2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,872名(単体) 3,227名(連結)
  • 平均年齢
    44.4歳(単体)
  • 平均勤続年数
    16.2年(単体)
  • 平均年収
    6,272,000円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

情報コミュニケーション部門

824

(44)

情報セキュリティ部門

819

(101)

生活・産業資材部門

951

(165)

その他

243

(107)

全社(共通)

390

(8)

合計

3,227

(425)

(注)1.従業員数は、就業人員であります。

2.従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の当連結会計年度の平均雇用者数であります。

3.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門及び研究開発部門に所属しているものであります。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

 

2024年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

1,872

(155)

44.4

16.2

6,272

 

セグメントの名称

従業員数(名)

情報コミュニケーション部門

312

(0)

情報セキュリティ部門

689

(66)

生活・産業資材部門

481

(81)

全社(共通)

390

(8)

合計

1,872

(155)

(注)1.従業員数は、就業人員であります。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の期中平均雇用者数であります。

4.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門及び研究開発部門に所属しているものであります。

 

(3) 労働組合の状況

当社の労働組合は共同印刷労働組合(2024年3月31日現在の組合員数は1,587名)ほかがあります。労使間の問題は経営協議会を通じて円満な解決を図っており、会社の発展なくして組合員の生活向上はないという見地から生産性向上に協力的であります。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

当事業年度

補足説明

管理職に占める女性労働者の割合(%)

 (注)1.

男性労働者の育児休業取得率(%)

 (注)2.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)3.

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

9.0

100.0

63.8

67.4

57.7

欄外に記載(注)4

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。

3.上記指標の算出にあたっては、以下のような定義や計算方法を用いております。

賃金:基本給、超過労働に対する報酬、賞与等を含み、退職手当、通勤手当等を除く

人員:2024年3月31日時点の人員数で算出

(パートタイム労働者は、正規雇用労働者の所定労働時間(8時間/日)に換算し算出)

正規雇用労働者:当社から社外への出向者を含み、他社から当社への出向者を除く

パートタイム労働者・有期労働者:エルダー社員(定年後再雇用者)、準社員(フルタイム)、

パートタイマー、アルバイト、嘱託契約社員(派遣社員は含まず)

4.賃金の差異の補足説明

・賃金制度をはじめ、人事制度において男女の差はありません。

・男女の賃金の差異は、年齢構成、管理職比率の差異等によるものです。

・パートタイム労働者・有期労働者においては、交替制勤務従事者に男性が多いことや定年後再雇用者に男性が多いことが賃金の差異に影響しております。

 

② 連結子会社

「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般

 社会・環境問題をはじめとするサステナビリティ課題について、当社グループは収益機会や成長性につながる重要な経営課題であると認識し、持続可能な社会の実現及び当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上をめざす「サステナビリティ経営」を推進しております。

 社会課題の解決を通じた新たな価値創造に取組むとともに、価値創造の源泉となる人的資本への取組は、多様性の確保や労働環境の整備を柱に対応を進めております。また、環境や人権課題などESGへの取り組みはサプライチェーンへの展開を含め、着実に実行します。

 

ガバナンス

 サステナビリティ経営の実現に向けた総合施策を推進すべく、取締役会の指示のもと、必要な事項を協議し、その内容を取締役会に報告・提言するサステナビリティ推進会議を設置しております。取締役会は、気候変動や人的資本への取り組みを含むサステナビリティ課題について年2回、サステナビリティ推進会議より取組方針や目標・計画案の内容、各施策の進捗状況などの報告を受けることとし、意思決定やマネジメントレビューを行っております。

 サステナビリティ推進会議は、代表取締役社長を議長とし、常務執行役員以上で構成され、必要に応じて社外有識者等を招聘します。本会議では、外部から受ける経営への影響を評価し、当社グループ全体のサステナビリティに関する重要な方針やマテリアリティ(重要課題)、総合的施策等についての協議を行っております。取締役会への定期的な報告・提言を通じて、サステナビリティの取り組みをグループ全体に反映しております(2023年度の開催実績は8回)。

