リスク
3 【事業等のリスク】
当社グループでは、経営者が、当グループの事業執行能力や収益目標に重大な悪影響をもたらす可能性があると考えているリスクを定期的に選定し、リスクの状況をモニタリング、コントロールしながら、対応策を講じております。以下の記載における将来に関する事項は、当社グループが判断したものです。
(1) 主要なリスクと対応策
(2) その他のリスク
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項に関するリスクには、上記「(1) 主要なリスクと対応策」以外に以下のようなリスクがあります。
① マクロ経済・市場環境に関するリスク
当社グループの事業及びその将来見通しは国内外の一般的な経済状況、国内の住宅市場や消費者嗜好の傾向等により影響を受けます。そのため、国内外の経済、日本の住宅市場や消費者の消費意欲が停滞・減退する等、当社グループ又は当社グループの取引先や提携先の属する業界の市場環境が悪化した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、収益の多角化を図るため、決済業務の強化、外貨預金・仕組預金等の拡大を図っておりますが、当社グループの収益においては、住宅ローンの事務取扱手数料及び金利収入が大きな割合を占めております。このため、住宅ローン市場の競争激化による貸出金利の低下、人口減少や住宅価格高騰に伴う住宅需要の低下、住宅ローン減税等の住宅関連政策の変更等による住宅ローン市場の縮小や当社グループの住宅ローン商品の競争力の低下等の要因により、当社グループの住宅ローンの取扱いや収益性が減少した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 事業環境に関するリスク
デジタルバンク事業及びBaaS事業の成長は、オンラインでの金融サービスに対する需要が継続的に拡大するかどうかに左右されます。そのため、当社グループの主要チャネルであるモバイルアプリ・インターネットを利用して銀行取引を行う顧客層が継続的に拡大しない場合、顧客数が伸び悩み、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、かかる需要が継続的に拡大しない場合や成長が鈍化する場合には、当社グループの成長見通しや業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、近年スマートフォンを通じて銀行サービスを利用する顧客層が急拡大する等、我が国における個人顧客向け銀行業務の事業環境は急速に変化しております。当社グループはお客さまの維持・獲得のために常に新たな商品やサービスの導入と顧客利便性の向上に努めてまいりますが、かかる新商品や新サービスをお客さまの最新のニーズに合う形で適時に提供できない可能性があり、また、仮に提供できたとしても市場に受け入れられる保証はなく、想定しない新たなリスクをもたらす可能性があります。また、当社グループが、技術革新又は業界や規制の変化に適時・適切に対応できない可能性もあります。これらの結果、当社グループの競争力が低下し、当社グループの事業戦略や将来の成長性、事業、業績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 他社との競合に関するリスク
当社は、主に個人顧客向けにオンラインで銀行業務を行うインターネット専業の銀行として、デジタルバンク事業において、住宅ローン商品をはじめとする様々な銀行サービスを提供しております。
当社グループは、国内の他のインターネット専業銀行との間で激しい競合状態にあるほか、これまで店舗を中心に銀行業務を行ってきた大手銀行や地方銀行等も近時個人顧客向け銀行業務やインターネットバンキングへの取組みを強化しております。これらの競合他社は、当社グループより強固な顧客基盤を有し、幅広い商品や多様な接点を提供でき、また、より効果的に技術への投資ができる可能性があります。さらに、一部のノンバンクは、住宅金融支援機構と協働して長期の固定金利住宅ローンを提供しており、当社グループはかかるノンバンクとも競合しております。当社グループはインターネット専業銀行の特性上、基本的に、銀行店舗を有さずにお客さまとは主にインターネットを通じて接することとなるため、お客さまとの対面での取引その他の接点は限定的となります。そのため、自社店舗やより強固な顧客基盤、多様な顧客接点を有する他の銀行又は金融サービス事業者と比べて、対面での接点を希望するお客さまを獲得することが困難となる可能性があります。
また、BaaS事業においても、競合他社が当社グループのBaaS事業と類似のサービスや機能を導入、または第三者との提携を利用して顧客基盤を拡大する場合、FinTech企業等が新規技術を活用して銀行業やその他の金融サービス事業に新たに参入するような場合には、競争がさらに激化する可能性があります。
