事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
-
セグメント別売上構成
-
セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
-
セグメント別利益率
最新年度
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
内視鏡 | 586,617 | 63.5 | 104,684 | 108.8 | 17.8 |
治療機器 | 337,331 | 36.5 | -8,466 | -8.8 | -2.5 |
事業内容
3【事業の内容】
当社グループは、オリンパス株式会社(当社)、子会社89社および関連会社3社で構成されており、内視鏡、治療機器およびその他製品の製造販売を主な事業とし、さらに各事業に関連する持株会社および金融投資等の事業活動を展開しています。
次の「内視鏡事業」「治療機器事業」及び「その他事業」の3事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.事業セグメント」に掲げるセグメントの区分と同一です。
区分 |
主要製品及び事業の内容 |
主要な会社名 |
内視鏡 |
消化器内視鏡、外科内視鏡、 |
当社 (連結子会社) オリンパスメディカルシステムズ㈱、 オリンパスマーケティング㈱、 Olympus Deutschland GmbH KeyMed (Medical & Industrial Equipment) Ltd. Olympus (Beijing) Sales & Service Co.,Ltd.、 (関連会社) ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ㈱ |
治療機器 |
消化器科処置具、泌尿器科製品、 エネルギー・デバイス、 耳鼻咽喉科製品、婦人科製品 |
当社 (連結子会社) オリンパスメディカルシステムズ㈱、 オリンパスマーケティング㈱、 Olympus America Inc.、Olympus Europa SE & Co. KG、 Olympus Deutschland GmbH Gyrus ACMI, Inc.、Olympus Winter & Ibe GmbH、 Olympus Vietnam Co.,Ltd. |
その他 |
生体材料、整形外科用器具 他 |
当社 (連結子会社) オリンパステルモバイオマテリアル㈱ FH ORTHO SAS |
共通 |
持株会社、金融投資 |
当社 (連結子会社) Olympus Corporation of the Americas、 Olympus Europa Holding SE、Olympus Europa SE & Co. KG、 Olympus (China) Co.,Ltd.、 Olympus Corporation of Asia Pacific Limited.、 |
以上に述べた事項を事業系統図によって示すと、当社グループの2024年3月31日現在の状況は次のとおりです。
業績
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)業績等の概要
① 業績
前第2四半期連結会計期間において、当社は、Bain Capital Private Equity, LP(そのグループを含み、以下「ベインキャピタル」)が投資助言を行う投資ファンドが間接的に株式を保有する特別目的会社である株式会社BCJ-66との間で科学事業の譲渡に関する株式譲渡契約を締結しました。これに伴い、前第2四半期連結会計期間より、科学事業に関わる損益を非継続事業に分類しています。なお、売上高、営業利益、調整後営業利益、税引前利益、継続事業からの当期利益については、非継続事業を除いた継続事業の金額を、親会社の所有者に帰属する当期利益については、継続事業及び非継続事業を合算した数値を表示しています。
また、当社グループは、従来「内視鏡事業」「治療機器事業」「科学事業」及び「その他事業」の4区分を報告セグメントとしておりましたが、前第2四半期連結会計期間より「内視鏡事業」「治療機器事業」及び「その他事業」の3区分に変更しています。
なお、上記の株式譲渡契約に基づき、当社から吸収分割により当社の科学事業を承継した当社の連結子会社である株式会社エビデント(以下、エビデント)の全株式については、2023年4月3日に譲渡を完了しました。
業績全般に関する動向
当連結会計年度における世界経済は、持ち直しの動きが継続しましたが、世界的な金融引き締めや中国経済の先行き懸念は、景気下振れのリスクとなっており、中東地域をめぐる情勢による影響も注視する必要があります。また、ウクライナにおける戦争や世界的なインフレもあり、原材料価格の上昇や、サプライチェーンの制約による影響が発生しました。わが国経済においても、景気は緩やかに持ち直している一方で、為替の変動や世界経済と同様に原材料価格の上昇、サプライチェーンの制約による影響、令和6年能登半島地震による影響が発生しました。
こうした環境下にあるものの、当社グループは、2023年5月に公表した経営戦略に沿って、「患者さんの安全と持続可能性」「成長のためのイノベーション」「生産性の向上」という3つの優先事項のもと、グローバル・メドテックカンパニーへの変革に向けて引き続き取り組んでいます。
