2023年8月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

以下において、当社グループの経営成績、財政状態に影響を与えうるリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。なお、当社グループに関するすべてのリスク要因を網羅したものではありません。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 自動車関連産業への依存リスクについて

 当社グループは、モノづくりを主体とする取引先企業の生産設備に係る金属接合、産業機械、FAシステム関連商品の販売、肉盛溶接・溶射加工、ろう付加工およびメンテナンス工事の施工を主たる事業としております。なかでも、これら商・製品等の販売においては、自動車関連産業への依存度が高く、当連結会計年度においても当社グループの連結売上高に占める割合は70.4%と高くなっております。また、自動車産業のなかでも特にトヨタ自動車グループへの依存度が高く、その重要性は高いものとなっております。従いまして、当社グループの経営成績は、国内・海外の自動車関連産業、なかでもトヨタ自動車グループの設備投資動向に影響を受ける可能性があります。

 当社グループとしては、今後も自動車関連産業に対する販売を強化してまいりますが、併せて他業種への販路拡大を図ってまいります。

なお、当社グループの自動車関連産業への売上高および連結売上高に対する比率は下表のとおりであります。

 

回次

第69期

第70期

第71期

第72期

第73期

決算年月

2019年8月

2020年8月

2021年8月

2022年8月

2023年8月
(当連結会計年度)

連結売上高(千円)

62,461,260

68,113,522

61,160,734

71,062,630

76,114,006

自動車関連産業
向け売上高(千円)

45,843,095

52,488,068

43,169,086

50,386,502

53,593,614

売上構成比(%)

73.4

77.1

70.6

70.9

70.4

 

 

(2) 海外展開に伴う為替相場変動リスクについて

 当社グループは、取引先企業の海外生産シフトに対応するため、米国、東南アジア、中国、欧州等に販売拠点および製造拠点を設置し、海外事業の強化を図ってまいりました。こうした当社グループにおける海外事業強化の一方で、為替相場の変動等が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループとして、外貨建て取引は原則為替予約を行うことにより為替リスクをヘッジしております。また、当社の海外得意先の大半が日系自動車メーカーの現地法人であり、受注から検収まで長期間を要する金額の大きな設備物件については、為替変動のリスク分を極力輸出価格に転嫁することで影響を軽減しております。

なお、海外への売上高および連結売上高に対する比率は下表のとおりであります。

 

回次

第69期

第70期

第71期

第72期

第73期

決算年月

2019年8月

2020年8月

2021年8月

2022年8月

2023年8月
(当連結会計年度)

連結売上高(千円)

62,461,260

68,113,522

61,160,734

71,062,630

76,114,006

海外向け
売上高(千円)

16,392,078

24,238,608

22,662,579

32,433,987

32,470,058

売上構成比(%)

26.2

35.6

37.1

45.6

42.7

 

 

 

(3) 大型プロジェクト受注のリスクについて

当社グループは、自動車関連メーカー向けの新工場や生産ラインの増設に係る生産設備を一括で受注する場合があります。これらのプロジェクトは、受注金額が10億円超の大規模プロジェクトになることがあるほか、得意先の設備投資計画に基づいて実施されるため、受注から引渡しまでの期間が1年超の長期間にわたることがあり、棚卸資産が長期にわたって資産計上されることもあります。また、プロジェクトが当初の計画通り進まない場合は、売上計上の遅延や採算悪化等により、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、大型プロジェクトを受注する場合は、受注する段階で想定されるリスクを洗い出し、実施段階ではプロジェクトの進捗、採算状況等をモニタリングするなどのリスクの低減に努めております。

 

(4) 海外進出に潜在するリスクについて

当社グループは、現在9カ国に12海外現地法人を有しておりますが、当社グループが事業展開している国や地域において、以下に掲げるようなリスクが内在しており、経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 ・予期しない法律または関税などの貿易取引規制の変更

・不利な政治的、経済的変動
 ・人材確保の困難性
 ・企業活動にとって不利な税制度への変更
 ・テロ、戦争、治安悪化等の要因による社会的混乱

当社グループとしては、現地での動向について海外拠点における情報網に加え、日本国内からの支援および必要に応じて外部コンサルタントを活用して情報収集を図り、適切な対応をとるように努めております。

 

(5) 情報セキュリティに関するリスクについて

当社グループは、事業上の機密情報や事業の過程で入手した顧客情報や個人情報を保有しております。当社グループは、これら情報の取扱いに関する管理を強化するとともに、ウイルス感染やサイバー攻撃によるシステム障害、社外への情報漏洩に対する対策を図っておりますが、当社グループの想定を超える攻撃等により、重要データの破壊、改ざん、流出、システム停止等を引き起こす可能性があります。これらの結果、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、情報セキュリティポリシーを定めた規程を整備するほか、役員、従業員に対する教育を通じた情報管理の重要性の周知徹底を行うなど、適切なセキュリティ対策に努めております。

