リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 外部経営環境による影響について
当社グループが展開している家賃債務保証及び家賃債務保証関連のソリューションサービスは、住宅の賃貸借契約の存在を前提として提供されるものであります。そのため、賃貸住宅の着工件数、景気及び賃料の動向、人口及び世帯数の増減など、賃貸住宅市場に影響を及ぼす外部経営環境の動向は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
住居は生活に欠かせない要素であることから、短期的かつ急激な動向の変動の可能性は認識しておりませんが、今後10年程度以内には、賃貸住宅戸数の増加傾向は頭打ちとなると考えており、これを受けて家賃債務保証の成長率は鈍化する可能性を認識しております。
そのため、当社グループは、保証サービスだけでなくソリューションサービスとして提供することで賃貸住宅市場へのサービスの深度を高めていくこと及び家賃債務保証で培ったノウハウを他の市場に展開することで、成長を継続していきたいと考えております。
(2) 風評リスク
当社グループ及び当社グループが属する家賃債務保証業界に対して否定的な風評が広まった場合、その内容の真偽に関わらず、当社グループの評判や事業に対する信頼が低下する可能性があり、顧客や取引先からの信用を失い、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループは新たな分野の保証サービスとして、介護費用保証、医療費用保証及び養育費保証を提供しております。新たな保証サービスにおいても、否定的な風評が広まった場合、当該保証サービスの成長性が低下する可能性があります。特に、家賃債務保証については、賃貸住宅市場においてある程度の利用割合を保持しており、広く一般的に利用されていると考えられることから、短期間にリスクが顕在化することは想定しておりませんが、保証事業が、督促という行為を伴う以上、常に風評リスクを負っているものと認識しております。
これらのリスクに対応して、当社グループは、コンプライアンスを重視した回収活動を徹底しております。具体的には、督促時の運用ルールを債権管理規程として整備運用するとともに、督促時の通話記録を内部監査室が定期的にモニタリングしております。また、インターネット掲示板等への書き込み等による否定的な風評に対しても、定期的にモニタリングを実施し、リスク・コンプライアンス委員会において、必要な対応を協議することとしております。
(3) 法的規制等について
当社グループが展開している保証事業については、当連結会計年度末現在において、事業を直接的に規制する法令等は存在しておりません。また、サービスを提供するにあたり、法令に基づく関係監督官庁への届出や許認可の取得の義務、並びに業界団体への加入義務等の規制もありません。現状において、具体的な法規制の動きは認識しておりませんが、将来的に、新たな法的規制の導入や現行法令等の解釈の変化により、サービス内容の変更を余儀なくされ、又は保証事業自体の継続が困難となった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。なお、2024年3月期の保証事業の売上高は、7,733,583千円となっており、売上の86.2%を占めております。
これらのリスクに対応するため、当社グループは公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の家賃債務保証事業者協議会に加盟し、業界の動向や情報収集につとめております。また、法令等に関する新たな動きを認識した際には、適宜顧問弁護士等と相談し、対応を協議いたします。
(4) 信用リスク
当社グループが提供する保証サービスは、保証委託者の債務不履行が発生した場合に当社グループが代位弁済を行うものであり、その性質上、代位弁済した立替債権の一部が未回収となる可能性があります。
また、著しい経済環境の悪化等により、立替債権が増加し、貸倒引当金及び保証履行引当金が想定を超えて計上された場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があり、2024年3月末時点で、立替金は、3,824,979千円、総資産に占める割合は、39.6%となっております。
当社グループでは、想定を超えて立替債権が発生することがないよう保証委託契約前に審査を実施しております。審査の実施においては、保証審査規程を整備した上で、代位弁済型の保証商品については、自社の審査システムに基づき、家賃決済クレジットサービス付商品については、大手信販会社と連携し、審査の適切性の確保に努めております。また、発生した立替債権については、滞納案件の状況に応じた適切かつ早期の督促により債権の正常化を図り、圧縮を進めております。これらの施策により、回収率は安定的に推移しており、短期において大きく変動する可能性は認識しておりませんが、著しい経済環境等の悪化は、中長期的に代位弁済の発生率及び回収率を通じて業績に影響を与える可能性があります。
なお、発生する債権の回収不能時の損失及び将来の保証履行発生による損失に備えて、過去の回収実績等をもとに、貸倒引当金及び保証履行引当金を計上し、会計上の手当てを行っており、2024年3月末時点で、貸倒引当金は1,735,104千円、保証履行引当金は477,670千円となっております。
(5) 個人情報漏洩リスク
当社グループは、事業の性質上、保証委託者をはじめ多くの個人情報を保有しております。これらに対して、悪意による第三者からの当社グループのデータベースへの攻撃や、従業員や外部委託者の人為的なミス及び事故等により、当該情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの信用が失われ、業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、個人情報の漏洩を防ぐため、個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備し、当社においては「プライバシーマーク」を取得して、個人情報保護規程に基づき当該情報の管理を徹底しております。