 当社グループのサステナビリティ経営推進に関するガバナンス体制は、以下のとおりであります。

 

 2023年度開催の取締役会におけるサステナビリティに関する主な議論は以下のとおりであります。

■マテリアリティの重点取り組みテーマ・KPI

■共同印刷グループの重大リスク

■人権尊重及びサプライチェーンマネジメントのガバナンス体制強化

■TCFD賛同表明、モニタリング

 

戦略及び指標・目標

 当社グループでは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上をめざし、社会課題に与える影響を考慮したうえで、中長期的な価値創造能力に重大な影響を与えるものをマテリアリティとして特定しております。2023年度は、マテリアリティの重点取り組みテーマ及びKPIを取締役会で決議しました。取り組み状況については取締役会で定期的にモニタリング・評価を行い、今後の取り組み強化につなげていきます。

 重点取り組みテーマ及びKPIの2023年度実績は以下のとおりであります。

 

◆価値創造領域

多様なライフスタイル ~情報コミュニケーションで、豊かさと幸せを実感できる暮らしをつくる

重点取り組みテーマ

KPI

2023年度実績

誰もがやりがいをもって働ける環境の提供

スマートな働き方支援ソリューションの提供数

(2030年度までに300社以上)

サービス開発及びテストマーケティングの実施、営業体制の整備

誰もが自らが望む形で生涯学び続けられる機会の提供

生涯学習向けソリューションの提供数

(2030年度までに250社以上)

外部提携によるノウハウ獲得及び市場調査の実施

多様なライフスタイルに合わせたさまざまな体験価値の創出

体験価値創出ソリューションのコンテンツ数

(2030年度までに400本以上)

コンテンツ事業拡充に向けた企画体制の整備

スマート社会 ~情報セキュリティで、誰もが安心・便利な社会をつくる

重点取り組みテーマ

KPI

2023年度実績

いつでもどこでも簡単に手続きや決済が可能な環境の提供

次世代金融ソリューションのサービスラインアップ数

(2030年度までに5本以上)

2本

いつでもどこでも簡単に行政手続きが可能な環境の提供

スマート自治体向けソリューションの提供数

(2030年度までに導入自治体数20以上)

3団体

すべての人が健康に暮らせる社会への貢献

ヘルスケアソリューションのサービスラインアップ数

(2030年度までに10本以上)

3本

循環型社会 ~革新的なパッケージとサービスで、サステナブルな未来をつくる

重点取り組みテーマ

KPI

2023年度実績

環境配慮製品の提供

環境に配慮した包材・容器の売上高比率

(2030年度までに100%)

38.7%

資源循環システムへの貢献

プラスチック資源循環システムの構築

(2030年度までにPIR※確立とリサイクル材の本格的利用開始)

使用済みプラスチックの再資源化事業への参画

フードロスの削減に貢献

食品向け包材・容器におけるフードロスソリューションパッケージの売上高比率

(2030年度までに20%以上)

9.9%

※PIR(ポストインダストリアルリサイクル):市場に出る前の製品製造工程で発生した廃棄物をリサイクル・再利用すること

 

◆経営基盤領域

地球環境との共生

重点取り組みテーマ

KPI

2023年度実績

気候変動の緩和と適応

GHG排出量削減率

(2030年度までに2022年度を基準とし42%以上)

14.7%

生物多様性の保全

FSC認証紙の調達率<重量ベース>

(2030年度までに30%以上)

22.1%

原材料木材の合法性が確認された用紙の調達率

<購入金額ベース>(2030年度までに100%)

76.2%

価値創造人材の活躍

重点取り組みテーマ

KPI

2023年度実績

・多様な価値観の活用

・価値創造人材の確保と強化

・能力を最大限発揮できる環境の整備

女性管理職比率

(2025年度までに10%以上)

9.0%

デジタル人材※比率

(2030年度までにデジタルを活かせる人材15%以上、デジタルを作れる人材15%以上)

教育コンテンツの展開及びスキルマップの策定、達成状況把握の仕組み作りを推進

男性の育児休業取得率

(2030年度までに80%以上)

