2024年4月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスクを十分認識し、発生の回避やリスクの最小化に向けて努力していく所存であります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営環境の変化

当社グループは日本のほか、米国・カナダ・メキシコ・中国・タイ・インドネシアにそれぞれ子会社を設立し、事業活動を行っておりますが、これらの国の経済動向は、当社グループの財政状態および経営成績などに重大な影響を及ぼす可能性があります。また、米中貿易摩擦の動向やウクライナ情勢などの地政学的リスクなど、政治情勢の変化または予期しない法律や規制の変更などの不安要因が存在しております。

当社グループは、経済動向の統計資料、法律や規制の変更に関する情報などの入手・分析を行い、グループ会社間で情報の共有を図ることでリスクの低減に努めております。

 

(2) 自動車関連企業への依存

当社グループの主要取引先は、自動車関連企業であります。自動車の生産台数は中長期的に世界規模で増加していくと予測されておりますが、環境規制の強化などを受けて電動化の流れが加速するなど、同業界は100年に一度と言われる大変革期を迎えており、同業界の設備投資動向や生産計画は、当社グループの財政状態および経営成績などに重大な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、変化する顧客ニーズに対応するため、積極的な研究開発活動や設備投資など、引続き同業界に貢献できるよう取組みを強化しております。また、業績の拡大と安定化のため、自動車関連以外の業種についても取引先を拡充する取組みを行っております。

 

(3) 原材料の調達

当社グループは、製品の製造のために半導体などの電子部品をはじめとする原材料を外部から調達しておりますが、市況の変化による品不足や価格の高騰などが発生した場合には、生産活動の遅延や販売機会の喪失、製造原価の上昇などにより、当社グループの財政状態および経営成績などに重大な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、製品の安定的な生産・供給体制を確保するため、代替品の検討や入手可能な原材料への設計変更、長納期品の先行手配などの取組みを行っております。

 

(4) 新製品の開発

当社グループは、抵抗溶接製品関連およびレーザ加工技術関連を主体に接合ソリューションの開発活動を行っております。主要取引先である自動車関連企業では、様々な難板組・異種材の接合に関するニーズが高まっておりますが、開発の進捗遅延や開発した製品が市場での優位性を維持することができない場合には、当社グループの財政状態および経営成績などに重大な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、市場ニーズの調査や競合企業の動向を的確に把握するとともに、必要に応じて産学官連携による共同開発を進めるなどの取組みを行っております。

 

(5) 製品の品質

当社グループは、品質マネジメントシステムの規格であるISO9001に基づく品質管理体制を構築し、製造および販売を行っておりますが、全ての製品について欠陥が無く、将来的にもクレームが発生しないという保証はありません。また、製造物責任賠償保険に加入しておりますが、最終的に負担する損害額を製造物責任賠償保険でカバーできず損失が発生した場合には、当社グループの財政状態および経営成績などに重大な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、ISO9001の活動を通じて品質管理体制の改善・向上を図り続ける取組みを行っております。

 

 

(6) 人財の確保および育成

当社グループは、事業活動を行うにあたり人財は重要な財産と位置付けており、中長期的な視野のもとその確保および育成に努めておりますが、昨今の少子高齢化に伴う労働人口の減少などにより十分な人財確保ができず、当社グループが長年培ってきた技術の伝承に支障が出た場合、当社グループの財政状態および経営成績などに重大な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、ダイバーシティの推進、働き方改革によるより働きやすい労働環境の整備を進めることで人財確保に努め、新卒採用のみならず必要な能力を備えた即戦力となる人財の中途採用を実施してまいります。

 

(7) 情報セキュリティ

当社グループは、事業活動を行うにあたり様々な機密情報や個人情報を有しておりますが、外部からのサイバー攻撃や不正アクセス、コンピューターウイルスへの感染などにより、これらの情報が外部へ流出・漏洩した場合、当社グループの社会的信用の低下や損害賠償請求などにより、当社グループの財政状態および経営成績などに重大な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、情報セキュリティに関する各種規程を制定するとともに、情報セキュリティ委員会を中心とした社員教育や啓発活動などに取組んでおります。

 

(8) 固定資産の減損

当社グループは、M&Aを持続的な成長による企業価値向上のための経営戦略の一つとして実施しており、のれんなどの無形固定資産を連結貸借対照表に計上しておりますが、経営環境の著しい変化等により期待される将来キャッシュ・フロー等の見積額が減少した場合、のれんなどの無形固定資産について減損損失が計上され、当社グループの財政状態および経営成績などに重大な影響を及ぼす可能性があります。

なお、当連結会計年度の連結貸借対照表に計上されているのれん(7億1千5百万円)および顧客関係資産(5億9百万円)は、2019年11月に株式会社タマリ工業の全株式を取得したことに伴い計上したものであります。

当社グループは、M&A実施時に対象企業の財務内容等について十分な検討を行うとともに、シナジー効果の最大化に向けた事業戦略の推進などに取組んでおります。

 

(9) 災害の発生

当社グループの事業所の多くは、東海地震防災対策強化地域に所在しており、この地域で大規模な地震等の災害が発生した場合、事業活動に遅延や停止が生じ、当社グループの財政状態および経営成績などに重大な影響を及ぼす可能性があります。また、原材料または商品の調達先が被災した場合、生産活動または営業活動の機会損失が発生する可能性があります。

当社グループは、調達先と連携を密に図りリスク管理を強化するとともに、調達先の複数化を図るなどサプライチェーンの強化に取組んでおります。

 

(10) 為替レートの変動

当社グループは日本のほか、米国・カナダ・メキシコ・中国・タイ・インドネシアで事業活動を行っております。在外子会社等の現地通貨建ての財政状態および経営成績は、連結財務諸表の作成のために円換算されており、換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。また、主に当社において、一部の在外顧客への販売は外貨建てにより行っており、換算時の為替レートにより、当社グループの財政状態および経営成績などに重大な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、外貨建取引や在外子会社等への投資等を実行する場合には、為替の変動リスクを軽減するため、為替予約等によるヘッジ取引を行っております。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は株主に対する利益還元を重要な課題と認識しており、財務体質の強化や将来の事業展開に備えた内部留保の充実などを総合的に勘案しつつ、業績に連動した配当を安定的かつ継続的に行うことを基本方針としております。業績に連動した指標としては連結配当性向30%以上とします。連結配当性向により算出された年間配当金額が10円を下回る場合でも、年間10円の配当を堅持できるよう努めてまいりますが、著しい経営環境の変化などの特殊要因により、親会社株主に帰属する当期純利益が大きく変動する場合等については、その影響等を考慮し配当額を決定することがあります。

また、2025年4月期を初年度とする中期経営計画の3年間における株主還元方針につきましては、連結配当性向30%以上とする配当を実施しつつ、自己株式の取得を含めた総還元性向50%以上を目標としております。

当社の剰余金の配当は、中間配当および期末配当の年2回を基本方針としております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。

当事業年度の配当金につきましては、上記基本方針をふまえつつ、当事業年度の業績を勘案して、年間としては1株につき35円(うち中間配当11円)の配当を実施いたしました。この結果、連結配当性向は36.11%、連結自己資本配当率は1.64%となりました。

内部留保資金につきましては、業容の拡大に向けた財務体質の強化と、研究開発および販売体制の強化を中心とした投資に活用し、今後とも安定した配当水準の維持、向上に努めてまいる所存であります。

また、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。

なお、基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

2023年12月7日

取締役会決議

99,166

11.00

2024年7月23日

定時株主総会決議

211,062

24.00