業績の状況
以下(1)から(10)は継続事業の業績を、(11)は継続事業と非継続事業の合計の業績をそれぞれ示しています。
(単位:百万円)
|
2023年3月期 |
2024年3月期 |
増減額 |
増減率(%) |
(1)売上高 |
881,923 |
936,210 |
54,287 |
6.2% |
(2)売上原価 |
285,074 |
311,087 |
26,013 |
9.1% |
(3)販売費及び一般管理費 |
420,547 |
473,231 |
52,684 |
12.5% |
(4)持分法による投資損益/ |
10,307 |
△108,294 |
△118,601 |
- |
(5)営業利益 |
186,609 |
43,598 |
△143,011 |
△76.6% |
(6)調整後営業利益 |
176,793 |
151,534 |
△25,259 |
△14.3% |
(7)金融損益 |
△4,315 |
△7,744 |
△3,429 |
- |
(8)税引前利益 |
182,294 |
35,854 |
△146,440 |
△80.3% |
(9)法人所得税費用 |
44,304 |
8,881 |
△35,423 |
△80.0% |
(10)継続事業からの当期利益 |
137,990 |
26,973 |
△111,017 |
△80.5% |
(11)親会社の所有者に帰属する当期利益 |
143,432 |
242,566 |
99,134 |
69.1% |
為替レート(円/米ドル) |
135.47 |
144.62 |
9.15 |
- |
為替レート(円/ユーロ) |
140.97 |
156.80 |
15.83 |
- |
為替レート(円/人民元) |
19.75 |
20.14 |
0.39 |
- |
(1)売上高
前期比542億87百万円増収の9,362億10百万円となりました。内視鏡事業、治療機器事業、その他事業の全ての事業で増収となりました。詳細は次ページのセグメント別の動向に関する分析に記載しています。
(2)売上原価
前期比260億13百万円増加の3,110億87百万円となりました。売上原価率は、内視鏡事業で高速気腹装置の市場是正処置に係る費用約52億円や、小腸内視鏡システムの自主回収に伴う費用約42億円を引当計上したことにより、33.2%と前期比0.9ポイント悪化しました。
(3)販売費及び一般管理費
前期比526億84百万円増加の4,732億31百万円となりました。主な要因は、総合的な品質変革プログラム Elevateや、生産性向上などを目的とした事業運営基盤の整備・強化などの持続的成長に向けた費用です。
(4)持分法による投資損益/その他の収益/その他の費用
持分法による投資損益、その他の収益およびその他の費用の合算で1,082億94百万円の費用となり、前期比で損益は、1,186億1百万円悪化しました。その他の収益に関して、前期は固定資産売却益として約164億円、Medi-Tate Ltd.の買収対価の一部である条件付対価の公正価値が変動したことによる買収対価の修正により約14億円を計上した一方で、当期は「その他事業」に含まれていたコラーゲン事業等の譲渡益約11億円を計上した結果、前期比で190億40百万円減少しました。その他の費用に関しては、前期に「Transform Olympus」を推進するための関連費用約24億円を計上した一方で当期においては、Veran Medical Technologies, Inc.の電磁ナビゲーションシステム等の製造・販売終了に関する損失約519億円、総合的な品質変革プログラム Elevateに係る一時的な費用約230億円、「その他事業」に含まれている整形外科事業に関する損失約86億円、内視鏡事業における開発資産及び仕掛中の研究開発の減損損失それぞれ約60億円と約46億円、治療機器事業における開発資産の減損損失約23億円、Taewoong Medical Co., Ltd.の株式取得契約の締結及び解除に関連する費用約20億円、社外転進支援制度の実施に伴う特別支援金等の費用約59億円を計上しており、前期比で987億12百万円増加しました。
(5)営業利益
上記の要因により、前期比1,430億11百万円減益の435億98百万円となりました。
(6)調整後営業利益
営業利益からその他の収益およびその他の費用を除外した調整後営業利益は、上記の要因により、前期比252億59
百万円減益の1,515億34百万円となりました。
(7)金融損益
金融収益と金融費用を合わせた金融損益は77億44百万円の損失となり、前期比で損益は34億29百万円悪化しました。損益の悪化は、主として各通貨に対して円安が進行したことにより為替差損が拡大したことによるものです。
(8)税引前利益
上記の要因により、前期比で1,464億40百万円減少となる358億54百万円となりました。
(9)法人所得税費用
税引前利益が減少したことにより、前期比で354億23百万円減少し、88億81百万円となりました。
(10)継続事業からの当期利益
上記の要因により、前期比で1,110億17百万円減少となる269億73百万円となりました。