当社グループは、デジタルバンク事業及びBaaS事業のいずれにおいても、テクノロジーの先進性が他行に劣後しないことが重要であると認識しており、FIDO認証を含むユーザーインターフェース・ユーザーエクスペリエンス(UI/UX)の向上、店舗を有しないこと等によるコスト競争力の向上、BaaS事業のさらなる展開、将来的なデータの利活用等の取組みに努めてまいりますが、このような取組みにもかかわらず、当社グループが、商品・サービスの質、金利や手数料、システムの信頼性・利便性等において競合他社に対する競争優位を確保できなかった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 中期事業目標に関するリスク
当社グループは、日々変化していく市況に対応し、持続的な成長を遂げていくため中期事業目標を策定し、その達成を目的とする各種施策を遂行しております。かかる中期事業目標の策定においては、社会経済環境、金利動向、為替動向、競争環境、規制環境、技術革新、その他経営環境等について一定の前提を置いており、かかる前提には、例えば、インターネット環境、デジタル化促進の継続、国内新築住宅供給水準の継続等が含まれます。しかしながら、これらの前提が現実と異なる場合には、当社グループの中期事業目標の達成が困難となり、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 新規事業参入に伴うリスク
当社グループは、金融業における近未来領域の開拓と、革新的な事業モデルの追求を経営理念に掲げ、商品・サービスの拡充、業務範囲の拡大、他社との提携の推進等に取り組んでおります。2022年8月に設立した株式会社テミクス・データにおける新たなデータマーケティングや広告配信ビジネス(金融データプラットフォームビジネス)、2023年10月に設立した株式会社テミクス・グリーンと2023年12月に持分法適用関連会社とした株式会社マプリィを中心に推進しているDXプラットフォームビジネス並びにカーボンクレジットプラットフォームビジネスを含め、これらの施策の展開により、従来経験がないか、若しくは予想されなかったリスク又は複雑なリスクに晒される可能性があります。
また、当社グループが新規事業への参入に際し、魅力的な事業分野並びに消費者の嗜好及び金融サービス市場の今後のトレンド等を適切に見極められずに、新規事業への参入により当初想定した利益を得られなかった場合、投下資本を回収することができず、当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 規制に関するリスク
当社は、銀行法第4条第1項の規定に基づき、銀行業を営むことについての免許(免許書番号金監第2312号)の交付を受け、預金、為替、貸付業務をはじめとする種々の業務を営んでおります。そのため、当社は銀行業者として銀行法に基づき自己資本比率規制等様々な規制を遵守する必要があるほか、金融庁により広範な監督を受けております。また、銀行法第26条において業務の停止等及び同第27条において免許の取消し等の要件が定められており、当該要件に該当した場合、業務の停止、免許の取消し等の処分を命じられる可能性があります。
現時点で、当社はこれらの事由に該当する事実はないと認識しておりますが、将来、何らかの事由により業務の停止、免許の取消し等の処分を命じられた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業活動を行う上で、銀行法以外にも、金融商品取引法、預金保険法、犯罪による収益の移転防止に関する法律、外国為替及び外国貿易法、個人情報の保護に関する法律をはじめとする様々な法律、規制、政策、実務慣行、会計制度及び税制等の法令諸規則を遵守する必要があります。これらの規制への違反が生じた場合にも、免許の取消し等の行政処分や調査手続等のほか、お客さまや提携先からのクレームや訴訟提起を受け、また、資金調達や事業戦略の履行に支障をきたす可能性があります。
また、これらの法令諸規則は将来において新設・変更・廃止される可能性があり、その内容によっては、商品・サービスの提供その他の事業活動に制約が生じ、又は新たなリスク管理手法の導入その他の体制整備が必要となる等により、費用の増加や収益性の低下、またこれによる一部の事業からの撤退につながる可能性もあります。これらの結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 気候変動に関するリスク
当社グループは、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組み」のとおり、環境・社会課題を経営上の重要課題として捉え、取締役会の関与のもとサステナビリティ経営の推進に取組んでおります。