94.6%

年次有給休暇平均取得率

(2030年度までに70%以上)

68.5%

責任ある企業行動

重点取り組みテーマ

KPI

2023年度実績

企業倫理と公正な事業慣行

コンプライアンス教育の受講率(毎年100%)

100%

人権の尊重

人権教育の受講率(毎年100%)

100%

人権デュー・デリジェンス(人権DD)の推進

(2024年度までにDD体制の構築、以降人権DDを継続実施)

・推進体制として「人権尊重分科会」を新設

・人権項目を拡大した「グループサステナブル調達基準」を策定

情報セキュリティとプライバシー

情報セキュリティ教育の受講率(毎年100%)

100%

サイバーセキュリティ訓練の実施(1回/年)

1回実施

統合的なリスクマネジメント

サステナブル調達アセスメントのサプライヤーカバー率<取引金額ベース>

(2030年度までに90%以上)

54.3%

リスクマネジメント活動の高度化

(2030年度までにグループ重大リスク対応の有効性向上及びリスクマネジメント領域の拡大/全従業員のリスク感度向上)

・全社リスクマネジメント(ERM)体制を再構築

・経営層の討議等を踏まえ9つの重大リスクを選定し、対応策を策定・開示

(注)経営基盤領域の各KPIの対象範囲は、共同印刷株式会社及び国内の連結子会社としております。ただし、「GHG排出量削減率」、「人権デュー・デリジェンスの推進」、「サステナブル調達アセスメントのサプライヤーカバー率」、「リスクマネジメント活動の高度化」については、海外の連結子会社を含みます。なお、「FSC認証紙の調達率」、「原材料木材の合法性が確認された用紙の調達率」、「女性管理職比率」については、グループ全体の取組について整備を進めているところであり、本報告では共同印刷株式会社単体としております。

※当グループのデジタル人材の定義

・デジタルを活かせる人材:ビジネスモデルやビジネスプロセスの変革をリードする人材

・デジタルを作れる人材 :市民開発者や部門アナリスト(各部門)、システム開発者やデータサイエンティスト(IT系部門)など

 

リスク管理

 当社グループにおけるリスクの識別・評価は、外部から受ける経営への影響や、通常の業務を通じて特定した影響をもとにリスク及び機会の検討をおこないます。サステナビリティ推進会議では、識別されたリスクについて影響度を評価し、重要度に応じて対応策を検討・協議のうえ、取締役会に報告します。

 2023年度は、サステナビリティに係るグループに重大な影響を及ぼすリスク及び機会への対応に向け、マテリアリティの重点取り組みテーマ及びKPIを設定しました。取り組み状況については、取締役会で定期的にモニタリング・評価を行い、今後の取り組み強化につなげていきます。

 

(2)気候変動への対応

 当社グループは「地球環境との共生」をマテリアリティの一つとして特定し、気候変動が及ぼす影響を重要な経営課題と捉え、脱炭素社会の実現に向けて2050年カーボンニュートラルを掲げております。2023年5月にはTCFD提言への賛同を表明し、TCFD提言に基づき気候変動が当社グループにもたらす影響を分析したうえで情報開示しております。

 

ガバナンス

 気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ全般に関するガバナンスに組み込まれております。詳細については、「(1)サステナビリティ全般_ガバナンス」を参照ください。

 

戦略

 当社グループでは、TCFD提言に基づく気候変動のシナリオ分析を、事業部門を対象に2つのシナリオ(1.5℃/2℃及び4℃)を用いて実施しました。今後想定されるリスクと機会を幅広く洗い出したうえで、経営層や各セグメントを中心とした協議・検討を経て、最終的に当社グループの事業にとって影響を及ぼす可能性が高い事象とその影響度合いの評価と、その評価に基づく対応策の検討・策定を行いました。

 

◆対象シナリオ

シナリオ

想定事象

主な参照シナリオ

1.5℃/2℃

シナリオ

・日本を含む世界各国でカーボンプライシングの導入が進み、世界的に炭素税が上昇する

・消費者の嗜好の変化により、低炭素・脱炭素の製品・サービスへの需要が拡大する

・ステークホルダーからの脱炭素化要求が高まり、対応できない企業が淘汰される

・サプライチェーン全体における脱炭素化の加速により、操業及び製造コストが増加する

IEAWorldEnergyOutlook2021 (SDS,NZE2050)

