2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3 【事業等のリスク】

(1) 方針

当社は、事業活動に関わるあらゆるリスクを的確に把握し、リスクの発生頻度や経営への影響を低減し、事業の継続、安定的発展を確保していくため、2016年12月に全社的なリスクマネジメント推進に関わる課題・対応策を協議・承認する組織として、取締役会の下にリスク管理委員会を設置しております。

リスク低減に関する協議・承認を行うため、リスク管理委員会を毎年、年4回定時開催し、新たなリスクの候補の検討、また特定したリスクについて、固有リスクの評価、統制活動の決定、統制活動の有効性の評価、残余リスクの評価、リスク対策の優先度を協議・承認を行い、その結果を取締役会に適宜、報告しております。

 

 

(2) リスク管理委員会におけるリスクマネジメント体制

 


 

構成メンバー

委員長を社長とし、常任委員に常勤取締役、非常任委員を執行役員として組織し、事務局長を管理部長としております。またテーマに応じてその他の従業員を随時柔軟に招集して開催しております。

 

主な役割と権限

・リスクマネジメント取組全体の方針・方向性の検討、協議・承認

・各リスクテーマ共通の仕組みの検討、協議・承認

・リスクマネジメントに関する年次計画、予算措置、是正措置の検討、協議・承認

・必要に応じ社内外から必要なノウハウや協力の取付検討、協議・承認

・分科会の組成指示、リスクマネジメント推進の進捗管理

・各現場でのリスクマネジメント推進の指示、進捗管理

・情報の収集と社内外開示の実施策検討、協議・承認

・上記に関する取締役会への定期的な報告

 

個別リスクの分科会

個別リスクの検討課題ごとに具体策を検討・実行するための分科会を実務担当者から選出、編成しております。

各分科会の主な役割と権限、内容は以下のとおりです。

・主な役割と権限

リスク管理委員会からの指示に基づく所管テーマの具体的対策検討、マニュアル化

所管テーマの対応策に関する各職場への周知徹底策検討、実行

・各分科会の内容

経営リスク分科会(契約、与信、資金繰り、減損、債務超過、社内事務、クレーム対応)

労務・安全衛生分科会(負傷、疾病、労務、安全衛生)

コンプライアンス分科会(法令違反、外部犯罪、社内不正、知的財産

防災リスク分科会(防災対策、安否確認)

環境リスク分科会(環境リスク、建物改修)

品質管理分科会(食品衛生管理、品質管理)

情報システム分科会(ネットワーク障害、顧客情報・個人情報漏洩)

雇用・人事リスク分科会(人材流出、海外派遣社員対応)

 

(リスクの設定イメージ)


 

リスク管理委員会、及び各分科会により新たなリスクの候補の洗い出し、及びリスクの特定を行います。特定したリスクについて、固有リスクの評価、統制活動の決定、統制活動の有効性の評価、残余リスクの評価、リスク対策の優先度を分析し、対策を策定、実施いたします。また同時に特定したリスクに実施した対策をモニタリング、及び評価を行い、改善するサイクルを回しております。

 

(3) 個別のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 

 

(特に重要なリスク)

①食品の安全性

当社が運営する店舗で当社を原因とする集団食中毒等の食品事故が発生した場合には、お客様に多大なご迷惑をかけるだけでなく、対応費用の負担、当社のブランドイメージや社会的信用の低下につながり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また物販事業において、食品表示法、食品衛生法等に抵触する物品事故及び商品回収等が発生した場合も同様です。

当社は、法令遵守、製菓事業におけるISO22000による食品安全体制の構築、レストランにおける飲食店HACCPに沿った店舗衛生体制の整備、自主基準の徹底により食品の安全性確保を図っています。

 

②人材の確保及び育成

当社の継続的な業績拡大には、最上級の料理及び心温まるおもてなしを提供する優秀な人材の確保が不可欠であり、積極的な採用と確保した人材の育成及び定着に継続的に注力しております。今後において、人材の採用環境の悪化により必要な人材を適正なコストで確保できない場合、採用した人材の育成及び定着が順調に進まない場合等には、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

これらリスクに対して、当社は定期採用と中間採用による積極的な人材の確保、OJTによる機動的且つ柔軟な発想力を兼ね備えた人材の育成、海外派遣やイベント・企画への積極的登用、他店舗研修等学びの機会創出、評価制度の再構築、働きやすい環境の維持改善を進めています。