(11)親会社の所有者に帰属する当期利益(継続事業及び非継続事業の合算)
当連結会計年度に非継続事業において科学事業の譲渡益約3,490億円を計上したことにより、前期比で991億34百万円増益となる2,425億66百万円となりました。
(研究開発支出および設備投資)
当期においては、非継続事業を除いた継続事業で863億68百万円の研究開発費を投じるとともに、807億27百万円の設備投資を実施しました。
(為替影響)
為替相場は前期に対して、対米ドル、ユーロ及び人民元は円安で推移しました。期中の平均為替レートは、1米ドル=144.62円(前期は135.47円)、1ユーロ=156.80円(前期は140.97円)、1人民元=20.14円(前期は19.75円)となり、売上高では前期比で514億4百万円の増収要因、営業利益では前期比で122億79百万円の増益要因、調整後営業利益では前期比で171億2百万円の増益要因となりました。なお、為替の影響を除くと、連結売上高は前期比0.3%の増収、連結営業利益は前期比83.2%の減益となります。
セグメント別の動向に関する分析
|
売上高 |
営業利益又は営業損失(△) |
||||
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減率 (%) |
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減率 (%) |
|
内視鏡 |
551,823 |
586,617 |
6.3 |
152,769 |
104,684 |
△31.5 |
治療機器 |
318,207 |
337,331 |
6.0 |
63,692 |
△8,466 |
- |
その他 |
11,893 |
12,262 |
3.1 |
△914 |
△7,809 |
- |
小計 |
881,923 |
936,210 |
6.2 |
215,547 |
88,409 |
△59.0 |
消去又は全社 |
- |
- |
- |
△28,938 |
△44,811 |
- |
連結計 |
881,923 |
936,210 |
6.2 |
186,609 |
43,598 |
△76.6 |
(注) 製品系列を基礎として設定された事業に、販売市場の類似性を加味してセグメント区分を行っています。
[内視鏡事業]
内視鏡事業の連結売上高は、5,866億17百万円(前期比6.3%増)、営業利益は1,046億84百万円(前期比31.5%減)となりました。
消化器内視鏡領域では、反腐敗運動による入札活動の遅れなどの影響を受けた中国で売上が減少した一方、消化器内視鏡システム「EVIS X1」を発売した北米が好調に推移し、為替の円安効果もあって前期比プラス成長となりました。
外科内視鏡領域では、事業環境が厳しい中、一部製品の出荷停止による影響を受けた北米と中国で減収となった一方、外科内視鏡システム「VISERA ELITEⅢ」を発売した欧州やアジア・オセアニアの売上が増加し、為替の円安効果もあって前期比プラス成長となりました。
医療サービス領域では、保守サービスを含む既存のサービス契約の安定的な売上に加えて、新規契約の増加もあり、全ての地域で前期比プラス成長となりました。
内視鏡事業の営業損益は、増収による売上利益の増加があったものの、高速気腹装置の市場是正処置に係る費用約52億円や、小腸内視鏡システムの自主回収に伴う費用約42億円を引当計上、要員の増加およびインフレに伴う報酬の増加等の販売部門における費用の増加や、総合的な品質変革プログラム Elevateに関する費用の発生に加え、総合的な品質変革プログラムElevateに係る一時的な費用約147億円や、開発資産及び仕掛中の研究開発の減損損失それぞれ約60億円と約46億円をその他の費用として計上したこともあり、減益となりました。
なお、為替の影響を除くと、売上高は前期比0.5%の増収、営業利益は前期比40.5%の減益となっています。
[治療機器事業]
治療機器事業の連結売上高は、3,373億31百万円(前期比6.0%増)、営業損失は84億66百万円(前期は636億92百 万円の営業利益)となりました。
消化器科処置具領域では、北米や欧州を中心にプラス成長となり、前期比増収となりました。また、膵管や胆管などの内視鏡診断・治療に使用するERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影術)用の製品群、病変の切除に使用されるESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)、EMR(内視鏡的粘膜切除術)用の製品群の売上が増加しました。
泌尿器科領域では、欧州やアジア・オセアニアを中心にプラス成長となり、為替の円安効果もあって前期比増収となりました。また、BPH(前立腺肥大症)用の切除用電極等も売上の増加に貢献しました。
呼吸器科領域では、一部製品の供給不足や反腐敗運動による入札活動の遅れなどの影響があった中国で減収となった一方、北米や欧州を中心にプラス成長となり、為替の円安効果もあって前期比増収となりました。EBUS-TBNA(超音波気管支鏡ガイド下針生検)で主に使われる処置具の売上が増加しました。
その他の治療領域では、Gyrus Medical社の売却に伴い売上が減少したもの、為替の円安効果もあり前期比増収となりました。
