2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

  有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

①経済状況と消費構造及び市況の変化

 当社グループの営業収入のうち重要な部分を占める自動車関連卸売事業の需要は、当社が商品を販売している日本国内の経済状況、なかでも国内新車販売の長期的動向の影響を受けております。また、わが国では経済の成熟化によって消費の構造変化が生じておりますが、自動車業界においても新車販売が減少して軽自動車へのシフトが顕著であり車の平均使用年数も延びております。こうした流れは一般的に自動車関連用品の需要を縮小させます。

 また、同事業では、販売競争が激しく市場淘汰が進行中でありますが、需要の変動や競合先との関係等から販売価格・数量に影響を受ける場合があり、それらが当社グループの連結業績と連結財務状況に悪影響を及ぼす可能性がある上、ウクライナ情勢等が経済や消費動向に今後どの程度影響を与えるか不透明であります。

 上記のリスクに対しては、魅力的な商品の投入、得意先毎のニーズに合わせた個別の施策、また仕入先や物流会社の連結子会社㈱ロジックスとも協力してコスト低減を進め、競争力の向上を図ってまいります。

②販売の季節的変動

 当社グループの主たる販売商品の一つである廉価アルミホイール及びスチールホイールの需要は、スタッドレスタイヤとのセット販売により降雪時期において集中的に発生する傾向があり、商品安定供給には大幅なリードタイムが必要であります。一方でこうした冬用商品の販売動向は、降雪状況に左右されるところが大きく、地球温暖化の進行により、またウクライナ情勢等の経済への影響により、当社グループの連結業績と連結財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループとしましては、そのような厳しい市場環境でも商戦に打ち勝つべく、鍵となる顧客との早期商談体制(商品別の数量・価格・時期)、メーカーからの効率的・安定的な商品調達体制、一括保管・ロット出荷の物流体制を整えてまいります。

③原材料価格の変動に伴う商品の調達と販売価格の改定

 当社グループの重要な営業品目のアルミホイール等自動車関連用品は、資材価格の高騰により仕入価格や製造コストが更に上昇する可能性があります。値上げを受け入れない限り商品調達が困難な場合もあるため大幅な値上げについてはお客様に販売価格の改定をお願いする前提で契約を進めざるを得ません。一方、お客様との販売価格交渉が円滑に進むかどうかは市場環境に左右されることが多く、当社グループの連結業績と連結財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループとしましては、仕入先メーカーとの相互信頼関係のもと、コスト低減余地がないか検証の上、粘り強く価格交渉を行い、仕入原価の圧縮に努めてまいります。

④為替レートの変動

 当社の主要製品であるアルミホイールは、東アジアからの輸入が当社のアルミホイール仕入額の約8割を占めております。当社は輸入仕入代金の決済を、主に米ドル及び中国元建てで行っているため、両通貨の為替レートの変動、また通貨の切り上げ等があれば、当社グループの連結業績及び連結財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社は、この為替変動リスクに対し、毎期輸入見込み額に基づく限度枠を設定し、為替予約等によるヘッジを行っております。

⑤新商品の企画・開発

 当社グループが販売する自動車用品のうち、特に高中級アルミホイールは車やレース愛好者に向けた嗜好性の強い商品であり、デザイン性等において流行に左右され易い特性を持っております。当社が市場と業界の変化を十分予測できず魅力ある商品を開発できない場合には、期待販売数量を確保できず将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの連結業績及び連結財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、国内外への市場動向に目を向け各ブランドイメージを維持しつつもドラスティックな展開で業界の先端を走れるように努めてまいります。更には各営業所員からの販売最前線の情報と各ブランドマネージャーの斬新な感性を生かして魅力溢れる商品づくりに最大限の努力をしてまいります。

 

⑥商品の品質

 当社グループが販売するアルミホイールは、国土交通省制定の技術基準(JWL)に適合し、公的第三者試験機関である「日本車両検査協会」の厳格な品質・強度確認試験に合格した製品を、自動車用軽合金製ホイール試験協議会が認定の上、登録されてVIAマークを表示しております。しかし、全ての商品について欠陥がまったく無く、将来においてリコールが発生しないという保証はありません。また、製造委託メーカーは製造物賠償責任保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。当社グループが販売するオリジナル・アルミホイールに大規模なリコールや製造物賠償責任につながるような品質問題が発生すると、多額なコストの発生や当社の評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当社グループの連結業績及び連結財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社ではオリジナル商品の品質保全を担保する一環で、各製造委託先に対して当社作成の品質保証マニュアルに沿う製造を要求しております。コロナ禍ではWebミーティングによる定期監査を実施してまいりましたが、今後は定期実地監査も再開させ、原因追及と改善対策のチェック&フォローにより抑止効果を高め、品質の維持・向上に努めてまいります。

⑦人材の確保・育成

 「事業は人なり」と言われておりますように、当社グループは少数精鋭の有能な社員が会社や事業を支えており、その人材を絶やさないために継続的な確保や育成は必須で、特に次世代を担う若い世代の確保・育成は重要課題であります。
 今後、グローバル化や国内市場の成熟化、消費者志向の多様化が一段と進行し、当社グループが扱う商品の需要が伸びにくい経営環境となることが予想され、かかる会社発展や事業目標の達成はまさに当社グループを支える人材の確保・育成が鍵となります。しかし、昨今の少子高齢化による労働力人口の減少や働き方の多様化などの労働市場を取り巻く環境が激変しており、グループ経営の将来を担う人材が不足となることで、各社における事業計画の達成にも大きな影響を及ぼし、当社グループにとって大きなリスクとなることは確実であります。

 そのような環境の中、当社グループが今後も業界のリーディングカンパニーとして慢心することなく、チャレンジを継続し、更なる発展を遂げていくためには、それを支える人材の確保は重要課題であり、そして確保した社員にとって働き甲斐があり、日々の努力が報われるような魅力ある会社・グループであることは不可欠であります。
 このような観点から、時代に沿った働き方改革への対応を更に進め、社員が存分に働き、余暇を十分に楽しむことで、業績を上げていけるようなワークライフバランスを臨める会社を目指してまいります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主の皆様に対する利益還元を重要な経営目標の一つと認識しており、連結配当性向30%以上を基本方針としております。
 当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。

 当事業年度の剰余金の配当の決定機関は、株主総会であります。
 当事業年度の配当につきましては、1株当たり10円を中間配当として実施しており、期末配当は、1株当たり普通配当17円、特別配当2円の計19円の配当を実施することを決定いたしました。
 なお、当社は、「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。

 また、内部留保資金につきましては、業界における環境変化や企業間競争の激化に耐え得る企業体質の強化、並

  びに将来の事業展開を図るために有効投資してまいりたいと考えております。

  なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2023年10月27日

160,381

10.0

取締役会決議

2024年6月26日

304,724

19.0

定時株主総会決議