2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    4,098名(単体) 113,733名(連結)
  • 平均年齢
    42.3歳(単体)
  • 平均勤続年数
    18.0年(単体)
  • 平均年収
    17,536,469円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2024年3月31日現在

事業セグメントの名称

従業員数(人)

繊維

6,232

[2,122]

機械

13,568

[1,344]

金属

515

[77]

エネルギー・化学品

11,861

[3,762]

食料

32,687

[19,642]

住生活

22,013

[4,536]

情報・金融

16,966

[7,627]

第8

7,265

[5,993]

その他

2,626

[131]

合計

113,733

[45,234]

 

 (注)1 従業員数は、就業人員数であり、[ ]は、臨時従業員の年間平均人員数を外数で記載しております。

2 当連結会計年度末の従業員数が前連結会計年度末に比し、3,035名増加しております。その主な理由は、

住生活セグメントで大建工業(株)を子会社化したこと等によるものです。

3 臨時従業員には、契約期間が1か月以上の派遣社員、アルバイト、パートタイマーを含んでおります。

 

(2)提出会社の状況

 ① 従業員に関する指標

 

 

 

 

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年令(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

4,098

42.3

18年

2か月

17,536,469

 

 (注)1 平均年間給与は、賞与、従業員持株会制度の特別奨励金を含んでおります。上記従業員数より、休職者及び

定年後再雇用等の有期雇用従業員を除いて算定しております。

2 上記従業員数に海外支店・事務所の現地社員328名、受入出向者143名を加え、国内803名、海外304名の他社

への出向者、海外現地法人での勤務者・実習生等407名を除いた提出会社の就業人員数は、3,055名でありま

す。セグメントごとの就業人員数は、次のとおりです。

事業セグメントの名称

従業員数(人)

繊維

311

機械

388

金属

167

エネルギー・化学品

371

食料

399

住生活

241

情報・金融

238

第8

44

その他

896

合計

3,055

 

 ② 多様性に関する指標

会社名

管理職に占める

女性従業員の割合(%)

(注)1

男性従業員の

育児休業取得率(%)

(注)2

男女間賃金格差(%)(注)1

全従業員

(注)3

うち正規雇用従業員

うち有期雇用従業員

伊藤忠商事㈱

8.8

53

58.5

59.3

52.5

 (注)1 女性活躍推進法(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2 育児介護休業に関する法律施行規則(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の

取得割合を算出したものです。

3 委任契約である執行役員及びその他役員は従業員に含まれておりません。

<多様性に関する指標の補足>

(a)男性従業員の育児休業取得に関する取組

当社では、男性従業員の「共働き世帯」の増加を背景とし、2022年度の「育児両立手当」導入により、社会

課題である男性従業員の育児への参画を支援しております。女性活躍推進委員会での議論を踏まえ、男性従業員の育休取得を更に後押しするため、配偶者が出産した男性従業員について、2024年4月からの「出産後1年以内に、暦日5日(有給扱い)の育休取得必須化」を決定しました。男性従業員の当社での「働きがい」向上に

加え、多様性を尊重する社内風土の醸成を通じて、女性従業員の更なる活躍推進にもつなげていきます。
※子ども誕生後、4週間以上の育児休業を取得し、対象となる子どもの年齢が満1歳未満で復職する場合、両立
 に伴う追加費用(保育費用等)の補填等を目的として、一定の手当を支給する社内制度。

(b)正規雇用従業員における賃金格差の主たる要因

役職(正規雇用従業員)

男女間賃金格差

管理職

部長相当職

98%

課長相当職

88%

非管理職

97%

 

上図のとおり、正規雇用従業員における役職別の男女間賃金格差は限定的です。当社の女性総合職の約75%が

20~30代であるため、当社全体の男女間賃金格差は58.5%となります。以下の女性活躍推進施策により、

長期的に格差が是正される見込みです。

1.女性執行役員の登用

2023年12月の取締役会において、執行役員の人事制度改訂を決定し、2024年4月1日付で新たに5名の女性

執行役員を登用し、全役員に占める女性比率が21%となりました。経営層の多様化は、生活消費関連ビジネスに注力する当社にとって非常に重要な要素になるため、「2030年までに、全役員(執行役員を含む)に占める女性比率を30%以上」とする数値目標を定めました。社内外に当社の女性登用に向けた「本気度」を示し、アファーマティブな挑戦機会の提供とキャリアの障壁を軽減するきめ細かな個別支援を通じた、女性幹部候補人材の育成パイプラインを強化します。

2.計画的な機会提供・キャリア継続支援
経営陣が主導し、当社総合職として重要なキャリアである投資先への出向・海外駐在経験の提供、キャリア継続に向けたフェムテック活用(卵子凍結、不妊治療の費用補助)、職場の意識改革・継続的な女性登用支援を実行します。

3.事務職の更なる活躍支援
事務職については、「高い専門性による事務実務のプロ」として役割を再定義し、専門分野の知識・スキル取得を体系的に支援します。

(c)有期雇用従業員における賃金格差の主たる要因

高度な専門家・管理職比率の男女間差異によるものです。

 

(3)国内子会社の多様性に関する指標

会社名

管理職に

占める女性

従業員の割合(%)

(注)1

男性従業員

の育児休業

取得率

(%)

(注)2

男女間賃金格差(%)(注)1

全従業員

うち正規雇用従業員

うち有期雇用従業員

賃金格差の

主たる要因

従業員301名以上

(繊維)

㈱三景

4.1

29

64.3

73.8

64.8

(注)3

㈱エドウイン

8.6

50

76.4

70.3

88.2

(注)3

㈱ジョイックスコーポレーション

8.6

25

71.8

75.7

86.2

(注)4

㈱レリアン

86.0

0

67.0

66.2

61.3

(注)5

(機械)

伊藤忠マシンテクノス㈱

1.4

60

72.1

69.1

75.4

(注)5

㈱ヤナセ

2.8

21

69.3

78.1

88.3

(注)6

(エネルギー・化学品)