 

③自然災害等

当社が事業を展開する地域等において大規模な地震、風水害等の自然災害や新型コロナウイルス感染症を含む感染症拡大により来店客の減少や店舗休業・営業時間短縮が発生した場合は、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

これらリスクに対して、当社はBCP再構築の推進を進めており、また従業員の安否確認システムの導入、営業可能店舗へのお客様・従業員・食材を集中する体制整備等を進めています。

 

(重要なリスク)

④経済状況、市場環境の変化について

当社はレストラン事業、物販事業、文化事業を展開しております。今後の景況感、市場動向の変化、競争の激化により当社の優位性が発揮できない場合や当社のコンセプト、料理、サービスが受け入れられない場合には当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社は基本理念に「利は人の喜びの陰にあり」を掲げ、お客様に物語のある空間、最上級の料理、心温まるおもてなしにより、お客様に感動、喜び、幸せを提供することで差別化を図っております。

また、EC事業の強化、キャッシュレス決済の導入等、変化に対応した施策を推進しております。

 

⑤原材料の調達

当社は使用する食材が多岐にわたるため、天候不順、自然災害、疫病の発生や世界情勢等により、原材料の調達価格の高騰や必要量の原材料の確保が困難になった場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

これらリスクに対して、当社は複数の産地やお取引先から適切なロットで分散して調達を行い、価格、供給、品質の安定を実現する体制を構築しており、またお取引先との関係強化を図っております。なお、食材の調達が困難な場合は、臨機応変に他の旬の食材を活用したメニューに変更し、機会損失を回避していきます。

 

⑥固定資産の減損損失

当社は、現時点で合理的と捉える単位で資産をグルーピングしており、各グループごとに減損会計を適用しています。事業環境の変化等によって店舗の収益性が著しく低下した場合、及び資産の市場価格が帳簿価格より著しく低下した場合には、減損損失が計上され、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

これらのリスクに対して、当社は定期的に減損兆候の判定を行い、不採算グループの把握や投資の早期回収に向けた積極的な施策の実行に努めております。

 

⑦法令対応

当社が展開する事業は、会社法のほか食品衛生関係、建築設備関係、労働関係など各種法令による様々な規制を受けております。これらの法的規制が変更または強化された場合には、それらに対応するための新たな費用の発生や営業活動への制約により、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、各種法令や規制の制定・改廃状況を継続的にモニタリングして法令の周知徹底、遵守する体制を整えています。

 

 

⑧情報漏洩

当社はお客様の予約、代金の決裁、モバイルアプリの運営、EC事業等で、多くのお客様の個人情報を取り扱っております。個人情報や営業上の機密情報の取り扱いについて適正な管理に努めておりますが、当社が保有する個人情報や営業上の機密情報が万が一漏洩した場合には、当社の社会的信用の失墜、損害賠償請求等により当社のブランドイメージが大きく毀損され、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社は社内情報へのアクセス管理の徹底、強固なセキュリティ対策を講じているほか、社内教育によりセキュリティに対するリテラシーの向上に努めています。

 

⑨社会問題への対応

当社が人権や環境問題等の社会問題に対する対応について不備や遅れが生じた場合には、社会的信用の失墜により当社のブランドイメージが大きく毀損され、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社はサステナビリティ委員会により社会問題への対応について議論を進め、リスク低減に取り組んでいます。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要課題の一つと位置付けております。中長期的な配当の継続と財務基盤の健全性の確保とのバランスを勘案し、株主の皆様へ適正に利益還元することを基本方針としております。

当社の剰余金の配当は、期末配当の年1回を基本的な方針としており、この配当の決定機関は、株主総会であります。

当事業年度の剰余金の配当につきましては、2024年3月期の業績や将来の事業展開に必要な内部留保の水準、財務基盤の強化等を総合的に勘案し、当社普通株式1株につき普通配当を15円とし、これに創業60周年記念配当2円を加えて合計17円としております。

内部留保資金の使途につきましては、財務体質の強化を図りながら、更なる成長への戦略投資に充当していきたいと考えております。

2025年3月期の配当につきましては、引き続き上記の基本方針に基づき、1株あたりの年間配当額を15円と予定しております。

なお、当社は「取締役会の決議によって毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる。」旨定款で定めております。

 

(注)当事業年度に係る剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

2024年6月27日

定時株主総会決議

95,286

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