また、当社では、収益の追求または損失回避のため、リスク管理を行うことをリスク管理方針で定めています。このリスク管理方針のもとリスク統括部を統括部署として、リスクの特定、評価、運営、モニタリング、コントロール及び削減の一連の活動を通じてリスクの状況を的確に把握し、事業年度ごとに策定するリスク管理計画をもとに必要な措置を講じております。
2023年度は、リスク管理計画に基づき気候変動による移行リスク、物理的リスクの特定・評価及び影響分析を実施しました。今後も気候変動に関するリスク管理の高度化に取組んでまいります。
しかしながら、気候変動により想定以上の影響が生じた場合、当グループの対応が遅れた場合には、気候変動に関するリスクが顕在化し、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 自己資本比率に関するリスク
当社及び当社グループは「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)」に基づき自己資本比率を算定しており、国内基準行である当社及び当社グループは4%以上の自己資本比率の維持が求められています。
しかしながら、自己資本比率は本書の「事業等のリスク」に記載している各種リスクの顕在化等を主な要因として低下する可能性があり、その場合は資金調達コストの上昇等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、仮に自己資本比率が基準値の4%を下回った場合、早期是正措置により、金融庁長官から業務の全部又は一部停止等を含む様々な命令を受けることとなり、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に著しい悪影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 信用リスク
当社グループは、以下のとおり、貸出資産に係る信用リスクの増加に対する予防管理やリスク分散に向けた取組みを進め、信用リスク管理態勢の強化を図っておりますが、それぞれに掲げるようなリスクが生じる可能性があります。
a 個人向け貸出金に伴うリスク
当社グループの個人向け貸出金は、主として住宅ローンでありますが、個別の与信額は多額ではなく、不動産担保・団体信用生命保険等によりリスクの分散された貸出金であり、また、貸出にあたっては十分な審査を実施し、自己査定等により与信の事後管理も行っております。
しかしながら、景気動向、金利動向、不動産価格、雇用情勢等の各種経済条件の変動、債務者の経済状態、大規模な自然災害の発生等により、不良債権や与信関連費用が増加し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
b 保証会社の信用状況悪化に伴うリスク
当社では、個人向け貸出金の一部に対して保証会社による保証を受けております。これらの貸出金については、自己査定に基づき、保証会社の保証能力を検証しております。
しかしながら、景気動向、金利動向等の各種経済条件の変動等により、保証会社の信用状況が悪化し保証履行能力が低下した場合、与信関連費用が増加し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
c 証券化・流動化商品への投資に伴うリスク
当社では、住宅ローンやオートローン、リース料債権等を裏付とした証券化・流動化商品への投資を行っております。投資に際しては、投資金額の上限や決裁権限の設定、各種マニュアルの策定等の投資の枠組みを設定し、十分な審査を実施しており、また、投資した商品に対しては、裏付債権の状況、格付の動向、市場流動性、時価等について、随時・月次及び四半期毎の定期的なモニタリングを実施しております。
しかしながら、世界的な金融市場の動向、景気動向、金利動向、格付の動向等の各種経済条件の変動、法規制や会計基準の変更、地震等の自然災害の発生等により、当該裏付資産の資産価値が低下した場合や信用力が悪化した場合等により当該証券化・流動化商品の価格が低下した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
d 債券等への投資に伴うリスク
当社は格付機関により投資適格と評価されている債券等への投資を行っております。投資に際しては、投資金額の上限や決裁権限の設定、各種マニュアルの策定等の投資の枠組みを設定し、十分な審査を実施しており、また、投資した債券等に対しては、時価、発行体の信用状況、格付の動向、市場流動性等について、随時、月次及び四半期毎の定期的なモニタリングを実施しております。
しかしながら、世界的な金融市場の動向、景気動向、金利動向、格付の動向等の各種経済条件の変動等により、債券発行体の信用力が悪化するあるいは債券の市場流動性が低下する等の状況が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