伊藤忠エネクス㈱

3.4

81

55.7

55.7

66.5

(注)5

伊藤忠プラスチックス㈱

7.3

86

67.8

68.4

54.3

(注)5

タキロンシーアイ㈱

2.6

108

69.1

72.6

61.5

(注)5

(食料)

プリマハム㈱

4.7

59

54.6

76.0

83.5

(注)3

伊藤忠食品㈱

9.9

36

65.0

67.4

63.0

(注)7

㈱日本アクセス

3.8

34

65.1

70.2

56.6

(注)7

(住生活)

伊藤忠ロジスティクス㈱

7.8

20

67.4

69.3

70.2

(注)8

大建工業㈱

2.3

74

62.0

67.0

72.2

(注)7

伊藤忠建材㈱

5.8

75

59.1

58.4

46.3

(注)5

伊藤忠アーバンコミュニティ㈱

7.9

50

98.9

69.9

80.1

(注)5

(情報・金融)

伊藤忠テクノソリューションズ㈱

6.3

73

78.7

78.9

76.2

(注)8

エイツーヘルスケア㈱

35.2

50

85.2

87.6

47.9

(注)5

ほけんの窓口グループ㈱

21.0

39

66.2

66.1

75.8

(注)5

センチュリーメディカル㈱

17.2

42

74.0

73.9

67.6

(注)5

(第8)

㈱ファミリーマート

5.4

21

68.3

77.8

73.1

(注)5

エイ・ケイ・フランチャイズシステム㈱

0.0

100

61.1

91.7

82.3

(注)3

従業員101名以上-301名未満

(繊維)

㈱ロイネ

24.2

0

74.2

79.5

69.7

(注)3

シーアイ繊維サービス㈱

11.8

0

63.6

57.9

62.1

(注)7

㈱ドーム

20.0

33

78.7

78.8

81.1

(注)8

コロネット㈱

6.7

0

66.2

63.6

68.2

(注)7

(機械)

伊藤忠オートモービル㈱

0.0

(注)9

64.7

66.4

45.4

(注)5

日本エアロスペース㈱

0.0

(注)9

66.3

65.7

39.0

(注)5

(金属)

伊藤忠メタルズ㈱

12.2

100

66.3

69.6

54.4

(注)5

 

会社名

管理職に

占める女性

従業員の割合(%)

(注)1

男性従業員

の育児休業

取得率

(%)

(注)2

男女間賃金格差(%)(注)1

全従業員

うち正規雇用従業員

うち有期雇用従業員

賃金格差の

主たる要因

(エネルギー・化学品)

伊藤忠ケミカルフロンティア㈱

0.0

50

54.7

53.8

53.2

(注)5

伊藤忠リーテイルリンク㈱

11.6

88

64.5

70.9

46.9

(注)7

(食料)

伊藤忠飼料㈱

0.0

67

67.0

71.0

60.0

(注)5

伊藤忠食糧㈱

6.3

63

72.3

74.6

41.4

(注)7

(住生活)

伊藤忠紙パルプ㈱

2.4

100

74.1

72.4

(注)10

(注)5

伊藤忠都市開発㈱

5.0

0

64.0

70.0

36.1

(注)5

伊藤忠セラテック㈱

3.0

0

69.7

72.4

46.6

(注)5

伊藤忠ハウジング㈱

0.0

33

72.4

71.8

92.5

(注)5

イトーピアホーム㈱

0.0

0

74.1

76.7

59.3

(注)5

伊豆大仁開発㈱

0.0

0

81.0

55.0

120.0

(注)3

(情報・金融)

伊藤忠オリコ保険サービス㈱

22.7

100

74.1

71.7

79.1

(注)5

伊藤忠ケーブルシステム㈱

6.7

0

70.4

70.3

47.2

(注)5

(総本社)

伊藤忠人事総務サービス㈱

42.9

33

86.1

88.4

50.4

(注)5

伊藤忠ユニダス㈱

8.0

0

74.1

88.3

50.1

(注)5

伊藤忠フィナンシャルマネジメント㈱

7.7

50

72.0

76.7

(注)10

(注)3

 (注)1 女性活躍推進法(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2 育児介護休業に関する法律施行規則(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の

取得割合を算出したものです。

3 非正規雇用の女性従業員が多いためです。

4 女性従業員の新卒採用を強化した結果、相対的に賃金水準の低い女性従業員が増えたためです。

5 職種・職掌により従業員に占める女性従業員に偏りがあるためです。

6 従業員に占める女性従業員の比率が低く、かつ、男性従業員の平均勤続年数に比べて女性従業員の平均勤続

年数が短いためです。

7 女性従業員の管理職登用推進の途上のためです。

8 女性従業員の平均年齢が低く、かつ、男性従業員の管理職層比率に比べて女性従業員の管理職層比率が低い

ためです。

9 該当する男性従業員はおりません。

10 該当する有期雇用従業員はおりません。

 

(4)労働組合の状況

当社及び子会社と各社の労働組合との関係について、特記すべき事項はありません。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)サステナビリティの考え方

 当社は、創業の精神である企業理念「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」のもと、自社の

利益だけではなく、投資家や株主の皆様、取引先、社員をはじめ、周囲の様々なステークホルダーの期待と

信頼に応えることで、社会課題の解決に貢献することを目指しております。

 2018年4月に環境・社会・ガバナンス(ESG)の視点を取入れ、社会影響と事業影響という2つの観点から7項目のマテリアリティ(サステナビリティ上の重要課題)を特定しました。マテリアリティに対して、

