2023年8月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 267,893 100.0 4,819 100.0 1.8

事業内容

3【事業の内容】

 当社グループは、物品販売業部門として家庭用電化製品等の販売を行っており、当社及び株式会社ビックカメラ(親会社)から構成されております。

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、緩やかに景気が回復しております。企業収益は、総じてみれば改善しており、雇用情勢は改善の動きがみられ、個人消費は持ち直しております。

 当家電小売業界における売上は、ゲームやスマートフォン等が好調に推移いたしましたが、テレビ、エアコンや調理家電等が低調であったため、総じて低調に推移いたしました。

 このような状況の中、当社は、「家電を通じて 笑顔あふれる 明るく暖かいみらいをつくる くらし応援企業であること」のパーパスのもと、「お客様のくらしを『より快適に』『より便利に』『より楽しく』します。くらし応援コジマ」をビジョンに掲げ、「生産性の向上」及び「持続的な成長」の2大戦略を推進するとともに、短期的な視点での「収益性」、中期的な視点での「成長性」、超長期的な視点での「社会性」の3つの観点に基づいて事業に取り組み、企業価値の向上に努めております。

 「収益性」としましては、店舗における販売員の「接客力・専門性の強化」に取り組んでおります。販売員自らが実演を行うライブ販売を強化することで、お客様の潜在的な需要を掘り起こすことに加えて、各種社内研修や接客ロールプレイングを拡充することで販売員の接客力向上を図り、高付加価値商品の販売強化に努めております。あわせて、電子棚札導入等による店舗の「業務効率の改善」を図り、接客時間の創出にも取り組んでおります。商品の機能説明だけでなく、生活シーンにおける付加価値をご提案できる接客を強化することで、他社との差別化を図り、収益の増加と生産性の向上に努めております。また、コロナ禍で開催を見送っておりました、地域に密着したイベントを再開するなど、「集客力の強化」にも努め、家電製品の購入以外でもお客様にご来店いただける機会の創出に取り組んでおります。そのほか、公式スマートフォンアプリのリニューアルや、「コジマ×ビックカメラカード」の累計発行枚数100万枚達成記念キャンペーンを実施するなど、お客様がより便利に、よりお得にお買い物いただける機会の創出、仕組みづくり等に取り組んでおります。

 「成長性」としましては、「住設事業」の強化に取り組み、住設部門の専任担当者を増員し、太陽光発電や蓄電池等の再生エネルギーを活用した商品のご提案に努めております。加えて、リフォームの需要を捉え、外壁屋根の塗装や修繕リフォームの販売推進に取り組み売上拡大を図っております。また、「スマートハウス」のご提案を強化した住設売場リニューアルを10店舗において実施いたしました。今後も更に店舗数を拡大してまいります。さらに、今期開設したコールセンター、「コジマスマートハウス推進センター」においては、電話による再生エネルギー関連商品のご提案を実施し、お客様へのアプローチ強化を図ることで、売上拡大に努めております。

 「社会性」としましては、「従業員エンゲージメント」の向上に努め、健康経営の推進や活躍できる人財の育成等に取り組んでおります。健康に関する課題の改善を目指す健康経営の推進に取り組み、従業員向けに「ウォーキングイベント」を開催するなど、従業員が心身の健康づくりを主体的に取り組める環境を提供しております。人財の育成としましては、若手管理職の積極登用や女性従業員のキャリアアップ支援を図るとともに、各種研修の実施やeラーニングを活用した学習機会の充実に取り組んでおります。また、育児・介護期間においても安心して働ける職場環境の整備や、ライフステージに合わせた活躍の場の拡大等を図り、従業員満足度の向上にも努めております。

 当社は、企業活動を通じて社会課題を解決し、企業価値を高め成長することを目的とした「サステナビリティ経営」を推進しております。2023年2月に発行しました当社初となる統合報告書においては、ステークホルダーの皆様により理解を深めていただくため、当社の経営ビジョンや企業活動、6つの優先課題(マテリアリティ)、今後の事業展開等について掲載しております。5月には「コジマ人権方針」を定め、当社の事業活動の前提となるものは、全ての人の人権の尊重であるとし、その基本的な考えについて公表いたしました。環境に配慮した取り組みとしましては、当社店舗の屋上・屋根等に太陽光発電設備を設置し、発電したグリーン電力を当社で購入して使用するコーポレートPPA(PPAは「Power Purchase Agreement」の略、電力販売契約)の導入を現在進めております。様々な取り組みに対して、従業員一人ひとりが自主性・主体性を持って取り組んでいくことで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