治療機器事業の営業損益は、増収による売上利益の増加があったものの、総合的な品質変革プログラム Elevateに関する費用の発生や、サプライチェーンマネジメントの強化に係る費用の増加に加え、Veran Medical Technologies, Inc.の電磁ナビゲーションシステム等の製造・販売終了に関する損失約519億円や、総合的な品質変革プログラムElevateに係る一時的な費用約84億円、Taewoong Medical Co., Ltd.の株式取得契約の締結及び解除に関連する費用約20億円、開発資産の減損損失約23億円をその他の費用として計上したこともあり、減益となりました。
なお、為替の影響を除くと、売上高は前期並み、営業損益は前期比718億89百万円の減益となっています。
[その他事業]
その他事業では、人工骨補填材等の生体材料、整形外科用器具などの開発・製造・販売等を行っているほか、新規事業に関する研究開発や探索活動に取り組んでいます。
その他事業の連結売上高は、122億62百万円(前期比3.1%増)、営業損失は78億9百万円(前期は9億14百万円の営業損失)となりました。
売上高は、中国などでプラス成長となり、増収となりました。その他事業の営業損益は、整形外科事業に関する損失約86億円をその他の費用として計上したこともあり、悪化しました。
② 財政状態の状況
|
前連結会計年度末 (百万円) |
当連結会計年度末 (百万円) |
増 減 (百万円) |
増減率 (%) |
資産合計 |
1,508,701 |
1,534,216 |
25,515 |
1.7 |
資本合計 |
641,234 |
757,186 |
115,952 |
18.1 |
親会社所有者帰属 持分比率 |
42.4% |
49.4% |
7.0% |
|
[資産]
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末から255億15百万円増加し、1兆5,342億16百万円となりました。流動資産では、自己株式の取得により1,800億2百万円を支出したものの科学事業の譲渡対価3,790億91百万円の受領を主因に現金及び現金同等物が1,716億4百万円増加、棚卸資産が270億36百万円増加、営業債権及びその他の債権が229億27百万円増加、さらに、科学事業の譲渡益等に対する未収法人所得税が207億26百万円増加した一方で、科学事業の譲渡完了に伴い売却目的で保有する資産が1,695億66百万円減少しています。非流動資産では、有形固定資産が212億37百万円増加、営業債権及びその他の債権が187億84百万円増加、デリバティブ資産を中心としたその他の金融資産が126億70百万円増加した一方で、科学事業の譲渡益等に対する繰延税金資産が842億19百万円減少し、また、Veran Medical Technologies, Inc.の減損を主因に無形資産が247億96百万円減少しています。
[負債]
負債合計は、前連結会計年度末から904億37百万円減少し、7,770億30百万円となりました。科学事業の譲渡益等 に対する未払法人所得税が609億9百万円減少、科学事業の譲渡完了に伴い売却目的で保有する資産に直接関連する負債が432億53百万円減少、また、社債及び借入金が404億41百万円減少しています。
[資本]
資本合計は、前連結会計年度末から1,159億52百万円増加し、7,571億86百万円となりました。自己株式の取得1,800億2百万円、剰余金の配当202億40百万円を行った一方で、科学事業の譲渡益等、親会社の所有者に帰属する当期利益を2,425億66百万円計上したこと、また在外営業活動体の換算差額を中心にその他の資本の構成要素が718億47百万円増加したことが主な要因です。
また、当社は2023年5月12日開催の取締役会決議に基づき、1,000億円の自己株式の取得及び2024年2月29日付での自己株式1,048億円の消却を行っています。そして、2023年11月9日開催の取締役会決議に基づく自己株式800億円の取得を行ったこと等により、自己株式739億31百万円増加(資本におけるマイナス表示額の拡大)しています。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は前期末の42.4%から49.4%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
|
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減 (百万円) |
営業活動によるキャッシュ・フロー |
98,490 |
42,365 |
△56,125 |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△58,414 |
359,992 |
418,406 |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△143,178 |
△276,010 |
△132,832 |
現金及び現金同等物期末残高 |
205,512 |
340,933 |
135,421 |
