リスク
3【事業等のリスク】
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載しております。ただし、以下は当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在し、かかるリスク要因のいずれによっても、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。
なお、文中における将来に関する事項は、別段の記載のない限り当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)リスク管理体制
当社グループの経営に重大な影響を及ぼす様々なリスクへの的確な対処が不可欠との考えのもと、想定しうるリスクの把握と防止及び万一リスクが顕在化した場合の損害を最小限に留めるため、リスク管理体制の整備と低減活動の充実に努めております。
当社グループでは、サステナビリティ委員会の統括・管理のもと、リスクマネジメントの全社的推進を目的として「リスク管理委員会」を設置し、委員長を取締役会から選任しています。リスク管理委員会は、委員長から選任された委員を中心に、監査等委員や内部監査部門の職責者も参加し、四半期に1回開催しています。リスク管理委員会における主たる活動内容や重要事項は、サステナビリティ委員会での協議のうえ、重要度に応じて取締役会にて決議が行われるプロセスとし、取締役会による適正な監督や指導が図られています。
また、情報セキュリティ、防災・BCPの重要性から部門横断型の個別活動体制を置き、専門的な視点でリスク認識や対応策について検討しています。それぞれの適切な活動と、委員会と各部門が相互連携した有機的な活動により、当社グループのリスクの網羅的な把握とリスク低減に向けた適正な対応を図りながら、当社グループのリスクマネジメントの実効性の強化を進めています。
当社グループのリスク管理体制の概要は以下のとおりとなっております。
(2)事業上の主要なリスク
①自動車産業に関するリスク
当社グループの主要得意先は自動車関連企業であり、2024年3月期におけるグループ総売上高に占める自動車関連企業向け売上高は(約89%)であります。そのため経済環境の悪化に伴い主要得意先を中心とした自動車関連企業における生産台数が大幅に減少になった場合、また次世代のモビリティ社会の実現に向けたエレクトロニクス化、デジタル経営に向けた情報化投資や設備投資ニーズに対応できない場合、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を与える場合があります。
なお、当社グループでは、ソリューション事業を中心に自動車産業以外の得意先に対しても積極的なビジネスを行う等、他業界への事業展開や事業領域の拡大に取り組んでおります。
②特定の得意先に依存するリスク
当社グループの主要得意先は株式会社デンソーであり、2024年3月期におけるグループ総売上高に占める株式会社デンソー向け売上高は(約48%)であります。その内訳の主力商品は車載用の半導体や電子部品等であり、株式会社デンソーの生産動向・購買方針の変化に伴う売上高の減少及び収益性の悪化は、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
なお、当社グループでは、常に得意先のニーズを的確にとらえ、最適なソリューションを提供することを志向し、上記得意先との緊密な関係の構築に注力するとともに、自動車産業以外の顧客に対しても積極的なビジネスを行う等、リスクの低減を図っております。
③特定の仕入先に依存するリスク
当社グループの主要仕入先は、ルネサスエレクトロニクス株式会社であり、2024年3月期におけるグループ総仕入高に占めるルネサスエレクトロニクス株式会社よりの仕入高は(約50%)であります。その内訳の主力商品は半導体であります。従いまして、ルネサスエレクトロニクス株式会社の技術開発動向と当社グループの得意先ニーズが大きく乖離した場合や、ルネサスエレクトロニクス株式会社の販売政策の変更、事業再編などの理由により商品ラインナップに制約が生じ、当社グループの商権が維持できない場合、また需要の急激な変化や、ルネサスエレクトロニクス株式会社の何らかの事情により製品等の供給が十分に得られない場合、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
なお、当社グループでは、新たな仕入先の開拓・拡大に積極的に取り組み、リスクの低減を図っております。
④商品の品質等に関するリスク
当社グループが取り扱う商品について、不測の事態により不良補償等や知的財産権に関連した問題が発生した場合に、当社グループにおいて問題解決費用が発生する等、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