リスクと機会の両方の観点から対応していくことで、当社の中長期的な企業価値向上につながると認識して

おります。詳細は当社「ESGレポート 2023」P.14 マテリアリティの選定・レビュープロセスをご参照くだ

さい。

 当社は、2024年4月に発表した経営方針「The Brand-new Deal~利は川下にあり~」において「業績の

向上」「株主還元」と並んで「企業ブランド価値の向上」を実現することを掲げております。

 当社グループは、160年を超える発展の過程で変化をチャンスと捉えて、川上から川下まで、原料から小売までとその影響範囲を拡大しつつ、時代とともに取扱商品の構成や事業領域を転換しながら発展してきました。そのため、常に既存ビジネスの枠組を超えて新たな価値創造を行うことが、当社グループの企業ブランドを築き上げ、財務面の成長との相乗効果を生んでおります。当社グループは、強みである生活消費分野に

おける消費者接点を活用し、全社員で「マーケットインの発想」のもと、市場・社会・生活者の声に耳を傾けること及び地道な定性面の磨きを継続することで、企業ブランド価値の更なる向上を目指します。

 

(2)サステナビリティの取組

① ガバナンス

 当社のサステナビリティ関連のガバナンス体制図は次のとおりです(2024年6月21日現在)。

 

 

(a) 監督機能としての取締役会

 当社グループは、サステナビリティ課題への対応を経営の重要課題の一つと認識し、取締役会にてサステナビリティに関するグループ方針、戦略、関連ビジネス推進の承認をするとともに、サステナビリティ開示情報の適切性を監督しております。

 マテリアリティに関して、リスクと機会への対応方針や具体的アプローチ、成果指標及び進捗度合等の重要

事項のレビューを通し、マテリアリティの妥当性につき取締役会が監督しております。

 

 環境・社会リスクを含むサステナビリティ関連のリスクと機会に対応する事業戦略・投資戦略の執行(戦略の見直し・事業撤退判断を含む)に関して、当社ではすべての新規投資案件に対し、事前のESGリスク評価として「投資等に関わるESGチェックリスト」を使用し、サステナビリティ関連のリスクに関する方針、体制

及び取組状況を把握、分析し、重要事項を協議するHMC(HMCについては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。)にてサステナビリティ関連のリスクを検証して

おります。また、投資実行後は、サステナビリティ関連のリスクの予防を目的とする事業会社のモニター・

レビューや、人権デューデリジェンス、環境汚染等の未然防止を目的とする現地訪問調査等を多面的に実施

しております。バリューチェーン上の管理については、サプライヤーのESG取組状況を確認するサステナビリティ調査を毎年実施しております。また、気候変動や自然資本へのリスクと機会に関する取組は、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)やTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)フレームワークに基づく分析・開示を行っております。これらの審議内容や取組については、定期的にCAO(Chief Administrative Officer)から取締役会に報告され、取締役会が監督しております。

(b) 監督機能における取締役会のスキル・コンピテンシー

 当社CAOはSDGs/ESG分野の専門的経験・知見を有しており、サステナビリティに関する各種施策の

立案・実施を担当するサステナビリティ推進部より月2回程度の頻度で定期報告を受けております。また、

外部有識者を招聘して毎年開催するサステナビリティアドバイザリーボードでの講義、意見交換を通じて、

サステナビリティに関する世の中の動向、当社への期待、対応すべき課題に対する知見を深めております。

 当社の代表取締役であるCAOは、会社の全般的経営方針及び経営に関する重要事項を協議するHMCの

メンバーであると同時に、サステナビリティ委員会の委員長を兼務しており、サステナビリティに関する統括責任者としてサステナビリティ委員会で審議した事項を決定しております。なお、重要事項については、

CAO決定後に、HMCで承認しております。当該決定事項は、CAOからサステナビリティ推進の主たる

活動状況とともに適宜取締役会に報告することで、取締役会の監督にあたってのコンピテンシーを確保していると考えております。

(c) 執行機能としてのサステナビリティ委員会

 サステナビリティ関連事項に対応するための各種施策の立案・実施に関する審議を行うサステナビリティ

委員会は、サステナビリティ関連目標設定、進捗状況、現状のサステナビリティ関連のリスクと機会を識別・評価・管理しております。取締役会は、サステナビリティ関連のリスクと機会に対応する事業戦略・投資戦略の執行(戦略の見直し、事業撤退判断を含む)を監督しております。また、各事業セグメント及び職能部署のマネジメントを執行側のESG責任者と定めております。ESG責任者は、サステナビリティ関連事項について各種施策・取組の進捗を管理し、サステナビリティ委員会に報告しております。

2023年度サステナビリティ関連審議、報告実績

サステナビリティ

関連会議体

開催数

主な承認・審議・報告事項

取締役会

4回

・サステナビリティ委員会での審議内容及びCAO決定事項の報告

・社会貢献活動報告

サステナビリティ

委員会

3回

承認事項

・有価証券報告書サステナビリティ関連開示

 

報告事項

・マテリアリティの確認

・サステナビリティアクションプランレビュー

・外部からのESG評価

・「環境・社会リスク」モニター・レビュー結果

・CSRD推進体制

・気候変動対応

・自然資本(生物多様性)/TNFD開示

・ISO14001環境マネジメントレビュー

・人権デューデリジェンス、サステナビリティ調査報告

・人的資本の開示

 

② 戦略

 当社グループは、企業理念や外的環境の変化を踏まえた「サステナビリティ推進基本方針」を定め、

組織的・体系的にサステナビリティに資する取組を推進しております。当社グループのマテリアリティをサステナビリティアクションプランに落とし込み、経営方針及び経営計画の方針に基づき推進するトレーディングや事業投資を通じて、課題解決につなげていきたいと考えております。

(a) 当社グループ方針

 当社グループの「サステナビリティ推進基本方針」は次のとおりです。

伊藤忠グループ「サステナビリティ推進基本方針」

 

 伊藤忠の創業の精神である企業理念「三方よし」のもと、グローバルに事業を行う伊藤忠グループは、
地球環境や社会課題への対応を経営方針の最重要事項の一つとして捉え、持続可能な社会の実現に貢献

します。本方針は企業行動指針「ひとりの商人、無数の使命」及び企業行動倫理規範に基づいて策定して

います。

 