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、423億65百万円の増加(前連結会計年度は984億90百万円の増加)となりました。法人所得税の支払1,373億90百万円があったものの、減価償却費及び償却費の調整659億40百万円、減損損失の調整645億68百万円、税引前利益358億54百万円等により増加しています。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、3,599億92百万円の増加(前連結会計年度は584億14百万円の減少)となりました。有形固定資産の取得による支出464億25百万円、無形資産の取得による支出181億99百万円があったものの、科学事業の譲渡対価として3,790億91百万円を受領したこと、またエビデント等に対する貸付金533億73百万円を回収したことが主な要因です。
また、Taewoong Medical Co., Ltd.の株式取得契約に基づく支出436億47百万円に対して、2024年3月7日付の株 式取得契約の解除に伴い当連結会計年度では311億10百万円を回収しています。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、2,760億10百万円の減少(前連結会計年度は1,431億78百万円の減少)となりました。自己株式の取得による支出1,800億2百万円、社債の償還及び長期借入金の返済による支出500億円、配当金の支払202億40百万円、リース負債の返済による支出195億18百万円が主な要因です。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比較して1,354億21百万円増加し、3,409億33百万円となりました。なお、関連指標については、社債及び借入金が前期末から404億41百万円減少したものの、営業活動によるキャッシュ・フローが423億65百万円と前連結会計年度と比較して561億25百万円減少したことにより、キャッシュ・フロー対有利子負債比率が前期末の3.5年から7.1年となりました。また、インタ レスト・カバレッジ・レシオは前期末の18.3倍から8.8倍になりました。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前期比(%) |
内視鏡 |
426,787 |
1.4 |
治療機器 |
253,969 |
10.1 |
その他 |
8,470 |
-3.2 |
計 |
689,226 |
4.4 |
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。
② 受注実績
当社グループの製品は見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しています。
③ 販売実績
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前期比(%) |
内視鏡 |
586,617 |
6.3 |
治療機器 |
337,331 |
6.0 |
その他 |
12,262 |
3.1 |
計 |
936,210 |
6.2 |
(注) セグメント間の取引については相殺消去しています。
(3)経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において判断したものです。
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析
当社グループは、2023年5月に発表した経営戦略において、2024年3月期から2026年3月期までの3年間の財務ガイダンスを、売上高成長率、EPS成長率、特殊要因を調整した調整後営業利益率で定めています。
売上高の年平均成長率(CAGR)は、5%程度を目指しています。内視鏡事業においては、主に消化器内視鏡システム「EVIS X1」の拡販によって、5%のCAGRを、治療機器事業についても、消化器科処置具、泌尿器科、呼吸器科の3領域を中心に製品ポートフォリオの拡大とM&Aを通して5%超のCAGRを、それぞれ目指しています。
また、EPSについては、持続的な売上成長をベースとして、資本効率の改善によって、売上高の成長率を上回る約8%のCAGRを、調整後営業利益率については、20%前後で維持することを、それぞれ目指します。
2024年3月期においては、中国における反腐敗運動による入札遅れや、サプライチェーン課題の長期化、インフレ、令和6年能登半島地震など、当初想定していなかった影響があり、売上高は、為替の影響を除くと、前期比0.3%の増収となりました。調整後営業利益率は、増収による売上利益の増加があったものの、持続的成長に向けた、総合的な品質変革プログラム「Elevate」や、生産性向上を目的とした事業運営基盤の整備・強化などの費用により、16.2%となりました。今後も財務ガイダンスの達成に向けて、売上成長を図るとともに、収益性のさらなる改善に取り組みます。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況
