リスク
3【事業等のリスク】
当社グループは、事業活動に関するリスク管理を所管するリスク管理委員会(委員長CEO、副委員長COO)を設置し、経営上重要なリスクの抽出・評価および執行におけるリスク管理状況の確認を行い、常務会および取締役会に定期的に報告しております。また、特に品質、貿易管理、法令違反、安全・衛生・環境、経済安全保障、情報セキュリティのリスクについては、執行役員を中心に構成された各専門委員会でそれぞれ管理しており、リスク管理委員会はこれらの委員会の活動状況の報告を受け、最終的に全社リスクとして評価し、管理しております。
これらの管理を通じて、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、リスクの顕在化の不測の事態に備え、主要取引銀行との間で合計30億円のコミットメントラインを設定しており、緊急時の流動性を確保しております。
(1) 品質に関するリスク
<リスクの内容>
想定外の事情による製品の欠陥の発生およびそれに起因する事故の発生、ならびにこれらによるブランドイメージの低下が売上高の減少、収益の悪化原因となり、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。
<リスクへの対応>
当社グループは、社名の由来である「Value & Quality」(価値の創造と品質の向上)を基本理念として、厳格な品質管理基準に従い製品の製造を行っております。また、部門横断的な品質保証委員会を中心とした品質保証体制を構築し、顧客満足を高める品質の向上活動を継続しており、定期的に常務会にその活動が報告されております。なお、万が一事故が発生し多額の賠償費用が必要となる可能性に備え、製造物責任保険(PL保険)に加入しております。
(2) 他社との業務提携等に伴うリスク
<リスクの内容>
当社グループは、新中期経営計画(NF2026)に基づき、新素材・新市場・新事業への参入を促進するために、他社との業務提携やM&Aを積極的に進めております。しかしながら、市場環境の変化や当社の戦略との不一致により、期待した成果が得られない場合、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。
<リスクへの対応>
他社との業務提携やM&Aに際しては、投資先や提携先の事業状況や財務状況をデューデリジェンスなどを通じて慎重に評価し、リスクを最小限に抑えるための対策を講じております。また、事後的には成果が当初想定した計画からの乖離を適宜確認しており、必要な改善や方針の変更を行っております。
(3) 海外事業展開に関するリスク
<リスクの内容>
当社グループは、製品の輸出や海外における現地生産など、幅広く海外で事業を展開しております。各国における法律や規制の変更、テロ、戦争、政治的不安定さなどの要因により、グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼすおそれがあります。
<リスクへの対応>
当社グループは、サプライチェーンの再構築をすすめており、その中でカントリーリスクの分散化を図っております。また、特に注意すべき国・地域については、有事リスクへの対応を見据えた体制の構築をすすめ、政治的・社会的状況を定期的にモニタリングしております。なお、これらの国や地域でリスクが顕在化した際には、本社と現地子会社が連携して対応にあたることとしております。
(4) 原材料価格変動と調達に伴うリスク
<リスクの内容>
当社グループは、国内外から部品や原材料を購入して製品の製造を行っており、一部の部品や原材料については、市場ニーズに応えるための高い品質・性能を追求する結果、供給が滞った際の代替調達先や十分な物量を確保できない可能性があります。これらによる需給の逼迫や為替変動などにより調達コストが増大した場合、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。
<リスクへの対応>
当社グループは、調達のマルチソース化や適時適量の在庫確保などをすすめております。また、重要な調達先については定期的に評価を行い、調達リスクの低減に努めております。
(5) 為替相場の変動に伴うリスク
<リスクの内容>
為替相場の変動は、外国通貨建ての売上高や原材料の調達コストなどに影響を及ぼし、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。
<リスクへの対応>
当社グループは、取引に伴う為替の変動リスクについては、先物為替等によるヘッジ策を行うなど、そのリスクを極小にすべく細心の注意を払っております。
(6) 情報セキュリティに関わるリスク
<リスクの内容>
当社グループは、半導体市場をはじめ高度な技術を用いた製品を多く製造しており、重要な技術情報や取引先・顧客情報、その他様々な情報を保有しております。サイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により、重要な情報が外部に流出した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
<リスクへの対応>
当社グループでは、情報セキュリティ委員会が中心となって最新のテクノロジーを使用したセキュリティシステムの導入など、グループ全体のセキュリティ管理体制を強化しております。
(7) 人材に関するリスク
<リスクの内容>
当社戦略を担う人材の確保・教育ができない場合や、人材の流出を防止できない場合、当社グループの業績および成長計画に影響を与える場合があります。
<リスクへの対応>
当社グループは、「人」を成長の源泉と考え、性別・年齢・経歴・国籍等にとらわれない多様な人材を登用し、人材投資や労働環境・体制の継続的な見直しを実施しております。また、エンゲージメントサーベイを定期的に実施しており、その結果を踏まえた改善やウェルビーイングな職場環境づくりにも積極的に取り組んでおります。