なお、当社グループでは、メーカーとの綿密な連携により、品質や信頼性の維持に努めております。
⑤新規事業等に関するリスク
当社グループでは、変化する事業環境と顧客ニーズを的確にとらえ、新規商材、新規事業の拡大に継続的に取り組んでおります。新たなビジネスの立ち上げや投資、業務・資本提携等の実施にあたり、市場環境の急激な変化や不測の事態等により当初計画に乖離が生じた場合、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
なお、当社グループでは新たなビジネスの立ち上げや投資におきましては、その内容に応じて取締役会で決定しております。また、業務・資本提携等の実施におきましては対象となる企業に関して、意思決定のために必要な情報を収集し、適切に評価を行っております。
(3)その他のリスク
①在庫評価損に関するリスク
当社グループにおきましては、得意先との取引拡大に応じて災害発生時の生産活動を継続するための在庫や、仕入先の取扱製品の生産終了に伴う在庫が増加する可能性があります。そのため得意先の需要の大幅な減少等により滞留在庫となった場合、在庫評価損を計上する可能性があります。
なお、当社グループでは、得意先の需要動向及び仕入先メーカーの生産状況・リードタイム等を加味し、各営業部門と関係部門にて適切な在庫調整に努めております。
②固定資産の減損に関するリスク
当社グループは、2024年3月期末時点において含み損を抱えている土地を保有しておりますが、それらが属する事業グループには減損の兆候が見られません。しかしながら、今後当該事業グループにおいて減損の兆候が発生した場合、減損損失を計上する可能性があります。
③為替変動に関するリスク
当社グループにおける取引の一部は、外貨建ての取引であり、為替変動による影響を受けます。なお、外貨建て取引には社内規程に従い為替予約を実施する等の対策を講じております。
また、当社グループの海外事業会社の財務諸表を円貨に換算する際に、為替変動により当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
④海外活動に潜在するリスク
当社グループは、海外事業の拡大を図っており日本を起点に北米・欧州・アジアの世界4極でのネットワークを構築し、活動を展開しております。進出した国または地域において、経済状況、政治、社会体制等の著しい変化や法律・税制の改正、自然災害や致死率の高い強毒性の感染症の世界的な蔓延(パンデミック)、戦争、テロリストによる攻撃等が生じた場合、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
なお、当社グループでは、デバイス事業、ソリューション事業それぞれにおいて、海外事業に関する専門部署を設置し、海外事業会社と連携をとり適切な対応を行うよう努めております。
⑤自然災害等によるリスク
当社グループが事業展開する国・地域において、自然災害や火災、気候変動に起因する異常気象(集中豪雨、洪水、水不足等)、致死率の高い強毒性の感染症の世界的な蔓延(パンデミック)、戦争、テロリストによる攻撃等が発生した場合、通信・交通網の遮断等が長期間にわたった場合、サプライチェーンの断絶が長期間に及んだ場合、システムトラブルが発生し復旧に時間を要する場合には当社グループの営業業務や物流業務に支障をきたし、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
また、当社グループでは事前の減災対策を行うとともに緊急時の復旧手順や行動要領等をまとめた事業継続計画(BCP)の策定、BCP在庫の確保、総合災害対策本部(旧BCM委員会)の設置と定期開催、社員安否確認システムの整備等を通じた対策や訓練・教育を実施しておりますが、大規模な災害の発生により、追加の対策コストが必要となった場合、当社グループの事業活動や財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
なお、気候変動に関する主要なリスクについては、TCFDのフレームワークに基づいてまとめており、「第2
事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動に対する取組(TCFD提言に基づく気候変動関連の情報開示)」に記載しております。
⑥コンプライアンスに関するリスク
当社グループにおきましては、コンプライアンス遵守を最優先事項として徹底するとともに、ガバナンス経営を強化し、内部統制・情報セキュリティ確保の徹底に取り組んでおります。しかしながら、国内外事業に関連した各種法規制の違反や、役員・従業員の不正行為等が発生した場合、社会的信用が低下・棄損し、当社グループの事業活動や財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