 当事業年度(9月~8月)におきましては、アフターコロナで市場の動向に変化が起こり、コロナ禍での需要の先食いによる買い替えサイクルの影響を受け、非常に厳しい環境でありました。上半期(9月~2月)におきましては、前年の巣ごもり需要やグリーン住宅ポイント制度に伴う需要の反動減等による影響で、テレビや冷蔵庫、調理家電が低調であったため、携帯電話やゲームなど、粗利率が比較的低い商品の販売でカバーしたことから、売上総利益が減少し、各段階利益が大幅に減少いたしました。特にECでは、ゲームの好調による粗利率の低下や、ショッピングモールサイトの販売施策減少による売上減少等により、営業利益が大きく減少いたしました。下半期(3月~8月)におきましては、利益重視の体制強化に努め、ECにおいては、ショッピングモールサイトの販売商品最適化、自社サイトの機能強化などの収益力向上施策を実施いたしました。また、店舗・本部における節電対策強化による水道光熱費の削減、広告宣伝費や販売促進費の効率的なコントロールに努めるなど、利益改善に取り組んだことにより、第4四半期会計期間(6月~8月)におきましては、売上総利益率が改善し、営業利益は前年同期をわずかに下回ったものの、計画に対して上振れました。しかしながら、通期では、需要の先食い等の影響が大きく、売上高の減少に伴い各段階利益が前年同期、計画を下回る結果となりました。

 店舗展開におきましては、2022年3月の福島県沖地震の影響により休業しておりました「コジマ×ビックカメラ 福島店」を10月28日にフルリニューアルオープンいたしました。当事業年度における出退店につきましては、2023年7月14日に「コジマ×ビックカメラ 有明ガーデン店」(東京都江東区)をオープンし、一方で「コジマ×ビックカメラ 川越インター店」(埼玉県川越市)を閉店したことから、2023年8月末現在の店舗数は141店舗となりました。なお、9月1日には、ビックカメラとして長年営業してきた「ビックカメラ 聖蹟桜ヶ丘駅店」を刷新し、「コジマ×ビックカメラ 聖蹟桜ヶ丘駅店」(東京都多摩市)として開店しております。

 以上の結果、当事業年度末の財政状態及び経営成績は次のとおりであります。

a.財政状態

 当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ 79億10百万円減少(前事業年度末比 6.8%減)し、1,092億

44百万円となりました。

 当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ 97億68百万円減少(前事業年度末比 17.7%減)し、454億

44百万円となりました。

 当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ 18億57百万円増加(前事業年度末比 3.0%増)し、637

億99百万円となりました。

b.経営成績

 当事業年度の売上高は 2,678億93百万円(前年同期比 4.1%減)、営業利益は 48億19百万円(前年同期比 40.6%減)、経常利益は 51億46百万円(前年同期比 39.6%減)、税引前当期純利益は 48億94百万円(前年同期比 37.3%減)、当期純利益は 28億69百万円(前年同期比 50.2%減)となりました。

 品目別売上高のうち物品販売事業につきまして、音響映像商品の売上高が 408億9百万円(前年同期比 11.6%減)、家庭電化商品の売上高が 1,214億15百万円(前年同期比 6.8%減)、情報通信機器商品の売上が 746億41百万円(前年同期比 0.3%減)、その他の商品は 295億14百万円(前年同期比 11.2%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ 33億41百万円減少し、140億93百万円となりました。当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は 13億29百万円(前事業年度は 77億72百万円の獲得)となりました。これは主に、仕入債務の減少 39億3百万円、その他の流動資産の増加を含むその他の減少 21億48百万円があったものの、税引前当期純利益 48億94百万円の計上、売上債権の減少 19億21百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果獲得した資金は3億24百万円(前事業年度は 23億89百万円の使用)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出 13億円、有形固定資産の取得による支出 11億86百万円があったものの、定期預金の払戻による収入 28億円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は 49億95百万円(前事業年度は 60億3百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出 41億20百万円、配当金の支払額 10億79百万円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

品目別売上高

品目別

当事業年度

(自 2022年9月1日

至 2023年8月31日)

売上高

(百万円)

構成比

(%)

前年同期比増減率

(%)

 

音響映像商品

カメラ

5,914

2.2

△1.6

テレビ

19,203

7.2

△16.0

レコーダー・ビデオカメラ

4,137

1.5

△16.1

オーディオ

4,009

1.5

△1.3

その他

7,544

2.8

△9.0

小計

40,809

15.2

△11.6

家庭電化商品

冷蔵庫

20,878

7.8

△7.3

洗濯機

20,760

7.7

1.6

調理家電

15,478

5.8

△10.3

季節家電

32,031

12.0

△7.3

理美容家電

11,930

4.4

△11.8

その他

20,336

7.6

△7.7

小計

121,415

45.3

△6.8

情報通信機器

商品

パソコン本体

18,686

7.0

△5.5

パソコン周辺機器

10,750

4.0

△6.8

パソコンソフト

592

0.2

△18.8

携帯電話

29,435

11.0

11.6

その他

15,177

5.7

△7.5

小計

74,641

27.9

△0.3

その他の商品

ゲーム

11,289

4.2

13.2

時計

494

0.2

△2.5

スポーツ用品

2,111

0.8

15.8

玩具

3,615

1.3

10.7

医薬品・日用雑貨

1,348

0.5

△14.9

工事(住設含む)

