2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

当社グループの戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。当社グループは「リスクマネジメント基本規定」を定め、自然災害や火災等のみならず会社の存続に係る重要なリスクを適切に認識し評価した上で、それらリスクを適切に管理するための管理体制を構築しております。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)海外事業展開

自動車業界を中心とする当社グループの取引先は、新しい市場への対応やコスト削減のためグローバル化が進展しており、これに対応するため当社グループは積極的な海外事業展開を進め、米国・欧州・アジア・中国に進出しております。

一方、海外事業には以下のようなリスクが内在しております。

①関税制度をはじめとする法規制の予測不能な変更

②政治的な不安定要因

③人材確保・教育の難しさ

④テロ・戦争・伝染病の流行などによる混乱

⑤為替相場の変動による採算の悪化や、損失の発生

これらのリスクが顕在化することにより、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)経済状況

当社グループの製品の需要は、当社グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受ける可能性があるため、日本はもとより主要な市場である米国、欧州、アジア、中国における景気悪化及びそれに伴う需要減少は当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。とくに、建設産業機械用熱交換器につきましては、好不況の影響により、販売数量が大きく増減しますが、当社グループの生産設備・人員等は、販売数量が増加した場合に備えたものとなっており、販売数量が大幅に減少した場合、当社グループの経営成績及び財政状態等に大きな影響を及ぼすこととなります。

 

(3)OEM(※)製品への依存

当社グループの販売は、OEM製品の依存度が大きく、そのため自動車メーカー及び建設産業機械メーカー等顧客企業の業績不振、価格の値引き及び調達方針の変更等は当社グループの経営成績及び財政状態等に多大な影響を及ぼす可能性があります。また、OEM取引においては、当社グループ独自の観点のみで、事業撤退等の経営戦略を決定することが、困難であり、不採算事業の継続等により、当社グループの経営成績及び財政状態等に多大な影響を及ぼす可能性があります。

(※)Original Equipment Manufacturer「相手先(委託者)ブランド名製造」

 

(4)災害等の発生

当社グループは、国内外に事業拠点を有しており、地震、台風、洪水等の自然災害や新型ウイルスなどによる疫病流行の発生時の事業継続に備え、BCM(事業継続マネジメント)体制の構築をすすめております。しかし、予想を超える規模の被災により、物的資源・人的資源への重大な影響や、ライフライン・輸送ルート等の寸断などによる生産の中断といった事態が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態等に多大な影響を及ぼす可能性があります。また、災害の影響が、当社グループに直接大きな影響を与えない場合においても、当社取引先に重大な影響を与えた場合、当社グループにおいても、生産の中断を余儀なくされ、当社グループの経営成績及び財政状態等に多大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)原材料価格等の上昇

当社グループが購入する主要な原材料はアルミ・銅などの非鉄金属ですが、これらの購入価格は非鉄金属市場の市況の影響や為替相場により、変動するリスクを持っております。購入価格の上昇分を販売価格に転嫁できる取引先もありますが、転嫁できない取引先や、一部の転嫁にとどまる取引先もあります。また、購入価格上昇時と、転嫁時の時期的なずれもあり、原材料価格の上昇リスクが、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

また、前連結会計年度からは、電力費、物流費、人件費等の上昇も発生しております。これらのコスト増加分の販売価格への転嫁につきましては、取引先との個別交渉となりますので、転嫁できない場合もあり、生産効率向上、合理化等により、これらのコスト増加が吸収できない場合、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

(6)サプライチェーンの分断

 当社グループは、原材料、部品を複数の供給元から調達しています。供給元とは、安定的な取引を前提としていますが、供給元の突発的な事故、感染症拡大等による生産停止や納入遅延、及び物流網の問題などにより、原材料、部品の不足が生じ、当社グループの生産に支障が生じる可能性があります。また、当社の供給先である自動車メーカー等において、当社グループ以外の供給元からの半導体等主要部品の供給に支障が生じた場合、自動車メーカー等の減産により、当社グループの生産に影響を与える可能性があります。このような場合、当社グループにおいて、生産の中断、原材料調達コスト上昇、及び物流コスト上昇により、当社グループの経営成績及び財政状態等に多大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)品質不具合

当社グループでは、品質保持・向上を最重要課題と考え、グローバルな品質保証体制の構築を目指しております。自工程での品質保証、過去の不具合に学び失敗を繰り返さないなどの活動の浸透を進め、万全の体制をもって製品の生産に努めております。ただし、万が一、主要製品において、予期せぬ品質不具合が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態等に多大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)設備投資

当社グループにおいては、新機種対応等において、新たな設備投資が必要になるため、設備投資額が多額に上っております。設備の汎用化などにより、設備投資額を抑制する活動は実施しておりますが、一定の品質水準の確保などの観点から、ある程度の設備投資が必要となります。このため、多額の設備投資を実施した事業において、販売減少等により、想定した利益確保ができない場合、多額の減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態等に多大な影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクコントロールのため、当社グループでは、新規投資時において、投資回収分析によるリスク評価を行うとともに、投資回収実績のモニタリングを実施しております。

 

(9)気候変動によるリスク

当社グループの事業に影響を与える気候変動によるリスクには、脱炭素社会への移行リスクと、物理リスクがあります。主な移行リスクは、燃費・排ガス規制や電動化の拡大に、当社製品が適切に対応できないことで、売上が減少する可能性があります。また、物理リスクとしては、洪水などの異常気象の深刻化と頻度の上昇により、工場操業停止やサプライチェーンの分断により、生産活動に支障を来たす可能性があります。

当社グループは、これらのリスクに対応するため、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」に賛同し、気候変動に関する具体的なシナリオ分析を実施しております。

 

(10)情報セキュリティ

当社グループは、業務効率化のため、様々な情報技術システムを利用しており、外部からのサイバー攻撃(侵入防止・検知)への対策、これらの攻撃に対する社員への啓発・教育などの対策を強化しております。しかし万一、外部からのサイバーテロやコンピューターウィルスの侵入により機密情報の漏洩または喪失があった場合、生産等の業務の継続に支障を来たし、当社グループの経営成績及び財政状態等に多大な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、中期経営計画T.RAD-12(2022年度~2025年度)において、業績に連動した株主還元として、配当性向30%以上、総還元性向90%以上を掲げてまいりました。その中で、2023年度につきましては、総還元性向94.5%となる配当還元を122期定時株主総会に付議する予定としております。2024年度以降につきましては、2023年度の還元実額を土台として、安定的で継続的な株主還元を実現してゆくため、連結株主資本配当率(DOE)を新たな株主還元の指標として導入いたします。

 

 また、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うこととしており、これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

 

 当事業年度の配当につきましては、2023年11月30日に1株当たり80円の中間配当を実施し、2024年6月25日開催予定の定時株主総会で、1株当たり100円の期末配当を決議する予定であります。

 

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2023年11月6日

525

80

取締役会決議

2024年6月25日

656

100

定時株主総会決議予定