なお、当社グループでは、サステナビリティ委員会の統治・管理のもと、内部統制委員会を設置し、コンプライアンスや内部管理体制の適切性・有効性を定期的に検証し、問題点の改善・是正を行うとともに、内部統制及びコンプライアンスに関わるリスク管理等の充実に取り組んでおります。また、グループ全社員に対しコンプライアンス教育を実施し、法令遵守の徹底に努めております。
⑦情報セキュリティに関するリスク
当社グループでは、事業活動を行うにあたり顧客や取引先に関する機密情報及び個人情報を有しており、サイバー攻撃による不正アクセスやコンピューターウイルス、人為的過失等により、当該情報の漏洩や改ざん・紛失、サービス停止等が発生した場合、社会的信用の失墜や損害賠償請求等が発生する可能性がある等、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループでは、アンチウイルス等のシステム的な対策とともに、情報セキュリティ委員会の設置、グループ全社員を対象とする情報セキュリティ教育の実施と情報セキュリティ対策に取り組んでおります。
⑧人材確保に関するリスク
当社グループでは、競争の激しい環境において、ますます高度化・複雑化する事業活動を的確に継続するとともに、また、当社グループの持続的成長に向けた既存事業の深化と新たなビジネスモデルの創出を行っていく優秀な人材の採用及び育成が重要であると認識しております。必要な人材を採用又は育成できなかった場合や、想定を超えて人材が流出した場合は、事業計画の遂行に影響を及ぼす可能性があり、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
なお、当社グループでは、事業戦略に必要な人材を明確にし、採用活動や選考手法の多様化を進めております。従業員の自律的なキャリア形成を支援し、従業員一人ひとりが適性や能力に応じたパフォーマンスを発揮でき、当社グループの人材の底上げを図るべく人事制度や教育制度の充実に尽力し続けるとともに、様々な考えを持った多様な人材が集まり、働きやすい労働環境、魅力ある組織風土づくりを目指した取組を進めております。企業価値向上にとって重要性が高まる人的資本への対応の強化に取り組み、優秀な人材の確保に努めてまいります。人的資本経営の考え方や取組については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本・多様性に関する取組」に記載しております。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を経営の重要政策の一つとして位置付けており、業績に裏付けられた成果の配分を行うことを基本方針としております。
具体的には、株主各位に対する配当は、連結配当性向30%を目途とし連結純資産配当率も勘案したうえで、安定配当をベースに業績に応じた利益配当を行うこととしております。
自己株式の取得につきましては、企業環境の変化に対応した機動的な資本政策を遂行するために、財務状況、株価の動向等を勘案しながら適切に実施してまいります。
また、内部留保資金につきましては、業界における急速な技術革新に対応するため、意欲的に新製品・新技術の知識修得に努めるほか、会社競争力の維持・強化や企業体質の一層の強化に充当し、将来の業績向上を通じて利益還元を行ってまいります。
当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回としており、取締役会の決議によって行うことができます。
当期の配当につきましては、上記の方針及び今般の業績を踏まえ、東証・名証上場10周年の記念配当10円を加えた期末配当を90円とし、中間配当と合わせた年間配当は185円といたします。
なお、2025年3月期より、株主への利益還元の更なる強化を図るため、株主還元方針を変更し、連結配当性向の目安を「30%」から「30%~40%」に引き上げました。
これを踏まえ、次期の配当につきましては、1株当たりの年間配当は185円(中間配当90円、期末配当95円)を計画しております。
当社は、「取締役会の決議により、毎年9月30日の株主名簿に記載された株主または登録株式質権者に対し、中間配当を行うことができる。」旨及び「剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めがある場合を除き、取締役会の決議によって定める。」旨を定款に定めております。
(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(百万円) |
1株当たり配当額(円) |
2023年11月10日 |
941 |
95.00 |
取締役会決議 |
||
2024年5月14日 |
896 |
90.00 |
取締役会決議 |