2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 経営及び事業を取り巻く環境が大きく変化し、不確実性がますます高まる中、当社はグループでのリスク管理プロセスを主導する「グループCRMO」を設置したリスク管理体制を構築しています。また、リスクマネジメント推進組織としての独立性を担保し、より専門性を高める目的で、グループCRMOの下に「リスクマネジメント部」を設置しています。

 グループCRMOは、当社各部門及びグループ企業が重要視している各種リスクを分析したうえで、経営に大きな影響を及ぼしうるリスクを「グループ重点リスク」として定め、当社各部門及びグループ企業にリスクを低減するための予防的取組(リスク対応計画)の策定、実行を指示しています。そして、予防的取組の取組み状況をモニタリング、適宜助言し、その内容を定期的に経営会議、取締役会に報告しています。

 またグループCRMOは、インシデント発生時には、発生部門又はグループ企業に解決に向けた速やかな対応を指示するとともに、大きな危機に転化するおそれがある場合は、その影響を極小化するために、グループCRMO指名メンバーによる対応チームを組成し、各種対応方針等を決定実行することにより、常に危機管理を徹底しています。

 なお、事業影響が生じる重大なインシデントに繋がる可能性がある場合は、速やかに経営層に報告し、対応方針について審議・決定しています。

 

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月26日)現在において当社グループが判断したものです。

 

1.世界経済・金融市場・自動車市場に起因するリスク

(1)主要市場の経済状況・総需要の変動

 当社グループの全世界における売上高のうち、主要な部分を占める自動車の需要は、当社グループが製品を販売している国・地域、特に日本、タイ、米国などの主要国市場における経済状況の影響を受けます。

 また商用車市場は日本においては今後漸減が予想される一方で、新興国においては物流需要の増加が見込まれることから、当社グループは一部の新興国市場を戦略地域と定め、拡販活動を進めています。そのため、一部の新興国市場における経済状況もまた、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは経済状況・需要動向の見通しの正確な把握に努めるとともに、製品を販売する市場の分散によって影響を極小化していますが、当社グループの主要市場における景気後退、及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、半導体をはじめとした外製品不足による生産制約が再び顕在化した場合、資材費・エネルギー費用・物流費等が高騰した場合、当社グループの事業活動、業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)自動車市場における競争

 当社グループの全世界における売上高のうち、主要な部分を占める自動車市場は、激しい競争が繰り広げられています。競争環境の激化は当社製品の競争力に影響を及ぼし、価格変動やシェア変動を引き起こす可能性があります。競争に影響を与える要素は製品性能、安全性、燃費、環境負荷、価格、アフターサービスといった当社製品に起因する事項の他、各国の電気自動車(EV)等への補助金政策をはじめとする外部起因の事項を含め多岐にわたり、各国の市場によって状況は異なります。

 当社グループは主要市場での競争力を維持・強化するため、当社製品に起因する要素の改善に取り組みながら、競争力の高い製品について継続的に開発・生産・販売並びにそのアフターサービスを実施していますが、主要市場や新興国市場等での他社との競争に劣後した場合や予期しない業界再編が生じた場合、及び各国の補助金政策等が当社グループに不利な内容となる等の場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)為替及び金利の変動

 当社グループの事業には、世界各地における製品の生産と販売が含まれています。各地域における売上、費用、資産、負債を含む現地通貨建の項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されています。換算時の為替レート、特に米ドルやタイバーツの為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。さらに、為替変動は、当社グループが購入する原材料の価格や販売する製品の価格設定に影響し、2022年以降は円相場が複数通貨に対し値下がりしたことで、実際に原材料価格や製品価格の変動が生じています。

 

 また、当社グループは日頃よりキャッシュ・フローの管理に努めていますが、資金調達に関わるコストは、市場金利が急激に上昇した場合、支払利息の負担が増大するなど、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは為替及び金利の変動による影響を極小化すべく、現地生産に加えて、先物為替予約取引を含むデリバティブ金融商品の活用を行っています。

 しかし、為替及び金利の大きな変動が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)原材料等価格の変動

当社グループは、自動車製造にあたり、鉄、非鉄金属、樹脂等の原材料を使用しており、加えて、xEVの研究・開発やBEVの市場投入等によってレアメタル等の使用が増加することを見込んでいます。

 世界的な需給逼迫等によりこれらの原材料価格やエネルギー価格が上昇すると、当社グループとしての製造コストもそれに伴い上昇する可能性があります。その際、生産性向上などの内部努力や製品価格への転嫁などをもってしても上昇分のコストを吸収できなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