 

(6) 自然災害に関するリスクについて

当社グループは、大規模地震などの自然災害が発生した場合、建屋・機械などの損壊により、営業活動や生産活動に支障が生じ、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、事業継続計画(BCP)の策定、通信サーバーの社外への移転および本社ビル・工場建屋の定期的なメンテナンスなどの対策に努めております。

 

(7) コンプライアンスに関するリスクについて

当社グループは、企業行動指針に「企業活動にあたり国際的なルールおよび各国各地の諸法令を遵守するとともに、社会規範、社内規定に則った真摯な姿勢のもと責任ある行動をとる」を掲げ、事業を遂行していくうえで、従業員各自がコンプライアンスを理解し、各種関係法令を遵守していくことを社内外に約束しております。しかしながら、法令違反となる問題が発生する可能性はゼロではなく、違反した場合は、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、関連規程を制定し、内部監査による遵守状況の確認等を行うとともに、法令遵守のための定期的な社内教育に努めております。

 

(8) 人材の確保に関するリスクについて

当社グループは、企業行動指針に「現地・現物・現実主義の信条とフロンティアスピリッツをモットーに、常に取引先の安心と信頼、満足を追求するため積極果敢なチャレンジをする」を掲げ、取引先に満足いただけるサービスの提供を心掛けております。そのサービスの実現のためには、各方面において優秀な人材の確保、育成が重要な課題となります。しかしながら、人材の確保、育成ができなかった場合、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、優秀な人材を確保するために計画的な新卒および中途採用を継続するとともに、従業員が働きやすい職場環境の構築に努めております。

 

(9) 経済状況に関するリスクについて

当社グループは、主に自動車を中心とした工業製品を生産するための機械設備や材料の販売を主な事業としており、取引先は自動車、石油化学、機械、電機、航空宇宙など多岐にわたります。景気変動により各取引先の需要が低迷したり、設備投資が減少した場合、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、市場動向を注視し、得意先からの情報収集と分析に努めております。

 

(10) 株価変動等による保有株式に関するリスクについて

当社グループは、良好な取引関係の維持、強化をはかるために取引先や金融機関の株式を保有しており、急激な株価の変動や取引先や金融機関の業績不振により価値が下落し、減損処理が必要となった場合、当社グループの経営成績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、取締役会において、年1回、保有する全銘柄について保有目的、取引状況、含み損益、配当金額、保有リスクなどを具体的に精査し、保有の継続または売却等による縮減を判断しております。

 

(11) 気候変動に関するリスクについて

国際社会では、温室効果ガスの削減に向けた脱炭素社会の実現の動きが加速しています。当社グループでは、サステナビリティ委員会を2022年4月に立ち上げ、気候変動への取組みをマテリアリティ(優先的に取組む重要課題)の一つに特定しました。事業活動を通じて排出される温室効果ガスへの対応について検討を始めておりますが、温室効果ガス排出量に関する法規制の強化や新たな税負担などが生じた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしては、気候変動が中長期の経営成績や財政状態に影響が及ぼすことを踏まえ、課題解決に向けた取組みを実施してまいります。

配当政策

3 【配当政策】

当社は、2024年8月期からスタートする第4次中期経営計画の策定に伴い、当社グループの企業価値向上に向けた財務戦略の一環として、財務健全性維持と収益・成長投資のバランスを勘案しつつ、資本効率の向上と株主還元のさらなる拡充を図るため、株主還元方針を変更することといたしました。具体的には、1株当たり年間配当金100円を下限として、連結配当性向50%以上を目途に、持続的な業績向上を通じた利益配分の増加に努めます。適用時期は2024年8月期より2026年8月期までの3年間といたします。

また、自己株式の取得は中長期的な投資計画、市場環境および資本の状況などを総合的に勘案して検討いたします。

当事業年度の期末配当につきましては、期末配当を54円とし、1株当たり配当金は中間配当36円と合わせて90円とさせていただます。

内部留保金につきましては、企業体質の強化および今後の事業展開のために充当し、将来にわたる株主利益の確保に努めてまいります。

また、定款で会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定めており、毎事業年度における回数は、中間配当および期末配当の年2回と定めております。

さらに、これら配当の決定機関は、中間配当が取締役会、期末配当が株主総会と定めております。

 

なお、基準日が第73期に属する剰余金配当は下記のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たり配当額

2023年4月10日

取締役会決議

481

36円00銭

2023年11月16日

株主総会決議

722

54円00銭