e 貸倒引当金に伴うリスク
当社グループは貸出先の信用状況の他、差し入れられた担保の価値変動や経済状況等を必要に応じて考慮し、貸倒引当金を計上しております。
しかしながら、景気動向、金利動向等の各種経済条件の変動、貸出先の信用状況の変化、担保価値の下落、その他予期せざる理由により、貸倒引当金の積み増しが必要となり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、実際の貸倒費用が貸倒引当金計上時点における見積りと乖離する恐れがあり、その場合も、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 資金の流動性に関するリスク
当社は、現時点においては資金源として預金と借入金に基本的に依存しており、また、流動化証券のポートフォリオも保有しています。特に、当社においては、資産の約半分を満期が長い住宅ローンが占める一方で、資金源の約7割を流動性預金が占めており、お客さまがスマートフォンを操作することで簡単に預金を引き出せることの結果として、安定的な資金繰りを維持することが困難になる可能性が他行よりも高いと認識しております。そのため、安定的な資金繰りを確保することを目的として、預金・貸出金等の入出金ギャップから発生する資金の不足に対しては、限度額の設定を行い、事前に把握することで、流動性リスクの適切なコントロールに努めております。また、預金・貸出金等の動向の調査、及び当社の流動性に影響を与える複数の指標のモニタリング等により、資金繰りの悪化に繋がる兆候の把握に努めております。
しかしながら、大規模な金融システム不安が発生し当社グループの保有資産に係る大幅な価格の下落や市場の流動性の縮小が生じた場合、当社グループの財政状態や経営成績が悪化した場合、又は当社グループに対する格付けの引下げや悪意を持った風評等が生じた場合等には、通常より著しく高い金利による資金調達を余儀なくされるか、市場から必要な資金の調達が困難になるか、又は想定の範囲を超える預金が流出し、資金繰りに支障が生じる等の可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 事務リスク
当社グループは、預金・為替・貸出等の銀行業務における事務処理、各種の内部管理業務を行ううえで、事務処理・内部管理体制の整備、事務処理状況の点検等の事務リスク管理を通じて円滑かつ適正な事務処理・内部管理を行っており、役職員による事務処理上の過誤や内部不正等の潜在的な事務リスクの顕在化を未然に防止するよう努めております。
しかしながら、仮にこうした事務リスク管理が奏功せずに事務リスクが顕在化し、役職員による重大な事務過誤や内部不正等が発生した場合には、損失の発生、行政処分・罰則の適用や当社グループ及びそのサービスに対する信頼の低下等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑫ リスク管理の方針及び手続の有効性に関するリスク
当社グループは、上記のとおりリスク管理の方針及び手続を規定し、リスク管理の強化に努めております。
しかしながら、新しい分野への業務進出や急速な業務展開、外部環境の急激な変化等の要因により、当社グループのリスク管理の方針及び手続が有効に機能しない可能性があります。また、当社グループのリスク管理の方針及び手続の一部は、過去の経験・データに基づいて構築されたものもあること、将来の当社グループの事業に関し生じる様々なリスクの顕在化を正確に予測し、対処することには限界があることもあり、結果的に当社グループのリスク管理の方針及び手続が有効に機能しない場合があります。こうした当社グループのリスク管理の方針及び手続が有効に機能しない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 外部委託に伴うリスク
当社グループは、業務を遂行するうえで、様々な業務の外部委託を行っております。当社グループは独自の銀行店舗・ATM網を有していないため、他の銀行とATMの利用に係る契約を締結し、お客さまに口座の入出金の機能を提供しているほか、ITシステムの保守・更新、AWSのクラウドサービスの利用、銀行代理業者を通じた住宅ローンの販売、バックオフィス業務等、他社の様々なサービスに依存しております。