IEAWorldEnergyOutlook2018 (SDS)

IPCC (SSP1-1.9,SSP1-2.6)

4℃シナリオ

・日本を含む世界各国でカーボンプライシングの導入が進まない

・気温上昇に伴い、衛生ニーズなどの新たな消費者ニーズが創出される

・自然災害が激甚化し、生産拠点の被災による操業停止などのリスクが高まる

IEAWorldEnergyOutlook2021 (STEPS)

IEAWorldEnergyOutlook2018 (NPS)

IPCC (SSP5-8.5)

 

 シナリオ分析の結果、1.5℃/2℃シナリオでは炭素税の導入による操業コストや、エネルギー価格の変動による原材料コストへの影響が大きいことが確認できており、こちらに関しては温室効果ガス(GHG)排出量削減及び事業活動の効率化を進めます。一方で、環境配慮型製品・サービスの販売拡大など、環境負荷低減に貢献する新たな顧客需要を捉えることにより、事業成長につなげることが可能であることも確認しております。

 また、4℃シナリオでは自然災害の激甚化に伴う物理リスクが事業継続の阻害要因となりますが、今回の分析の結果では、各生産拠点におけるリスクが比較的大きくないことが確認できました。今後もリスク分析の精緻化及び災害などへの事前対応を実施し、影響を最小化していきます。

 2024年度以降も定期的かつ継続的にシナリオ分析を実施することでその精度を高め、想定されるリスクに柔軟に対応しながら、不確実な将来におけるいずれのシナリオにも耐えうるレジリエントな経営体制を構築していきます。機会については、気候変動の状況や市場動向、顧客との対話を重視しながら、持続的な企業価値向上につながるよう、柔軟に戦略を検討・展開していきます。

 

◆リスクと対応策

種別

ドライバー

概要

期間

1.5℃

シナリオ

影響度

4℃

シナリオ

影響度

対応策

物理リスク

サイクロン、洪水などの異常気象の激甚化

洪水・浸水による生産拠点操業に影響するリスクの増加

中長期

・BCPの高度化によるリスクマネジメントの推進や重要拠点における災害対策の実施

・サプライヤーとの関係強化による生産協力体制の構築

・在庫管理や分散調達、代替品の検討・準備による製造の安定化

降雨パターンの変化、気象パターンの極端な変動性

降水・気象パターン変化による災害対策コストの増加

中長期

移行リスク

GHG排出の価格付け進行

(カーボンプライシング)

炭素税や排出権取引制度の導入によるコストの増加

短期

・GHG削減・省エネ機器導入による炭素税回避とエネルギーコストの削減

・物流子会社及びサプライヤーと協働し輸送効率化の実施検討

・ICP導入の検討及び各種クレジット動向調査

GHG排出量の報告義務の強化

省エネ政策の強化による設備投資の増加

短期

・省エネ関連設備投資の早期計画化を実施(乾燥装置・照明のLED化、空調機の更新など)

既存製品/サービスに対する義務化/規制化

環境低負荷プラスチックへの切替によるコストの増加

短期

・プラスチック使用量の削減、リサイクル、廃棄削減などムダのない設計を推進

・コスト抑制が可能な代替素材を調査・検討、サプライヤーとの連携による低コストな新素材の開発

既存製品/サービスの低炭素オプションへの置換

低炭素化への対応遅延による市場の喪失と収益の減少

短期

・低炭素化製品の開発による既存製品の置き換え加速化

・顧客との対話などを通じた低炭素化が必要な製品群や時期の見極めによる効率的な開発推進

原材料コストの高騰

サプライチェーン全体における脱炭素化の加速

短期

・太陽光発電設備の新設・増設などによるエネルギーコストの低減

・サプライチェーンでの連携強化による製造コストの適切な価格転嫁

顧客行動の変化

CO2排出を伴う既存ペーパーメディアの減少

短期

・顧客行動の変化に合わせたデジタルメディア拡充及び、顧客のDX化支援の推進

・印刷物を製造するビジネスから、BPOやコンテンツそのものを提供価値とするサービスへの転換

 