1.マテリアリティの特定と社会課題の解決に資するビジネスの推進

 国際社会の一員として、自社のみならず社会にとっても持続可能な成長につながるマテリアリティを

 策定し、事業活動を通じて企業価値向上を目指します。

 

2.社会との相互信頼づくり

 正確で明瞭な情報開示及び開示情報の拡充に努め、ステークホルダーとの双方向の対話を通じて、

 社会からの期待や要請を受けとめ、それらを実践していくことで信頼される企業を目指します。

 

3.持続可能なサプライチェーン・事業投資マネジメントの強化

 地球環境の保全や気候変動の緩和と適応、汚染防止と資源循環、生物多様性及び生態系の保護、人権と
 労働における基本的権利に対し、問題の未然防止及び継続的な配慮に努め、持続可能な事業活動を推進

 します。

 事業投資先や取扱商品のサプライチェーン上の資源(大気、水、土地、食糧、鉱物、化石燃料、動植物

 等)の有効利用、人権の尊重、及び労働安全衛生への配慮に努めます。取引先に対しては当社グループ

 のサステナビリティに対する考え方への理解と実践を求め、持続可能なバリューチェーン構築を目指し

 ます。

 各国法制度及び国際規範を尊重し、世界各国・地域の文化、伝統、慣習の理解に努め、公正かつ誠実な

 企業活動を展開します。

 

4.サステナビリティ推進に向けた社員への教育・啓発

 「サステナビリティを推進するのは社員一人ひとり」であることから、社員に対し重要課題に関する
 意識を醸成するための教育・啓発活動を行います。社員一人ひとりが、本方針に基づき各組織のアク

 ションプランを実行します。

 

代表取締役 副社長執行役員 CAO
小林 文彦

 

(b) マテリアリティごとの戦略

 当社のマテリアリティは、全社的な意見を反映したマテリアリティ候補を「事業影響」「社会影響」の面

からマッピングして重要度を判定したのち、外部有識者が参加するサステナビリティアドバイザリーボードで「経営への影響」と「ステークホルダーの意見・期待」の両面から「マテリアリティマトリックス」を作成し、7つに特定しました。マテリアリティについては、毎年、アドバイザリーボード、株主との面談を通じて寄せられる関心事項や、当社の事業範囲とも照らし合わせて見直しており、サステナビリティ委員会で審議、

CAOが決定したのち、取締役会に報告しております。

 マテリアリティに関する事業を通じた取組として、各事業セグメントや職能組織で事業分野ごとのリスクと機会等を抽出したうえで、短期から中長期的な目標達成に向けたサステナビリティアクションプランを定めております。サステナビリティアクションプランでは、取組むべき課題、対象事業分野、具体的アプローチ、

成果指標及び進捗状況を管理しております。毎年成果指標に基づくレビューを8つのカンパニー及び職能組織

ごとに実施し、サステナビリティ委員会に進捗状況を報告します。このようなPDCAサイクルを回し開示することにより、確実な推進を目指しております。

マテリアリティごとのリスクと機会

マテリアリティ

リスク

機会

技術革新による商いの進化

・IoT、AI等、新技術の台頭に伴う

既存ビジネスモデルの陳腐化

・先進国での人手不足や、効率化が

遅れている事業での優秀な人材の

流出 等

・新市場の創出や、革新性のある

サービスの提供

・新技術の活用による人的資源や

物流の最適化、働き方改革推進に

よる競争力強化 等

気候変動への取組み

(脱炭素社会への寄与)

移行リスク

・GHG排出に対する事業規制等による化石燃料需要の減少

物理的リスク

・異常気象(干ばつ、洪水、台風、ハリケーン等)発生増加による

事業被害 等

・気候変動の緩和に寄与する、再生

可能エネルギー等の事業機会の

増加

・異常気象に適応できる供給体制

強化等による顧客維持・獲得 等

働きがいのある職場環境の

整備

・適切な対応を実施しない場合の

労働生産性の低下、優秀な人材の

流出、ビジネスチャンスの逸失、

健康関連費用の増加 等

・働きがいのある職場環境の整備による労働生産性の向上、健康力・モチベーションの向上、優秀な
人材の確保、変化やビジネス

チャンスへの対応力強化 等

人権の尊重・配慮

・広域化する事業活動での人権問題

発生に伴う事業遅延や継続リスク

・提供する社会インフラサービスの

不備による信用力低下 等

・地域社会との共生による事業の

安定化や優秀な人材確保

・サプライチェーン人権への配慮、

労働環境の改善に伴う安全かつ

安定的な商品供給体制の構築 等

健康で豊かな生活への貢献

・消費者やサービス利用者の安全や

健康問題発生時の信用力低下

・政策変更に基づく、市場や社会

保障制度の不安定化による事業

影響 等

・食の安全・安心や健康増進の需要

増加

・個人消費の拡大やインターネット

の普及に伴う情報・金融・物流

サービスの拡大 等

安定的な調達・供給

・環境問題の発生及び地域社会と

関係悪化に伴う反対運動の発生に

よる影響

・主に生活消費分野での低価格化

競争の発生による産業全体の構造

的な疲弊 等

・新興国の人口増及び生活水準向上

による資源需要の増加

・環境に配慮した資源や素材の安定

供給による顧客の信頼獲得や新規

事業創出 等

確固たるガバナンス体制の

堅持

・コーポレート・ガバナンス、内部

統制の機能不全に伴う事業継続

リスク、予期せぬ損失の発生 等

・強固なガバナンス体制の確立に

よる意思決定の透明性の向上、

変化への適切な対応、安定的な

成長基盤の確立 等

 

(c) 具体的アプローチ

 2024年度は、当社を取巻くサステナビリティ関連事項を考慮し、2024年4月3日の取締役会において「The Brand-new Deal~利は川下にあり~」を経営方針と定め、企業ブランド価値の向上を目指して、それまでの