2.事業に関するリスク

(5)新しい技術革新やビジネスモデル変化などへの対応

 当社グループの事業に関わる外部環境は大きく変化しています。商用車市場のお客様ニーズの多様化や商用車を用いたビジネスモデルの変化、「CASE」に代表される技術革新、生産・販売・アフターサービス・バックオフィス業務におけるデジタルイノベーションの推進、ESG投資やSDGs達成への期待の高まりなどの技術変化や社会変化は、当社グループの事業の拡大と深耕の好機です。

 当社グループはこうした技術変化や社会変化に速やかに対応するため、常設部署を設置し、全社横断の複数プロジェクトを推進しています。また、当社グループは商用モビリティソリューションカンパニーへの進化を掲げ、自動運転ソリューション、コネクテッドサービス、カーボンニュートラルソリューション等の「運ぶ」を創造する新事業の創出・拡大を目指しています。しかし、万が一、これらの技術変化や社会変化に速やかかつ十分に対応できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)研究開発

 当社グループの置かれた事業環境は競争の激化や市場ごとに異なる商品ニーズの多様化などが見込まれます。

このような経営環境に対応し、「運ぶ」を支える「ものづくり事業」を推進していくには高い技術と市場のニーズを的確にとらえた製品を提供する研究開発への取組みが不可欠です。

 当社グループは、将来の市場ニーズの予測、研究開発分野の優先順位付けを通じて、新たな技術や製品の開発に取組んでいますが、もし求められる技術水準への到達や適正な市場ニーズの把握に失敗や遅延した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、アライアンス及び部品メーカーとの協業を通じて新たな技術や製品の入手をしていますが、もしアライアンス先や部品メーカーから求められる技術水準への到達に失敗や遅延した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)合弁事業をはじめとするアライアンス

 当社グループは、いくつかの国において、各国の法律上の、あるいはその他の要件により合弁で事業を行っています。また、国内外の販売ではディーラーやディストリビュータと提携し、研究開発では合弁事業や業務提携を行っています。

 当社グループは合弁相手やアライアンス先の経営状況、ガバナンス、その他重要な非財務情報も含め、様々な情報をもとに業務提携の要否を検討します。

 しかし、合弁相手やアライアンス先の経営方針、経営環境の変化等当社グループが管理できない要因により、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)販売・供給における特定チャネルへの依存

 当社グループは、当社製品である自動車やその構成部品等を、トリペッチいすゞセールス㈱(タイ国バンコク市)や、ゼネラルモーターズ・コーポレーション(アメリカ合衆国ミシガン州デトロイト市)など当社グループ内外の特定チャネルを通じて販売・供給しています。当社グループの販売・供給における特定チャネルの依存について、取引先の業績悪化等により市場への供給・流通量が減少した場合、又は取引先の信用不安等による貸倒れが発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは大口顧客企業との関係を維持するとともに、新規顧客の開拓によるリスク分散を図っています。しかし、これらの顧客企業への売上は、顧客企業の生産・販売量の変動など当社グループが管理できない要因により影響を受け、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)資材、部品等の調達の遅れや不足

 当社グループは、生産に必要な原材料、部品及び製品を外部のサプライヤーから調達しています。以下のような事象が当社グループのサプライヤーや調達網で発生した際には、供給・輸送能力の低下や供給・輸送の中断が引き起こされ、生産に必要な量の原材料、部品及び製品が確保できなくなる、又は確保が遅れる可能性があります。

 

・サプライヤーや物流網において自然災害や大規模な事故等の不測の事態が発生した場合

・サプライヤーや物流網で大規模なシステム障害が発生した場合

・サプライヤーの供給能力を大幅に超えるような需給状況になった場合

・サプライヤーにおいて許認可取り消し等による製品の出荷停止が生じた場合

・サプライチェーン上の人権侵害等、品質・コスト・納期以外の問題が顕在化した場合

・海上交通の要衝での事件・事故等により物流網で混乱が生じた場合

 

 当社グループは、サプライヤー各社の生産能力、信用リスク、製品等の品質、コスト等製品の供給に直接関わる事項を定期的に把握するとともに、各社の法令・コンプライアンス遵守や気候変動問題への対応状況を確認し、調達の支障が生じないように努めています。しかし、以上のような事象が発生した場合は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)コンプライアンス・レピュテーション

 当社グループでは、関係法令等の遵守はもちろん、ステークホルダーからの期待に応えるという意味でもコンプライアンスを徹底しています。

 当社グループでは、法令等の違反を未然に防止する体制並びにコンプライアンスに関わる案件を察知した場合には速やかに対応する体制を構築しています。

 またコンプライアンスの推進や体制整備について、客観的な助言・監督・評価を仰ぐことを目的として、社外委員も含めた社長の諮問機関であるコンプライアンス委員会を設置しています。