 

種別

ドライバー

概要

期間

1.5℃

シナリオ

影響度

4℃

シナリオ

影響度

対応策

 

ステークホルダーの不安増大、又はマイナスのフィードバック

投資対象からの除外、株価下落、資金調達の困難化

中長期

・ステークホルダーとのコミュニケーション強化と適時適切な情報開示の推進

・SBT※1認定取得の検討

機会

効率的な生産及び流通プロセスの使用

エネルギー使用量削減及び製造コストの削減

短期

・より低炭素で製造できる印刷機など、低炭素の生産機器導入及び生産工程効率化の推進

・製造ラインの見直しや自動化設備の導入による稼働率向上・効率的な生産体制の構築

低排出商品及びサービスの開発・拡大

環境要件への適合や製品ライフサイクルにおけるCO2排出量算定による市場優位性の確保

短期

・製品LCA※2の見える化を進め、低炭素製品の開発活用

・出版商業印刷物のCFP算定における1次データ比率を高めた取り組みの推進

消費者によるサステナブル志向な購買行動の拡大

短期

・環境負荷低減した原材料の情報収集及び、環境配慮製品の開発推進

消費者の嗜好の変化

デジタルメディア需要の拡大

短期

・自社コンテンツの拡大による配信事業全体の成長とIP事業化の検討

新しい市場へのアクセス

気温上昇による消費者ニーズの変化

短期

・食材の鮮度保持につながる形状や酸素吸着などの機能を持ったフィルム、ボトルの開発

・感染予防などのニーズに応える衛生材料の研究開発

低炭素型ビジネスモデル開発の推進

短期

・低炭素を志向する生活様式に適応したサービス開発及び事業化の検討

期間  短期:2023~2030年頃まで 中期:2030~2050年頃まで

影響度 リスク:基準=営業利益に対する影響額 5億円超(大)/ 2億円超(中)/ 2億円未満(小)

 機会:基準=売上高に対する影響額   10億円超(大)/ 3億円超(中)/ 3億円未満(小)

※1 SBT:「Science Based Targets」の略、「科学的根拠に基づく目標」の意味。

SBT認定とは、パリ協定と整合性のある温室効果ガス排出削減目標を立てていることを示す国際認証です。

※2 LCA:資源採取から廃棄、リサイクルまでのライフサイクルを通じた環境影響評価手法。

 

リスク管理

 気候変動に関するリスク管理は、サステナビリティ全般に関するリスク管理に組み込まれております。詳細については、「(1)サステナビリティ全般_リスク管理」を参照ください。

 

指標・目標

 当社グループでは、2023年4月にカーボンニュートラル宣言を掲げました。

 2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、事業活動に伴うGHG排出量(Scope1+2)について、2030年に2022年度を基準とし42%削減する目標を掲げております。

 Scope3においては、Scope1+2と同様にSBTに準拠した目標設定を検討しており、2023年6月に認定取得に向けたコミットメントレターを提出しております。

 

◆GHG排出量削減ロードマップ

GHG排出量(Scope1+2)[t-CO2

 

◆GHG排出量実績(海外含むグループ全体)

GHG排出量

(単位:t-CO2

2022年度(基準年)

排出量

2023年度

排出量

基準年比

削減率

Scope1+2+3

490,539

449,196

8.4%

 

Scope1+2

45,876

39,155

14.7%

 

Scope3

444,663

410,041

7.8%

 

 

Scope3_カテゴリー1

(購入した製品・サービス)

291,213

273,123

6.2%

 

 

Scope3_カテゴリー4

(輸送、配送 上流)

27,870

25,568

8.3%

 

 

Scope3_カテゴリー9

(輸送、配送 上流)

12,286

9,234

24.8%

 

 

Scope3_カテゴリー12

(販売した製品の廃棄)

86,408

79,249

8.3%

 

 