3ヵ年の中期経営計画から引継ぐ「SDGsへの貢献・取組強化」に本業を通じて取組みます。本取締役会決議を踏まえ、2024年5月のサステナビリティ委員会で、各マテリアリティに関する具体的施策及び目標に対する

進捗状況の審議・レビューを行うとともに、2024年度のサステナビリティアクションプランを決定しました。各事業セグメントにおいてこれらの施策を継続的に実行しております。詳細は2024年9月発行予定の当社「ESGレポート 2024」サステナビリティアクションプランをご参照ください。

 

 各事業セグメントにおける、2023年度の具体的成果の一例は次のとおりです。

事業セグメント

2023年度の具体的成果

繊維

繊維由来の再生ポリエステル「RENU」等、サステナブル素材の普及促進

及び繊維製品を再資源化する仕組みを構築

機械

北米における再生可能エネルギー資産を投資対象とするファンドを設立

金属

欧州における世界最大級のグリーン水素バリューチェーンの構築を推進

エネルギー・化学品

大型蓄電池事業への本格参入

食料

Dole Philippines.のバイオガスプラントの稼働によるクリーンエネルギーの活用

住生活

天然ゴム加工事業でトレーサビリティ、サステナビリティが確保された

原料を調達

情報・金融

中古携帯端末における取扱品目の拡大、調達ソース及び流通チャネルの

拡充

第8

ファミリーマート店舗へデジタルサイネージの設置拡大

その他

「ITOCHU SDGs STUDIO」からの発信を強化

 

③ リスク管理

(a) サステナビリティ関連のリスクと機会の識別

 グローバルに事業展開している当社グループでは、各国の環境・社会に関する対策・法制化等の社会情勢や事業環境の変化が事業に与えるリスクを常に監視しております。各事業セグメントにおける経営及び事業活動の統括責任者であるカンパニープレジデントの諮問機関であるDMC(Division Company Management Committee)は、環境・社会等のサステナビリティ関連を含むビジネスのリスクと機会を毎年レビューし、

各種施策、ビジネスの優先順位を定めて計画を策定しております。各事業セグメントの計画は、HMC及び

監督機関である取締役会に上程され、最終的に取締役会がサステナビリティの観点から総合的に分析・審議

したうえで承認されております。

(b) サステナビリティ関連のリスクと機会の評価

 当社グループは、リスク管理を経営の重要課題と認識し、COSO-ERMフレームワークの考え方を参考に、当社グループにおけるリスクマネジメントの基本方針を定め、必要なリスク管理体制及び手法を整備しており

ます。将来の当社グループの財政状態及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があるものを重要なリスクと

考え、気候変動、サプライチェーン、人権等のサステナビリティに係る規制等の動向及び世界各地の事業に

与えるサステナビリティ関連のリスクと機会に関する情報収集を定期的に行い、リスクを特定しております。

(c) サステナビリティ関連のリスクと機会の管理

 当社グループでは、迅速な意思決定を実現するため各事業セグメントに権限を委譲し、事業運営に伴う

サステナビリティ関連のリスクと機会の管理を行っております。各事業セグメントのDMCにおいて、経営

方針及び経営に影響を及ぼす投資・融資・保証・事業等が審議され、カンパニープレジデントがそれらを決定しております。なお、当該決定事項は、事業段階ごとの状況に応じて管理しております。

(d) 全社的リスクマネジメントシステムへの統合

 当社グループでは、サステナビリティ関連をはじめとする様々なリスクと機会に対処するため、各種の社内委員会や責任部署を設置するとともに、各種管理規則、投資基準、リスク・取引限度額の設定や報告・監視

体制の整備等、必要なリスク管理体制及び管理手法を整備し、リスクと機会を全社的かつ個別的に管理して

おります。

 各事業セグメントが管理するリスクと機会は、社内の各委員会へ報告され、重要度に応じて各委員会での

審議を経て、HMCまたは取締役会にて承認されます。なお、管理体制の有効性につき毎年内部統制委員会

にてレビューを実施し、取締役会に報告しております。

 詳細は当社「ESGレポート 2023」P.190 リスクマネジメントをご参照ください。

 

④ 指標及び目標

 サステナビリティアクションプランの取組むべき課題、アプローチ、成果指標及び進捗度合の詳細は2024年

9月発行予定の当社「ESGレポート 2024」サステナビリティアクションプランをご参照ください。

 

(3)気候変動対応

 当社グループは気候変動を最も緊急性が高い地球環境問題の一つと認識しております。

 当社は、パリ協定や日本国が決定する貢献(NDC)を支持し、気候変動による事業環境の変化への適応に

努めるとともに、これを更なる成長機会と捉えております。当社グループは、2030年・2040年・2050年までの温室効果ガス(GHG)排出量削減達成のため、バリューチェーン上の関係者と協力し、省エネや再生可能エネルギーの利用、一般炭権益からの撤退をはじめとする資産入替、環境に配慮した形での商品やサービスの提供等により排出量を可能な限り削減し、また社会全体の排出量を削減する削減貢献ビジネスを積極的に推進することで、企業価値向上につなげていきます。

 当社は、気候関連財務情報開示の重要性に応えるべく、2019年5月、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への賛同を表明して以降、TCFD提言に基づく情報開示に努めております。

 詳細は当社「ESGレポート 2023」P.41 気候変動(TCFD提言に基づく情報開示)をご参照ください。

① ガバナンス

 気候変動に係るリスクと機会への対応方針やGHG排出量の削減目標・取組、気候変動リスクと機会を考慮

した年度予算・事業計画等の重要事項につき、サステナビリティ関連のリスクと機会の一つとして前述の

サステナビリティ全般のガバナンスにおいて統合的に管理・監督しております。

② 戦略

 当社の事業は、気候変動の移行リスク及び物理的リスクの影響を短期・中期・長期の様々な時間軸で受けております。そのため当社は、各事業案件の推進プロセス及び気候変動を含む環境・社会リスクの管理プロセス
の中で、事業や戦略、バリューチェーン等に重大な財務的影響を与える可能性のあるリスクと機会を特定・

