2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると判断している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 また、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。

 なお、文中の将来に関する事項の記載については、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであり、当社の事業に関連するすべてのリスクを全て網羅するものではありません。

 当社は、リスク・コンプライアンス委員会を定期的に開催して、企業活動に関して抽出されたリスクとその対応策を策定するとともに、法規制等の定期的なモニタリングを実施して、その検証・評価を行っております。また、事業継続計画を定め、初動対応、安全確保と事業の早期復旧・継続のための体制の構築・整備に尽力いたしております。

 なお、当事業年度の財政状態・経営成績に影響を及ぼしたと考えられる事項については、検証・評価を行い、具体的取り組みについて検討しております。

 

1.国内景気及び個人消費の動向について

 当社が営むホームファニシング事業は、家具・インテリア業界を主たる販売先としており、同事業による売上高は、国内景気や個人消費の動向の影響を受けやすい傾向にあります。企業活動の停滞、雇用情勢の悪化、個人消費の低迷等により、市場の需要が減少した場合には、売上高の減少、販売価格の下落等による利益の減少等の可能性があります。

 そこで当社では、マルチブランド戦略により多様な消費者のニーズを捉えた付加価値の高い製品・サービスを提供してまいります。さらに、海外市場の展開に向けた調査・検討を行っております。

 

2.競争激化について

 当社は、家具販売店を主要顧客として事業を展開しております。家具・インテリア業界では販売ルートが多様化しており、競争激化により市場環境は一層厳しさを増しております。

 そこで当社では、自社製造にこだわった製品を供給することによって質的な差別化を図るとともに、家具販売店内におけるインショップ(Serta Sleep Site)による発信や、ショップ・ショールームの新たな出店、ECモールへの顧客訴求商品の展開等、販売チャネルの強化を図っております。

 

3.ホテル業界の動向について

 当社では、ホテル向けの売上高を「商業施設向け」に分類しており、ホテルの新規及びリニューアル案件の獲得に注力しております。

 ホテル業界は旅行需要や訪日外国人の動向に左右されることから、当社のホテル向け新規及びリニューアル案件の受注獲得に対して、注文の中止や先送りなどの影響を与える可能性があります。そのため、設計・デザイン事務所等を介した商業施設向け需要開拓、周辺家具等への商材拡大と営業・提案力強化により、リスク分散を図っております。

 

4.他社とのライセンス契約について

 当社は、自社ブランド製品だけではなく「Serta(サータ)」、「ligne roset(リーン・ロゼ)」及び「ruf(ルフ)」等の海外ブランドとのライセンス契約を締結し、自社製造を行っております。ライセンス契約において製造、販売が可能となる製品や地域の他、契約期間、契約を自動更新するための最低販売金額、ロイヤリティ金額及び広告費用の最低支出金額等が規定されております。契約内容は「第一部 企業情報 第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載のとおりであります。また、当該ロイヤリティの金額は、「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 ②損益計算書 製造原価明細書」に記載の「技術使用料」に含まれております。

 海外提携ブランド各社とは、長年に亘り良好な信頼関係の構築に努めており、有価証券報告書提出日現在において契約継続に支障をきたす要因は発生しておりませんが、今後、何らかの事情によりライセンス契約を解消することになった場合、または、ロイヤリティ料率等の契約条件が大幅に変更されることとなった場合は、当社の業績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。

 

5.製品品質について

 当社は、お客様の満足と信頼を得るために、デザイン開発、製造、販売を一貫して行っており、製品の品質管理には万全の態勢を整えておりますが、万一製品に欠陥が生じた場合には、リコールの実施を含む製品の安全確保のためのコスト、ブランド価値の毀損を招くことになります。

 そこで当社では、製造部門において品質マネジメントシステムの国際規格である「ISO9001」が継続的に適合して、有効に機能していることを維持するため、管理体制を強化して定期的にチェックするとともに、開発部門においても商品開発時に社内基準に基づく試験等を実施し、製品の品質向上に努めております。

 

6.知的財産権について

 当社は、当社が取り扱う製品及び広告宣伝物について、第三者の特許権・商標権その他の知的財産権に抵触するような事態を招き、法廷の内外で相応の損害賠償金等を請求される可能性があります。