Scope3_その他

26,886

22,867

14.9%

 

◆施策の実行状況

 2023年度におけるScope1+2のGHG排出量は、基準年度2022年度比14.7%削減を達成しております。これについては、2022年度末に導入した和歌山工場の太陽光パネルの全面稼働、オフセット印刷時の乾燥廃熱再利用及び空調設備・生産支援設備の過剰運用見直しなどによるものです。

 また、Scope3のGHG排出量は、基準年度2022年度比7.8%削減を達成しております。これについては、輸配送の効率化や分別活動の徹底による有価物化の推進などによるものです。

 今後は、製造ラインの見直しや自動化設備の導入による稼働率の向上、効率的な生産体制の構築などさらなるGHG排出量削減に努めるとともに、低炭素製品・サービスの開発・拡大による価値創出を進めていきます。

 

(3)人的資本への対応

 当社グループでは、「人材」を企業の競争優位性を高め持続的な成長を実現するための重要な経営資産と位置づけております。すべての従業員が、自らの能力を発揮し、価値を創造する「価値創造人材」として活躍できるよう、人材への投資を積極的に行っております。

 

ガバナンス

 人的資本に関するガバナンスは、サステナビリティ全般に関するガバナンスに組み込まれております。

 詳細については、「(1)サステナビリティ全般_ガバナンス」を参照ください。

 

戦略

 当社グループでは、「価値創造人材の活躍」をマテリアリティとして特定し、めざすべきビジネスモデルや経営戦略に沿った多様な価値観を持つ人材の確保と活用、価値創造に向けた能力強化に取り組むとともに、個が持つ能力を最大限に発揮できる職場環境を整備していきます。

 

◆人材育成及び社内環境整備方針

共同印刷グループは、TOMOWELの理念である「関わるすべてと共に良い関係であり、未来を創り拡げていく」を実現すべく、多様な人材が活躍できる環境の整備を行っていきます。

持続的な企業価値向上に向け、従業員一人ひとりがその能力や個性を生かし、自律的に成長するよう育成に取り組みます。

 

◆重点取り組みテーマ① 多様な価値観を持つ人材の確保と活用

 当社グループが、将来にわたる社会や事業環境の変化に対応し、新たな価値を社会に提供し続ける企業であるためには、多様な価値観を持つ人材が、それぞれの視点や経験、能力を企業の成長に活かしていくことが重要です。当社グループでは、新たな価値創造と事業変革を牽引する多様な人材の確保と活用、定着に向けた施策を推進しております。

 

a.多様な人材の確保と活用

 人材の確保に向けて、新卒採用だけでなく、自社にはない能力や経験を持つ経験者採用や再雇用制度等を通じた人材獲得チャネルの多角化に取り組んでおります。人材の活用に向けては、2023年度に昇格制度を改定し、年齢を問わず、潜在能力と意欲、変革力を持つ人材の早期登用を進めております。また、これにより、従業員のモチベーションを向上させ、離職防止にもつなげております。

 

b.女性活躍

 事業変革の実現には、多様な価値観を持つ人材が企業の意思決定に関わることが重要です。特に、管理職をはじめとする中核人材への女性登用については目標値を設定のもと、キャリア形成を支援する施策の導入や研修プログラムの刷新などの取り組みを推進しております。その取り組みは、2023年度に、「えるぼし認定※」の最高位である3つ星を取得するなど、外部評価を獲得しております。

※女性活躍推進法に基づき女性の活躍推進に関する取組の実施状況を評価する認定

 

◇女性管理職比率の推移(共同印刷単体)

 

◆重点取り組みテーマ② 価値創造に向けた能力開発

 当社グループを取り巻く環境は、社会全体のデジタル化や生活者の価値観の変容など大きく変化しております。当社グループでは、こうした変化にしなやかに対応し、新たな価値を創造する人材を企業の持続的な成長を支える重要な経営資産として捉え、能力やスキルの開発と育成を推進しております。