評価・管理しております。

(a) 気候変動関連のリスクと機会

気候関連の

リスクと機会

気候関連のリスクと機会が

組織の事業、戦略、

財務計画に及ぼす影響

影響を
受ける
時間軸(注)

影響を受ける
バリューチェーン

影響を受ける

事業・業種の例

移行

リスクと

機会

政策と

法制度

・世界各国のGHG排出計画の厳格化・GHG排出に対する事業規制等による化石燃料

需要の減少

・カーボンプライシング
(炭素税等)や事業規制等

による事業コストの増大

中期

長期

上流・

当社グループ

発電事業、化石燃料
事業、鉄鉱石事業、
自動車事業、化学品

事業

技術革新

気候変動の緩和に寄与する
再生可能エネルギー、蓄電池関連事業、低炭素燃料、
低炭素製鉄原料等の事業機会

の増加

短期

中期

長期

当社グループ

再生可能エネルギー
・蓄電池関連事業、
低炭素燃料事業、
新素材事業、鉄鉱石

事業

市場状況の変化

政策と法的リスク及びクリーンテック等のテクノロジーの影響を受ける製品・サービスの需要の増加と減少

短期

中期

長期

上流・

当社グループ

化石燃料事業、
化学品事業、自動車
事業、再生可能
エネルギー・蓄電池
関連事業、新素材
事業、CCUS・排出権

関連事業

 

 

気候関連の

リスクと機会

気候関連のリスクと機会が

組織の事業、戦略、

財務計画に及ぼす影響

影響を
受ける
時間軸(注)

影響を受ける
バリューチェーン

影響を受ける

事業・業種の例

物理的
リスクと
機会

急性的な物理的

リスク・
機会

異常気象(干ばつ、洪水、
台風、ハリケーン等)発生

増加による事業被害等

短期
中期
長期

上流・

当社グループ・
下流

食料事業、

森林関連事業、鉱業

異常気象に適応できる供給

体制強化等による顧客維持・

獲得等

短期
中期
長期

上流・
当社グループ・
下流

食料事業、

森林関連事業

慢性的な物理的

リスク・機会

気温上昇と気候変動に付随

する干ばつ等が農業・林業の
収穫及びそれらの関連製品の

生産量に与える影響

中期

長期

上流・
当社グループ・
下流

食料事業、

森林関連事業

(注)短期:~1年、中期:~3年、長期:4年~

(b) シナリオ分析

 当社事業を、GHG排出量等気候影響度と財務影響度をもとに分類し、双方の影響度が大きい事業を分析対象としております。その結果、政策と法的リスク等の移行リスク影響の大きい事業として、「発電事業」「エネルギー事業」「石炭事業」「鉄鉱石事業」「自動車事業」「化学品事業」を、また気候変動の物理的リスク

影響の大きい事業として、「Dole事業」「飼料・穀物トレード事業」「パルプ事業」を、シナリオ分析を行う対象事業に選定しました。上記9事業は、TCFDが指定した気候変動の影響を潜在的に大きく受ける4つの

非金融セクター(エネルギー、運輸、材料及び建物、農業・食品・木材製品)に含まれるものです。

(c) 既存戦略への影響と事業の移行計画

 シナリオ分析を行う中で、現状の事業戦略や事業地域の転換といった気候変動対策を取らない場合の財務的な負の影響が大きいリスクを把握し、経営方針「The Brand-new Deal~利は川下にあり~」にて推進する「SDGsへの貢献・取組強化」のもと、具体的な事業の移行計画、財務計画(資産入替を含む)の策定に既に

着手しております。具体的には次のようなビジネスを推進しております。

分野

概要

環境配慮型繊維素材

・サステナブル素材の拡充による循環型経済への貢献

水・廃棄物処理

・有力パートナーとの協業を通じ、欧州・中近東を中心に事業展開
・ドバイにて世界最大級の廃棄物処理発電施設の建設開始

再生可能エネルギー

・北米・欧州・アジア中心に風力・太陽光・地熱等、発電事業を推進
・太陽光発電所向け運転・保守サービスを北米約1,400ヵ所で展開

金属リサイクル

・リサイクル事業者の全国ネットワーク活用や、廃棄物処理の最適管理サービス提供を通じ、金属スクラップ他幅広くリサイクル事業を展開

還元鉄

・鉄鋼業界のグリーン化に貢献する低炭素還元鉄サプライチェーン構築を推進

CCUS(CO2回収・

利用・貯留)

・豪州MCi Carbon Pty Ltdの有するCO2固定化技術の商業化を目指し、国内外の取引先

 企業と協業
・国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業に参加
 し、液化CO2輸送技術の研究開発・実証事業も実施

蓄電池・再生可能

エネルギー

・自社ブランドAI蓄電池と分散型太陽光発電ネットワークを活用した、クリーン電力

 サービス・環境価値取引を推進

・次世代電池開発と車載用電池リユースによる循環型ビジネスを推進

・太陽光・バイオマス・風力等の再生可能エネルギー電源事業を推進

持続可能な航空燃料 ・ディーゼル燃料

・日本初となる航空会社向け持続可能な航空燃料(SAF)及びリニューアブルディー

 ゼルの販売

 