外部委託を行うにあたっては、リスク統括部を統括部署として外部委託管理規則及び外部委託先管理要領を定め、外部委託開始前のリスクチェック及び委託先決定方法や委託開始後のモニタリング等について規定しております。外部委託先選定にあたっては、外部委託承認の必要基準、委託先選定基準等を定めており、委託部署が基準の充足度を確認の上、外部委託管理統括責任者(リスク統括部担当役員)の承認を経て、委託先を決定しております。また、外部委託開始後のモニタリングでは、定例の年次モニタリング及び必要に応じた随時のモニタリングにおいて、リスクチェックを実施しております。以上の管理体制により、委託先の適格性検証や、委託期間中の継続的な委託先管理、問題発生時の対策策定等、体制整備に努めておりますが、委託先が効率的かつ低コストな方法でサービスを提供し続け、また、当社グループが求めるとおりにそのサービスを拡充できる保証はありません。
委託先において委託業務の遂行に支障・遅延をきたす事態となった場合、委託先における事務過誤等が発生した場合、委託先において情報漏洩事故が発生した場合、又は委託先との関係悪化等を理由に契約関係が解消された場合等において、当社グループが速やかに代替策を講じることができなかった場合等には、当社の事業運営に悪影響を及ぼすほか、これに対応するための費用の増加、当社グループ及びそのサービスに対する信頼の低下等につながり、その結果当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑭ 情報漏洩等に関するリスク
当社グループは、銀行法、金融商品取引法をはじめとする国内外の法令等を遵守すること、また個人情報保護法、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等に基づき顧客情報等を適切に保護することが求められております。当社グループでは、リスク統括部が情報管理における責任部署として、情報セキュリティ管理規程(セキュリティポリシー)、情報セキュリティ管理規則(セキュリティスタンダード)等情報セキュリティに関する各種規定類を策定しております。また、顧客情報を格納するフォルダを通常業務で利用するフォルダと明確に分離しデータの移動を制限すること、及び外部への情報の持ち出し時に上長による承認を必須とする等、適正な業務フローやシステム構築、各種マニュアル類に基づく管理態勢の構築及び情報管理やセキュリティ対応等の厳格なルール運用を通じ、情報漏洩や紛失リスク等の低減に努めております。
しかしながら、上記の態勢整備にも関わらず、内部要因・外部要因に起因する事務過誤・システム障害、不正アクセスやコンピューターウイルスへの感染等により、当社及び当社グループが利用する外部業者や提携先において、顧客情報をはじめ当社グループの重要情報が漏洩・紛失した場合には、当社及び当社グループに対する業務改善命令や業務の停止を含む行政処分、罰則の適用や当社グループ及びそのサービスに対する信頼の低下等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑮ 自然災害等に関するリスク
当社グループの本社、ITセンターやコンピューターネットワークその他の設備について、地震、台風、洪水、津波、竜巻、豪雨、大雪、火山活動等の自然災害や火災、停電、電力不足をはじめとするその他の災害、異常気象、気候パターンの変化等の気候変動、テロリズムその他の犯罪行為、感染症の流行その他様々な事象により、システム障害や設備の利用不能等が発生した場合には、物理的・経済的な損害が発生するほか、当社グループの事業運営に重大な悪影響が生じるおそれがあります。当社グループでは、有事に備えて、業務運営上、有事の際の対応手順等の規定化、データのバックアップ、定例的な訓練の実施等の適切なイベントリスク管理を行っておりますが、仮に想定をはるかに上回る大規模な自然災害やシステム障害等の事態が発生し、結果的にこうしたイベントリスク管理が機能しなかった場合には、業務の停止及びそれに伴う損害賠償、行政処分、罰則の適用や、当社グループ及びそのサービスに対する信頼の低下等が生じること等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑯ ブランド・風評に関するリスク
当社グループの銀行業務は主に個人のお客さまを対象としていることから、既存のお客さまの維持や新規のお客さまの獲得に際しブランド力が極めて重要であると考えています。当社グループに対する否定的な風評により当社グループのブランドや評判が損なわれる可能性があるため、当社グループは、当社グループ及び当社株主等に関して事実に即した内容の報道等がなされているかを随時確認し、適切でない報道等があった場合の対応策を含め、風評リスクの管理態勢を構築しております。
しかしながら、上記のような管理態勢にも関わらず、一般的に報道・風評・風説等は、その内容の信憑性の度合いに関わらず、近年のソーシャルメディアの急激な普及も背景に、インターネット等を通じて、短時間に不特定多数の方々に流布されやすいこと、また、インターネット等の匿名性から発信者に対して当社グループが十分に責任を追及できない可能性があることから、こうした誤った報道等が当社グループ及びそのブランドに対する信頼の低下等をもたらし、既存のお客さまの維持、新規のお客さまの獲得又は優秀な人材の確保・定着に重大な支障が生じる結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑰ 訴訟等に関するリスク
