビリティ経営の全体像 ① ガバナンス」を参照ください。
② 戦略
(a) 人権尊重意識の徹底と理解の浸透
当社グループは、幅広い国・地域、産業分野で事業活動を展開しており、その事業活動において人権の尊重を実現するためには、当社グループの役職員がビジネスと人権の考えを理解し、サプライヤーをはじめとする取引先や事業パートナーに働きかけることで、サプライチェーン全体で人権の尊重に努める必要があります。それらサプライチェーンにおける関係者がビジネスと人権に関する理解が進まない場合には、関連する従業員や地域コミュニティ等ライツホルダーへの負の影響が見落とされ、事業活動によってその負の影響のさらなる悪化につながり、結果的に製品やサービス供給の停滞による企業業績の悪化や、レピュテーションの悪化により企業価値が棄損するリスクがあります。逆に当社グループ内、さらにはサプライチェーンに働きかけることで、サプライチェーンのレジリエンス強化やレピュテーション向上による人材の獲得及びリテンションなどの効果が期待されます。
当社グループでは、上述の「住友商事グループ人権方針」や「住友商事グループのサプライチェーンCSR行動指針」を策定し、当社従業員への周知・徹底を図るとともに、当社グループ会社や取引先へ理解・賛同を求めるよう努めております。
また、特に持続可能な調達を要する主要な天然資源については個別の方針を制定して取組んでおり、2022年3月に持続可能な森林経営、及び林産物の調達に関して、「森林経営方針」、「林産物調達方針」を策定しました。これら方針に基づき、森林事業を行う事業会社、林産物調達を行うサプライヤーに対して、人権を含めた調達方針に定めるコミットメントにつき確認しております。
(b) 人権デューデリジェンス
当社は、当社グループの事業活動が与える人権へのリスクを特定・防止・是正するために、2020年より人権デューデリジェンスを開始しております。2020年度は、その最初のステップとして、グループ全体の人権への影響・リスクを評価するために、優先的に対応すべき顕著な人権課題の特定に取組みました。2021年度より中期目標「2025年までにサプライチェーンを含む全事業を対象に人権リスクを評価し、リスク低減策を実施すること」に沿って対象を全事業に拡大し、部門別の人権デューデリジェンスを実施し、これまでに6部門を対象に人権リスクの特定と評価を行いました。本取組により人権リスクの特定・評価に加えて、従業員へのビジネスと人権に関する理解の浸透にもつながっております。
人権デューデリジェンスの結果については、当社HPを参照ください。
また、上述の方針や部門別人権デューデリジェンスの結果等を含む、サプライチェーン全体での人権尊重への取組の必要性や事業活動を行う上で注意を要する人権問題に関するe-learningを当社単体の全従業員に展開しております。今後、海外地域組織や事業会社への展開も予定しております。
(c) グリーバンスメカニズム(社外ステークホルダー向け通報窓口)の設置
人権尊重に関する意識の徹底や人権デューデリジェンス等の取組を通じて、事業活動に伴う人権リスクの特定や負の影響の防止・軽減を図っておりますが、すべての人権リスクを回避することは難しく、発生した負の影響につき速やかに是正することが重要と認識しております。
当社は、従業員を対象にした内部通報窓口のほか、一般の方やお客様を含む社外ステークホルダーの方々からのご意見やお問合せを受付け対応しております。
2024年度からは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠して苦情処理プラットフォームを提供する一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)に正会員企業として加盟し、JaCERが提供する苦情処理プラットフォームでステークホルダーの方々から人権に関する様々な意見を受付けております。専門性を有する第三者を介して意見を受付け、公平性・透明性を向上し、受付けた事案については、サステナビリティ・DE&I推進グループ長を含む経営陣やサステナビリティ推進委員会に報告のうえ、適時・適切に是正、再発防止を徹底しております。
③ リスク管理
(a) 新規投資に係るリスク評価
新規投資に係るデューデリジェンスの際には、事業の性格やリスクを踏まえ、環境コンサルタントによる環境評価や、法律事務所等による人権・労働問題の評価によって、事業が健全に経営されているか、事業活動により地球環境や地域社会、従業員等のステークホルダーに深刻な影響を与えていないかを確認しております。2020年4月には、リスク管理の実効性をさらに高めるため、投資申請時に、社会・環境関連リスクの評価シートを作成し、各事業の内容・地域特性等から想定される機会・リスクを洗い出すとともに、サステナビリティ推進部が全社投融資委員会での審議に参加するなど、社会・環境への影響を踏まえた意思決定を行うプロセスを整えております。
(b) 既存事業に係るリスク評価
上述のとおり、2020年より人権デューデリジェンスを開始しております。
<部門別の人権デューデリジェンスのプロセス>