 そこで当社では、担当部門において知的財産権に抵触しないように月次チェックを実施するともに、知的財産権に係る専門知識習得のための社員教育等を行うことにより第三者の知的財産権の侵害を未然に防止してまいります。

 

7.原材料等の調達について

 当社は、原材料及び商品の一部を国内だけでなく、海外からも調達しております。特殊な資材等の調達については、少数特定の仕入先からのみ入手可能のものや、仕入先や供給品の代替が困難なものがあります。市場において、競争優位性を作り出すために、ライセンス元におけるオリジナルの原材料や素材メーカーとの共同開発にて実現した当社のオリジナルの原材料を仕入れております。気候変動や国際的な需要拡大、地政学リスク等による需給動向の変化に伴い、調達競争が激化し、購入価格の高騰や資材の供給の遅延、中断が生じた場合、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 そこで当社では、各担当部門において仕入価格表の管理、複数社購買による適正価格維持、新規調達先検討・開拓、資材価格の変動状況把握などにより、原材料の安定的な調達に努めております。

 

8.為替リスクについて

 当社は、海外から原材料、商品の一部を仕入れております。為替リスクにつきましては、必要に応じて為替予約などを通じたリスクヘッジを検討してまいりますが、これらのリスク回避策を超える急激な為替相場の変動が生じた場合には、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

9.運賃、光熱費、加工費の高騰について

 当社の製品・商品はベッドに代表されるように大きさと重量の素材的特性から運賃が営業コストの相当部分を占めており、運送会社における人材不足等からの運賃の値上げ等が予想されます。当社は、物流の2024年問題への対応にあたり、運送各社と良好な関係を築くとともに、積載効率向上によるトラックドライバーの負担軽減に取り組み、輸送能力の確保に努めております。

 また、当社は工場をはじめとして各拠点において電気やガスを利用しており、光熱費の高騰等が予想されるため、工場や本社において節電対策の実施や社員に対する節電意識の醸成などによりエネルギー省力化への取り組み等コスト削減に注力しております。

 さらに、当社は当社製品の一部を外部の協力工場に生産を委託しており、協力工場における人材不足等からの加工費の値上げ等が予想されることから、協力工場の人材育成に注力するとともに、協力工場との情報交換や対応策の協議を継続的に実施しています。

 

10.法的規制等について

 当社は、事業活動を行う上で、家庭用品品質表示法、景品表示法、電気用品安全法、消費生活用製品安全法、容器包装リサイクル法、下請法、個人情報保護法等の様々な法規制の適用を受けており、法令遵守を重視した事業活動を行っておりますが、取引先企業等を相手方とする各種クレームの発生、訴訟、係争、またこれらに起因する損害賠償請求の当事者となる可能性があります。これらの法的手続に関連して多額の費用を支出し、また、事業活動に支障をきたす恐れがあり、万が一、当社に不利な司法判断等がなされた場合には、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 そこで当社では、内部統制システムの基本方針及びリスク管理規程を制定し、取締役会、監査役会、リスク・コンプライアンス委員会を中心として、コンプライアンス体制の強化・推進と各種クレームの発生、訴訟、係争等の発生可能性の低減に取り組んでおります。また各種契約の締結においては法務部門による確認を行っているほか、弁護士等と顧問契約を締結し、必要に応じて迅速に相談できる体制を整備しております。

11. 自然災害・事故・感染症の発生等について

 自然災害、火災、電力その他の社会的インフラの障害、通信・放送の障害、流通の混乱、大規模な事故、感染症流行、戦争、テロ、政情不安、社会不安等が発生した場合、事業継続に支障をきたす事象が発生して、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 そこで当社では、自然災害、火災、感染症の流行等によって通常の業務運営が困難となった場合に備え、事業継続計画を策定して、関連マニュアルの整備、役職員の安否確認連絡体制の構築、定期的な訓練の実施等により、役職員の人命・安全確保と事業の早期復旧及び継続を図るための体制構築・整備に尽力しております。

 また、緊急事態の発生時には、必要に応じて事業継続計画(BCP)運用体制の見直しを行い、実効性の確保・維持・向上を図っております。

 