当社グループでは、銀行業を営む金融機関として、法令諸規則を遵守し、また、訴訟その他の法的手続に関するリスクを十分に認識し、業務遂行にあたっております。
しかしながら、業務遂行にあたり当社グループの債務不履行、法令等の違反、知的財産権の侵害等を理由に損害賠償請求等の訴訟等を提起される可能性があり、その結果によっては、多額の損害賠償等の責任を負い、又はこれに対応するために多額の費用が生じるほか、当社グループ及びそのサービスに対する信頼の低下等が生じること等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑱ 出資会社等との関係に関するリスク
SBIホールディングス株式会社及び三井住友信託銀行株式会社は現在当社株式をそれぞれ34.1%ずつ保有し、当社の筆頭株主となっております。当社は、意思決定の透明性・公正性を確保するため、過半数が独立社外取締役で構成される任意の指名・報酬委員会を設置する等、独立社外取締役に中心的な役割を担わせることで、取締役会による業務執行の監督機能を強化しておりますが、両株主は、当社の役員の選解任やその他株主の承認を必要とする事項や、当社の株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性があり、また、両株主の利益は、当社の他の株主の利益と異なる可能性があります。
両株主及びそれらの関連会社と取引を行うにあたっては、関連当事者等取引管理規程に基づき、関連当事者等と取引を行うことの妥当性について、個別取引毎に経営会議又は取締役会等で確認を行っております。毎事業年度末時点で該当取引を継続する場合にも、同様に事業上の必要性や取引条件の妥当性等を確認し、取締役会の承認を得ております。
当社株式の流通株式数及び流通株式比率は投資家による売買を通じて変動することとなりますが、今後においても取引所が定める形式要件を充足し続けるために、流動性確保に努める方針としております。当社の流通株式比率は、取引所が定める形式要件に近い水準でありますが、事業規模・売上高及び利益額・利益の成長を通じた株主層の拡大等により流通株式比率の向上に努めていきます。
また、両株主が当社株式を市場内外で売却する場合又はその懸念が市場において認識される場合、当社株式の需給の悪化又はそのおそれにより、当社株式の市場価格に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループと両株主との関係については以下のとおりであります。
<SBIホールディングスグループ>
当社はSBIホールディングス株式会社の持分法適用会社であり、同社を構成するグループにおいて、グループの金融サービス事業における中核会社の1つとして位置付けられております。SBIホールディングスグループと当社との関係の詳細は以下のとおりです。
a SBIホールディングスグループとの人的関係
当社役員のうち1名は、2024年6月19日付で当社の株主であるSBIホールディングス株式会社の専務執行役員に就任予定です。
今後、何らかの事情により当社とSBIホールディングス株式会社との関係に変化が生じた場合、これらの人的関係も変動し、当社グループの事業遂行に影響を与える可能性があります。
b SBIホールディングスグループとの取引関係
当社は、SBIホールディングス株式会社のグループ企業である株式会社SBI証券を銀行代理業者として、株式会社SBI証券に当社円普通預金口座開設等の媒介業務を委託しており、ハイブリッド預金取引等により、当社グループのお客さま獲得における主要経路の一つとなっております。また、2022年1月27日より、株式会社SBI証券との間でNEOBANKに関する業務提携契約を締結し「NEOBANK®」サービスの提供を行っております。2024年3月末の当社口座保有者約726万人のうち、SBIハイブリッド預金の利用者数は合計420万人を超え、また2024年3月末の当社円貨預金残高約9.1兆円のうち、SBIハイブリッド預金残高は約3.6兆円と39.2%を占めております。今後、「NEOBANK®」サービスの進捗状況等によっては、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度におけるSBIホールディングスグループとの取引金額が10億円を超える取引は以下のとおりです。
(注)1 NEOBANKサービスに係る手数料受取り控除後の金額です。
(注)2 配当金受取り控除後の金額です。