分野

概要

水素・アンモニア

・デンマークEverfuel A/Sと共同でグリーン水素バリューチェーン構築を推進
・クリーンアンモニアのバリューチェーン構築に向け、アンモニア燃料船開発及び

 保有運航モデルの創出、舶用燃料供給(バンカリング)事業、発電燃料代替として

 の利活用、カナダ他での製造販売事業等を推進

プラスチックリサイクル

・リサイクル技術を持つ有力パートナーとプラスチックリサイクル事業展開
・海洋プラスチックごみを原材料に使用した製品開発

サステナブルコー

ヒー豆・植物油

・児童労働・環境破壊を排除したサステナブル製品・第三者認証品の安定供給
・生産・流通・加工過程のサステナビリティが確立された原料サプライチェーンの

 構築

青果物生産・加工

廃棄物削減

・Dole商品の生産・流通・加工工程における格落ち品・残渣の削減

サステナブル天然

ゴム

・持続可能な天然ゴムのための国際コンソーシアム「GPSNR」に設立メンバーとして

 参画

・ブロックチェーンを使ったトレーサブルシステムを開発、バリューチェーン全体を

 巻込んだプロジェクトを展開

中古携帯流通

・新品携帯電話の過剰供給、端末買替による環境負荷増大等の市場動向を捉え、

 中古携帯流通事業へ参入

CVS事業(ファミ

リーマート)

・サプライチェーン改革による業務効率化、食品ロス削減
・脱プラスチック、GHG削減等「ファミマecoビジョン2050」を推進

 

③ リスク管理

 気候変動リスクは、サステナビリティ関連のリスクと機会の一つとして前述サステナビリティ全般のリスク管理において統合的に管理しております。なお、気候変動のリスク管理は、次のとおり、事業の段階ごとの

評価手法に組込まれております。

事業の段階ごとの評価手法

事業の段階

評価手法

事業開始

・新規投資案件の環境リスク評価(1年に80件程度)

・炭素税コスト等をシャドープライシングで算定し、ストレステストを実施

 (インターナルカーボンプライシング)

事業運営

・取扱商品の環境リスク評価(サプライチェーン全体でLCA評価)

・グループ会社の環境実態調査(1年に2、3社)

・サプライチェーン・サステナビリティ調査(当社及び子会社)

・ISO14001に基づく内部環境監査(当社及び対象グループ会社3社)

・Scope1/2/3集計と経年評価

・インターナルカーボンプライシングインパクト評価

 (例:発電事業(米国)の場合205米ドル/t-CO2

事業戦略の見直し

事業戦略、資産入替の検討

 

 各事業段階の評価手法でリスクまたは機会が特定された場合、リスクと機会の事業への影響を評価しております。それにはシナリオ分析・ストレステスト等の定量評価、投資方針・GHG排出量削減目標への準拠性評価のような定性評価が含まれます。定量評価された気候変動のリスクと機会の情報には、気候変動以外のリスクと機会の定量情報が加算され、収益への貢献度合を分析しております。

④ 指標及び目標

 当社グループは、気候変動リスクと機会への対応の一環として、GHG排出量と電力使用量、クリーンテックビジネスに関し、以下の指標及び目標を設定しております。指標及び目標を定める際には、パリ協定や日本国NDC、国際的な信頼性が高く多岐にわたる事業領域をカバーできるIEA(国際エネルギー機関)の資料等を参照しております。

 

<GHG排出量削減目標>

指標(集計範囲):

Scope1/2/3(当社及び子会社)、化石燃料事業・権益(当社及び子会社・関連会社・一般投資)

目標:

・2050年までにGHG排出量「実質ゼロ」を実現。

・2040年までに2018年比75%削減を実現し、GHG排出量削減に貢献するビジネスの積極推進を通じ

「オフセットゼロ(注)」を目指す。

(注)オフセットゼロ:削減貢献量が当社GHG排出量を上回る状態。

・2030年までに2018年比40%削減を実現。

 

 

⑤ GHG排出量データ

             (単位:千t-CO2e)

 

2023年3月期

Scope1

1,166

Scope2

600

・千t-CO2e単位で表示している数値については、千t-CO2e未満の端数を四捨五入して表示しております。

・2023年3月期のScope1及びScope2は「ESGレポート 2023」の数値を記載しており、同数値は、第三者保証を受けております。集計範囲、算出方法及び第三者保証の詳細につきましては、当社「ESGレポート 2023」P.93 ESGデータ(環境)にある集計範囲及び気候変動パフォーマンスデータにある注意書き並びに第三者保証報告書をご参照ください。

・2024年3月期のScope1及びScope2については、2024年9月発行予定の当社「ESGレポート 2024」をご参照ください。

(4)人的資本経営・多様性

 当社グループは、企業理念である「三方よし」の精神を継承し、企業行動指針である「ひとりの商人、無数の使命」を体現する人材の確保・育成に努めております。その実現には、人種、性、宗教、国籍、年齢等にかかわらず、従業員一人ひとりの能力を最大限に引出す人材戦略の実行と環境の整備が不可欠であり、当社の

朝型勤務・健康経営等の働き方改革や人事政策の事例を当社グループで共有したうえで、グループ各社のビジネスに合わせた独自の人材戦略を展開しております。また、グループ各社の採用、人材育成、労務管理等における課題に対し、きめ細やかな支援を行う等、当社グループが一体となって企業価値の向上に努めており

ます。

① ガバナンス

 当社グループの企業理念である「三方よし」を実現するため、人材戦略を経営戦略の一つとして位置付けております。また、当社では、経営方針に係る重要な人事政策等の関連事項は、人事・総務部の立案、CAO、CSO(Chief Strategy Officer)、業務部の審査を経て、全般的な経営方針及び経営に関する重要事項を

協議するHMCで決定しております。決定事項は、CAOより取締役会に定期的に報告され、取締役会が監督しております。当社グループは、ガバナンス強化の観点から、当社より適切な人材をグループ各社に派遣しております。また、改訂コーポレートガバナンス・コード等により「人材の多様化」に対する社会的な要請が

一層高まる中、喫緊の課題である「女性の活躍支援」を加速させるため、当社では2021年10月に取締役会の

任意諮問委員会である「女性活躍推進委員会」を新設し、取締役会が重要施策を監督する体制を構築しました。委員長を社外取締役とし、委員総数の半数以上を社外役員で占めております。今後も現場や個々の事情を把握したうえで、「①現場との協議、②女性活躍推進委員会での議論、③取締役会への報告」という一連の