 しかし、コンプライアンスの徹底にもかかわらず、将来にわたって法令違反が発生する可能性は皆無ではなく、法令違反の重篤性及び、発生時の対応内容や迅速性等が不十分な場合には、当社グループの社会的信用に重大な影響を与える場合があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、道路運送車両法違反による生産停止や、各国の個人情報保護、贈収賄禁止、独占禁止・不正競争禁止に関する法令等への重大な違反が認められ、高額な制裁金が課せられた場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)製品の欠陥

 当社グループは、厳格な品質管理基準に従って各種の製品を開発・生産しています。品質の維持及び改善のため、当社グループは「品証・CS委員会」を通じて、不具合情報の早期発見と共有、品質向上のための全社横断的検討、全社的な品質マネジメントの運用状況の監視を実施しています。また製品の欠陥等を原因とする損害賠償が必要な場合に備えて、製造物賠償責任保険に加入しています。

 しかし、万が一大規模なリコールを実施する場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、実際に発生した費用が事前に計上した未払費用を大きく上回る場合や、製造物責任賠償金が製造物賠償責任保険により填補できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)デジタル社会におけるサイバーセキュリティに関するリスク

 当社グループの事業は多くのシステムに依存しており、情報の機密性、完全性、可用性を一定以上で維持するための高度な態勢を確保しています。具体的には、個人情報や機密情報の保護、データやシステムの可用性の維持、各種情報の改竄防止等の情報セキュリティの維持・改善を目的に、様々なリスク対策を実施しています。また、製品のサイバーセキュリティ法規(R155 CSMS認証、R156 SUMS認証)にも遵守し、お客様が安心安全にご利用できるように努めています。

 しかし、不測の事態により情報漏洩等が発生した場合や、製品の安心安全に影響がある事象が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。また、システム障害やコンピューターウイルスへの感染、サイバー攻撃等が発生した場合には、業務の中断や、データの破損・喪失などを引き起こす可能性があります。その結果、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 また当社グループは、アライアンス先との情報セキュリティに関する契約を締結し、個人情報や機密情報の保護、データやシステムの可用性の維持、各種情報の改竄防止等の情報セキュリティの維持・改善を目的に、様々なリスク対策を実施しています。しかし、不測の事態により情報漏洩等が発生した場合、企業としての信用低下、顧客等に対する損害賠償責任、アライアンス先に対する損害賠償責任が発生するなど、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)知的財産保護に関するリスク

 当社グループは他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してきましたが、当社グループ独自の技術とノウハウの一部は、特定の国・地域では法的制限のため知的財産権による完全な保護が不可能、又は限定的にしか保護されない状況にあります。

 当社グループは知的財産保護のための取組みを進めています。しかし、第三者が当社グループの知的財産を使って類似した製品を製造することを効果的に防止できない場合や当社グループに対する知的財産権侵害訴訟による製造・販売の差し止めや損害賠償の請求が認められた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)優秀な人財の確保・定着、成果創出等

 当社グループの事業では、人財が最も重要な資産と考え、当社グループの事業推進に必要となる技能・能力をもった多様な人財の確保に努めるとともに、従業員一人一人のモチベーション、熱意、技能、能力、パフォーマンスを高め、当社グループに定着させるための取組みを進めています。しかし、今後の人財獲得競争の一層の激化により、優秀な人財確保・定着がより困難になっていく可能性があります。

 また、当社グループの従業員構成は日本企業の多くと同様に、シニア層に集中しています。それに伴って、将来的には円滑な技能伝承や適切な人員配置が困難となる可能性があります。

 こうした状況を踏まえて、当社グループでは「ISUZU ID」に掲げる「働きがいNo.1」を目指し、また「IX」で2030年に目指す姿の一つとして掲げた「人的資本経営への進化」を実践しています。従業員の専門性強化と挑戦を後押しするグローバル基準の人財マネジメント基盤を整備すべく、当社では2024年4月より新人事制度をスタートしました。2026年度までにグループ全体に展開します(詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」中の「(3)人的資本・多様性」を参照ください。)。

 さらに当社グループでは「人的資本経営」や「働きがいNo.1」の前提となる人権尊重について、「いすゞグループ人権方針」に従い、役員・従業員に対する人権意識を高めるための教育・啓発活動、人権DD等に取り組んでいます。また、ビジネスにおける人権尊重の重要性を踏まえ、ステークホルダーとの対話を行い、事業パートナー及び取引先の皆様に対しても理解促進に努めています。

 しかし、これらの対応が十分ではない場合、従業員の離職、モチベーション低下、期待値に満たない成果、技能伝承の失敗、競争力の低下によって、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)地政学リスク

 当社グループの製品の生産及び販売活動は、日本国内のみならず広く海外で行われ、事業展開する各国・地域において許認可をはじめとした各種政策の影響を受けます。また、戦争や政権交代等の政治情勢の変化、経済状況の変化、社会状況の変化は、当社グループの経営・事業活動及びサプライチェーンに影響を与えます。当社グループでは、こうした不確実性を地政学リスクとして認識し、特に以下の予期せぬ事象(ただし、以下に限定されません)が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