(i) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)業績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり、当社グループは、当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローにより資金が増加した一方で、自己株式の取得による支出、法人所得税の支払等があったことで、当連結会計年度末時点で保有する手元資金は3,409億33百万円(前連結会計年度末より1,354億21百万円増加)となりました。この手元資金規模は、安定した事業運営および財務基盤の確保に十分な水準であると認識しています。
(ⅱ) 財務政策
当社グループは、適切な財務レバレッジのコントロールによる、財務健全性の維持と資本効率性の向上の両立を、財務政策の基本方針としています。この基本方針のもと、有利子負債/EBITDA倍率や自己資本比率等の指標を意識し、財務健全性を維持する財務政策を行っています。加えて、国内および海外の資本市場での公募社債の発行等、資金調達手法の多様化により資金調達基盤を強化し、資金調達コストの低減にも努めています。
当社は、格付投資情報センター、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン、およびムーディーズ・ジャパンより信用格付けを取得しており、2024年3月31日現在における状況は、次のとおりです。
格付投資情報センター:A+(長期、見通し安定的)、a-1(短期)
S&Pグローバル・レーティング・ジャパン:BBB+(長期、見通し安定的)
ムーディーズ・ジャパン:Baa1(長期、見通し安定的)
(ⅲ) 資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループの製品を製造するための材料および部品の購入費のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるもので、主な営業費用は、人件費および広告・販売促進費等のマーケティング費用です。また、当社グループの投資資金需要のうち主なものは、主力の製造拠点である国内工場および欧米を中心とした製造、修理拠点の拡充など、生産効率向上のための設備投資です。将来の成長に向けた戦略的な投資への資金需要に対しても、財務健全性の維持と資本効率性の向上を両立させながら、引き続き積極的に対応していきます。
(ⅳ) 資金調達
当社グループの運転資金および設備投資資金は、内部資金により充当していますが、必要に応じて金融機関からの借入や社債の発行により資金を調達しています。これらの借入金および社債については、営業活動から得られるキャッシュ・フローによって十分に完済できると考えています。また、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持していることに加えて、(ⅱ) 財務政策に記載の通り、格付投資情報センターの信用格付けはA+、S&Pグローバル・レーティング・ジャパンはBBB+およびムーディーズ・ジャパンはBaa1となっていることから、安定的かつ低コストで適時滞りなく資金調達が可能と考えています。さらに、主要通貨(米ドル・ユーロ・円)によるグローバルコミットメントラインを設定しており、機動的かつ円滑な資金調達が可能な体制を構築しています。財務健全性の維持と資本効率性の向上を両立させながら、今後も資金需要に応じて適切な資金調達を検討していきます。
(ⅴ) 資金配分
当社グループの持続的な成長を実現させるため、資金は、成長ドライバーへの投資に優先的に配分していく方針であり、収益性の高い既存事業への投資や成長機会への戦略的な投資を実施していきます。また、事業成長等への投資を優先しつつ、株主価値を考慮した積極的な株主還元も実施していきます。配当については、安定的かつ段階的に増配し、自己株式の取得については、投資機会と資金状況に応じて機動的に実施する方針です。安定した事業運営に十分な手元資金を確保しながら、成長投資や株主還元にも適切に資金配分をしていきます。
③ 重要性がある会計方針および見積り
当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りにつきましては、合理的な基準に基づいて実施しています。重要性がある会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。
セグメント情報
6.事業セグメント
(1)報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、分離された財務情報が入手可能であり、経営資源の配分の決定及び業績の評価を行うために、定期的に報告を行う単位となっているものです。
当社グループは、従来「内視鏡事業」「治療機器事業」「科学事業」及び「その他事業」の4区分を報告セグメントとしていましたが、前第2四半期連結会計期間より「内視鏡事業」「治療機器事業」及び「その他事業」の3区分を報告セグメントとすることに変更しています。この変更は、当社が、ベインキャピタルが投資助言を行う投資ファンドが間接的に株式を保有する特別目的会社である株式会社BCJ-66との間に、科学事業の譲渡に関する株式譲渡契約を締結したことに伴い、科学事業を非継続事業に分類したことによるものです。