サイクルを継続し、実効性のある施策に落とし込んでいきます。計画的な採用・育成を通じて、取組方針の

一つである役職を担う人材の候補者数の拡大を図っていきます。また、当社グループ各社との人材交流等を

行い、グループ全体での女性活躍を推進していきます。

② 戦略

 当社グループの人材戦略・社内環境整備方針・具体的アプローチは次のとおりです。

<人材戦略(人材育成方針)>

 当社グループ企業理念「三方よし」実現に向け、当社の「経営方針」において、「企業ブランド価値の

向上」を掲げております。その重要施策の一つを「人的資本の強化」とし、取組を進めていきます。「人的

資本の強化」により、労働生産性を引上げ、持続的な企業ブランド価値を向上し、「マーケットインの

発想」のもと、市場・社会・生活者の声に耳を傾け、以下の施策を重点的に実行していきます。

1.採用市場での優位性を活かした優秀な人材の確保

当社は社員数が同業他社と比べて少ない中、より高い成果を出すために、企業理念「三方よし」に共感する

優秀な人材を確保していきます。

 

2.役員登用制度による多様な経営人材の継続的輩出

多様化する生活消費関連の顧客ニーズに基づき、ビジネスを開拓・進化することを目的に、組織や意思決定層を多様化するため女性活躍を推進しております。また、川下起点の投資を加速し、ハンズオンで事業領域拡大や事業基盤の更なる強化・拡充をすべく、社内に「学び続ける文化」を醸成し、経営人材・グローバル人材等の育成に注力していきます。

 

3.従業員の貢献意欲向上・更なる労働生産性の追求

朝型勤務・健康経営等の働き方改革の先進的な取組の積重ねや、成果に応じたメリハリのある評価・報酬、

早期抜擢やチャレンジングな経験の機会を創出しております。全従業員が能力を最大限に発揮できる「厳しくとも働きがいのある会社」の実現を目指していきます。

 

 当社は、1999年度より育成費用を持続的な企業価値の向上のための「人的資本投資」と位置付け、それらを

全社でレビューし、人材育成につなげております。これらの取組を通じ、社会環境の変化や顧客ニーズを捉えた「無数の使命」を果たす「商人」を育成し、当社グループの企業理念である「三方よし」を実現していき

ます。

<社内環境整備方針>

 当社は、「健康力向上」こそが、企業行動指針である「ひとりの商人、無数の使命」を果たす人材力強化の
礎であるという考えに基づき、「伊藤忠健康憲章」の制定、がんと仕事の両立支援等をはじめとした健康・
安全に対する万全な体制を構築しております。また、労働安全衛生に関する情報提供等、当社産業医による
グループ会社支援を行っております。今後も、従業員一人ひとりの健康を第一に、従業員が安心して働くこと

ができる職場環境の実現を当社グループ全体で目指していきます。

③ リスク管理

 当社は、価値創造の原動力である従業員一人ひとりの能力を最大限に引出すための基盤整備に努めており
ます。その一環として、迅速な意思決定を実現するため各事業セグメントに権限を委譲し、事業運営に伴う
人材に関するリスクと機会の管理を行っております。経営戦略に基づいた人材戦略のもと、各カンパニー
プレジデントが人材確保や適材適所等を推進しております。また、定期的にエンゲージメントサーベイを
実施し、結果を各事業セグメントに報告しており、従業員の働きがいをモニタリングする仕組みを構築して
おります。なお、当社グループ各社に対しては、事業セグメントを通じた労務管理リスク・人材リスクの把握

や課題に対するきめ細やかな支援に努めております。

④ 指標及び目標

(a) 人材戦略(人材育成方針)

指標

当事業年度実績

目標/前連結会計年度実績

(注)1

集計対象

労働生産性(注)2

5.2倍

2023年3月期:  5.2倍

提出会社

女性従業員比率

25%

2026年3月末目標: 30%

提出会社

女性採用比率

39%

2026年3月末目標: 40%

提出会社

女性役員比率(注)3

12%

2031年3月末目標: 30%

提出会社

男性育児休業取得率

53%

2026年3月末目標:100%

提出会社

研修受講者数(延べ人数)

68,824名

2023年3月期: 48,044名

提出会社

20~30代海外駐在・出向経験者率

71%

2023年3月期:   72%

提出会社

人材育成投資総額(注)4

22.7億円

 

提出会社

 

 ・グローバル・経営人材育成   (海外研修等)

14.9億円

 

提出会社

 

 ・「伊藤忠らしさ」の伝承    (創業地訪問等)

4.4億円

 

提出会社

 

 ・「学び続ける」支援      (DX研修等)

3.5億円

 

提出会社

一人あたり人材育成投資額

55.5万円

 

提出会社

企業理念「三方よし」を深く理解する ための創業地訪問参加者数(注)5

3,565名

2023年3月期: 3,027名

連結会社

(注)1 目標を設定している非財務指標KPIは、目標/前連結会計年度実績欄に目標を記載しております。

2 働き方改革を開始した2010年度を基準とし、連結純利益を提出会社の従業員数で除した倍数です。

3 女性役員比率は、会社法上の役員及び執行役員を含みます。

4 人材育成を目的とする統合型独身寮に関連する費用を一部含みます。

5 2004年度より導入した創業地訪問の参加者数の直近連結会計年度までの累計です。

 

(b) 社内環境整備方針

指標

当事業年度実績

目標/前連結会計年度実績

集計対象

がん特別検診対象者受診率

94%

2023年3月期:  93%

提出会社

労働災害の罹災者数

8名

2023年3月期:   3名

提出会社

死亡災害件数

0件

2023年3月期:   0件

提出会社

グループコンプライアンス意識調査の  回答率(注)

98%

2023年3月期:  99%

連結会社

(注)独自で調査をしている上場子会社を除く国内外子会社及びその事業会社の従業員56,090名が対象です。