12.人材の確保及び育成について

 当社では、今後の事業の成長・拡大のため、優秀な人材の確保と育成が不可欠であります。しかしながら、少子高齢化により今後若年層の人材確保がさらに困難になることが予測され、さらに人件費の上昇や人材の社外流出により、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社は、中期経営計画「Dreambed2025 Change & Challenge Plan」において、「ES・エンゲージメント向上・サステナビリティ経営の実現」として「働き方改革、処遇改善及び健康経営推進」を掲げており、当該戦略の実現により、企業価値を高めることで優秀な人材の定着を確保して、また研修制度の充実により人材育成を強化してまいります。

 

13.情報システム・情報管理について

 当社は個人情報を含め多くの情報を有しており、各種の情報システムを利用して業務を遂行しているため、システムの機能停止や機能障害等のインシデントが発生した場合は、効率的な業務を妨げる可能性があります。また、情報漏洩が発生するような場合には、当社の信用を毀損する可能性があります。

 また、当社は、お客様や取引先の個人情報あるいは機密情報を入手することがあります。これらの情報管理につきましては、サイバー攻撃等による不正アクセスや改ざん、データの破壊、紛失、漏洩等が不測の事情により発生する可能性があります。また、技術、契約、人事等に関する当社の機密情報が第三者に漏えい、不正使用された場合も、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 そこで当社では、情報管理について、情報セキュリティ管理規程及び情報セキュリティポリシーに則り、ウイルス感染やサイバー攻撃等による対策を強化して、適切な技術対策や社内管理体制の整備、社員の情報リテラシーを高めるための教育等の対策を講じてセキュリティの強化に努めております 。

 

14.財務制限条項の付された借入契約について

 当社は縫製完成棟(2024年1月稼働)を建設のため、2022年12月27日付にて(株)広島銀行をエージェントとするタームローン型シンジケートローンを締結しており、当該契約には一定の財務制限条項が付されております。なお、2019年3月28日付で締結しておりました、(株)広島銀行をエージェントとするタームローン型シンジケートローンは2024年3月31日をもって契約期間が満了しております。

 当事業年度末日現在においては財務制限条項に抵触しておりませんが、予測できない業績の変動によっては、財務制限条項に抵触することにより期限の利益を喪失し、期限前に返済が必要となり、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。なお、長期借入金の金利変動リスクにつきましては金利スワップ等の施策を実施しております。

 財務制限条項の詳細は、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載のとおりであります。

 

15.固定資産について

 当社は、工場、営業所等に係る固定資産を自社所有しており、「第一部 企業情報 第3 設備の状況 1設備投資等の概要」に記載のとおり八千代第一工場の建て直しが2023年12月に完了するなど固定資産が増加しております。今後の収益悪化や地価の下落にともなう減損損失の発生、また競合他社の環境適応型商品への対応や、同適応型商品のための設備義務化等により、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

16.社会的信用について

 当社は、製品のデザイン、生産、販売の一貫体制を敷くことによって、消費者ニーズに適合する製品の開発に注力し、こうした事業展開を行うことを通して、当社のブランドイメージをより一層高め、社会的信用の獲得に努めておりますが、前項までに記載した主要なリスクが顕在化した場合には、ブランドイメージが毀損したり、風評に晒されること等によって、当社に対する社会的信用が失われ、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社は、上記のリスクが顕在化して当社の財政状態や経営成績に重要な影響が及んだ場合には、その発生プロセスを明らかにして、経済的被害につながらないよう、適時・適切な情報開示に努めます。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、利益配分につきましては、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としております。

 内部留保資金につきましては、長期展望に立った新規商品の開発活動及び経営体質の強化・効率化等さらなる経営革新のために、効果的な投資を行ってまいりたいと考えております。

 当社は、今後生産性の向上や新事業の展開に向けた投資を行うことにより、収益の向上と安定性を高め、経営基盤の強化を図っていく必要があると考えており、当社第67期の期末配当金につきましては、上記の基本方針、当期の業績及び今後の事業展開等を勘案し、普通株式1株当たり16円とさせていただきたいと存じます。

 これにより、中間配当金と合わせた年間配当金は、1株につき32円となります。

 

 当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

2023年11月9日

取締役会決議

65,787

16

2024年6月27日

定時株主総会決議

65,686

16