なお、非継続事業の概要については、注記「41.非継続事業」に記載のとおりですが、科学事業を行っているエビデント株式の譲渡は、2023年4月3日に完了しています。
なお、報告セグメントに属する主要な製品及びサービスは以下のとおりです。
報告セグメント |
|
主要な製品及びサービス |
内視鏡事業 |
|
消化器内視鏡、外科内視鏡、医療サービス |
治療機器事業 |
|
消化器科処置具、泌尿器科製品、呼吸器科製品、エネルギー・デバイス、耳鼻咽喉科製品、婦人科製品 |
その他事業 |
|
生体材料、整形外科用器具 |
(2)報告セグメントの収益、業績及びその他の項目
報告セグメントによる収益、業績及びその他の項目は、以下のとおりです。なお、報告セグメントの会計処理の方法は、注記「3.重要性がある会計方針」における記載と同一です。
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
|
|
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
報告セグメント |
調整額(注2,3,4,5,6) |
連結 財務諸表 計上額 |
|||
|
内視鏡 |
治療機器 |
その他 |
計 |
||
売上高 |
|
|
|
|
|
|
外部顧客への売上高 |
551,823 |
318,207 |
11,893 |
881,923 |
- |
881,923 |
セグメント間の売上高(注1) |
- |
- |
252 |
252 |
△252 |
- |
計 |
551,823 |
318,207 |
12,145 |
882,175 |
△252 |
881,923 |
営業利益又は損失 |
152,769 |
63,692 |
△914 |
215,547 |
△28,938 |
186,609 |
金融収益 |
|
|
|
|
|
3,860 |
金融費用 |
|
|
|
|
|
8,175 |
税引前利益 |
|
|
|
|
|
182,294 |
その他の項目 |
|
|
|
|
|
|
持分法による投資損益 |
505 |
△14 |
- |
491 |
- |
491 |
減価償却費及び償却費 |
37,495 |
19,159 |
1,059 |
57,713 |
5,879 |
63,592 |
減損損失 |
1,342 |
883 |
3 |
2,228 |
265 |
2,493 |
セグメント資産(注7) |
555,939 |
452,969 |
20,638 |
1,029,546 |
479,155 |
1,508,701 |
持分法で会計処理されている投資 |
664 |
346 |
- |
1,010 |
- |
1,010 |
資本的支出 |
43,001 |
15,854 |
1,428 |
60,283 |
11,740 |
72,023 |
(注1) セグメント間の売上高は、市場実勢価格に基づいています。
(注2) 営業利益(又は損失)の調整額は、セグメント間取引消去並びに報告セグメントに帰属しない一般管理費及び基礎的研究費等からなる全社費用です。
(注3) 営業利益(又は損失)の調整額には、報告セグメントに帰属しない当社における固定資産売却益16,395百万円が含まれています。
(注4) セグメント資産の調整額は、報告セグメントに帰属しない全社資産および非継続事業の資産です。
(注5) 減価償却費及び償却費の調整額は、報告セグメントに帰属しない全社資産にかかる減価償却費及び償却費です。
(注6) 資本的支出の調整額は、報告セグメントに帰属しない全社資産にかかる固定資産の増加額です。
(注7) セグメント資産は、前連結会計年度において発生したOdin Medical Ltd.の取得について、当連結会計年度において暫定的な金額の修正を行っており、前連結会計年度末の数値の遡及的な修正を行っています。詳細については、注記「40.企業結合」に記載しています。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
|
|
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
報告セグメント |
調整額(注2,4,5,6) |
連結 財務諸表 計上額 |
|||
|
内視鏡 |
治療機器 |
その他 |
計 |
||
売上高 |
|
|
|
|
|
|
外部顧客への売上高 |
586,617 |
337,331 |
12,262 |
936,210 |
- |
936,210 |
セグメント間の売上高(注1) |
- |
- |
121 |
121 |
△121 |
- |
計 |
586,617 |
337,331 |
12,383 |
936,331 |
△121 |
936,210 |
営業利益又は損失 |
104,684 |
△8,466 |
△7,809 |
88,409 |
△44,811 |
43,598 |
金融収益 |
|
|
|
|
|
2,562 |
金融費用 |
|
|
|
|
|
10,306 |
税引前利益 |
|
|
|
|
|
35,854 |
その他の項目 |
|
|
|
|
|
|
持分法による投資損益 |
△332 |
△26 |
- |
△358 |