 

a.DX人材の育成

 当社グループでは、デジタルを活用して自社の「変革」を促進することで競争力を強化し、企業の成長性を高めることを目的として「共同印刷グループ DX戦略」を策定のもと、「ビジネスプロセス変革」による事業基盤強化と「ビジネスモデル変革」による新規事業領域の探索を推進しております。推進に必要不可欠なのが、デジタルリテラシーを持つ人材です。各種DX推進スキルの教育により、グループ全体のデジタルリテラシー向上を図るとともに、変革を自分ごととして捉え、それまでの慣例や風土から脱却して新たな価値を創造するためのマインドセットに力を入れております。

 

◇共同印刷グループのDX戦略の概要

 

 

b.能力開発基盤の強化

 当社グループでは、従業員本人と組織のパフォーマンスの最大化に向けた人材マネジメントを推進しております。2023年度には、推進基盤を強化するためキャリア開発プログラムの刷新を行い、従業員の自律的なキャリア形成を支援しております。また、事業環境の急速な変化に対応するには、リスキル・専門性の強化が必要不可欠との認識のもと、推奨資格取得の補助を拡大しております。

(補助対象を2022年度比2.3倍(156件)に拡大)

 

◇キャリア開発プログラム(共同印刷単体)

プログラム名称

対象

実施頻度

内容

2023年度実績

キャリアデザイン

(自己申告制度)

全従業員

年1回

「ありたい姿」「出来ること」「求められること」を整理し、キャリア形成に関して自らの意志を上長・組織に表明する制度

実施率99%

キャリアチャレンジ

(社内公募制度)

希望者

※現職務経験2年以上

年2回

新たな取り組み(プロジェクトや新規事業など)や専門性の高い職務等について、社内から人材を募集する制度

募集職場11件

応募者11名

キャリアデザイン

セミナー

対象社員

年7回

28歳、44歳、57歳を対象に、自身のキャリアについて改めて振り返り、今後のキャリアプランを考える機会を提供する施策

受講者161名

キャリア面談

対象社員

通年

人事担当者と対話を通して、面談者自身のキャリア解像度を高め、社員の自律的なキャリア形成の支援を行う施策

面談者393名

 

◆重点取り組みテーマ③ 能力を最大限に発揮できる職場環境

 企業の生産性と競争力を向上させるには、従業員が働きがいを持てる職場環境を構築し、従業員エンゲージメントを高めることが重要です。当社グループでは、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方の促進やワークライフバランス、健康と安全といった、職場環境の整備に向けた取り組みを推進しております。

 

a.生産性の高い職場環境づくり

 長時間労働の是正や年次有給休暇の取得促進、健康経営の推進によって、従業員のエンゲージメント向上と組織の活性化につなげております。特に、年次有給休暇については、グループ全従業員が年10日以上取得することを目標に掲げ、進捗を管理しながら取得促進に取り組んでおります。また、テレワークの導入をはじめとするハイブリッドワークの推進を通じて柔軟な働き方を促進し、働きやすく生産性の高い職場環境の整備に努めております。

 

b.仕事と家庭の両立支援

 従業員の仕事と家庭の両立を支援することで、優秀な人材の確保と定着、生産性向上を図るだけでなく、従業員自身が多様な価値観を獲得する機会と認識のもと、個の創造性向上につなげております。2023年度からは、次世代の育成支援に重点を置き、特に、男性の育児休業取得については目標値を設定し、グループ全体で推進しております。具体的な取り組みとして、従業員が望む両立が実現できるよう、マネジメント層への研修の実施や配偶者が出産予定の男性社員と人事部の面談を進めております。また、新たに導入した「ライフサポート休業制度」では、不妊治療や子の不登校時にも休業を認めるなど独自の両立支援を行い、離職防止と、従業員エンゲージメントの向上を図っております。

 

リスク管理

 人的資本に関するリスク管理は、サステナビリティ全般に関するリスク管理に組み込まれております。詳細については、「(1)サステナビリティ全般_リスク管理」を参照ください。

 

指標・目標

 人的資本に関する指標・目標は、マテリアリティの重点取り組みテーマ及びKPIに組み込まれております。詳細については、「(1)サステナビリティ全般_戦略及び指標・目標」を参照ください。