7,542

2.8

14.5

その他

3,111

1.2

11.0

小計

29,514

11.0

11.2

物品販売事業

266,381

99.4

△4.1

その他の事業

1,512

0.6

0.9

合計

267,893

100.0

△4.1

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、その作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。

 当社の財務諸表の作成にあたり用いた重要な会計方針については、「第5経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。

 当社の財務諸表の作成にあたり用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 また、引当金の計上や資産の評価等、当社の財務諸表の作成にあたり必要となる見積りについて、経営者は過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。

 

②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

(資産の部)

 当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ 79億10百万円減少(前事業年度末比 6.8%減)し、1,092億44百万円となりました。主な要因は、現金及び預金の減少 48億41百万円、売掛金の減少 19億21百万円、繰延税金資産の減少 14億65百万円があったことによるものであります。

(負債の部)

 当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ 97億68百万円減少(前事業年度末比 17.7%減)し、454億44百万円となりました。主な要因は、買掛金の減少 39億3百万円、契約負債(流動負債)の減少7億25百万円、預り金の減少5億円、長期借入金の減少 32億57百万円があったことによるものであります。

(純資産の部)

 当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ 18億57百万円増加(前事業年度末比 3.0%増)し、637億99百万円となりました。主な要因は、剰余金の配当(純資産の減少)10億79百万円があったものの、当期純利益(純資産の増加)28億69百万円によるものであります。

 

2)経営成績

(売上高、売上原価、販売費及び一般管理費)

 当社の品目別売上高の状況につきましては、スマートフォンが好調に推移いたしましたが、テレビが低調に推移した結果、当事業年度における売上高は 2,678億93百万円(前年同期比 4.1%減)となりました。

 一方、売上原価は 1,966億37百万円(前年同期比 3.6%減)となりました。

 また、販売費及び一般管理費は 664億36百万円(前年同期比 1.2%減)となりました。これは主として給与手当を 109億70百万円(前年同期比 3.3%増)、運送費を 113億4百万円(前年同期比 6.2%減)、それぞれ計上したことによるものであります。

(営業外収益、営業外費用)

 営業外収益は4億22百万円(前年同期比 25.3%減)となりました。これは主として受取保険金を1億89百万円(前年同期比 6.5%減)、助成金収入を 32百万円(前年同期比 80.2%減)それぞれ計上したことによるものであります。

 一方、営業外費用は 95百万円(前年同期比 35.2%減)となりました。これは主として支払利息を 46百万円(前年同期比 23.8%減)、契約違約金を9百万円(前年同期比 76.8%減)それぞれ計上したことによるものであります。

(特別利益、特別損失)

 特別利益は3億36百万円(前年同期比 29.7%増)となりました。これは主として受取保険金を3億35百万円計上したことによるものであります。

 一方、特別損失は5億87百万円(前年同期比 40.2%減)となりました。これは主として減損損失を5億18百万円計上したことによるものであります。

 

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因としましては、競争激化や季節要因等を事業等のリスクとしております。詳細につきましては「第2事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

3)キャッシュ・フローの状況

 主な内容は「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 なお、キャッシュ・フロー指標トレンドは、次のとおりであります。

 

2021年8月期

2022年8月期

2023年8月期

自己資本比率

(%)

52.4

52.8

58.3

時価ベースの自己資本比率

(%)

44.8

42.1

44.8

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

(年)

8.6

1.5

5.8

インタレスト・カバレッジ・レシオ

(倍)

23.8

132.3

29.9

自己資本比率 : 自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率 : 有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ : キャッシュ・フロー/利払い

※ 各指標は、いずれも財務数値より算出しております。

※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

※ キャッシュ・フローはキャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

※ 有利子負債は、貸借対照表に計上されております負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

資金需要

 当社の資金需要のうち主なものは設備投資及び当社で販売するための商品の購入の他、販売費及び一般管理費の営業費用であります。営業費用の主なものは、運送費、給与手当、地代家賃であります。

財務政策

 当社の事業活動を支える資金調達に際して、低コストでかつ安定的に資金が確保できることを目標に取り組んでおります。また、株式会社ビックカメラとの資本提携により財務基盤の強化を図るとともに、資産構成に合わせた最適資金調達と安定的な流動性の確保を重視し、銀行借入により資金の調達を行いました。

 また一方では財務健全化を図るため、有利子負債の圧縮にも注力した結果、有利子負債残高は前事業年度末に比べ 39億16百万円減少し、77億62百万円となりました。

 

c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、5ヵ年の中期経営計画を策定し、その計画を遂行することで経営目標として年間の経常利益 100億円を目指しております。