- |
△358 |
減価償却費及び償却費 |
41,501 |
18,184 |
961 |
60,646 |
5,294 |
65,940 |
減損損失(注3) |
10,890 |
44,315 |
8,588 |
63,793 |
775 |
64,568 |
セグメント資産 |
637,036 |
469,186 |
12,660 |
1,118,882 |
415,334 |
1,534,216 |
持分法で会計処理されている投資 |
- |
479 |
- |
479 |
- |
479 |
資本的支出 |
50,674 |
19,295 |
1,452 |
71,421 |
9,306 |
80,727 |
(注1) セグメント間の売上高は、市場実勢価格に基づいています。
(注2) 営業利益(又は損失)の調整額は、セグメント間取引消去並びに報告セグメントに帰属しない一般管理費及び基礎的研究費等からなる全社費用です。
(注3) 治療機器セグメントの営業損失には、Veran Medical Technologies, Inc.製品の製造・販売終了に伴い発生した損失51,886百万円が含まれていますが、詳細については、注記「30.その他の収益及びその他の費用」をご覧ください。また、当該損失のうち、減損損失は41,704百万円になります。詳細については、注記「16.非金融資産の減損」に記載のとおりです。
(注4) セグメント資産の調整額は、報告セグメントに帰属しない全社資産です。
(注5) 減価償却費及び償却費の調整額は、報告セグメントに帰属しない全社資産にかかる減価償却費及び償却費です。
(注6) 資本的支出の調整額は、報告セグメントに帰属しない全社資産にかかる固定資産の増加額です。
(3)製品及びサービスに関する情報
製品及びサービスの区分が報告セグメントと同一であるため、記載を省略しています。
(4)地域別に関する情報
売上高及び非流動資産の地域別情報は、以下のとおりです。
売上高
(単位:百万円)
|
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
日本 |
122,516 |
121,515 |
北米 |
322,167 |
351,337 |
欧州 |
222,164 |
242,825 |
中国 |
117,094 |
106,341 |
アジア・オセアニア |
77,807 |
88,081 |
その他 |
20,175 |
26,111 |
合計 |
881,923 |
936,210 |
(注1) 売上高は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しています。
(注2) 本邦以外の区分に属する主な国又は地域は、次のとおりです。
(1)北米……米国、カナダ
(2)欧州……ドイツ、イギリス、フランス等
(3)アジア・オセアニア……シンガポール、韓国、オーストラリア等
(4)その他……中南米、アフリカ等
前連結会計年度及び当連結会計年度において、米国における外部顧客への売上高は、それぞれ300,080百万円及び326,299百万円です。前連結会計年度及び当連結会計年度において、日本、米国及び中国を除き、外部顧客への売上高について、重要性のある単一の国及び地域はありません。
非流動資産(金融商品、繰延税金資産及び退職給付に係る資産を除く)
(単位:百万円) |
|
前連結会計年度 (2023年3月31日) |
当連結会計年度 (2024年3月31日) |
日本 |
138,682 |
138,637 |
米州 |
220,391 |
202,587 |
欧州・中東 |
153,760 |
163,002 |
アジア・オセアニア |
26,474 |
30,122 |
合計 |
539,307 |
534,348 |
(注1) 国又は地域の区分は、地理的近接度によっています。
(注2) 本邦以外の区分に属する主な国又は地域は、以下のとおりです。
(1)米州………米国、カナダ、メキシコ、ブラジル
(2)欧州・中東………ドイツ、イギリス、フランス等
(3)アジア・オセアニア……シンガポール、中国、韓国、オーストラリア等
米州のうち、米国における前連結会計年度末及び当連結会計年度末の非流動資産(金融商品、繰延税金資産及び退職給付に係る資産を除く)は、それぞれ、217,723百万円及び199,220百万円です。欧州・中東のうち、ドイツにおける前連結会計年度末及び当連結会計年度末の非流動資産(金融商品、繰延税金資産及び退職給付に係る資産を除く)は、それぞれ、58,358百万円及び62,533百万円です。前連結会計年度末及び当連結会計年度末において、日本、米国及びドイツを除き、非流動資産(金融商品、繰延税金資産及び退職給付に係る資産を除く)が重要な単一の国及び地域はありません。
(注3) 非流動資産は、前連結会計年度において発生したOdin Medical Ltd.の取得について、当連結会計年度に
おいて暫定的な金額の修正を行っており、前連結会計年度末の数値の遡及的な修正を行っています。詳細については、注記「40.企業結合」に記載しています。
(5)主要な顧客に関する情報
単一の外部顧客との取引については、それぞれの売上高が当社グループの売上高の10%未満であるため、記載を省略しています。