(8) 大規模災害やパンデミックに関わるリスク
<リスクの内容>
大規模災害やパンデミック等事業の継続を脅かす事象に対して、全ての被害や影響を回避できるとは限らず、結果的に生産活動の停止・サプライチェーンの混乱を招く可能性があり、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。
<リスクへの対応>
当社グループは、大規模災害や感染症によるパンデミック等事業の継続を脅かす事象が発生した場合に備えて、従業員の安全確保や事業中断に伴う影響の極小化ならびに迅速な事業継続を実現するためのBCP(事業継続計画)を策定しております。
また、定期的な防災訓練や必要物資の備蓄等を実施、安否確認システムを導入する等リスクの分散、極小化に取り組んでおります。
(9) 環境規制・気候変動対応
<リスクの内容>
気候変動がもたらす異常気象がサプライチェーンに与える影響や低炭素社会が実現できなかった場合、エネルギー価格の高騰等が事業に影響を与える場合があります。また、各国の環境法規制強化、または予期せぬ事故や自然災害等により非意図的な環境汚染等が発生した場合、事業活動への制限や多額の対策費用が必要となり、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。
<リスクへの対応>
当社グループは、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」に賛同するとともに、事業活動への影響の分析を行っております。TCFDの詳細は、前述の「2.サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載をご参照ください。また、部門横断的な取組みである、SHE(安全・衛生・環境)委員会を設置し、安全や衛生と一体となって課題への取組みをすすめており、その活動を定期的に常務会に報告しております。
(10) 法的規制に関するリスク
<リスクの内容>
当社グループは、グローバルに事業活動を展開しており、各国の法律、規則等の適用を受けております。各国において、より厳格な法規制の導入や解釈・運用の変更、または政策転換などが発生した場合、対応コスト増や事業活動の制約となり、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。
<リスクへの対応>
当社グループでは、各国の法律、規則等の変化に対して、外部の専門家を活用しながら対応しておりますが、判断や対応の担い手である人や組織における不正を排除するため、「正正堂堂と」の経営理念を原点として、「コンプライアンス遵守と誠実な行動」を重要な行動指針とし、コンプライアンス委員会を中心とした活動を監査、執行の両面からすすめております。定期的にコンプライアンス意識調査を行うなどして会社の課題を把握し、改善活動を行うとともに、通報、報告、相談ルートの活用をすすめ、早期に違反を発見し適切な対応を行える、風通しのよい職場づくりに力を入れております。
(11) 石綿問題に関するリスク
<リスクの内容>
石綿による健康被害について、当社規定に基づく補償金や見舞金の支払いによる費用負担は、限定的なものでありますが、今後も継続する可能性があります。また、健康被害に関して損害賠償請求の訴訟を受けており、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。
<リスクへの対応>
当社グループは、2006年9月1日施行の労働安全衛生法施行令による「アスベスト全面禁止」に先立ち、2006年7月31日をもって一切の石綿製品の供給を停止いたしました。石綿代替品(ノンアスベスト製品)の品揃えは他社に先駆け完了しておりますので、今後ともノンアスベスト製品の強力な販売活動を展開していく所存であります。2006年3月27日施行の「石綿による健康被害の救済に関する法律」に基づく被害者救済策が講じられておりますが、当社といたしましては、以下の措置を継続して講じております。
・石綿関連の質問や相談に応じるための「相談窓口」の開設
・従業員および元従業員のうち、希望された方への健康診断の実施
・当社ホームページでのアスベストに関する情報の開示
配当政策
3【配当政策】
当社は、持続的な経営成績の拡大を図るとともに強固な経営基盤の確立に努め、株主に対する利益還元の実施を経営の最重要課題としております。
株主還元の具体的な実施策としては、長期的な連結業績を考慮した配当を実施するとともに、資本効率の向上を目的とした自己株式の取得も適宜実施していくこととしております。
還元の基準につきましては、配当と自己株式取得をあわせた金額を「株主還元」と設定し、還元総額の親会社株主に帰属する当期純利益に対する比率、すなわち「株主還元性向」の50%を目標としつつ以下の事項を勘案し、株主還元を行う方針であります。
・将来の企業価値の最大化に向けた設備投資および研究開発投資ならびに戦略的投資の必要性
・リスク管理体制の強化や人材開発の拡充などの企業基盤整備ならびに事業環境の変動に対する備えの重要性
当社は、中間配当と期末配当の年2回の配当を行うことを基本方針としております。
これらの配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
当期の配当につきましては、中間配当金を1株につき75円、期末配当金を1株につき75円とし、年150円配当といたしました。この結果、当期の連結配当性向は53.7%となりました。
当社は、取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
なお、当期に係る配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2023年10月30日 |
1,318 |
75.0 |
取締役会決議 |
||
2024年6月20日 |
1,318 |
75.0 |
定時株主総会決議 |