また、各種システムの利用については、その機能や仕様を十分に検討して運用しており、情報セキュリティ基本方針に基づきセキュリティ対策も講じております。
(6) 重要な取引先について
当社は、大和リビング株式会社の管理している物件に関連して、保証サービス及び保証関連の業務受託等のソリューションサービスを提供しており、その内容は下記のとおりであります。
なお、当社は大和リビング株式会社との良好な取引関係の維持と更なる発展に努めております。また、同社との取引は今後も当社グループにとって重要な取引であることには変わりはありませんが、家賃債務保証で培ったノウハウを他の市場に展開することで、家賃債務保証及び保証関連の業務受託サービス以外のサービスも成長させていく方針であります。
① 保証事業
当社グループが提供している家賃債務保証サービスは、主に賃貸住宅の管理会社等を通じて、賃貸物件の入居者に対して提供されております。当社は、大和リビング株式会社と業務委託契約を締結し、当該業務を委託しており、同社が管理している賃貸物件等にかかる保証サービスの売上高は、2024年3月期において連結売上高の56.8%を占めております。当社グループが提供する保証サービスは、保証委託者との保証委託契約に基づき保証料を収受するものであり、直接の販売先は不特定多数の各保証委託者となっておりますが、同社が管理する物件数又は同社との取引関係に変化が生じた場合や、同社の経営方針に変更が生じた場合には、同社が管理している賃貸物件につき、賃貸借契約の終了に伴い当該保証契約が解約される一方で、同社を介した新規の保証契約数が大幅に減少するなどにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
② ソリューション事業
当社は、大和リビング株式会社が管理している物件の入居者を対象として、保証関連の業務受託等に関するソリューションサービスを提供しております。本サービスは、同社が連帯保証人不要制度を導入したことに伴い、審査業務、未入金案内業務及び債権管理支援業務等を一括して受託サービスとして提供するものが主であります。当該サービスは、大和リビング株式会社及び大和ハウスフィナンシャル株式会社から業務を受託しております。両社に対する当該業務受託を含むソリューションサービスの売上高が連結売上高に占める割合は、2024年3月期において、大和リビング株式会社が9.1%、大和ハウスフィナンシャル株式会社が2.0%と比較的高い水準にあります。当社は質の高いサービスを提供することで大和リビング株式会社及び大和ハウスフィナンシャル株式会社と良好な取引関係の維持と更なる発展に努めております。しかしながら、大和リビング株式会社が管理する物件数又は両社との取引関係に変化が生じた場合や、両社の経営方針に変更が生じた場合には、取扱件数の減少等により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(7) 株式会社プレステージ・インターナショナルとの関係について
当社グループは、株式会社プレステージ・インターナショナルの連結子会社に該当いたします。同社は、当連結会計年度末現在、当社の株式の56.9%(議決権所有割合)を間接的に保有しており、当社取締役8名及び監査役3名のうち、取締役1名及び監査役1名が兼任となっております。
当社グループは、同社に対し、継続的な取引として、システム利用料等の支払を行っておりますが、2024年3月期において、24,053千円であり、経費の立替等のその他の取引と合計しても、売上原価及び販売費及び一般管理費合計に占める割合は1%未満であります。
上述のとおり同社との取引関係及び人的関係は限定的であり、当社グループの経営方針及び事業展開において、当社グループの独立性を阻害する状況にはないものと判断しております。しかしながら、同社は、当社グループの親会社であり、同社の経営方針に変更が生じた場合、当社グループの事業展開に影響を与える可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は将来の事業拡大と企業体質強化のために必要な内部留保を確保しつつ、業績と連動した安定的な配当を継続していくことを基本方針としております。
配当性向に関しましては、2021年5月公表の中期経営計画において、配当性向を30%から40%の範囲とする方針を掲げ、基本方針を踏まえた配当政策を実施してまいりました。
また、2024年5月に公表いたしました2025年3月期からの中期経営計画では、配当性向を40%から60%の範囲としたうえで、最終年度である2027年3月期の配当性向について、60%を目標とすることを掲げております。
当事業年度の剰余金の期末配当金につきましては、1株につき普通配当を9.0円とさせていただきました。なお、中間期において、中間配当金1株につき9.0円を2023年12月4日に実施いたしておりますので、当期の年間配当金は1株につき18.0円(連結配当性向32.8%)となり、8期連続の増配を達成することができました。
また、内部留保資金につきましては、財務体質のさらなる強化及び事業拡大のため、サービスの開発、品質の向上のために有効活用していきたいと考えております。
なお、当社は剰余金の配当について、法令に別段の定めのある場合を除き、取締役会の決議により行うことができる旨を定款に定めております。
また、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当を、取締役会の決議により行うことができる旨を定款に定めております。
これらは、剰余金の配当等の決定を取締役会の権限とすることにより、株主への機動的な利益還元を行うことを目的としております。
(注)基準日が当事業年度に属する取締役会決議による剰余金の配当は以下のとおりであります。