・事業・投資の許可

・輸出入、技術移転の制限

・潜在的に不利な租税政策の変更

・排出ガス規制並びに燃費/CO規制

・当社グループ財産の直接的又は間接的収用

・情報やデータの管理や移転の制限

・安全保障上のリスクがある設備、ソフトウェア、クラウドサービス、委託先等の利用・調達に関する制限

・送金や兌換の規制

・為替政策

・その他、経済安全保障や国家安全保障に由来する政策

・国家間紛争・内戦、革命、クーデタ、騒擾、テロ

・重要な海上交通路の寸断

 

 当社グループは各国・地域、特に日本、米国、アセアン地域、中国、欧州地域における地政学リスクの情報収集を行い、法規制の変化に備えた投資や新技術・製品の開発を行う等、様々な対策を実施しています。しかし、こうしたリスクが顕在化した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)災害等

 当社グループは全世界で事業を展開しているため、様々な災害リスクにさらされています。大規模地震、風水害や噴火等の自然災害、停電又はその他の中断事象、疫病・感染症が顕在化した場合、当社グループの生産活動、販売活動、その他事業活動に影響が生じる可能性があります。特に主要な事業拠点が集中する日本・南関東に大規模な災害等が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、設備不良、オペレーションミスによる事故、火災等の人為的災害が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは災害等が発生した場合の行動計画を予め策定、それに基づいた訓練を実施しています。また新型インフルエンザやその他の未知の感染症等についても予防・対応計画を予め策定し、それに基づいた訓練を実施しています。

 さらに、当社グループでは、従業員や関係者の労働災害を防止すべく、労働安全衛生を最優先事項として取り組んでいます。具体的には、「安全衛生活動方針」に基づき、従業員一人ひとりが「安全衛生理念」に立ち返り、安全を最優先に考え行動すること、さらに、安全・衛生意識を向上させて、全員で「安全」を保つ活動を展開することを定め、各職場における安全管理目標達成に向けて日々積極的に取り組んでいます。

 しかし、これらの取り組みにもかかわらず、災害等による影響を完全に防止又は軽減できない場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)気候変動

 当社グループは、気候変動対応を最も重要な経営課題の一つとして位置づけ、気候変動に関する規制強化と、頻発・激甚化している自然災害への対応に取り組んでいます。一方で、更なる成長機会の獲得のため、脱炭素社会に貢献するイノベーションの創出を進めています。

 気候変動に関するリスク全般については、当社グループのリスク管理体制の下で管理しています。個々の具体的な気候変動リスクについては、サステナビリティ委員会が特定・評価を行い、事業への影響を踏まえた対策の進捗を管理しています。適切に評価したリスクについては、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)のフレームワークに沿った情報開示を行っています。詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(2)気候変動」を参照ください。

 当社グループは、長期的視野で地球環境問題に取り組むための方向性を示す「いすゞ環境長期ビジョン2050」を、2020年3月に策定しました。「いすゞ環境長期ビジョン2050」では2050年までに、当社グループ製品のライフサイクル全体での温室効果ガス(GHG)ゼロ、及び当社グループの事業活動から直接排出されるGHGゼロを掲げ、GHG削減に取り組んでいます。

 2024年4月に中期経営計画として策定した「IX」においても、「運ぶ」を創造する新事業として、「カーボンニュートラルソリューション」を掲げています。具体的には、「いすゞ環境長期ビジョン2050」に基づきマルチパスウェイで技術開発を進め、地域の状況や社会動向に適した商品を展開することで、CN社会実現に貢献します。また、燃料代や電気代までを含む総所有コスト(TCO)の観点で価格競争力のあるBEVを投入し、周辺事業の展開を推進します。

 しかし、気候変動そのものを緩和するための取組みや気候変動による影響への対応・取組みが不十分である場合、当社グループの業績及び財政状態に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、株主への利益配分の実施は、多様化するステークホルダーの皆さまと共に発展するため、成長投資資金の確保、及び財務健全性の維持を目的とする内部留保の充実と、株主価値重視とのバランスを総合的に勘案の上、決定しています。

当社は、毎年9月30日を基準日として、会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定款に定めており、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としています。これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会です。

当事業年度に係る普通株式の配当金は、中間配当は1株につき43円、期末配当金は1株につき49円、合計で1株につき92円を実施することとしました。

内部留保資金については、今後の更なる成長に向けた投資資金への活用及び資本効率を重視する経営の一環として、配当や状況に応じた機動的な自社株取得等の株主還元実施に充当していきます。

 

当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりです。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2023年11月10日

33,428

43

取締役会決議

2024年6月26日

36,790

49

定時株主総会決議