外部専門家を起用し、部門に属する全てのSBUに対してインタビューを実施し、それぞれの事業におけるサプライチェーンや事業活動に関連する地域住民等、ステークホルダーへの影響を含めたビジネスの実態や顕在化事例を確認するとともに、想定される潜在的リスクについても特定し、それらに対する対応状況もヒアリングしました。ヒアリング結果を踏まえて、人権リスクの発生可能性と発生した場合に生じる深刻度の観点から、優先してリスク低減に取り組むべきSBU、あるいはSBU内の個別事業を特定しました。サステナビリティ推進部と対象SBU・対象事業会社が協力し、特定された人権リスクに対する具体的な防止・軽減策の検討・実行を進めます。
人権リスクへの対応については、そのリスクの深刻度や事業への関与度合い等、さまざまな要因によって対応方法や時間軸が異なることから、各SBUや事業会社が主体となり実施する必要があります。当社の部門別の人権デューデリジェンスで特定・評価したリスクについては、その重要性に基づき、各SBU・事業会社が優先順位付けをした上で、具体的なアクションプランに落とし込みPDCAサイクルを回していきます。その進捗については、住友商事グループの重要社会課題の長期目標・中期目標達成に向けた具体的な取組の進捗状況フォローに統合して継続的に確認し、定期的にサステナビリティ推進委員会から経営会議や取締役会へ報告し、議論しております。
(c) 受付けた事案への対応
当社のグリーバンスメカニズムやグループ会社を通じて、社内外のステークホルダーの方々から受け付けた人権事案については、サステナビリティ推進部や関連する営業部署よりサステナビリティ・DE&I推進グループ長を含む経営陣やサステナビリティ推進委員会に直ちに事態が報告され、事実把握と最善の対応を速やかに実施しております。その進捗状況や対応策については、重要性に応じて、サステナビリティ推進委員会から経営会議や取締役会等へ報告、議論しております。
④ 指標及び目標
2020年には、当社が取り組むべき6つの重要社会課題として「人権尊重」を掲げ、長期目標・中期目標を設定、それぞれのSBUで具体的目標とアクションプランを定めて取組を推進してきました。詳細は「(1) サステナビリティ経営の全体像 ② 戦略 (a) 重要社会課題の特定と中長期目標の設定・実践」を参照ください。
また、6つの重要社会課題は、2024年度に新たに定めたマテリアリティ「人権を尊重する」に統合され、以下のとおり長期目標・中期目標を設定しております。
なお、人権に関する2022年度の取組進捗の詳細は、当社HPのサステナビリティ関連ページを参照ください。また、2023年度の取組進捗については、2024年9月に当社HPのサステナビリティ関連ページに掲載予定です。
(4) 人的資本に関する開示
① ガバナンス
当社では、重要な人材マネジメントに関する方針・戦略・施策は、経営会議で議論し、取締役会で重要な方向性の決定と監督・モニタリングを実施しております。
② 戦略
人材の多様性の確保を含む人材育成方針及び社内環境整備方針
当社グループは、2020年9月に制定した「グローバル人材マネジメントポリシー」を通じて、グローバルベースでの人材マネジメントに関するビジョンを示し、全ての人事施策の拠り所とすることで、新たな価値創造に向けた人材マネジメントを実現します。
このポリシーで掲げる目指す個と組織の姿はそれぞれ以下のとおりであります。
当社グループには、性別や国籍の違いだけでなく、様々なライフスタイル、多様な価値観を持つ社員が在籍していることから、このポリシーでは、Diversity, Equity & Inclusionを「価値創造、イノベーション、競争力の源泉」と位置づけており、その推進を妨げるあらゆるバリアを撤廃し、多様な人材の「知」のミックスを活かして、ビジョンの実現を追求します。
中期経営計画「SHIFT 2023」においては、以下4つの方針を掲げ、各施策を推進してきました。
・「グローバル人材マネジメントポリシー」を具現化する人材マネジメント改革
・Diversity, Equity & Inclusionの推進
・グローバル適所適材の推進
・健康経営と働き方改革
<「グローバル人材マネジメントポリシー」を具現化する人材マネジメント改革>
当社において2021年度に導入した新人事制度を軸に、人材の確保・育成、配置・登用等の各局面で個々人が最大限に力を発揮できる環境整備に取組み、管理職層には職務等級制度を導入し、キャリア採用の拡充や海外拠点における幹部ポジションへの現地採用社員の積極登用を含め、個々人の属性に捉われず、専門性やスキルを重視した、ベストタレントの最適配置を通じた組織パフォーマンスの最大化を目指しております。なお、重要な経営資本である人材の育成に関しては、「グローバル人材マネジメントポリシー」において、「人材育成の精神を大切にし、アンテナ高く学び続けながら、主体的に成長していく個人をサポートする」と掲げているとおり、年齢・ポジションに関わらず学び続けることを大切にし、多様な分野で活躍する個々人が、それぞれのグローバルフィールドで必要とされる知識・スキルを主体的に学べる環境を構築しております。具体的には、当社においては、それぞれのプロフェッショナリズムを徹底的に高め、発揮するための「キャリア開発研修」や、組織と個人の成長につなげていくために、部下一人ひとりと向き合い、動機付け、多様多彩な人材を束ねる「ピープルマネジメント力」を強化する研修を実施しております。さらには、事業経営に必要な知識・スキルを習得する機会として、長期・選抜プログラムを継続実施しており、多くの人材が当社グループの価値向上に向けて、それぞれのフィールドで活躍できるよう、人材育成の強化に努めております。