SBIホールディングス株式会社が2021年12月に連結子会社とした株式会社SBI新生銀行は、銀行業を主業としており、預金・貸出(住宅ローン、カードローン等)・決済業務において当社と競合する分野が存在します。SBIホールディングス株式会社の子会社である株式会社SBI証券及びSBIマネープラザ株式会社は当社を所属銀行とする銀行代理業者でありますが、株式会社SBI証券は2022年8月より、SBIマネープラザ株式会社は2023年1月より株式会社SBI新生銀行の銀行代理業者として業務を開始しました。上記提携開始後の2024年3月末時点では、株式会社SBI証券及びSBIマネープラザ株式会社を通じて獲得される当社の預金口座数や住宅ローンの実行額の顕著な変動は確認されておりませんが、今後の取組み次第で変動が生じる可能性があります。
また、2023年3月1日から、株式会社SBI証券が株式会社三井住友銀行を所属銀行とする銀行代理業者として同行の口座開設等の契約締結の媒介を行うこと等を含む業務提携を開始しておりますが、かかる提携の進捗状況等によっては、株式会社SBI証券を通じて獲得される当社の預金口座数や住宅ローンの実行額が減少する可能性があります。
上記の他、当社への出資比率等の変更を含め、当社グループとSBIホールディングスグループの各企業との関係に変化が生じ、関係が希薄化した場合には、同社グループとの取引関係の全部若しくは一部が解消される等の見直しがなされ、競合関係が生じ、同社グループの商号が使用できなくなる可能性があります。これらの事象が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
<三井住友トラスト・グループ>
当社は三井住友トラスト・グループ(三井住友トラスト・ホールディングス株式会社並びにその子会社及び関連会社をいう。以下同じ。)のグループ企業である三井住友信託銀行株式会社の持分法適用関連会社であり、同社を構成するグループにおいて、インターネットバンキングサービスを提供する戦略的パートナーに位置付けられております。三井住友トラスト・グループと当社との関係の詳細は以下のとおりです。
a 三井住友トラスト・グループとの人的関係
当社役員のうち1名は、本書提出日現在において、当社の株主である三井住友信託銀行株式会社の取締役常務執行役員と三井住友トラスト・ホールディングス株式会社の執行役常務兼執行役員CISOと当社取締役を兼務しております。また、当社グループでは、三井住友信託銀行株式会社から出向社員の受け入れも行っております。今後、何らかの事情により当社グループと三井住友トラスト・グループの各企業との関係に変化が生じた場合、これらの人的関係も変動し、当社グループの事業遂行に影響を与える可能性があります。
b 三井住友トラスト・グループとの取引関係
当社は、三井住友トラスト・グループの各企業より経営管理面における有形無形の支援を得ております。2012年1月より提供しておりました三井住友信託銀行の銀行代理業者となり、インターネット上で受け付けを行う「ネット専用住宅ローン」については、2023年12月22日に取扱いを終了しましたが、2023年9月29日より、三井住友信託銀行株式会社との間で「NEOBANK®」サービスの提供を開始しております。これに伴い、三井住友信託銀行が当社の銀行代理業者としてインターネットを通じて当社の住宅ローンや預金等を販売しております。
上記の他、当社への出資比率等の変更を含め、当社グループと三井住友トラスト・グループとの関係に変化が生じ、関係が希薄化した場合には、同社グループとの取引関係の全部若しくは一部が解消される等の見直しがなされ、競合関係が生じ、同社グループの商号が使用できなくなる可能性があります。これらの事象が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、企業価値を高めるとともに、株主の皆さまに利益を還元していくことを重要な経営課題の一つとして認識しており、上場後は、財務規律を維持しながら、利益と資本のバランスを踏まえて、安定的な株主還元を考慮した上で、配当を実施する方針です。内部留保資金は、当社の企業価値を持続的に向上させるべく活用してまいります。
当社の剰余金の配当は、期末配当の年1回を基本方針としており、決定機関は株主総会であります。
また、当社は「取締役会の決議により、毎年9月30日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主又は登録株式質権者に対し、中間配当を行うことができる」旨を定款に定めております。
また、銀行法第18条の定めにより剰余金の配当に制限を受けております。剰余金の配当をする場合には、会社法第445条第4項(資本金の額及び準備金の額)の規定に関わらず、当該剰余金の配当により減少する剰余金の額に5分の1を乗じて得た額を資本準備金又は利益準備金として計上しております。
(注)基準日が当事業年度に属する配当は、以下のとおりであります。