<Diversity, Equity & Inclusionの推進>
当社は、Diversity, Equity & Inclusionを「価値創造、イノベーション、競争力の源泉」と位置づけ、国籍、性別、年齢、性的指向、性自認など、属性や従来の価値観にとらわれず、多様な個々人がそれぞれの力を最大限に発揮し、新たな価値や革新を生み出し続ける環境づくりに取組み、競争優位性を持つための必要不可欠な経営戦略として推進しています。
Diversity, Equity & Inclusionを組織に定着させるための継続的な社内啓発の一環としては、2021年度から、Diversity, Equity & Inclusion関連プログラムを集中的に展開する期間(Diversity Weeks)を設け、経営陣によるメッセージ発信や各種研修、社員座談会、特例子会社とのコラボイベントやフェムテック展示会などを実施しております。なお、当社では、女性の活躍推進をDiversity, Equity & Inclusionの重要な柱と捉えております。ライフイベントとキャリア形成の両立支援の観点から、法定を上回る水準での各種制度の整備などの「ハード面」の取組に加え、長時間労働の是正や有給休暇取得の促進、社員の意識改革など、「ソフト面」の取組を同時に推進しています。このような取組が評価され、当社は、「プラチナくるみん」、2つ星の「えるぼし」企業、2023年度には「Nextなでしこ共働き・共育て支援企業」として認定されました。
(具体的な取組事例)
・子のみを帯同する海外駐在員への支援制度
・仕事と育児・介護の両立支援ハンドブック
・育児コンサルタントサービス、介護の専門家による個別相談会
・保育施設との提携
・アンコンシャスバイアス等に関する各種研修の実施
・LGBTQ+への取組(同性パートナーに福利厚生・人事制度を適用可、ユニバーサルトイレの設置等)
<健康経営と働き方改革>
社員一人ひとりが最大限に力を発揮するためには、心身の「健康」が最重要であり、これを基盤としてこそ、新たな価値創造を続けていくことができるという考えのもと、「イキイキワクワク健康経営宣言」を策定しております。
加えて、高い付加価値を生み出すアウトプット志向の働き方を実践していくため、テレワーク制度とコアタイムの無いスーパーフレックス制度を導入しており、多様な個々人が最大限の力を発揮するとともに組織としてのアウトプットを最大化できる働き方を追求しております。このような制度の定着と意識改革等における全社レベルの取組が評価され、当社は、2019年に総務省が選定する「テレワーク先駆者100選」、2020年には「厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」に選出されました。
2022年度には、従業員意識調査(3年に一回)をエンゲージメントサーベイ(年一回)に置き換え、個と組織のつながりや社員の自発的貢献意欲を調査するとともに、社員による全社横断ワーキンググループを立ち上げ、改善が必要な分野の特定と対応に着手しております。
こうした取組によって、多様な人材の力を競争力の源泉として活かし、当社グループとして、新たな価値の創造に挑戦し、さらなる成長ならびに企業価値の向上を図っていきます。
③ リスク管理
当社グループが事業を展開する地域・分野及びビジネスモデルは劇的に多様化しており、環境は非連続かつ相当なスピードで変化しています。ビジネスを展開するにあたって、特定分野に高度な専門性及び経験を持った人材が必要となる可能性は常にあります。当社では、社内外のTop Tierプロフェッショナル人材を確保するために、通年採用、健康経営・働き方改革の推進、「Diversity, Equity & Inclusion」すなわち多様な価値観やアイデアを受け容れ、活かす文化・意識の醸成等、より魅力的な職場環境の整備に取組んでいます。
④ 指標及び目標
(※)日本経済団体連合会が2021年3月に公表した「2030年30%へのチャレンジ」に賛同し、設定したもの。
(a) 社員エンゲージメント指数 及び 社員を活かす環境指数
上記の人材育成方針及び社内環境整備方針に基づき施策を実行することで、グローバル人材マネジメントポリシー に掲げる「目指す個の姿(Top Tier Professionalism)」「目指す組織の姿(Great Place to Work)」が実現するものと考えております。その過程で、エンゲージメントサーベイ(年一回)で計測する「社員エンゲージメント指数」「社員を活かす環境指数」が向上していくと考えており、当社における目標を上表のとおり設定しております。なお、エンゲージメントサーベイは、2022年度は当社のみで実施し、2023年度からは、当社の国内海外拠点を含めたグローバルベースで実施しました。当社のみの実績として、「社員エンゲージメント指数」「社員を活かす環境指数」ともに、2022年度比で向上しました。
(b) 女性管理職比率、女性部長級比率 及び 女性取締役・監査役比率
グローバルベースで様々な領域でプロフェッショナルとして活躍する女性を継続的に育成していくため、足下での状況を踏まえつつ、2030年度達成に向けた当社における目標を上表のとおり設定しております。実績は以下のとおりであります。